2024/9/4(水)〜9/8(日)
今シーズン1番のハードな企画、聖岳&光岳ツアーを実施しました。
1日目
初日は皆さん各地から集合し、椹島ロッジで宿泊。今日の行程は登山ではないものの、出発地の畑薙までの長ーい道のりにぐったり。
椹島ロッジでは美味しい夕食をいただきました。
今回は各自個室利用です。部屋にはコンセントもあります。ドライヤーはありませんが、お風呂にも入れます。これからの長旅に備えてゆっくり休みます!
2日目
翌日は5:00から朝食ですが、10分前には既に案内が開始されていました。
6:10にロッジから聖沢登山口までバスで送っていただきました。今日の目的地は聖平小屋。聖沢ルートは沢筋にうまい具合につけられた登山道を辿ってゆきます。沢筋の登山道にありがちなのがザレザレのトラバース。地味〜に危険な箇所がいくつかあるので気をつけて。
道中、椹島ロッジのお昼弁当を食べながら小休止。稲荷寿司が美味しいです。
急登を一生懸命登り、結構歩いてきたはずですが、「聖平小屋まで3/7」の看板が現れます。全体に絶望の空気…。ここから距離は長いですが、大半の標高は稼いできたので、大丈夫なはずです!
13:00頃に聖平小屋到着!皆さまお疲れ様でした。疲れた時にはビール一杯と行きたいところでしたが、残念なことにヘリの荷上げ前でビールが売り切れ。楽しみにしていた方はとても残念そうでした。
午後から天候が崩れる予報でしたが、雨が降る気配はなく、外でお茶会&そのまま夕食タイムへ突入。皆さん軽量化を意識してフリーズドライを持参していましたが、中にはちょっとお高いレトルトカレーの方も。担ぐのは重いけれど、食べれば絶品ですね。
明日は日の出前に聖岳を目指すので、今日は早々に就寝しました。
3日目
朝4:00、聖平小屋を出発し、聖岳を目指します。メンバーの1人が昨日より膝の調子が悪いようでお留守番になりました。
静かな森の中、ヘッドライトの明かりを頼りに登ってゆきます。次第に周りが明るみ始め、小聖岳に着く頃に日の出を拝むことができました。
なんて美しい景色。山の朝は素晴らしいです。いつまでも眺めていたい景色でしたが、聖岳の山頂はまだ先なので歩かねば行けません。
痩せ尾根を通過するといよいよ最後の登り。つづら折りのガレガレ急登をひたすら登ってゆきます。皆んな気合を入れて1時間、ノンストップで山頂を目指します。疲れる登りでしたが、振り返れば朝日に照らされた富士山や、遠く光岳まで見通せる南アルプスの峰々が励ましてくれました。
6:30、聖岳登頂です。
北を向けば、正面にドンと構える赤石岳。南側には遥か遠く光岳まで続く長大な峰々の展望。さらに南に続く深南部の山々。まさに山深い場所に立っていることを実感させられます。
ひとしきり眺望を楽しみ、名残惜しいですが引き返します。すっかり日が昇りあちこちで小鳥のさえずりが聞こえてきました。
9:00過ぎに聖平小屋帰着。まだ朝だというのに、もう5時間の行動をこなしてきました。すっかり山小屋でのんびりしたい気分ですが、まだまだ今日は行程の半分です。
聖平小屋では10:00からランチタイムが始まります。米を食べたい!との要望があり、長めの大休止。のんびり荷物をまとめて、10:00からのランチに舌鼓。
10:30に茶臼小屋に向けて縦走再開。
メンバーの1人はやはり膝が不安なようで、相談して光岳までの縦走を断念することに。
茶臼小屋まで一緒に歩き、単独でも歩けるメンバーでしたので、翌日はそこから沼平へ一人で下山すると話がまとまりました。
聖平小屋から茶臼小屋までは200名山の上河内岳を越えてゆきます。コースタイムは3時間半程度です。
ひたすら稜線縦走で、展望が素晴らしい。振り返れば先ほどまでいた聖平小屋、その奥に雄大な聖岳の展望が見えます。休憩時間があまりに心地よくて、一度腰を下ろすとなかなか立ち上がれません。
歩き始めると照りつける日差しに体力が削られます。もう少し頑張ります。
苦しい登りをこなし、上河内岳の肩まで到着!
有志のメンバーで上河内岳まで往復してきました。
上河内岳ってどこ?長野の上高地?と勘違いされがちですが、静岡県の登山者にとっては身近で愛されている山です。ピラミダルな山容がカッコよく、また山頂からの眺望も素晴らしい山です。
ここまで来れば茶臼小屋まで後少しです。ほぼフラットな歩きですが、最後の最後にちょっとした登り返しがあります。
15:45、茶臼小屋到着です!
到着してガイドは早々に受付を済ませます。16:00までならレトルトの夕食、朝のおにぎりを注文できるのです。
皆さんに「夕食、朝のおにぎり希望の方はいらっしゃいますか!」と確認すると、全員挙手。私も誘惑に負けて(?)ついついオーダーしてしまいました。夕食も朝食も皆さん持ってきているはずなのに、やはりホカホカのご飯が食べたいようです。余った食材を担ぐ羽目になりますが、背に腹は変えられません。
しばらくのんびり過ごし、待望の夕食はとっても美味しかったです。
4日目
翌朝は4:30におにぎりの朝ごはんをいただき、5:00登山開始。
次第に夜明けが近づいてきます。今日も本当に素晴らしい天気。毎日毎日、好天に恵まれていて有難い限りです。
茶臼岳は最高のビュースポットです。名前は地味なピークですが、個人的にもお気に入りの場所です。
道中、各ピークに立ち寄りしながら、先へ進みます。仁田岳は標高2,524mで、森林限界を越えハイマツの生える見晴らしの良いピークでした。そこからガクッと200m標高が下がりひたすら樹林帯の稜線歩きが続きます。
ここ光岳へ続く稜線は他にはない特殊な景観。このメルヘンな雰囲気もまた光岳までの縦走路ならではで、南アルプス南部の魅力といえます。
三吉平から涸沢沿いのゴロゴロの急登を登り返し、静高平へ。しばらく水場が枯れていたそうですが、数日前の台風のお陰か、見事に復活していました。光岳小屋は水道がなく、また水場まで往復20分掛かるためここで今日と明日の必要な水は汲んでいくことにします。
ずっしり重くなったザックを担ぎひと登りすれば、イザルガ岳の分岐です。
イザルガ岳は標高2540mで、森林限界を越えて展望の良いピークでした。
森林限界とは、高い樹木が生育できない標高のことです。単純に標高だけではなく、気温や降雪量、風の当たる強さによっても森林限界の高度は局所的に変化します。光岳は標高2591mとイザルガ岳より高いですが、高い樹木に囲まれ眺望はありませんので、ここでしっかりと南アルプスの大展望を目に焼き付けておきます。
13:00頃、光岳小屋到着!お疲れ様でした。
受付を済ませてからしばらく休憩し、光岳へ向かいました。ここに来るまで遠かった〜!達成感は十分です。皆様本当にお疲れ様でした。
さらに足を進めて光岩へ寄り道しました。今日は午後から霧予報。南側からモクモクとガスが湧いてきました。
「もし、百名山じゃなかったら、光岳に登る人はかなり少なそう。」
メンバーの1人がそう言いました。
深田久弥の「日本百名山」を読むと昔は登る人が少なかったようです。どこから登っても数泊を要し、遠いからでしょう。
しかし彼はそんな光岳に魅力を感じたわけです。”光と書いてテカリと読ませるところに味がある。””光岳以南に標高の高い山は存在せず、日本アルプスの南の果て。””ハイマツの南限地で植物学的にも価値がある。”といったようなことが書かれていました。
また、山深く静かなところが好きな深田久弥としては、アクセスの悪い光岳がむしろ印象的だったのかもしれません。
引き返したら、あとは光岳小屋でのんびりタイム。
17:30からの夕食はキノコの豚汁とご飯。とっても美味しかったです。光岳小屋の予約は大変でしたが、頑張った甲斐がありました(笑)
「ご飯と豚汁のお代わりは少しあります!」とのことでしたが、1回ずつお代わりしてとっても満腹になりました。
夜はふかふかのマットレスで就寝です。
5日目
朝は2:00出発。午後から天気が崩れる予報です。下山後も帰るまで時間がかかるし、白樺荘で食事もしたいので、早めに出発することにしました。
ヘッドライトの明かりを頼りに出発です。暗いうちは足場が見えづらいので慎重に。
道中、変わった鳴き声が聞こえると思ったら、樹木の上に二匹の小動物が!正体は分かりませんが、木から木へ飛び回っていたので、もしかしたらモモンガやムササビかもしれません。
仁田岳分岐へ登り返す頃に、ようやく日が登ってきました。今日も良い天気。朝までいた光岳が遥か遠くに離れてしまいました。
7:20茶臼岳着。素晴らしい展望を目に焼き付け、いよいよ南アルプスの稜線からお別れです。
茶臼小屋で小休止。下山時のエネルギーチャージで、緑のたぬき・赤いきつねを皆で食べました。
通常のカップヌードルは汁を全部飲み切らなきゃいけませんが、こちらは粉が別になっているので、あらかじめ入れるお湯の量と粉の量をお好みで調整できます。味が優しのでいつでもほっこり美味しく食べられます。
茶臼小屋、とっても温かくて居心地が良かったです。お世話になりました。
いよいよ下山開始です。
茶臼小屋から沼平までは急勾配だったり、足場の悪いトラバースや、ハシゴがあったりで気が抜けません。何度か登り返しもあり、ヤレヤレです。
途中休憩しながら13:30畑薙大吊橋へ下山!
てっきり皆さん高いところは得意かと思っていましたが、まさかの吊り橋恐怖症の方が1名…。ゆーっくり歩いていたものだから、後ろから追いついた他所の登山者にピタッとくっつかれています。数人の重みでさらに揺れる吊り橋…。無事に渡り終えて安堵の表情。
沼平へ14:10着。長い長い山旅が無事に終わりました。
帰りに白樺荘に立ち寄り、温泉&ご飯をいただき終了です。
濃厚で、ハードな山旅、いかがでしたか。南アルプスは私の大好きな山域で、皆様をご案内できてとても嬉しいです!ご参加くださりありがとうございました。