2024/9/1(日)晴れ
十字峡登山口(7:00)~日向沢出合(7:35)~Co800二俣(9:50)~Co950m二俣(10:40)〜Co1180登山道合流(11:50)〜十字峡登山口(13:25)/行動6h25m
メンバー : 2人(Waka , Kさん )
装備 : ラバー(Kさん)、フェルト(Waka)、 50mロープ
山行記録
よく晴れた日曜日。Kさんチョイスで越後の日向沢へ行くことに。日向沢は、越後三山の一座「中ノ岳」の前衛の日向山へ詰め上げる沢で、お手軽に登山道から下山できる。
過去の記録を参考にすると、日向山からさらに標高を落とした4合目付近へ詰め上げ半日で下山するパーティーもちらほら。皆んなが半日なら、マタニティな私は1日かけてのんびり遡行すれば良さそうだ。今回は、みんなの参考記録を穴の開くほど拝読し、当日に備えた。
朝、十字峡登山口に到着すると、お世辞にも先行のお車たちの駐車マナーが悪い…。砂利・草地に詰めれば良いものの、皆様律儀に舗装路の上に停めるものだから、本来15台くらい停められそうな場所が7台ほどで満車状態になっていた。
困るなぁと思いつつ準備を進めて登山開始。中ノ岳登山口を登ってすぐトラバース道に入り、しばらく黒又沢左岸の踏み跡を辿る。ダム湖の上流にある河原へ着地。
まだ峻険な越後の雰囲気はなく、穏やかな河原が続く。30分ほどで、目的の日向沢出合に到着した。出合はゴーロに埋もれており、水量が全く無くて心配になったが少し中に入るとそこそこ水が流れていたので安心した。
しばらく歩くと早速最初の10m滝がお出まし。今年はまだ小滝しか登っていないので久々の10m級に萎縮する。
「巻けるかなぁ…。」
「え?左の壁から簡単に登れそうだよ。」
よくみると、Kさんの言った通り左壁から登れそうだ。大きい滝を見上げると、ついつい真っ先に巻きたくなってしまう…。足場はあるものの高度があるので慎重に。1年ぶりのフェルトソールに緊張。
続く3mのナメ滝も、ヒヤヒヤしながら左側をよじ登る。足場が地味に細かくて緊張。やはりラバーで来るべきだったか。
2つの滝を越えて、私も次第に慣れてきたのか、次第に大滝に対する萎縮も落ち着いてくる。
やがて右岸から蛇ノ沢が出合い、奥には圧巻のスラブが。以前tamoshima氏が登ったという通称「蛇ノ沢スラブ」tamoshima氏がもっと登られても良い。とか言っていたけど、こうして見上げるとなかなかの壁。本当に登りやすいスラブですかね、これ。
スラブの出合を越えると、5m以下の小滝が続くようになる。
見た目ヌメっていて悪そうな滝は高巻くが、歩きやすく簡単な巻きだった。
1箇所、草むらに大量の毛虫がいたため、高巻きを諦めて右端の被った大岩を乗っこす。Kさんに先に上がってもらい、私はお助け紐で渾身のトドムーブで事なきを得た。
振り返ると、対岸に見える阿寺山。
日向沢は水量が少なく夏の遡行は暑いとの記録が散見されたが、想像よりも水量が多く、快適に遡行できる。良かった…。
小滝をいくつか越えると、核心の大滝が登場。
「Wakaリードする?」
「いや、落ちたらまずいからいいや。てか中間支点取りづらそうじゃない?」
「支点はどこかしらで取れるでしょ~。」
のんきなKさんとロープを結んで登攀開始。今回の私は無理せず、積極的にKさんにロープを出してもらうことをあらかじめ約束している。リードを快諾してくれて頼りになる夫である。
滝壺から50mロープでビレイ開始。
下の方はサクサク快適そうだが、あっという間にロープが半分になる。
「あと半分!」
Kさんに向けてコール。
上部は下から見ても立っているように見えるけど、果たして…?
Kさんの動きがかなりゆっくりになり、慎重にルーファイしている様子がうかがえる。というかランナウトしているので、やはり中間支点が取りづらそうだ。
残りロープが少なくなってきたところで、無事に滝上へ!しかし支点構築点までのロープが足りない模様。しまいにはビレイ解除して、Kさんの動きに合わせて下部のやさしい部分の滝をじわじわ登ってロープを伸ばした。
てっきり30mの滝だと思っていたが、カツカツなので実際は35mとか、それ以上あるんじゃないかと思う。
そのうち笛の合図が聞こえてきて一安心。
続いて私も登攀開始。下部は快適だが、途中からすばらしい高度感。しかも地味にヌメる。上部は想像通り傾斜が立っていてなかなかスリリング…。いや、普通に危なくない!?
中間支点は途中3回取ってあって、細い枝、草、岩(カム)。特に草は頼りなさすぎて驚いた。まぁKさんとしても”無いよりはマシ”というだけの中間支点だとは思うが、それにしても怖いぜ~!
無事に登りきりKさんにお礼を伝えた。その後の小滝も順調に超えてゆくが、沢床がヌメるようになってきて、フェルトソールの本領発揮。ラバーのKさんがすっ転んでいた。
いよいよ二俣へ。登山道を目指すべく右俣へ進む。
出合いで早速あらわれたナメ滝にWaka苦戦。足が細くて、フェルトソールで乗れる?乗れない?とセミになった。Kさんに先に上がってもらいお助けロープをお願いした。
沢登りでは、絶対に落ちていけないことは当然のことで、それは何があっても変わらない。いつもの私だったら、そのプレッシャーを跳ねのけ、この滝は勇気をだして登れていたと思う。
しかし、今の私は1人ではなく別の命を預かっていると考えると、緊張感がグッと増して驚くほど怖くなり動けなくなった。
何があろうと「落ちてはいけない」に変わりはないはずなのに、この違いはなんだ。
つまり、自分1人なら、万が一落ちても構わない・仕方がないと心のどこかで、無意識に思っているのかもしれない。自分の深層心理に気づいて少しだけゾッとした。山で死ぬことは本望ではないが、山で死ぬことの覚悟は出来ているのだろう。
そんな事を心の中で考えているうちに、Kさんのロープが手元に落ちてきて、安心安全に楽しく滝を登ることができた。ありがとうKさん!
右俣へ入ると、途端に水は細くなりいよいよ沢の終わりが近づいてくる。
最短で登山道へ出られるように、考えながら進んでゆく。基本的には右の枝沢を進んでいった。最後の枝沢はかなり小さくて、出合いが小滝状になっていた。登ったらすぐ藪漕ぎかと思っていたら、幅のある涸沢が続いていた。まるで登山道のように登りやすく快適に歩くができた。
登山道まで残り標高差40m程のところで、藪っぽくなってきたが、他の沢に比べてはるかにボリュームが少ない藪漕ぎで快適。Co1180m辺りで、シャクナゲの塊に挟まれた登山道へ合流。
尾根へ飛び出すと、南側にそびえるネコブ山や下津川山の大展望がお出迎えしてくれた。
美しいブナの森を抜けて、13:25無事下山。
遡行図
立ち寄り
麺処 清水
行きつけのお店たちが14時ですべて閉店してしまっていたので新規開拓でこちらへ。15時まで営業していてありがたかった。ダシが良く効いていて美味いラーメンでした。麺も食べごたえあり。ワタシ的には味は少ししょっぱかったけれど、これは好みがあると思う。店内には「山歩みち」も置かれているので山好きにはおすすめ!店舗のInstagramあるのでぜひ確認してみてください。