6月22日 21時ごろ
ヤギのクロちゃんが突然、苦しそうな声を出しながら嘔吐し始めた。 いつもは鳴かないのに、辛そうな鳴き声を何度も上げ、胃の内容物を吐く姿に動揺。
この日はリードの長さを少し変えたので、隣の庭にあったツツジ(有毒植物)を食べてしまったかもしれない。
症状
- 嘔吐を繰り返す(未消化の草)
- 鳴き声が異常に苦しそう
- 立つのがやっと、フラフラ
- 食欲なし、水も飲まず
- それでも反芻は続ける
- 糞はずっとポロポロの正常形


夜は苦しそうに鳴いていたが、夜中になると静かになった。
6月23日 午前(翌朝)
夜が明けても改善せず、立っているのもしんどそうな様子が続くため、 新潟県農業共済組合の家畜診療所に連絡したところ、獣医師が往診してくれることになった。
診療と処方内容
獣医さんが2人来て、ヤギを診察してくれた。
普段は牛などを専門にみているらしい。近所の動物病院ではヤギを診れなさそうだったので、とてもありがたかった。
〈処方された薬〉
薬名 | 用量・用法 | 効果 |
---|---|---|
トルラミン | 1日2回 各10g(5日間) | 胃粘膜の保護・制酸作用 |
ウルソデオキシコール酸(ウルソ) | 1日1回 10g(5日間) | 肝機能の保護・胆汁排出促進・解毒補助 |
テルペラン | 1日1回 2g(5日間) | 吐き気止め・鎮痙(けいれん防止) |
これらを水に溶かして与えることになった。ヤギへの薬のやり方も教えていただいた。
お薬は口の歯のない部分に親指を入れて、横から飲ませる。
クロちゃんはぐったりしていたので、薬は嫌がらずに飲ませられたが、全体的に動きは鈍く、泡を吹いていた。

その他の処置として、うちにいる3頭のヤギすべてにアイボメック(寄生虫駆除薬)を塗布処置してくれた。毎年やったほうがいいとのことで、来年も依頼する。
6月24日 朝(発症から約36時間)
明らかな変化が見られた。
- 薬をあげようとしたら、逃げるような素振りを見せるように(昨日はぐったりしていて逃げることすらできなかった)
- 歩き方はまだフラフラしているが、倒れずに逃げられるまで回復
- そしてついに、自分から少しアルファルファを口にした
糞は依然としてポロポロの正常形。反芻も続いており、内臓の機能はしっかり維持されている気がする。
6月24日 夕方
クロちゃんは餌も食べるようになり、水も飲んだり、いつもと変わらない様子になった。
このまま命が尽きてしまうのではという恐怖と後悔があったので、本当に良かった。
ヤギが食べてはいけない草
庭にはツルニチニチソウ(キョウチクトウ科)など、ヤギにとって有毒な植物も生えてはいたが、 これまでヤギたちはうまく選別して食べないようにしているように見えていた。
ヤギが食べず、伸び放題になっていたので草むしりして撤去した。

以前にもスイセンやナンテンといった有毒植物を誤って口にしたことがあった。スイセンはちょっとかじるくらいだったが、ナンテンは好んで食べてしまう。どちらも庭から撤去した。これらを食べたときは、 特に中毒症状を起こさず、元気に走り回っていた。 そのため、「少しくらいなら大丈夫なのかもしれない」と思っていたところがあり、 油断していたのが正直なところ。

まとめ
毒草は非常に危険で、たった一口でも命に関わる中毒症状を引き起こすことがある。
今回、クロが体調を崩したことで、はじめて「命に関わる状態」が現実として目の前に突きつけられた。
これからはより慎重に、環境整備を進めていこうと強く思った。
ヤギには、反芻という習性がある。
クロも、具合が悪いときでさえ、ずっと反芻していた。
せっかく毒草を吐き出そうとしても、口の中でもぐもぐして、また飲み込んでしまうそうだ。
習性とはいえ、本当に恐ろしいことだと感じた。
庭に毒草が自生している場合は、すぐに抜く・囲う・移動させるなど、何らかの対策をとるべきだ。
体調に異変を感じたら、迷わず獣医さんに相談し、迅速に対応すること。それが命を救う第一歩になる。
また、犬や猫を診る動物病院ではヤギを診てもらえない場合がある。
いざという時に頼れる「ヤギを診れる獣医さん」がいるというのは、本当に心強いと感じた。
クロが体調を崩してからというもの、普段はやんちゃなソラとモカ(クロの子どもたち)が、異変を感じたのか元気をなくしていた。
クロちゃんに寄り添ったり、じっと様子をうかがっていたり、とても心配そうだった。
私たちや獣医さんがクロに近づいたときも、普段ならソラが頭突きしたりじゃれてきたりするのに、その日はずっと大人しかった。
出産のときもそうだったが、こういう時、ヤギにも感情があるんだなと感じる。
あらためて「この子たちがいてくれてよかったな」と感じた。