2023年10月23日(月) 晴れ
出発(9:10) – (10:50) 二ノ沢出合 (11:15) – 白戸山 (15:10) – 一ノ沢出合 (17:10) – 二ノ沢出合 (17:30) / 行動8h20m
メンバー : 3人(Waka , Kさん , tuffさん )
装備 : 全員ラバー靴、 ロープ8mm×30m
3年前にポムチムとたなしーと白石沢スラブを見に行ってから、この山域のポテンシャルの高さを感じていた。今回は、当時から気になっていた白戸山の沢についに入渓。
袖沢林道にベースキャンプを張り、日帰り2本で沢の遡下降を楽しんだ。
この界隈は尊敬する家田勇男さん達が1977年に遡行してからはおそらく入渓者はほぼゼロに近い。
ニノ沢は、私達の遡行したラインは過去に遡行記録が無く、今回は未知のワクワクを抱えての山行となった。
山行記録
朝はのんびり出発の9:00。カジメイクのヤッケに身を包むtuffさん。実はこのヤッケ、ご近所の奥様たちも愛用していて畑仕事に着ているやつ。人気ですな〜。笑
袖沢林道をひたすら歩いてゆく。
Kさんがどう見てもツキヨタケなキノコを発見して「ムキタケだ!」とはしゃいでいた。
「食べたきゃ食べれば?私はいらないけど。」と伝える。tuffさんはキノコ初心者だが「自分もいらないです!!」と言っていた。
10:50頃二ノ沢出合に着。出合近くのブナの木のある高台にテントを張り、支度を済ませて11:15遡行開始。
ゴーロの押し出された出合を登ってゆくと、間も無くスラブ奥壁がドーン!と見えた。遠くからでも分かる迫力に大興奮。階段状の3m滝を登り、ヌメる6m滝を高巻くと(tuffさんのみ直登)、スラブのたもとに到着した。
目前を取り囲むスラブは圧巻。こんな場所があったとは。正面は思いのほか傾斜が立っている。
視線を右へ移すと、天高く水を落とす大滝が見える。私たちの目指す白戸山はあの上だ。
なかなか傾斜が立っているように見えるが、とりあえず登ってみることに。
調子良く登っていくと、次第に高度感満載になってきて、私はついにへっぴり腰に…。男2人は大丈夫そうだけど、開放感のある高い場所が苦手な私はプルプルだ。アッと足を滑らせたら終わり。心強いtuffさんに見守られながら、慎重に4足歩行でよじのぼり、ようやく滝の落ち口へ。
待ち受けていたのは柱状節理大滝30m。全員が歓声を上げる。いやー、すごい場所だ!!!
さて、どこから登るかだが、水線直上が最も優しそうに見えるが、この時期シャワーは避けたい。ぐるりと取り囲む崖。一見して巻きが大変そうに見えるが…。とりあえず滝に近寄ってみることにした。
先行するtuffさんが下の傾斜が寝ているところを登り始める。
私とKさんは、寒そうなのを嫌って左の藪を漕ぎ。いよいよ傾斜が立つ手前でtuffさんと合流。
見上げれば、左壁の乾いた柱状節理を登れそうに見える。それを伝えたらKさんとtuffさんが「Wakaリードする?」と言ってくれた。「時間かかるかもだけど良い?」と尋ねたら大丈夫!と背中を押してくれたので、実に3年ぶりにWakaがリードすることになった。
柱状節理の壁は、浮石が多く気を遣う。右へ左へと弱点を探りながら慎重にロープを伸ばしてゆく。登攀的難易度は高くないが、崩れそうな足場や枝を頼りに登る感じで、恐怖に負けないよう集中する。
ちょうど人が2人ギリギリ立てるテラスがあり、ピッチを切る。上は藪でよく見えないが多分登れる気がした。コールして2人にも上がってもらう。後から登ってきたKさんが、「Wakaここよく登ったね!」と褒めてくれたのが嬉しかった。
未知の壁だったので、オンサイト的な達成感もちょっぴり味わった。笑
2ピッチ目、、、はもうお腹いっぱいになってしまったのでtuffさんにパス。笑
しばらくして、コールが聞こえてきたのでKさん、Wakaの順番で登る。途中に突如として出てきたスラブがなかなかスリリングで、傾斜がありツルツルで足掛かりがなく、仕方なくひょろっと生えた枝をそっと掴んで上がる。tuffさんナイスリード!
最後の数mはKさんが先行して7mのお助けロープをFIXしてくれた。ちょっと登るとついに滝の落ち口へ到着!!
進行方向には、どこまでも続いていそうな癒しのナメが伸びている。どでかい大滝とのギャップに、ただただ驚かされる。スラブ、大滝、ナメと、沢登りの魅力がコンパクトに詰まった名渓ではなかろうか。
ちょっとヌメってラバーだと滑るのはご愛嬌。笑
次第に沢幅が狭まってきて源頭の様相に。
ナメコを探しながら登るがついに見つけることはできなかった…。
15:10白戸山到着!藪の隙間から見える梵天岳と丸山岳にテンションあがる。
来て本当によかった!
小休止ののち一ノ沢の下降に取り掛かる。藪を下降すると程なくして沢床に合流。二ノ沢の上流と同じく、ひたすらナメ床が続くが、ヌメがいやらしい。
意外と傾斜が急で、お尻でズリズリ下りたり、しまいにはナメをチェーンスパイクを履いて下降することに。
tuffさんは普通に歩いているが、とても真似できない。笑
もはやお尻にもフェルトやスパイクを装着できたら良いのに…。と思ってしまう。
すると前方が開けた。なんか嫌な予感…と思ったら的中。スラブ大滝の落ち口に出たようだ。まあ二ノ沢の渓相を考えると当然だよね。笑
先行したtuffさんが、「ここもお尻ズリズリでイケます!」と言って、大滝をくだってゆく。続いてKさんも。
えーまじか!と思ったが意を決して私も続く。
だが、やっぱり私的には斜度が急で怖かった。地味にヌメるし。てか大滝なのにお尻でズリズリ下りるってシュール過ぎるだろ!
すると足掛かりが遠くて、どうにも降りれない場所が出てきてしまった。これ、下手したら70m大滝、前転着地しちゃわない?…やっぱ私は開放感あって高い場所が苦手だ。
恐怖に身体が止まっていると、ここでヒーローが登場した。
どすこいtuffさんが「自分を踏んでください!」と踏み台になってくれたお陰で、無事に難所を突破。心強過ぎる!!
ようやく傾斜が緩み、両足を踏み締める。しっかり大地を踏めていることがありがたい。
気づけばスラブ壁の中心部まで降りてきた。
tuffさんはスラブを歩きたいらしく、一人カモシカのようにウロウロしている。ここからはKさんと私は安全第一で左岸の灌木伝いに巻き下る。
スラブを無事におりても、まだまだ気は抜けず小滝の連瀑が続く。ヌメりに気をつけながら下降してゆき17:10ついに出合着。
ベースキャンプ地に戻り、緊張から解放される。盛大な焚き火と、食事を楽しみ就寝。