スミレ科にはおよそ16属850種あるが、そのうちの400種をスミレ属が占めている。
スミレ属は、町や山でよく見かけるスミレ、足元で可憐に咲いているスミレたちのことだ。科全体でみるとスミレ科は樹木の方が多く、草本から生えるものが多いスミレ属はスミレ科の中でも特殊な立ち位置にいるようだ。
スミレは、今現在も盛んに種分化が進んでいる花の1つである。私は花を眺めるのが好きだが、スミレに関しては覚えるべき種類があまりに多く、抵抗を感じていた。
しかし、よーく観察してみると、1つ1つスミレには違いがあって面白い。
尾瀬ヶ原に自生するスミレは数種類ある。全種を覚えることなど到底出来る気はしないが、名前を数種だけでも覚えると、けっこう違うものだと感じた。山歩きがさらに楽しくなった。頑張って見分けたスミレたちを以下にまとめてみた。私自身の備忘録でもある。
(※スミレ属についてはWikipedia参考)
ミヤマスミレ (深山菫)
尾瀬ヶ原で最も多く見かけるスミレ。赤紫色だが個体差あり。萼は細めで長い。ほんのり色がある。
(2021.6.3 撮影)
オオタチツボスミレ (大立坪菫)
その名の通り、タチツボスミレよりも大きい。距が白く短いのが特徴。草丈15〜20cm程と背の高いスミレなので比較的見つけやすい。
(2021.6.3 撮影)
オオバタチツボスミレ (大葉立坪菫)
名称はオオタチツボスミレと一文字違いであるが、その外見は個性的で分かりやすい。6月下旬にもなるとあちこちで花開いていた。
(2021.6.1 撮影)
ツボスミレ (壺菫)
別名ニョイスミレ。高山型をミヤマツボスミレ。紫色のものはムラサキコマノツメと呼ぶらしいが、図鑑により判別基準が色々ある模様。山の鼻ビジターセンターの展示では尾瀬内で見られる花として「ミヤマツボスミレ」を紹介していた。後述のチシマウスバスミレと似ている。ツボスミレは茎が枝分かれしているのが特徴。
(2021.5.30〜6.11 撮影)
チシマウスバスミレ (千島薄葉菫)
木道の隙間にひっそりと一輪生えていたのを発見。小さいので、写真が取りづらかった。
ツボスミレと良く似ているが、茎が枝分かれしないのが特徴。(上の写真参照)
(2021.6.1撮影)
オオバキスミレ (大葉黄菫)
葉は大きく、1〜3枚。尾瀬ヶ原での個体数はそれほど多くはないようだ。
(2021.6.1 撮影)
尾瀬ヶ原散策にオススメの本
尾瀬植物手帳 (大人の遠足BOOK) 猪狩貴史 著 (本体価格1,300円)
私の好きな尾瀬の楽しみかたの1つに、図鑑片手に歩くフィールドワークがある。気になった花を1つ1つ調べて、のんびり歩くのはとても楽しい。
当本はそんなフィールドワークに向いている。第一にコンパクトで持ち運びやすい。そして尾瀬内でよく目につく植物はほぼ全て網羅されている。見た目のコンパクトさとは裏腹に、気になったときに調べると大抵載っている。文章も良く、命名の由来なども書かれており大変興味深い。(ちなみにスミレ科は9種紹介されている。)
尾瀬ヶ原のガイドさんにオススメの本を尋ねたところ、当本を勧められたし、何より私自身も強くオススメの一冊である。
尾瀬ヶ原内の山小屋に販売しているのを購入するのもアリ。(私も現地購入した。山なのに定価で購入できた。)山小屋の売れ筋商品でもあるようだ。尾瀬バイト中に、山小屋のオーナーにオススメの本を尋ねたところ、やはりこの本を勧められた。
ということで、尾瀬の花を知りたいなら、満場一致でこの本がオススメである。