2021年6月27日(日)
7:15 – 赤留橋 – 9:40 大滝 – 10:40 赤留川離脱 – 11:00 中ノ沢川枝沢 – 中ノ沢川 – 13:50 母成グリーンライン – 14:15 赤留橋 (合計時間7h00m)
距離 : 7.7km 累計高度(+) : 546m 累計高度(-) : 545m
メンバー : 2人(私:フェルト Kさん:ラバー)
天気 : 晴れ時々曇り
阿武隈川の白水沢へ行った翌日は安達太良山へ。今回歩く沢は、沢水に鉄分が含まれており沢床が赤く変色しているらしい。さて、どんな渓相なのか。楽しみだ。
7:15赤留橋の直前にあるスペースに車を停め出発。橋を渡って左側の斜面を下り入渓。今日も昨日に引き続きWakaリーダーで出発。
しばらくゴーロが続くが、次第に赤みを帯びた沢床が見られる。苔むした両岸と、赤い沢床のコントラストが美しい。
程なくして、最初の2段4m滝。右手に2本の滑り台を携えた滝はなかなか個性的な形をしている。増水した時はこの滑り台から水が流れるのだろうか。Kさんが左側からへつりを試みるもスタンスが無いようで引き返してきた。私は右側から挑む。滑り台に乗ったところまでは進めたが、ツルッと釜に落ちるのが嫌なので諦めて右岸から巻き。
ゴーロの中にも赤い沢床が増えてゆく。赤く染まった水路を足元に眺めながら歩いていると、目前に2段15mの滝が現れた。水線左を私がリードすることにした。見上げるスラブ壁は表面がもろそうで、中間支点を取れるか怪しい。昨日以上に緊張でドキドキだ。
下部は難なく突破。ハンマーで岩壁の表面を叩いてみると案の定ポロポロと表面が欠けた。これではハーケンは効かない。既に10m以上ロープを伸ばしている。まだ、1つも支点を取っていない。
1歩、2歩と登ると、ちょうど足元に、比較的安定しているスタンスを確保できた。あと数mトラバースすれば落ち口。左にハーケンがハマりそうな割れ目を見つけた。ここで支点を取ろうか考えていたら、下から「足場が不安定なところで支点作るなら一気に登ったほうが良いよ!」とKさんの声。下から見上げると私は不安定な場所に立っているように見えるようだ。そう言われると、確かにその通り?とも思う。ハーケン打つのも時間がかかるため、そのまま登ることにした。
私にとっての核心はここからだろうか。上部は傾斜が立っているため、なかなか踏ん切りがつかない。ゴールが近くて遠い。よく見ると立ち込める場所はちゃんとあった。緊張の1歩は無事に成功した。下から、Kさんの「ナイス!」という声が聞こえてきた。この後スタンスがよりシビアになった。マジですか。次第にふくらはぎが痛くなってきた。この感じはまずい。フリークライミングだったらこの後力尽きて落ちる展開だ。覚悟決めて早く動き出さねば。でも、慌てて適当に足を置くのもダメだ。落ちる未来が見える。慎重に、冷静に。ふと気づいて手を探ると、上部岩のガバに手が届いた。足元に気を取られてばかりで、手元を確認するのを失念していた。ようやく「安定」を確信した。無事に落ち口へ。
今回突破できたのは、フリークライミングを少しだけでもやっていたおかげだろう。どちらかというと、技術というよりも、精神面で学んだことが生かされた。
フォローの為にも支点を取りたかったが、良いポイントが見つけられなかった。右岸から左岸へ、落ち口を渡る。左岸の立木にようやく最初の支点をとってから、泥壁をよじ登り、いよいよ立木にセルフビレイ。早急に準備してKさんのビレイに取り掛かる。ホイッスルの音でやりとりして、Kさんが登り始め、私の元に無事到着した。頑張ったね!と今回も褒めてくれたのが嬉しかった。
滝2段目はそのまま高巻いた。その後はナメが続く。赤ナメの美しい沢だ。下調べの写真で見た感じ滑りそうだったのでフェルトにしたが、Kさん曰くラバーでも滑らないようだ。ヌメりと鉄分は別物なのだ。
ところどころ、ウォータースライダーが出来そうだったが、寒そうなのでそんな事はしない。Kさんに煽られるが無視。去年は5月の会越で喜んで釜に飛び込んでいたのにという。確かにそんな時期もあったっけな。
順調に登っていくが、ナメはなかなか傾斜が強い。フェルトでは逆にフリクションが効かなくて、不用意に水線突破を試みたところ滑りそうになり身動きが取れなくなった。さっきの滝よりはるかに際どい状況に陥った。Kさんに、このままウォータースライダーやっていい?と聞いたら、さっきまで散々私を突き落とそうとしていたKさんだったが「待って!」と言って、その後に上からお助けひもで救出してくれた。
CO1,240m付近で大滝に出合う。水量が非常に少なく、滝壺の無い大滝だ。空高い場所から降り注ぐ水は、岩に当たって跳ねている。近づくとビジョ濡れになった。
しばし大滝を見物して、左岸から高巻く。Wakaリーダーがルーファイ担当。これまたドキドキの経験。初めての大高巻きだ。少し戻った場所から左岸を直登していくと、巨岩帯?に突き当たるが右に左に難なく回避出来た。大滝周りの雰囲気から悪い高巻きを予想していたが、踏み跡らしきものもあり、安全に高度を稼ぐことが出来た。
登りきってから上流に向けて藪を漕ぐ。今どこを歩いているのかまるで分からないので、時折左手の様子を確認しつつ進む。私が何度も左を見に行くので、Kさんが、あんまり行くと崖に落ちちゃうよー。と心配してきた。
次に様子を見たときには、左に見えていた岩壁が忽然となくなり、対岸に木々が見えるようになった。もしかして大滝を越えた?ガサガサと藪を漕いでいくと、穏やかな沢の流れ。ちょうど落ち口のすぐ上に飛び出した。高巻きが成功して嬉しかった。
大滝上部で赤ナメはなくなり、緑と黒の源流らしい雰囲気に。CO1,300m付近で、少し早いけど中ノ沢川に降りようかとKさんに相談する。Kさん「Wakaリー判断で!」と一任。この後寄り道したい場所もあるし、早めに下降に取り掛かることにする。笹藪を漕ぎ、尾根を1つ乗り越す。中ノ沢川の枝沢を下降しC01,220m付近で合流。
一足早く中ノ沢川に降り立ったKさんが大興奮のご様子。「赤い!めっちゃ赤い!」と騒いでいる。続いて私も降り立つと・・・、確かに赤い!なんだこの場所は。上流も下流も、素晴らしい赤ナメが続いている。
上流の様子が気になったので、少しだけ遡行してみる。歩いても歩いても延々と続く赤ナメの道。こんな渓相は今まで見たことがない。素晴らしい。つい下降を忘れて歩き続けてしまいそうになる。しばらく堪能して、名残惜しいが引き返すことにした。もう少し上流に降り立っても良かったかも。と少しだけ後悔。笑
下っても下っても赤ナメは続く。次第にナメにゴーロが混じるようになる。下流へ行くほどに、ナメの色が茶色くなってくる。鉄分が少なくなっているのだろうか。
そのうちに、ナメ表面にはヌメりが見られるようになった。ラバーのKさんは何度か滑っていた。ようやく私のフェルトパワーが発揮された。ゴーロ帯を下ると再び、ナメ、プチゴルジュが現れる。赤から緑へ、苔に覆われた世界。中ノ沢川、全体を通して雰囲気の良い場所だ。
程なくして頭上に橋を見送り、いよいよ脱渓の時間も近づいてきた。
藪を漕ぎ、林道に合流。帰りの道路は意外と登り坂で標高差100mアップ。14:15無事下山。