渓谷探検家 田中彰さんのキャニオニングアマチュア基礎講習を11/7~10の4日間で受講してきた。
開催地はなんと高知県!住まいの新潟県南魚沼市からは車で片道10時間の距離だ。現在0歳8ヶ月の娘がいるのにそんなん無理だろと思ったが、娘のお世話を、周りの皆さんが引き受けてくれて、夫婦共々、移動日含めて合計6日間の四国遠征をすることができた。
3泊4日にわたる講習の内容は盛りだくさんだった。
最初はKさんだけに受けさせて、私はKさんから後で教わろうと思っていたが、それはとても無理だったと受けてから実感した。大充実&素人だけでの訓練は危険な内容だったので、本当に2人で受けてよかったと思う。
講師の彰さんから許可をいただいたので、せっかくなのでブログに思い出をまとめようと思う。
1日目はギアの説明やロープワークの基礎練習。渓谷に入る前に、基本的なロープワークをきちっと出来なければ危険なので、まずは陸上の安全なところで何度も練習をおこなった。
当日は、GORGE CLUBの鈴木助さんもサポートで参加してくれ、色々教えていただいた。
基本的な考え方 【渓谷は水がある環境】
キャニオニングは「水がある」という特殊な環境条件を前提にした技術だ。そこが普通のロープワークの一番の違いになる。
それは「水の中でのトラブル」のリスクがつきまとうからだ。
滝壺へ向かってジャンプしたり、ロープで滝を下降したりするため、水流に巻かれる可能性がどうしてもあるからだ。
そのため、乾いたの岩場で行うロープワークとは考え方を変えなくてはいけない部分がある。
たとえばフリークライミングでは、ロープが絶対にほどけないようにしっかり結ぶのが基本だ。でもキャニオニングでは、むしろロープを“がっちり結ばないほうがいい”場面の方が多いのだ。もし流されたときにロープが水中でスタックしたり、水を吸って重くなって引き込まれたりすると、溺死につながる危険があるからだ
沢登りでも同じで、水のある環境を意識した判断は必要だ。
私がフォローをビレイするとき、ATCガイドなどのビレイデバイスを使わずにムンターヒッチでやるのも同じ理由で、フォローが滝の途中でフォールして宙吊りになってしまったら、すぐにロワーダウンできるほうが安全だからだ。
こうした理由から、キャニオニングのロープワークでは
・いざという時にすぐ解除できること
・水中でロープを扱わない工夫をすること
この2つがとても大事になる。
だから渓谷内のリギングも、常に水のリスクを考えながら、“リリーサブル”であることが必須だ。水の多い渓谷で、どうやって安全に行動するかを、常に頭に入れておく必要がある。
ギア説明など

集合して挨拶をしたら近くの河川敷へ。
ウェットスーツ、ランヤードの長さ、ロープ素材(ナイロン、ポリエステル、ダイニーマ、ケブラー、ポリプロピレンetc)、カラビナ、ヘルメット、ハーネス、ザック、防水バッグ、ナイフ、アンカー、下降器、ゴーグルなど様々なギアの説明をしていただいた。ひとつひとつのギアに詳しくてすごい情報量でした!
ハーネスの保護シート
キャニオニングでは、滑り台などでお尻をずりずりすることが多いので、ハーネスのお尻部分にパッドが取り付けられている。
私も沢登りでお尻ずりずりしてすぐにボロくなるので、これは是非とも取り入れたいと思った。
キャニオニング製品でお尻パッドだけ販売しているのもあるらしいが、ターポリン,PVC素材(0.3mm~)のものを切って、ビニール用接着剤で張り合わせれば手作りできるそうだ。ちなみにキャニオニングハーネスはめっちゃ重いし、装着しづらいので沢登りにはちょっと不適である。
ロープ長の書き方
ロープの長さを、両側の末端に書く。そうすることで、マークが片側にしかついてない場合、切断したロープであることがわかる。

センターマークの書き方

センター位置の両隣を2箇所塗りつぶす。
こうすることで、切断などでロープの長さが変わった場合、間を塗りつぶすことで、新しいセンターマークと区別できる。
パーティ内でルールを統一しておく。
ロープの末端

ロープの末端についている製品ラベルは外す。
キャニオニングではスッポ抜けで釜に落ちるので、ここが硬くて下降器に引っかかると危ない。
ロープワーク基礎
リリーサブルアンカー作成から撤収
水に対応できるロープワークを勉強。キャニオニングの基本、リリーサブルアンカー。
リリーサブルアンカー…懸垂下降のロープを完全には固定せず、仮固定の状態にしておき、トラブルがあった時に解除してロワーダウンできるロープ設置方法
(田中彰さんのFacebookより抜粋)
※注意点が多いので、受講をオススメします

大まかな流れ
- ・マスターカラビナをかける
- ・マスターにセルフ
- ・アンカーにロープを通す
- ・ムンターをセット
- ・マスターにセルフ
- ・自分にムンターミュールを結ぶ
- ・荷重チェックしてセルフを解除
- ・ロワーダウン開始
- ・下降中
- ・ロワーダウン停止
- ・水面近くでミュールを解除
- ・ムンターで下降してスッポ抜け
- ・MMOで固定
- ・マスターにセルフ
- ・荷重チェックしてセルフ解除
- ・下降器で懸垂下降
- ・下降器からスッポ抜け
- ・ミュール解除
- ・カラビナブロック作成
- ・ムンター解除してカラビナ回収
- ・荷重チェックして、セルフ解除
- ・マスターカラビナを回収
- ・下降器で懸垂下降
- ・下降器からスッポ抜け
- ・引き抜きロープ回収
ロープワーク自体は、普段やっているヒッチやノットを使って行う。
下降者の結び目をムンターミュールにしておくことで滝壺での長さ調節ができる。
セルフビレイや荷重チェック、安全環の確認などを1つ1つ丁寧に確実にやっていった。繰り返しの練習が必要だ。
各種懸垂下降
エイト環のいろいろな使い方。普段はエイト環を使わないので、基本的な使い方や途中停止、ストップ・アンド・ゴー(オートブロック)、下降中でのフリクション調整などを教わった。
使い方と注意点をセットで覚えないと危ない。
レスキュー、登り返し
クライミングの自己脱出やリード・セカンドレスキューの考え方と基本的には同じ。
大事なのはロープのテンションをどうコントロールして、移動させるか。
いまどこにテンションがあって、次にどこにテンションを移動させるのかを考えながら、ロープワークを行った。
わたしたちはレスキュー隊ではないので、今ある道具だけでなんとかできるようにすることが大事。
引き上げ
ロワーダウン中のトラブルを想定。基本は下ろす方が優先だがどうしてもできない場合に引き上げを行う。
引き上げはクライミングにおけるセカンドレスキューと同じ。
マイクロトラクションを設置して、マイクロトラクションにテンションを移動させて、ロワーダウン中のムンターヒッチを解除。
その後、倍力システムやカウンターウェイトで引き上げる。
倍力システム
折り返しや1/3以上は、プーリーが無いと摩擦の影響が大きくて効果が薄い。
カウンターウェイト
自分にアッセンダーを付けたり、エイト環でストップアンドゴーを作り、自重をかけて引き上げる。
非力だったり、要救助者が重い場合も、自重を使えるので引き上げが楽になる。
登下降切り替え

これもクライミングと同じロープ登行。キャニオニングは基本的にシングルロープなので登りやすい。
登る→降りる、降りる→登るをロープの中で自在にできるように訓練!
登下降でのテンションの移動には調整可能なランヤードが便利そうだった。
PETZLのコネクトアジャストや、Bealのエクスプレッソフィットは荷重をかけた状態では通常はリリースできない。
(※タスクさんは特別な方法(笑)でコネクトアジャストでも、荷重状態でのリリースできるようにしていた)
まとめ
1つの技術に対しても予備知識や注意点が複数出てきて、パンクしそうになりました!
それでも非常に勉強になった。現場で教わることで引き出しが増えたと感じた。
情報量が多すぎるので、何度も復習しないといけない。
いつかのエラオトシ沢も今ならもう少しスマートに降りれるかも?

1日目の夜
講習が終わったあとは、秘境の遊び宿/akira adventure baseに移動。
3泊4日、ここで寝泊まりとお食事をした。かよさんのご飯が絶品!
講習とお食事付きで、素晴らしいひとときを過ごせました。
受講メンバー:Waka、Kさん、KC、シュカさん、MARiAさん、ハタダさん


夜は酔っ払ったタスクさんが暴走しはじめたので、私は女子部屋に早めに逃げて寝た。かよさん曰く酒ヤクザ(笑)
2日目に続く…



