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比良・六甲縦走

六甲全山縦走 加藤文太郎の軌跡を辿る

比良・六甲

2022年3月7日(月)
6:20 須磨浦公園駅 – 8:35 高取山 – 10:30 菊水山 – 12:40 摩耶山 – 14:55 六甲山 – 16:35 岩倉山 – 16:50 宝塚駅 ( CT:10h30m)

総距離43.9km , 累計高度(+)3,464m , 累計高度(-)3,439m

メンバー : 1人(Waka)

天気 : 晴れのち曇り

気象庁 過去の天気図

私にとって非常に珍しい関西滞在期間。良い機会だからと、かねてより気になっていた「六甲全山縦走」にトライしてみることにした。

六甲全山縦走といえば加藤文太郎。ヒマラヤ登山に憧れていた加藤文太郎が、トレーニングのために歩いたルート。
新田次郎著の「孤高の人」には六甲縦走の話も載っていた。とにかくストイックな人で、自分のやりたい登山のために、断食したり、毎日20kgの石をリュックに詰めて通勤したり、家の庭でロープに座ってビバークしたりとか・・・。歩くスピードもとにかく早い。

今回の縦走、加藤文太郎のように歩いて達成したいところだったが、歩けば途方もない時間がかかりそうだったので、なんちゃってトレランで走らせていただいた。
それでも、朝早くから夕方まで走って歩いて、10時間以上かかってようやくゴール。翌日は足が筋肉痛になりギクシャク動くしか出来なかった。
改めて加藤文太郎の凄さを思い知った。私は必死に走ってようやく達成できたのに、どれほどずば抜けた体力と脚力を持ち合わせていたのだろうか・・・。

早朝、宝塚駅近くの「タイムズ阪急宝塚駅前第3駐車場」(24時間最大550円)に車を停めて始発で「須磨浦公園駅」に向かう。1時間ほど電車に揺られて、ようやく到着。

これから標高差3,500m、距離42kmの縦走をしなければいけない。残業は覚悟している。コースタイムを計算して、最悪21時頃に下山する見込みだ・・・。家族には下山連絡が遅れる旨伝えた。
できればそんな時間まで歩きたくないので、なるべく頑張ろうと思った。

荷物はトレラン用の小さなザックに詰め込もうと思っていたが、大してガチ走りも出来ないだろうし、なんやかんや荷物が多くて、出し入れがしやすい普段のザックで行くことにした。

【今回の全荷物】
38lザック、ウエストポーチ
帽子、サングラス、日焼け止め、充電器、ココヘリ、ヘッドランプ、スマホ、予備電池1、トイペ、テーピング38mm、チェーンスパイク、ピカピカライト(夜ザックで光らせるやつ)、財布、マスク、ダウン・フリース・ニット帽子(電車で着てた)
爽健美茶 600ml、キレートレモン 500ml、ソルティライチ 500ml、アミノバイタル×2、ランチパック(ハム卵味、ナッツ味)、苺大福、バウムクーヘン

ファッションはいつもの山服。笑
足回りは、ランニング用の靴下と、KEENのおニューのトレッキングシューズ。

出発前にアミノバイタルを飲んでドーピング。

まだ20代だし、こういうのに頼らず頑張りたいと思っているが、今回のように気合い入れる山行では飲むことにしている。本当に身体が疲れにくくなるのだ。
そしてストックを2本伸ばす。これも重要。TJARの選手もみんな使っているし。笑

日が昇ったばかりの須磨浦公園駅

あれこれと準備をしつつ、歩き始める。
普段GPSアプリはジオグラフィカを使っているが、今回は登山道が錯綜していてルートを覚えきれないので、登山道表記のあるYAMAPのGPSアプリを使用した。
YAMAPアプリはバッテリー消耗が早い気がするが、まぁ今回は日帰りだし大丈夫でしょう。

6:35鉢伏山到着。公式の六甲全山縦走路は、ピークハントせずに巻道ばかり歩いていたが、余裕あるうちはせっかくなので山頂に寄り道していく。
途中で見える瀬戸内海が朝日に照らされてキラキラ輝いている。

朝日が反射して輝く海。

最初の登りで早速息切れしてしまったが、そのうち身体が慣れてくる。ドーピング効果もきっとある。
地元の方々が朝の散歩にこられていて挨拶を交わす。鉄拐山てっかいざんを越えると、美しいウバメガシのトンネルがお出迎え。

ウバメガシのトンネル
ウバメガシは海岸の近くに自生する

懐かしさを感じるウバメガシ。私の実家近くの「沼津アルプス」にもこんな場所があった。説明看板があり、読んでみると「海岸のごく近くに自生する」とあった。沼津アルプスも海が近い山だ。だから雰囲気が似ているのか。

高倉山を越えると、一度山から市街地へ降りる。六甲縦走は割とロード区間が長いようで。
出発を0時発か電車の始発かで悩んでいたが、朝スタートで良かった。真夜中にリュック背負って市街地なんて歩いたら、家出娘だと思われて警察に職質されてしまう。以前本当にそんなことがあってトラウマになっている。パトじゃない車が突然近くに停車して、本物かどうかも分からん人に身分証求められてメモ取られる恐怖と言ったら・・・。夜の街は夜の山よりよっぽど怖い。

市街地を抜けると次は須磨アルプスに入っていく。取り付きの階段に唖然。

確か400段くらいあるらしい。
さっきまで歩いていた山がもうあんな遠くに

急ぐと早々に死にそうなので、ゆっくりゆっくり登っていく。キツい・・・。魔の階段を突破して、7:15栂尾山つがおやま到着。7:25続いて横尾山よこおやまへ。

ここまでは順調!

計画では8:05に横尾山到着予定だったので、だいぶ時間を巻くことに成功したようだ。
うまくいけば19時に下山できるかもしれない。

六甲の山々は全て花崗岩だ。須磨アルプスは特に花崗岩の風化が目立つ。突如として現れた物々しい山容に驚いた。こんな街の近くに、こんな場所があるとは。

振り返り撮影。これが須磨アルプスだ!
馬の背。慎重に突破。

須磨アルプスを通過すると、再び市街地。ちょうど子どもたちの通学時間のようで、ワイワイと賑やかだ。ストックという凶器を持っているのが申し訳ない。両手で握りしめて、そそくさと歩く。

続いてのピークは高取山たかとりさん。ここもまた地元の方々の憩いの山。ちらほらと人とすれ違う。
ザックを下ろして、高取神社にご挨拶。神社からの展望は素晴らしかった。きっと神様はいつも神戸の街を見守ってくださっているのだろう。

街を見守っているよう
神社で走ってはいけません。
ニャンコ先生がいたが、無視された。

ルートロスを心配していたが、思いの外看板が多く、順調に歩いて行ける。YAMAPのGPSも見やすくて便利だ!

次はこっち!

高取山を降りると、再び市街地。ここは微妙に登り坂が多くてちょっと大変。走るにはちょっと苦しくて、ひたすら頑張って歩く。そのうち前方にザックを背負った男性が。あの方も同ルートを歩いている模様。
下り坂の時に走って抜かさせていただいた。前後に人がいると、なんか落ち着かない。あの方も同じ気持ちではなかろうか。笑

苦しい市街地をようやく突破して、いよいよ次なるピーク菊水山きくすいやまの登りに差し掛かる。
あ〜やっぱ山道が好きですわ。道路の微妙な登り坂って、ペースアップしづらい。こういうザ・登り坂の方がぐいぐい登れてコースタイム縮めやすいので好きだ。

9:55菊水山。見晴らしの良い山頂だった。ベンチに座って3分程休憩。笑

ここもまた地元民憩いの山

菊水山を越えると、再び下界へ。国道428号の上にかかる橋を渡る。てか何回下山するのか。笑
縦走と言いつつ、今のところポコポコした山を登って下りてを繰り返している。続く山脈をひたすら歩く感じではない。

10:40鍋蓋山到着。

次なるピーク鍋蓋山の登り。またちょっと雰囲気が変わる。
鍋蓋山山頂

再度越に到着した時点で11時前。もう既に17kmの道のりを越えてきた。じわじわと早く下山したい欲が出てきた・・・。近くにある再度山ふたたびさんのピークハントは、パスさせていただく。笑

その後再び道路に降り立つ。次なる山は摩耶山まやさん。ようやく六甲山最高峰が少し近づいてきた。ここらでもちらほら同ルートを歩いているであろう登山者を見かけて、挨拶をしつつ先に行かせていただく。トイレ&自販機があり、トイレをお借りした。

12:15摩耶山到着。計画では14:40到着予定にしていた。良い調子だ。残業が少なくなりそうだ。
山頂近くの掬星台きくせいだい展望台は日本三大夜景のひとつらしい。

登山道に笹が現れ始めた。
摩耶山頂

ここまで来れば、キツい登りはもうほとんどない。しばらくはゆるいアップダウンのみだ。しかし距離が長い。六甲山最高峰まであと10km・・・。

道路を歩く、ゴルフコースの中を歩く。ゆるい微妙な登りがひたすら続き走るに走れない。
けっこうしんどくて、足が痛くなってきた。たまにちょっとした下り坂があるものの、走る気力が沸かない。心肺は問題なし。今はどちらかというと肉体がやられている。

ゴルフコースを歩く
本来は車で行ける場所をひたすら歩いて進む。
通常なら歩きやすい登山道のはずだがペースが上がらない。

14:30、六甲山最高峰到着。予定では17時到着のつもりだった。良い調子だ!かなり頑張っているのではないか?私。
山頂看板と一緒に自撮り〜と思ったら、トレランスタイルの若い姉ちゃんがあとから来たので1〜2枚パシャリと撮ってそそくさ譲る。
もしコロナじゃなかったら「写真撮ってもらえますか?」とお願いしたかったが残念。そっと自撮り写真を確認したら、顔がチョー丸い!疲れて浮腫んでより一層酷い顔をしていた。(という事なのでブログには不採用!)
自撮りってどうしたら「バエル」のだろうか。

ここで、ついにお待ちかねのアミノバイタルゴールドを補給した。この時を待っていた。本日2度目のドーピング。笑

休憩もそこそこに出発。
ドーピング効果テキメンで、ボロボロだった脚が蘇ってきた。やっぱりアミノバイタルは最強や!!

六甲山から降りたところで、単独のトレラン奥様に追いつく。どうやら休憩していたようだ。ちょうど同タイミングで出発し、シャカシャカ走り出す。私も私で急ぎたいから、後ろをシャカシャカ走ってついていく。笑
トレラン奥様がシャカシャカと道路を走っていくが、私はそこでお別れ?して道路と並行した登山道に入っていく。トレラン奥様は全山縦走のコース知らないんかな?
登山道に入ってすぐにザレ場があり、男性2人が補修工事をしていた。「もしかして立ち入り禁止ですか?」と尋ねたら大丈夫ですよ。と言って通してくれた。
そのあと、登山道は笹藪に覆われる。道がけっこう不明瞭で、なんか知らんが藪漕ぎする羽目になった。
トレラン奥様はひょっとしてこの状況を知っていて登山道を避けたのだろうか。と、ちょっと悔しくなったが、手前で登山道の補修工事をしてくれていたから、やっぱり登山道をちゃんと使ってあげるべきだと思った。でも出来れば笹を刈り払って欲しいなぁと思ってしまった。笑

藪で奮闘している間に、トレラン奥様にぶっちぎられていた。どこにもいない。やっぱりランナーはとても速い!

けっこう藪っぽい
道路を走る

しばらく道路と登山道を交互に進んでいたが、いよいよ道路から離れ本格的な山道に入っていく。分岐看板に「宝塚」の文字が出てきて、いよいよゴールが近づいてきたことを実感する。

宝塚へ向かう

ここまで来ると、全体的に下り基調になり捗る捗る。アミノバイタルがよく効いていて、足が軽快に動く。本当、六甲山最高峰の手前であんなに身体が動かなかったのが嘘みたいだ。

走って走って、あらら?!つい大平山のピークハントを忘れてしまった!じわじわと近づくゴールに気持ちがはやる。

快適な登山道がひたすら続く

そしてついに、山道が終わった。塩尾えんぺい寺前にある看板に記された文字は「宝塚駅」のみ。

ゴールは間近

しかし、ここからがなかなかキツかった。笑
アスファルトの超下り坂。さすがに膝にこたえる。ひたすら我慢しながら駆け下る。2kmくらい、キツい下り坂を耐えたら、ようやく傾斜が穏やかになった。ここまでくればゴールはもうすぐそこだ。

なんとなく17時前にゴールしたくて、最後まで走り続けた。16:50宝塚駅 無事到着。

・・・

滅多にこういう山行をやらないので、今回は私としては珍しいチャレンジだった。最初は無事に達成できるか不安だったが、結果的に計画よりも大幅に早くゴールすることができた。
計画と実績に大きな違いがある事から分かるように、私は、私自身の体力を正しく理解できていなかった。今回の山行結果は、良い指標になったと思う。
加藤文太郎も、トレーニングの為に六甲全山縦走をやったという。たまには体力試しのために、こういう山も良いと思った。気が向いたら奥多摩や丹沢でも同じようなチャレンジをやってみたい。

ただ、今回は日没を気にして、時間を気にするばかりで、辛い、とか、楽だ、とか自分の体力に関する感情ばかりで、普段より景色や自然に目を向けづらく、山から受け取る情報量が少なかった。

トレーニング山行だからと割り切るべきなのかもしれないが、せっかく遠くまで来てちょっと勿体なかったかなという気持ちも少しだけある。
それも根本は自分の体力が不足しているのが原因だろう。さくっと長距離を早く歩けて、かつ山の景色やお花を楽しむ余裕があるくらいの体力があればきっと解決する問題だ。そうしたらきっといいとこ取りで最強だ。いつかそうなれるよう少しずつ頑張っていきたい。

【おすすめ書籍】

純粋な読み物としても大変引き込まれる内容でおすすめ。

「孤高の人」を読んだ後に読む方がイメージを想像しやすいかも?
この2冊を読めば文太郎ファンになる事間違いなし。

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六甲全山縦走時に履いていた靴についてまとめた記事はこちら↓
軽量でクッション性が良く、オススメの1足です。

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コメント ☆お気軽にコメントください☆

  1. 丁寧なご報告「六甲縦走記」を読み、まさに自分が縦走しているような気になりました。小生は宝塚に住んでいる関係で、サラリーマン時代はよく週末塩平寺から山頂、有馬を経て帰るコースを楽しんでいましたが、昨今の股関節痛で山は遠ざかっております。
    たまたま、つい先ほどまで、加藤文太郎の遭難日の気象条件を探るというテーマでNHKラジオ第一「山カフェ」がオンエアされていましたが、読み物として、あるいは想像力の世界で山登りを楽しむことも魅力であると思います。その意味では、このブログは居ながらにして、実際の登山者の体験を疑似体験させてくれるような贅沢感を伝えてくれます。言わば贅沢感を日常に送るブログという訳です。是非続けて頂きたく。島本拝

    • こちらこそ、丁寧に文章を読んでくださりありがとうございます。
      今後もブログは続けていく予定ですので、また読んでいただけたら嬉しいです。
      関西の山々は、今住んでいる新潟からは少し遠いですが、また登りに伺わせていただきます!

登山ガイドWaka
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