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ガイド記録山歩き縦走北アルプス北部

高天原&雲ノ平 登山ツアー ガイド記録

ガイド記録

2024/8/18(日)〜8/21(水)

3泊4日で黒部源流域を歩いてきました。

直前に台風が通過しましたが、ツアー当日はほとんど雨が降らず良いお天気に恵まれ楽しむことができました。

1日目

初日は折立登山口からスタートです。本日の目的地は太郎平小屋。つい昨日、折立で子熊にザックを盗まれた事件があったとか…。

序盤の急登地帯をこなし、程なくして森林限界を越えますが、周囲はガスが流れており展望はあまりありません。

足元には高山植物がお出迎え。今いちばんのピークを迎えているのはイワショウブでした。

毎年名前を忘れてしまう「ミヤマママコナ」…。花びらの下唇にご飯粒が2つついているのが特徴。深山飯事菜みやまままこな。名の由来は諸説ありますが飯事ままごとからママコに変化したと考えられているそうです。

14:00前、太郎平小屋に到着しました!

ギリギリ、ランチタイムに間に合ったので皆で太郎ラーメンをいただきました。行者ニンニクの入った、美味しいラーメンでした♪

夕食は17:00からというので、それまでのんびりお茶タイム。

日曜日の夜ですが宿泊者はとても多く、食堂は満員御礼。美味しい夕食をいただき、腹ごなしに再び外へ。昼間のガスはすっかり晴れて、水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳、黒部五郎岳…と北アルプスの名峰たちがずらりと顔を見せてくれました。

2日目

2日目。5:00から朝食をいただき、出発準備。
今日は薬師沢まで降りて大東新道から高天原山荘へと向かいます。昨日太郎山へ登らなかったので、出発前にちょこっとお散歩。

太郎山は太郎平小屋から片道10分程で行けるお手軽ピーク。展望が良いので個人的にもお気に入りの山です。

太郎山から戻ったら、いよいよ出発。時刻は6:15。
今日はこれで稜線とはお別れ。後は渓谷と温泉を楽しみに歩きます。

しばらく歩くと、目前に水晶岳が見えました。これから向かう高天原は水晶岳の麓にあります。まだまだ遠い〜!

薬師沢小屋で冷たいお水をチャージして、先へ進みます。

薬師沢小屋の橋

大東新道は黒部川本流の右岸沿いにつくられています。昔、大東興業が整備したもので、富山から高天原まで、鉱石採掘の為に切り開かれた道だとか。鉱山道が、今は登山道として使われています。

河原歩きから、急勾配のザレザレ斜面、鎖場、渡渉があり気が抜けません。

B沢出合から、黒部川本流を離れて高天原峠へ登ってゆきます。本流から峠までの標高差は約400m。なんだぁ大したことないじゃん!と油断してはいけません。ここから怒涛のアップダウンが始まります。トラバースしながら何度も沢を横断するため、急斜面を登ったり下ったりの繰り返しです。ザ・健脚向けコースです。
普段はコーラを飲まない皆様が「今コーラ飲みたい気分!」と口々におっしゃります。

ようやく高天原峠に着いた頃は皆が安堵の表情。笑
じっくり休憩して、高天原へと向かいます。

やがて樹林帯を抜け、振り返れば大きな水晶岳がお出迎え。高天原に着いたはずなのに、あれ?山荘が無いぞ〜。しばらく進むと、草原の向こうにひっそりと佇む山荘の赤い屋根が見えてきました。

16:00、高天原山荘へ到着です。みなさまお疲れ様でした!

夕食は2回目の17:40ということなので、しばらくテラスでお茶会をして16:30頃から温泉へ向いました。

女性陣は内湯で、男性陣は露天風呂を楽しみます。

ここに来るまで、徒歩で2日間という時間を要しました。
もしここまで鉄道やロープウェイで容易に行くことが出来ていたらどうなっていたでしょうか。その時点で、高天原温泉に興味がなくなっているかもしれません。歩いてしかいけない、特別な場所だからこそ魅力を感じるのでしょう。

温泉で癒された後は夕食タイムです。高天原山荘は「ランプの宿」と呼ばれており電気がありません。よって冷蔵庫がなく、夕食は保存の効く食品ばかりです。名物のハムカツは涼しい地下の貯蔵庫で管理しているそうです。

3日目

翌朝は4:00出発。朝は霧雨でしたが、短い時間で止んでくれました。次第に日が昇り、周囲の山々が見えてきます。

岩苔小谷いわごけこだにの右岸に沿った登山道をひたすら上がってゆくと、やがて樹林帯を抜け、足元には色とりどりの高山植物や振り返れば立派な薬師岳が出迎えてくれました。

この可愛い実はなんだ〜!と思っていましたが、ヒョウタンボクの仲間のようです。
2つ並んだ赤い実がひょうたんの形に似ているから「瓢箪木ひょうたんぼく」です。赤い実は猛毒なので要注意!

ミソガワソウ、ナナカマドの赤い実、トリカブト、ミヤマアキノキリンソウ、シラネニンジン、ヨツバシオガマ、ウサギギク、たくさんの花々に皆様大興奮です。

ついに岩苔乗越へ到着です。1日ぶりの稜線。

時間があるので、鷲羽岳まで往復します。いざ山頂を目指し始めると周囲はガスったり晴れたりのコンディション。ワリモ岳付近は岩場なので慎重に。ミヤマコゴメグサやトウヤクリンドウが可憐に咲いていました。

ついに鷲羽岳到着!!日本百名山の一座です。

あちこちで仲良く餌を食べているホシガラスの群れを眺めつつ、往路を引き返します。岩苔乗越に戻ると、再び姿を見せてくれる鷲羽岳…。なんて気まぐれなお山なんでしょう。笑

休憩ののち、雲ノ平へ向けて縦走再開です。
クモマグサ、ミヤマリンドウ、チングルマの綿毛があちこちに!素晴らしいお花街道です。

ガラガラの岩が積み重なった祖父岳じいだけを越えると、雲ノ平山荘が見えてきました。時刻は12:00過ぎ。皆さんお腹が空いてきたようですが、山荘でのランチタイムを心待ちにしているため、なんとなく行動食を我慢している模様。かくいう私も…。

やがて雲ノ平らしい木道歩きに入ります。時の流れがゆっくりになったような、いつまでものんびりできる癒しの楽園。庭園に寄り道しながら、雲ノ平山荘を目指します。
ここは周辺に点在するロックガーデンの景観も印象的です。

ついに雲ノ平山荘へ到着です。皆んなで一目散に食堂へ。

時間的に遅かったのか?品切れが散見されましたが各々食べたいメニューをオーダー。
誰かが「え〜!台湾風チキンライス売り切れなの!」と独り言を漏らしたら、それを聞いていたスタッフさんから「今、作れますよ!」との回答。なんというラッキータイミング!
会計時に「お飲み物ご一緒にいかがですか?」なんて聞かれたものだから、飲むつもりのなかったザクロ酢ソーダ(600円)まで、つい追加してしまいました。笑

いただいたお食事はとっても美味しかったです。

今日の宿泊地は薬師沢小屋。いつまでものんびりしている訳には行かないので、名残惜しいですが出発します。途中で雲ノ平の名峰祖母岳ばあだけに立ち寄りました。雲ノ平を一望できる、素晴らしい山です。

奥日本庭園やアラスカ庭園を楽しみながら、いよいよ雲ノ平とお別れ。後ろで見守ってくれていた祖母岳にバイバイと手を振ります。
ここから標高差500m程の下りですが、今日の核心部と言って良さそうです。すれ違う人が口々に「あの岩場を下るの〜?!気をつけてね。」と声をかけてくださります。
間もなく現れるツルツルの苔むした岩場。スリップ厳禁です。

次第に沢の音が大きくなってゆき、ついに黒部川本流が見えた時は全員、ほっとした表情。しかし最後まで油断してはいけません。

17:00、薬師沢小屋到着です!皆様、本当にお疲れ様でした。今日は色々欲張りルートだったので13時間行動となりました…。
2回目17:50からの夕飯をご案内していただき、それまでしばしの休憩タイム。

お待ちかねの夕飯はとてもおいしかった!チャーシューほろほろ柔らかくてペロリと平らげてしまいました。

夜、心地よい沢の音を聴きながら就寝です。

4日目

2回目5:50からの朝食をいただき、6:30薬師沢小屋出発です。名残惜しいですが今日は下山日、いよいよ北アルプスともお別れです。

予報では降水確率90%となっていましたが、いざ歩いてみれば良いお天気です。
1つ1つの景色を目に焼き付けながらのんびり歩いてゆきます。

「あの山はなんでしょう?」クイズを出したところ、皆さんご名答!
昨日歩いたワリモ岳や雲ノ平がはるか遠くに見えています。(鷲羽岳はこの写真だと祖父岳の後ろに隠れています。)

太郎平小屋で心ゆくまで休憩し下山…。

4日間の山旅がいよいよ終わります。

北アルプス北部、黒部原流域は、山域としても広大でその全てを歩ききるには長大な日数を要します。今回は主稜線から外れ、アクセスの遠い場所をテーマにご案内しました。来年も新たなルートを企画予定ですのでお楽しみに。
ご参加してくださった皆様、ありがとうございました。お疲れ様でした!

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コメント ☆お気軽にコメントください☆

  1. いつもながら山行記がさわやかで、登山からの帰り電車の中で「( ‘ω’o[ ]o そうだったなぁ…そうそう、ここはすごいとこだったすごい… すごい…」…なんて読みふけってしまい、下車駅を乗り過ごしてしまいました
    (´・ω`・)エッ?
    4日間本当に楽しい、思い出に残る山旅ができました。また、次の山行が楽しみです(((o(*゚▽゚*)o)))
    ありがとうございました

    • ブログ読んでいただきありがとうございます!
      そう言っていただけると励みになります(^o^)
      当日は、お天気に恵まれて本当に良かったですね。
      また秋もよろしくお願いします♫

  2. また来年も楽しみにしてます!

    • ありがとうございました!(^O^)

登山ガイドWaka
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