2022年10月8日(土) 7時間
大釜温泉 (6:00) – 下降点 (7:30) – 戸繋沢 – 葛根田川本流出合 (10:55) – 中ノ又沢出合 (11:40) – CO840m(13:00)
2022年10月9日(日) 11時間30分
CO840m (6:00) – 標高点999m (7:00) – 小和瀬川大沢出合 (8:20) – 大沢森 (12:45) – 大白森 (14:30) – 小白森山 (15:25) – 大釜温泉 (17:30)
メンバー : 2人(Waka, Kさん)ラバーソール
天気 : 晴れ
装備:30mロープ(未使用)
夏が一瞬で過ぎ去り、刻々と季節は冬へ近づいてゆく。木々が紅葉する秋は、私が最も好きな季節であり沢登りのベストシーズンと考えている。週末は天気が良さそうなので、東北の葛根田川まで足を伸ばした。本流は2年前に遡行したので今回はKさん考案の別ルートへ。岩手県の葛根田川中ノ又沢と、秋田県の小和瀬川大沢の2つの沢を1泊で繋ぐ沢旅だ。
大沢は小和瀬川源流に位置しており、かつて下流に伸びる林道(上小和瀬支線)から手軽にアプローチできていたが、今は周辺地域でクマによる死亡事故が発生したため通行止めとなっている。
参考 : ツキノワグマ情報 – 最下段の「◆入山禁止措置に関する情報」を参照
自己責任で林道へ入るとしても最奥の大沢の入渓点まで片道6km以上の歩きをこなさなければならず、そのためか近年入渓者が減少しているようだ。
そんな秘境と化した小和瀬川大沢を絡めた今回のルート取りはなかなか妙案だと思った。おまけに下山は紅葉の湿原ハイキングが楽しめる。期待を胸に、東京から片道620km(約8時間)車を走らせ東北へと赴いた。
1日目 : 葛根田川 戸繁沢 〜 中ノ又沢
早朝、駐車場に車を停めて支度を済ませる。吐く息は白く、沢登りするにはやる気を削がれる気温だ。6:00登山開始。大釜温泉の裏にある蟹場登山口より入りまずは稜線を目指す。藪が刈り払いされて歩きやすい。昨日東京から東北まで運転してきて私もKさんも寝不足気味だ。
程なくして稜線の大白森と乳頭山の分岐に到着する。大白森方面に登山道を歩き戸繋沢の下降ポイントを探り、藪の向こうに沢型が見えたので下降開始。細いながらもゴーロの沢型にすぐに入ることが出来て歩きやすい。2年前に葛根田川本流の北ノ俣沢を遡行した時は詰めの笹藪漕ぎに苦しめられたので今回はホッとした。次第に水量が増し、沢が広がってくる。途中で現れた滝を左岸より巻き下る。どうやら釣り師も入っているのかトラロープを目にした。

下降ポイントから葛根田川本流までは約5km。のんびりしながらも急足で先へ進む。
曇り空からいよいよ雨がこぼれ出した。確か2年前も雨に降られたっけ。なかなか天候に恵まれない。
しばらくゴーロ歩きが続いたが、そのうちナメ床が散見されるようになる。

下降してゆくと、美しいナメ床が現れた!雨天でもその美しさはかがやく。晴れていればなおさら良かったが、これでも充分だ。
ナメの終点は美しい幅広滝になっていた。右岸から下る。
一瞬のゴーロを交えたのち、再び美しいナメが現れる。雨模様だが流れる水は透き通っていて美しい。

標高点754mの150m上流にある支流付近は10m程の黒々としたゴルジュが構えている。ナメからのギャップに驚くが、ここもまた美しい。過ぎれば再びナメ床が現れる。今度は釜付きだ。
10:55、葛根田川本流に合流。ちょうど男女の2名パーティーが休憩していた。話を聞くとここまで本流を遡行してきてこの後は戸繁沢を遡行するらしい。稜線の避難小屋に宿泊して明日は秋田駒ヶ岳に登るとのこと。話しぶりが慣れているのでてっきり地元の方かと思いきや私たちと同じ東京の人だった!
逆にどうするか問われ、ルートを説明する。女性が「お函は見に行かないのね、勿体無い!」と言っていた。見に行きたい気持ちはやまやまだが、先へ進む必要もあるので。笑
懐かしの本流を遡行し、11:40中ノ又沢出合到着。地形図から予想するに、のんびりナメ沢かと思っていたが、予想よりも小滝が現れて楽しませてくれる。

黒々とした小滝群を登ってゆくと、あとは穏やかな渓相が続く。道中、後ろから単独男性に追い抜かされた。彼もまた東京から来たらしい。東京の人、葛根田好きすぎるでしょ。笑
彼は少し先の右岸で幕営し、私たちはさらに先へ進みCO865m地点の左岸支流へ入った先で幕営することとした。

時刻は13:00、あとはひたすらのんびりまったり過ごすだけだ。沢登りの中で私が最も好きな時間が始まった。
2日目 : 中ノ又沢 〜 小和瀬川 大沢 〜大沢森
翌日は3:30起床、のんびり支度して6:00出発。朝はやはり寒い。手がキンキンに冷えている。テムレスを持って来れば良かった。
昨日に引き続き、水量の少ない沢を遡行し稜線を目指す。緩やかな地形の中、沢は細かく分裂していく。右へ左へと勘を頼りに沢筋を進み、最後に少しばかりの藪漕ぎをこなして標高点999mの南東にあるピーク付近の登山道に合流した。

登山道をたどり標高点999mを目指し、そこから南西に降りる尾根を利用して小和瀬川大沢出合を目指す。この尾根は登山道ではないものの、はるか昔はタケノコ取りに利用されていたし、近年では小和瀬川林道アプローチでの大沢遡行の下山路としても利用されていた。よって踏み跡があり藪漕ぎなしで快適に下降できると予測した。
出だしは笹藪が濃くて藪漕ぎせざるを得なかったが、やがて顕著な踏み跡へと合流した。急峻な尾根に一直線に伸びた踏み跡はなかなかの強傾斜でスリップ要注意。道中、自然景観に似つかわしくない「スノーダンプ」を発見。タケノコ採りの名残りらしいが、この急斜面をこのスノーダンプを持って登下降するのは至難の技だと思った。

8:20小和瀬川大沢出合に到着。大沢は葛根田川と異なり滝の多い沢と聞く。滝登りの苦手な私はドキドキである。ここでハーネスを装着し遡行開始。
開始数十mで見事な見事な3段滝が現れて思わず感動の叫びをあげる!多少ヌメりはあるものの快適に登れるレベルなので一安心。

その後も、見栄えの良い滝が続く。
現れた15m滝は左壁より登る。なかなかの高度感で緊張するがスタンスありフリクションも効くので己を信じて登るのみ。今日はWakaの滝登りトレも兼ねている。積極的に先行してオブザベして登ります!
日差しの入らなかった沢筋にも次第に陽光が差し込むようになってきた。沢が、森が、輝き始める。周りの環境も含めて全てが美しい場所だ。小和瀬川大沢、かなりの名渓ではないか!? もし関東周辺にあれば大人気の沢になっていたかもしれない。
高度を上げてもまだ滝は続く。そろそろお腹いっぱいなので詰めでも良いかなと思い始めてきた。笑
上流部で見事な「両門の滝」が現れた。見る分には良いが登るとなると…。左の滝を登るべくルートを探ったが、良い感じに段々になっており多少水に濡れてしまったものの快適に登ることができた。

いよいよ沢も源流の様相になってきたが、まだまだ滝は続く。ようやく沢幅も狭くなり流れる水もわずかなものとなった。もう流石に穏やかになってくれただろう。
詰めてゆくとやがて沢型は笹藪に消えた。藪の少ないところを選んで進んでゆく。何回か藪に転んで悲鳴をあげる。ここら辺には登山道があるらしいが、もはや笹藪ばかりで見る影もない。12:45大沢森到着。
あとはのんびりゆるりと大釜温泉へと帰るのみだ。下山路は長く9.5km程の歩きをこなさなければならないが、途中にある大白森や小白森山の湿原は実に見事だった。
最近Kさんに悪癖がつき私の行動食を奪ってくるようになった。今回も持ってきた行動食の半分以上は奪われただろうか。私の蒸しパンやその他お菓子を美味しそうに頬張った後、お礼にとKさんの粉砕した塩バタかまんや湿気たせんべい、沢水に浸水したパンをニコニコ渡してくるのだが、特に食べたくないので断っていたところ、いよいよ私の行動食が尽きそうになってしまった。
見るとKさんの行動食も尽きそうになっている。あれれ?Kさんたら完全に装備不十分ではないですか?湿原地帯ももう通過してしまい、あとは登山口まで戻るだけ。お腹が空いた為に口数が減りただ黙々と歩いてゆく。

16:50ようやく大釜温泉との分岐に到着。大事に取っておいた芋けんぴをKさんと大事に食べる。1人あたり2本とかなりひもじい…。と、ザックをゴソゴソ漁っていたKさんが「食料あった!」と嬉しそうな声をあげた。ここまできたら、粉砕した塩バタかまんもとても美味しく感じる。Kさんありがとう。そして今度から自分の行動食はちゃんと持ってきてね!
ギリギリヘッドライトは出さずに済み、17:30大釜温泉無事帰着。
追加情報
私やKさんが(ネット上で一方的に)よく知る人や会の人もどうやら同日に同山域へ入っていたようだ。
葛根田川出合であった2人組はトマの風だったらしい。tarehashiさん&M子さんともぜひスライドしたかった…。
葛根田川戸繋沢~秋田駒ヶ岳 – 童人トマの風
小和瀬川タツノクチ沢 – たれたれなるままに (tarehashiさん&M子さん)
お食事
欧風食堂Kaede (11:30 – 14:30 / 17:00 – 20:00)
〒014-1201 秋田県仙北市田沢湖生保内造道29 – GoogleMapを開く

オシャレで美味しくて、また行きたい!と思った店。時間が遅かったためか、色々売り切れの中料理をオーダー。おすすめのモツカレーに加えて、Kさんと2人でアヒージョを頼む。両方とも絶品だった。(しかし翌日胃もたれを起こしてしまった…。)
Kさんはハンバーグを食べていた。少し頂いたがこちらも絶品だった!