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東北沢登り

烏川 枯松沢 〜 七ツ森 〜 手沢 知られざる栗子スラブ

東北

2022年10月15日(土) 8時間
駐車地点 (6:50) – 枯松沢出合 (9:10) – 枯松沢 – CO685m二俣 (12:40) – CO880m三俣 (14:50)

2022年10月16日(日) 11時間
CO880m三俣 (6:10) – 稜線 (8:20) – 七ツ森 (8:50) -手沢へ着地 (10:20) – CO785m二俣 (11:10) – CO585m二俣 (13:20) – 手沢出合 (17:05) – 駐車地点 (17:10)

メンバー : 2人(Waka, Kさん)ラバーソール ※ヌメるのでフェルトの方が良いと思う
天気 : 晴れ
装備:30mロープ(未使用)

秋の沢登りはちと肌寒いが、私は大好きだ。紅葉を眺めながらのんびり遡行して早めに幕営して焚き火で暖まる。のんびりが好きな私にとって素晴らしい沢登りのシーズンである。

今週の沢は栗子山域の枯松沢〜手沢へ。昨年の11月上旬に初めて栗子へ赴き、雰囲気の良さに他の支流も遡行したいと思った。ただ11月に入ってしまうと極寒なので今時期どうだろうか、という訳である。

栗子といえば”癒し渓”のイメージがあり、それは私もKさんも同じだ。しかし今回のルートは栗子ではあるものの栗子らしくない険しい一面を兼ね備えており結果的にはなかなか歩きごたえのある沢登りとなった…。

1日目 : 烏川 枯松沢

前日のうちに東北まで北上しPAで仮眠、早朝に摺上川すりかみがわダムへ向かう。抱えている湖は「茂庭っ湖もにわっこ」と呼び、なんとも可愛らしい名前だ。茂庭っ湖の南側道路は通行止めでゲートがあるとの話だったが、ダメ元で様子を見に行ったら開放されており通過することができた。

車を走らせ、手沢出合を少し過ぎたところのスペースに車を停める。時刻6:30。通常ゲート前から歩き始めると入渓点の枯松沢出合まで12kmの林道歩きだが、6kmの林道歩きをショートカットすることが出来た。

支度を済ませて6:50登山開始。林道には轍がありしばらく広くて歩きやすい道が続く。前方の藪から猪が2頭飛び出してきてカーブの向こうに消えていった。初めて野生の猪を見かけて驚いた。猿よりも熊よりも、最も遭遇したくないのは猪だと思っている。

林道脇に生えるさまざまなキノコを眺めながら進んでゆく。

スギタケの仲間。ヌメリスギタケモドキかな!?同定難しいです。
クズヒトヨタケかな?
うーん(イタチタケ?)

猛毒で、胃腸系の中毒症状を起こす ”ツキヨタケ(月夜茸)”がそこかしこに。既に老菌のため見た目が毒々しい。これが全て椎茸だったら良いのになぁ…。

クリタケ
猛毒のツキヨタケ
スギヒラタケ

林道は次第に荒れてゆく。途中、1台の地元ナンバーの車を発見。もしかしたら先行者が居るのかもしれない。

ついに林道は車が通れないほど荒れてきた。時折崩落しており少しだけ怖いトラバースをたまに通過する。9:10、橋が現れ入渓点に到着した。橋を渡り右側から河原へ降りてゆく。

しばし休憩を挟み、ようやく沢登りの始まりだ。枯松沢出合は平凡な渓相。

枯松沢出合は平凡な渓相
ブナハリタケ
サワモダシ

しばらく進むと最初の5m滝が現れた。私は右岸巻きでKさんは左岸巻きで突破。この滝を皮切りにナメだったり小滝だったりと渓相が楽しくなってくる。

最初の5m滝

小さな渓で森が近い。水量は少ないが時折現れる釜にはたっぷりと沢水が溜まっている。釜の淵をへつっていたら後ろから悲鳴が聞こえて、ボチャン!と音。見ればKさんが釜に落ちていた。「カメラが!」と悲痛な叫びをあげている。まさか濡れる思っていなくてカメラをショルダーにつけて歩いていたようだ。どうにか釜から脱出し、一息つく。幸いにも防滴カメラだったので破損は免れたがレンズ内側が曇ってしまい今回は使い物にならなくなってしまった。そういえば昨年の栗子でも入渓早々Kさんが滑ってドボンしていたような…。

小滝やナメを軽快に越えてゆく。秋の栗子はヌメるのでフェルトが望ましい。と昨年学んだはずが結局フェルト靴を買わずに1年経過し、またラバーで訪れてしまった。ヌメのレベルは昨年歩いた滑谷沢よりマシかもしれない。ラバー信者のKさんは頑なに「ラバーが一番!」と言い続けている。

ヌメるナメは栗子あるある

前方に人影が見えた。もしかしたら林道で見かけた車の持ち主かもしれない。声をかけたらやはりそうだった。地元の方のようだ。工事用ヘルメットを被り、背中には籠を担ぎ、腰にナタをぶら下げ、それ以外は特に装備らしい装備は持っていなさそうで、「ちょっと近所にキノコ摘みにきました!」という見た目。笑
男性にどこへ行くのか尋ねられ、七ツ森へと答えたらなんだかすごく驚かれた。道迷いを心配しておりいざとなったら栗子山を目指せ!と言われたが、冷静に考えても栗子山はここから遠いし車の回収が困る気がしたが、深くは突っ込まず返事をした。しばらく会話を交わして私たちは先へ進む。

それにしてもこんな山奥にあんなラフな格好で歩いているの、地元のオジはさすがだと思った。笑

小さな小さなゴルジュ
のんびりと渓を進む

CO685mの二俣を越えると5m前後の滝が続くようになる。シャワークライミングは無いので寒くはない。釜に落ちたKさんは寒そうにしている。

滝が続くようになる
巻いたり直登したり

14:50、CO880mの三俣へ到着。中俣と左俣出合は2mのナメ滝を形成しておりなかなか美しい。中俣の滝を登ったすぐ右岸を幕営地とした。藪だらけの台地だったがKさんが一生懸命整地してくれたおかげで素晴らしいテント場に生まれ変わった!
その間に私は薪集め。目の前は綺麗なナメ床。薪を集めるために何度も2m滝を登り降りし、ヌメるナメ床を横断しなくてはならなくてちょっと大変だった。笑

今晩はここで
Kさんが綺麗に整地してくれた!
目の前のナメ床。

薪は細いながらも乾いた良いものが集まり、着火成功。焚き火缶で炊いた白米と、家で下ごしらえしてきたキーマカレーを食す。山で肉を食べるのは久々だがやはり美味しい!

たらふく食事を食べた後はテント内でぐっすり就寝。

2日目 : CO880m三俣 〜 七ツ森 〜 手沢 下降

6:10、三俣出発。ナメ床はすぐに不安定なゴーロへと変わり、細くなってゆく。地形図通り、徐々に傾斜が増してゆく。すると樹林が少なくなり目の前が開けた。見上げると続く岩盤に一筋の水が遥か上方から流れている。これは、ナメ滝!?いやスラブ!?

まさかのスラブ出現に私もKさんもびっくりだ。ガスってしまい景色が望めないのが残念だ。とりあえず登り始める。スタンスホールドは豊富だが、水線近くはヌメる。時折かなり傾斜が急な場所が出てくる。スラブの中に滝がポツポツ現れるような感じ。左右の灌木に逃げて身体を持ち上げてゆく。

スラブが現れた
後ろを振り返る。ガスっているのが残念!

上部に登ると全体的に少しばかり傾斜が増してくる。苔付きスラブに慎重に足をのせ、高度を稼ぐ。

苔苔してる
振り返る。ガス…。

ワンポイント、高度感があり動きを起こすのに躊躇したが無事に登ることができた。

スラブの終点?滝の落ち口らしきところまで登ってひと段落。これより上部も岩盤が続くがいよいよボサい。登り始めからここまでの標高差を数えるとなんと100mもあった。

癒し渓のイメージが強い栗子にこんな場所があるとは…。ネット上の記録では枯松沢の中俣を詰めた記録は見つからなかったので、今回は本当に予期せぬスラブ登りだった。かなり楽しませてもらった!晴空で無かったのが非常に残念だ…。

ここまで登れば一安心。スラブというかもはや滝の落ち口!?

詰めると枝沢が分岐してゆくので登りやすそうなところを選んでいたがそのうちに沢型は消えてしまった。かなりの急斜面で灌木に頼りながらの登りとなる。

黄葉のウルイたち

右に見える尾根筋に逃げたらようやく傾斜が緩んでくれた。しばらく藪漕ぎを続けて8:20稜線到着。
稜線上には僅かながらも獣道があり活用させてもらう。

8:50七ツ森到着。山頂には三角点があり昔の測量隊の人は本当にすごいなぁと思った…。

ガスです

手沢は七ツ森に詰め上げているが、源頭部はどうやらV字ゴルジュがあるらしいという情報と、地形図から見ても傾斜が急で大変そうなのでピークの少し北東にある尾根から手沢へ下降することにした。(今回はWakaリーダーなので、Wakaが手に負えなそうな場所は安全第一で回避するという作戦である。)

※参考 : 栗子山塊 烏川手沢→中津川日陰沢右俣下降 – その空の下で。。。

ピーク北側は踏み跡皆無でしかも蔦が足に絡まり歩きづらい。

途中ガスが晴れて手沢と枯松沢に挟まれた稜線が姿を見せた。所々雪崩に削られ白い岩盤を露出させているその山肌はとても険しい様相だ…。

七ツ森の稜線
尾根上は紅葉している

目前に見える景色も、なんとも山深い。Kさんが「栗子ってけっこう原始性の高い山域なんだね。」とつぶやいた。そうかもしれない。だから私はこの山域に心惹かれるのかも。

山景色が広がる

支尾根を辿っていたが、次第に細くなってきたので、尾根を外れて適当に下ることにする。灌木を掴みながら下降するが次第に草付きとなる。最後はズリズリっとお尻をズラしながら沢床に着地。Kさんが「ここ懸垂してもよかったかもね。」と言っていた。確かに。
Wakaリーダーまだまだ読みが浅い。懸垂下降を判断するタイミングって難しいな…。

手沢の上流を眺めると、うーんやっぱ険しく見える。これでV字ゴルジュも巻けたかな!と思って下流を見ると、あれ?なんかゴルジュっぽくないか…?嫌な予感を感じつつもハーネスを装着して改めて下降を始める。と、やはり気のせいではなくこれから進む方向にしっかりV字ゴルジュが待ち構えていた。
巻いたつもりがよりにもよってこれから入ります!ってところに着地してしまったようだ…。Kさんが、「え、巻いたんじゃないの!?」とあーだこーだ言っている。笑

見下ろすとV字ですが。

トイ状滝を降りて振り返る。うん、完全にこの場所入っちゃってますね!

しばらくゴルジュは続くが幸いにも難しい滝は無く全てクライムダウンすることが出来た。その後もちょこちょこ滝が続き、せわしないが、とりあえず問題なし。

険しい渓相だ。
チョックストーン滝を振り返る。

しかしまぁ、栗子にこんな場所があったなんて。スラブに引き続き、知られざる一面を目の当たりにしてまた驚きの気持ちで満たされる。

トイ状の滝が多い
水路!

トイ状滝をボルダームーブでヘツり抜けるKさん。曰く「カメロの5級!」(カメロは昭島市にあるクライミングジムである。)私も突破を試みようとするも、ムーブが行き詰まりドボンして失敗…。難しいぞ!

Kさんは割とこういう小滝でムーブを繰り出すことがある。先々週遡行した大熊沢みたいな5m7mもある滝の上部でムーブをおこすのは私としてはかなり勇気がいるが、こういう場所なら落ちても平気なので私でも取り組みやすい。
Kさんを見習って、これからは積極的に小滝で練習していこうと思った。

水路をツッパリ&トラバースで抜ける。Kさん曰く、カメロパルダリスの5級くらい!私は失敗してドボンした。笑

CO630m付近まで下降すると広々とした河原になり、しばしのんびり歩く。

菌から菌が生えてる!?
謎キノコを両手に喜ぶKさん

右に左とキノコ探しをしながら歩くが特に目ぼしいものはなし。少しばかりのNAMEKOをいただいた。

気持ちの良い場所
栗子のクリタケもあった!

優しいゴーロ区間を過ぎると、ちょこちょこと手沢ゴルジュが現れるようになる。Kさんが右側をヘツろうと言っていたが、私は滑落する気がしたので右岸の高巻きを提案する。

突然のゴルジュ

高巻きは歩くだけで簡単だった。振り返ってゴルジュを覗く。やっぱりヘツらなくて良かったと思った…。ゴルジュの終わりには桂の巨木がお出迎え。桂の丸い葉っぱはベッコウアメの甘い香りがするのが特徴だ。早速手にとって嗅いでみたが、湿っているせいなのか今日はよく分からなかった。

ゴルジュを覗く
桂の巨木

程なくして現れた4m滝は左壁をトラバース気味にクライムダウン。釣り師のトラロープがあった。上部が被っていて結構悪そうな壁に垂れているが、ここをノーヘル&ゴボウで直登するのだろうか。釣り師怖くないのだろうか…。

左壁をトラバース気味に下る

その下流のゴルジュも右岸から巻いたが、なかなか立っておりヒヤヒヤした。振り返ってゴルジュを眺めたら割と小さかったので、もしかしたら水線通しの方が簡単だったかもしれない。

ゴルジュを右岸から巻き下る

日没が近くなり、沢が急速に薄暗くなってゆく。とにかく急足で出合いを目指す。

日没は待ってくれない

17:05、目前に橋が見えた。ついに出合へ到着!ぎりぎりヘッドライトを出さずに済み一安心。その10分後、駐車場に戻り後片付けをしている頃には既に真っ暗になってしまった。

のんびり沢歩きのはずが、思いがけず歩きがいのある2日間となった。栗子のまだ知らぬ一面を知ることが出来てよかった。いよいよ沢シーズンも終盤だ。積雪期、もし機会があったらまた栗子に赴きたいと思った。

遡行図

遡行図 Waka記

温泉 & お食事

もにわの湯 (9:00 – 21:00 入浴受付20:30まで)年中無休
〒960-0271 福島県福島市飯坂町茂庭清水川原21−2 – GoogleMapを開く
大人250円(シャンプーリンス各40円、ボディーソープ150円)ドライヤー有

摺上川ダム近くの温泉。なんと言っても値段が安い!洗剤購入したとしても充分やすい。スタッフの方すごく優しいし、温泉も気持ちよくのんびり過ごせました。
※入口に段差がなく、床から突然絨毯になっている為、気づかずに土足で絨毯まで歩いてしまった…。よく見ると「土足厳禁!」と足元に書いてあった。多分間違える人多い気がする。当ブログを読んで行った方は、ご注意ください!汗

餃子・ラーメンおがた (17:00 – 22:00)
〒960-0201 福島県福島市飯坂町小滝14 – GoogleMapを開く

ラーメン屋に行ったらラーメンを注文するのが常だが、今日は餃子をメインとして注文。6個焼きではなく、ドドン!と円盤である。餃子は例外なく美味い。揚げ焼きなのかカリッ!としてる。ご馳走様でした。
(円盤餃子はKさんと分けて食べました。)

円盤餃子
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