2021年8月28日(土)
田子倉無料休憩所 – 7:00 出艇 – 8:40 白沢出合 – 10:25 CO585m地点 – 12:05 白沢出合 – 13:35 出艇場所 – 田子倉無料休憩所 (合計時間 : 6h35m)
メンバー : 単独(Waka:ラバー)
装備:30mロープ、パックラフト
天気 : 晴れのち曇り(霧雨)

かねてより気になっていた村杉半島の白沢へ足を運んだ。(白沢の読みが「しろ」か「しら」なのかは分からない。)
村杉半島は周囲をダム湖に囲まれており、アプローチに難がある。そのせいか、白沢の遡行記録は私の知る限り存在しておらず、情報はカヌーをやっている方々の出合の写真のみ。謎に包まれた白沢だが、ふとGoogle Earthを眺めていたら、水線CO650m付近に大滝があるのを見つけた。この大滝に心惹かれて、どうしても実物を見てみたくなったので、今回歩きに行ってみることにした。
山行記録
朝、田子倉無料休憩所に車を停めて出発。橋の右手、藪の中に舗装された小道があったので辿ると、難なく岸辺へ降り立った。
パックラフトを膨らませて7:00いざ出艇。
風はなく、湖面は穏やかだ。スピードアップするべく頑張って漕ぐがそのうちに腕が疲労する。時折休憩を挟みつつ、じわじわと白沢出合を目指す。
ポツンと広大な湖に浮かぶのは、私を乗せたパックラフトと、カルガモ夫妻だけ。
木には猛禽類の鳥がとまっており、私が近づくとサーッと大きな翼を広げて少し離れた木に飛んでいった。
巨大な田子倉湖、片道約4km、1時間半ほど漕いでようやく白沢出合が近づいてきた。出合の方からゴゴゴゴと水の鳴る音が聞こえる。
カーブを曲がると全貌が現れた。出合は4m程の滝を形成していた。水量多く結構な迫力に圧倒される。左岸にも滝。チロチロと水線が細いもののはるか高くから水を落としていて立派だ。

右岸沿いのルンゼが崩落して土砂の体積して出来た岸辺があったので上陸。パックラフトを固定してへつって4m滝の偵察に行く。周りは悪い岩壁に囲まれており、登るとすれば水線左だろうか。あまり登りやすそうにはみえないが・・・。泳いで取り付き、落ちたら深淵のダムにドボン。トライする気力が無くて、高巻きルートを模索する。
上陸しているルンゼ横の尾根地形から、なんとか高巻き出来そうだ。パックラフトを畳んで近くの木に固定しておく。いよいよ白沢入渓に取り掛かる。

急傾斜を木々を掴んでのクライム。右手にも急なルンゼが降りている。そこそこ高度を稼いでから、トラバース。ルンゼを挟んだ向こうの尾根地形に乗って一呼吸。下の様子を伺うが、藪で全く見通しが無い。はるか下でゴウゴウと沢の音が聞こえる。滝はもう超えているはず。木の密生している場所を選んで、急斜面をクライムダウン。やがて下方に沢床が見えた。右手に花崗岩ナメの支流が流れており、慎重に横断してから木を掴んで数m下り無事に入渓。滝の落ち口にピンポイントで降りることが出来た。振り返ると、出合の滝と2つ目の滝をまとめて巻いたようだ。2つ目の滝までの側壁も高い岩壁に囲まれていたので、下降ポイントは正解だったかも。

ついに白沢の遡行開始。穏やかな渓相、と思いきや、早速2m程の小滝が現れた。水の勢いが盛んでなかなかの見応え。
ナメを少し歩くとまた滝。ダダダン!と3つ連なっていて見事な様相。右岸からは大きなナメ滝が出合っている。スタートから怒涛の滝ラッシュに気持ちが高揚する。
越えると、花崗岩の廊下が少し続き、そして迫力のある7mの滝のお出まし。
全く予備知識のない状態で入る沢は新鮮そのもの。次は何があるんだろうというワクワクと感動が、普段下調べをしてから入渓する沢よりはるかに大きい。
てっきりもっと穏やかな渓相かと思っていたが、なかなか滝ばっかりでアクティブな雰囲気。

7m滝は左岸より巻き。巻き終えたら20mくらいのゴーロ帯をこなし小さな釜を持った2m滝。左壁より突破。
息つく間もなく3mくらいの小滝。左側を慎重に突破。次の1.5m滝は左岸から小さく巻き。(だったかな?)
私には「単独沢登り禁止令」が常時発令されている。今まで何人もの人たちに「単独沢登り」は危ないからダメだと言われ続けている。今回は「渓流歩き」のつもりで来たが予想以上に滝が多い。
私に許された領域はもう超えていて、もはやこれは「沢登り」ではないか。
それでも美しい渓相を目前に、冷静さは姿を潜め、ただただ「もっと先に行きたい!」というワクワクした気持ちばかり先行してしまう。あと少し、あと少し、と目前の滝を越えたくなる。未知を少しづつ知っていく快感はかなり病みつきになりそうだ。
ふと私を心配する山仲間の顔を思い出すと、少しだけ落ち着くことが出来た。やっぱりこのまま突き進むのは良くない気がする。今回は渓流散歩のつもりだったのでハンマーもハーケンも無いし、捨て縄も少ししか持っていない。私は初心者だ。余力のあるうちに引き返すべきだ。木に登って降りられなくなった猫になっては困る。
ここで決めた。もし次、面倒そうな滝がきたら引き返そう。
今後の為に、一応幕営適地を探しながら歩くが、滝が多く狭い沢の中ではなかなか見つからない。1つだけCO560mの右岸側、大岩の裏に平らなスペースを発見したが、増水したらきっとアウトな感じだった。
大岩2m滝は左岸巻き。
流木の詰まった2m滝を越えると、小滝3連弾が現れた。
左側より3つ目まで登るとカーブの先が見えた。その先にも滝が続いている。
目視できる限り5つの滝が連続していることになる!!
4つ目の滝は4mくらいの小さな釜付き。高巻きは大変そうなので水線突破か。ホールドスタンスはありそうに見えるが、なかなか激しいシャワークライムだ。
下部のクライムダウンがちょっと大変そう。ここらで引き返そうか。
4m滝の上には連続する滝が見える。あそこへ行きたい。あの先が気になって仕方がない。ここで引き返してしまうのが、とてつもなく寂しくて、ウルっと泣きそうになった。
しばらく滝を眺めて、10:30頃、往路を辿る。

入渓が8:40だったのでわずか2時間の遡行だった。GPSを確認するとちょこっとしか進んでいない。目的の大滝には届かなかった。それでもここに至るまで素晴らしい渓相だった。

帰りも油断ならない。慎重に下降し、12:05白沢出合無事帰着。
一番の核心は出合の高巻きだった。帰りの高巻きは、ただでさえ急傾斜な上に、眼下に広がるダム湖は特徴が無く、下降ポイントが定めづらかった。誤ってラインがズレたら崖で行き詰まってしまう。行きのトラバース時に記憶した岩、確かここだよな?と下降したら無事に出発地点に降り立った。往路を辿るなら赤布を目印につけておくのも手だったかも。

何はともあれ、無事に脱渓出来てホッとした。
デポしたパックラフトを膨らまし、田子倉無料駐車場に向けて出艇。湖岸の浅瀬に、小さな魚とエビがたくさんウロウロしていて可愛かった。朝よりも空には雲が広がり、2度程雨がパラついた。
時刻はまだ昼過ぎ。本来は一泊の予定だったのでザックには泊まり装備が入っている。今からでもこの田子倉湖のどこかで一泊出来そうだが、なんだか気持ちが満たされてしまった。初めての単独沢登りで結構頑張ったのではないか?今日は充分お腹いっぱいだ。
13:35無事帰着。














