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沢登り上信越

谷川 鷹ノ巣沢 C沢 ナメとスラブと紅葉!

上信越

2022年10月22日(土) 13時間
谷川温泉登山口 (4:40) – 二俣 (6:00) – 鷹ノ巣沢出合 (6:15) – C沢出合 (6:55) – 奥壁基部 (10:25) – 稜線 (11:35) – 俎嵓 (11:45) – オジカ沢ノ頭 (13:05) – 分岐 (13:50) – 中ゴー尾根 – 二俣 (16:20) – 谷川温泉登山口 (17:40)

メンバー : 2人(Waka, Kさん)ラバーソール
天気 : 晴れ
装備:30mロープ (未使用) , 25mフローティングロープ (未使用)

Kさんが、今回はここの沢はどう?と私に提案してきた。谷川連峰の「鷹ノ巣沢C沢」である。

谷川連峰の沢は、悪い草付きや大きな滝が多い印象で難しいイメージがある。いつか行きたいと思いつつなかなか踏ん切りがつかなかった。KさんはKさんで、私が取り組めそうな沢をせっかく提案しても既に遡行しており「もう行ったよ。」となってしまうため、私たちの間ではなかなか行く機会がなかった。

ついに今回、私は谷川連峰の沢デビューを果たした。Kさんは実に4年ぶりの入渓、谷川流域の沢は初めてである。
率直な感想を述べると、鷹ノ巣沢C沢はかなりの名渓でもうひたすら楽しかった!心配していた滝登りもフリクションがよく効いてくれた。爽快!と言う言葉がよく似合う渓だった。上越の沢に対する苦手意識は多少払拭され、また行きたいと思えるようになった。Kさんもえらく気に入ったようで、来年はオジカ沢!なんて目標が出来てしまった。笑

※鷹ノ巣沢C沢は谷川岳の「危険地区」に該当します。「群馬県谷川岳遭難防止条例(条例第二条)」に則り登山者は山行 10 日前までに谷川岳登山指導センターへ登山届けの提出が必要です。→群馬県 谷川岳登山指導センター

谷川 鷹ノ巣沢 C沢 〜 中ゴー尾根 下降

4:00谷川温泉登山口へ到着。支度をしていると、後から1台車がやってきた。男女2人パーティー。短くあいさつを交わして私たちはお先に出発する。

4:40ヘッドライトを点けて登山開始。最初はひたすら登山道を歩いてゆく。所々沢のトラバース箇所があり一般登山道の割にはややワイルドな感じ。次第に夜が明けてゆく。Kさんがヒルがいないかしきりに気にしていたが、目撃数ゼロだった。

牛首を過ぎて200〜300m歩いたあたりでゴルジュに行き当たる。左岸の岩にトラロープがフィックスしてあり辿るが、登山道の割にはなかなか危険な場所…。崩落していたり藪っぽかったり不明瞭だったりで、面倒臭くなって後は沢を辿ることとした。時折釜が出てくるが大半がゴーロ歩きで問題なし。やがて前方にお目当ての鷹ノ巣沢C沢が見えてくる。超巨大なナメ滝がテカリと光って見える…。遠目にはかなり傾斜が急に見えるが、果たして本当に登れるのだろうか。

目前に鷹ノ巣沢C沢が見えてきた!

6:00二俣着。さらに400m程進み、いよいよ鷹ノ巣沢出合に至る。巨岩の沢床を越えながら奥へ。A沢を右手に見送り、いよいよB沢C沢を分ける二俣へ。C沢に入り10分ほど歩いてゆくと、それは突然姿を現した。

大きな大きなナメ滝!!!立派なナメが早々に鎮座していた。水量は極めて少ない。左壁をペタペタと登ってゆく。ラバーソールのフリクションはバッチリ!

出合からナメ滝!

私もKさんも、大歓声!何枚も写真を撮りながら一歩一歩を踏み締めて登る。

登りきってまた大歓声!!そこは、まるで古代の円形劇場のよう。周囲にグルリと聳えた側壁、そして次のナメ滝が私たちを見下ろしている。ゴーロ一切なし。こんなすごい空間、今まで立ち会ったことないぞ!?

さながら円形劇場のようにスラブが私たちを囲む。

後ろでパシャパシャ写真を撮るKさん。私はいてもたってもいられなくなり「先に登っちゃうよ!?」と声をかけてズンズン登る。相変わらずフリクションはバッチリ。

紅葉と白いナメのコントラストが美しい。
振り返ると、さっきまで立っていたゴーロが真下に見える。さらに奥には関越自動車道の空気孔が。あの場所からここまで、一直線に登ってきたのだ。こうして見下ろすと急斜面に立っていることを思い出させられる。快適ナメではあるが、滑落したら止まらない。慎重にルーファイして登りやすいところを見定めてゆく。

紅葉とナメが美しい
ひたすらナメが続く
すっかりカメラマンモードのKさん

ひとしきりナメ滝を登ると、次第に渓の切れ込みが深くなる。ゴルジュ空間のお出ましだ。

ここもスバラシイ!ゴルジュ&紅葉のコントラストが見事。思わず笑顔が溢れる。

素晴らしい!!

水がチョロチョロなので水線付近がヌメるがまぁ登れる。先ほどのナメ滝は花崗岩だったがゴルジュは黒々とした岩質に。(おそらく堆積岩の一種である角礫岩。)
岩が丸々しているところはヌメがなくても滑りやすいので気をつけて登る。

ナメからゴルジュへin!

そのうち4m程の滝が現れた。水線がヌメりそうだったので簡単そうに見えた左側のバンドをトラバース気味に登ったが、意外とヌメるし思いのほかスタンスがない…!

Kさんは私が奮闘してる隣で水線沿いを直登して、さっさと落ち口にあがってしまった。私をパシャパシャ撮って、なんか話しかけてくる。「ちょっと今集中してるから写真撮らないでくれる?!」と叫んだ。時々あるんですよ。私が必死な時に呑気に動画回したり写真撮ったり話しかけたりしてきて、集中力が削がれるんです。

完全に灌木頼りになった瞬間があってヒヤっとしたがなんとか登り切った。落ちなくて良かった…。

私もまだまだオブザベ力(?)が未熟である。どうにも緑色や茶色の滝を見ると恐怖を感じて避ける傾向にあるようだ。だが実際は悪く見える場所が意外と登りやすかったりすることもあるはず。今後は目を背けず向き合っていきたい…。

今日一番の集中ポイントだったかも…。笑

程なくして目前にチョックストーンの滝。そして後ろには鷹ノ巣沢の奥壁。ネットの記録では俎嵓バットレスとも呼ばれている。カッコ良いぜ。そして圧巻の景色。

チョックストーン滝は「その空の下で。。。」のヒロタさんがセミになってヤバかったという話が印象深い…。(記録)
実際に見てもなんか悪そうだし、右岸の草付きから高巻く。上越の草付き、ついにデビューだ。時折ツルッと滑りつつも岩を踏みながら高度を上げて適当なところをトラバース。

CS滝の向こうに鷹ノ巣沢の奥壁が見える

そのうち気持ちの良いスラブ斜面に飛び出した。ここも楽しいので沢床には降りずスラブ歩きを満喫する。

草付きはやはり滑る!
スラブ!奥の岩峰、灌木が髪の毛に見える。笑
楽しい!

スラブを歩いていたが、自然と沢床に合流。時折滝があるので再びスラブに上がったりしながら詰めてゆく。

奥壁が次第に近づいてくる
上州武尊山と皇海山が後ろに見える。相変わらず関越の空気孔も。笑

目前にいよいよ詰めが近づく。本当に登れるの!?と思う斜度。なんだか御神楽岳の前ヶ岳南壁を思い出す景観だ。さすが谷川岳。上越の御神楽岳と呼ばれるだけある!

Kさんと奥壁を眺めてどこ登ろうか?と議論を始める。ネットだと割と右に逃げてる記録あるが、こうして実際に目の当たりにするとその気持ちがよーく分かった。笑
今日が晴れてて良かった。ここでガスってたらルーファイが大変だと思う…。

ここはどう?あそこはどう?でもよくみたらかなりブッ立ってるね…。てな感じで話すが、なかなか結論が出ない。私は俎嵓ピーク向かって左のコルに詰めあげるのはどうかと話してみた。下の岩が登れれば後はどうにかなるんじゃない?と思う。Kさんはそのさらに左の、大きくて顕著なコルに上がるのはどうかと話している。ううん、近づいてみないとまだ分からんな。

どこ登ろうか?と考える。

ずっと右岸のスラブを登っていたが次第に草付きが混じってくる。メインの沢筋から離れていたのでトラバースして復帰。次第に沢型は消えてゆき、いよいよ奥壁が間近に。

草と岩のミックス
沢型が消えてきた

Kさんが「ここのラインでいいんじゃない?」と私の提案した沢筋に同意してくれ、いよいよ詰めのルートが決定。とりあえず岩壁の付け根まで様子見で登る。

さぁ登るよ!?

目前の岩壁は斜度があり無理だったので20m程右へトラバースし岩壁の終わった隣のルンゼに取り付く。出だしでワンポイント緊張する場面があった。先に登ったKさんがⅢ級くらいだけど傾斜立ってるから気をつけて!と上から声をかけてくる。しばらくモジモジしてたが無事に突破!その後も傾斜は急だが、岩が続き充分なスタンスが確保出来る為快適に登れる。岩の上に雪渓の残骸なのか、藁みたいなのがこびり付いているので丁寧に剥がして足を置く。これのせいで滑落したらたまらない。

高度感!
岩を渡る

部分的に岩が脆かったりするが問題なし。ルンゼを詰めていたが、3m程の一枚岩に行き当たった。少し左にトラバースして小尾根に乗る。このトラバースは少しだけ緊張した。尾根上は岩が減るが灌木があるので安心できる。

とりあえずここの草付きの登り方も分かってきた。草付きの地面に埋まっている石を探し当てて足を乗せれば割と安定して登れることが判明した!藁みたいな謎スタンスに乗せる時も叩いて崩れないか確認しつつ登ってゆく。

灌木を伝ってゆく。

Kさんはあっという間に上の方まで。私がノロノロ登っているから、上から「大丈夫〜?」と声がかかってきた。ゆっくり登ってるからちょっと待ってて〜と返事する。

途中のテラスで一休み。

再び岩が現れ、快適になる。途中の岩のテラスで一休みし、再び上を目指す。Kさんが「もう稜線だよ!」と声を投げてくる。え?と思って上を見ると、あれ本当だ、もう稜線だ!最後に熊笹を2m程漕いで、11:35稜線へ到着。

俎嵓の左側のコルに出る予定だったが、結果的には俎嵓のすぐ右側に詰め上げた。想像よりも快適だったのでホッとした。最近は毎週沢登りへ行っていたし。その成果もあるはず。

向こう側の景色を覗くと、そこには圧巻の展望が待っていた。しかし風が強く再び熊笹の中へ避難。
しばし休憩して、装備解除して俎嵓のピークを目指す。てっきり藪漕ぎかと思っていたが稜線上はしっかり刈り払いされ道が出来ていた。

本当の谷川岳である、俎嵓へ登ることが出来てなんだかとても感慨深い。嬉しくってKさんと記念撮影した。

俎嵓登頂!

この後、もし時間があれば赤谷川に下降して詰めてから帰ろうと考えていた。Kさんは下降する?と悩んでいたが、下降したら今日中に帰ってこれない気がした。それに稜線歩きも楽しみたいし。Kさんが了解してくれたので、今回は寄り道しないことに決定。

山頂に別れを告げ、いよいよ下山に取り掛かる。まず目指すべきはオジカ沢の頭。風は強いが全方位素晴らしい展望でとっても楽しい。右にオジカ沢、左に赤谷川、どちらも行きたい。赤谷川はスキーでも滑ってみたい!続く稜線は万太郎からトマノ耳、オキノ耳、茂倉岳までバッチリ見える。稜線付近の紅葉はもう見頃を終えている感じだが、晩秋の色に染まる山並みは美しく、来て良かったと心から感じた。

オキ、トマをバックに記念撮影
赤谷川源流と万太郎山。奥に仙ノ倉山が見える。

刈り払いされていたおかげで順調。13:05オジカ沢の頭へ。

俎嵓に別れを告げる。

この後にアクシデントが発生。Kさんが登山道のなんでもないところでスリップして転んだ。どうやら右膝を痛めたとのこと。しばらく歩けなくなり休憩。靭帯痛めていたらどうしよう、と不安がっている。Kさんだけロープウェイで下山して、私が中ゴー尾根下って車回そうか?と提案するも、最後まで歩く!とのことで予定通りのルートを進むことに決定した。

しばらく休憩したら痛みは少しマシになった模様。とりあえず膝サポーターのような感じで右膝付け根に私の手拭いをぎゅっと縛り付けておいた。

13:50中ゴー尾根への下降開始。先行するKさんに調子を聞くと、平坦な道は問題ないが、岩などの大きい段差を降りるときは痛むらしい。とは言いつつ、割と良いペースで下ってゆくKさん。

右に見事なオジカ沢の渓谷を眺めながら下ってゆく。道中の幕岩もまた険しい岩壁で、昔の岳人はここを登っていたというのだから驚きだ。

オジカ沢。大きな滝がいくつも見えるが、本当に遡行できるの!?

16:20、二俣到着。河原で薪集めをしている男性に遭遇。話を聞くと明日オジカ沢へ行くらしい。単独か、すごいなぁ。

河原のゴーロ歩きがKさんにこなせるか心配だったが、ペースを落とさず歩いているので一安心…。
行きで左岸をへつったゴルジュを越えたあたりで登山道に復帰し、後はひたすら歩くのみ。道中少しだけキノコを拝借。Kさんは相変わらずヒルに怯えていて、私がのんびりキノコ収穫中に2匹が靴によじ登ってきたらしく早く帰りたがっていた。ちなみに私は被害ゼロだった。笑

いよいよ日が暮れてしまったのでヘッドライトを装着する。17:40谷川温泉登山口無事帰着。

温泉 & お食事

ふれあい交流館 (11:00 – 21:00※夏季)火曜休み
〒379-1617 群馬県利根郡みなかみ町湯原801 – GoogleMapを開く
大人600円

人数制限しており混雑している場合は入浴に多少時間かかるがそれでも良い温泉。こじんまりしており休憩スペースあり、スタッフ優しくてのんびり落ち着ける。レジ前で売っている野菜がおすすめ。

みなかみホルモン亭 (11:30 – 14:00 / 17:00 – 21:00)
〒379-1613 群馬県利根郡みなかみ町高日向625 – GoogleMapを開く

2回目の訪問。ご飯やら漬物がついてくる「定食セット」に加えてお肉をオーダー。やっぱり肉!美味しい!最高!焼き肉の他にもレバニラや豚キムチなどの一品料理も頼めるが、つい肉に惹かれて今回も食べなかった…。次回こそは!
ちなみに「定食セット」は大中小があり大は白米の盛りがかなり良い。私が頼んだのは中だがこれも1合くらいはある気がする…。笑

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