2021年11月6日(土)
7:50 二ツ小屋隧道 – 8:00 烏川下降 – 10:15 滑谷沢出合 – 12:30 二俣 – 15:10 奥の二俣
2021年11月7日(日)
8:00 奥の二俣 – 11:00 栗子山 – 11:50 三本松沢下降 – 13:15 三本松沢中俣出合 – 14:05 滑谷沢左俣出合 – 15:00 萬世大路合流 – 16:00 二ツ小屋隧道
メンバー : 2人(Waka : ラバー、Kさん : ラバー)ヌメるのでフェルトの方が良い
天気 : 晴れ(両日共)
気温:朝晩は4〜5度、日中は10度
(朝晩はとても寒い。ネオプレーンなどの防寒対策必須。)
先週は、会越の叶津川で紅葉と沢を満喫してきた。
一方で他の山域でスキーを楽しむ山仲間たちも居る。季節はすでに秋から冬へ移ろうとしている。
山仲間のKさんと「今週はどこへ行こうか。」と話し合った結果、朝日連峰の稜線歩きか、栗子山での沢歩きかの二択になった。私が「朝日は雪も無いし、紅葉も終わってる気がする。」関東からはアクセス遠いし、今時期に行くの勿体ないんじゃない?と言ったらKさんも「確かに・・・。」となった。
てな訳で今回は、紅葉がまだあるかもしれないとの希望を持って栗子山に決定。
結局、紅葉はスタート地点の標高から既に終わっていた。完全に冬の様相だったが、沢納めにふさわしい、充分に満喫した2日間となった。
1日目
国道13号を車で走り、東栗子トンネルの手前で右折し萬世大路に入る。ダートな道をぐねぐねと上り、二ツ小屋隧道を抜けた場所で駐車。
(二ツ小屋隧道は部分的に崩落しており、またいつ崩れるかも分からないので二ツ小屋隧道手前の広いスペースに停めた方が適正かもしれない。)
前方に既に1台の車が停まっており、中から地元のご夫婦が現れた。
どうやら山の幸を楽しみに来た模様。私たちが沢登りをすると話したところ、「もう少し奥まで車で入れるよ。」と教えていただいた。
そんな大した距離はないから、まぁいっかと、特に車は移動せずにスタート。
ちなみに今いる「萬世大路」は、歴史ある街道の一部である。今は廃道となっており、道自体の荒廃は進んでいるものの、市民ボランティアの枝払いや草刈りにより歩いて散策できる「廃道の聖地」となっている。
参考: 萬世大路 – 福島河川国道事務所
少し進むと、下に烏川本流が見えたので斜面を下り入渓。
烏川本流は、沢幅広く足首くらいまでの水が穏やかに流れている。
足をつけたらあまりの冷たさにびっくり。外気温4度は侮れない。紅葉を期待してきたのだが、周囲のブナの木々はとうに葉を落としており初冬の装い。
両岸の尾根が高く日陰になってしまう場所も多いが、時折開けた場所では太陽の光が届いて暖かい。
すっかり落ち葉の積もった沢を下降してゆく。穏やかで小さいながらも美しい造形を楽しむ。
全体的にヌメり気味。
防寒テムレスを装着して歩いていたKさんだったが、沢を横断しようとしたらツルッと滑り、小釜にドボン。
腰まで冷たい水に浸かり、釜から這い上がろうとしたらまた滑りそうだったので手を差し伸べて救出。せっかくの防寒テムレスがそうそうに浸水してしまった模様。
あまりにもショックだったのか、真顔だった・・・。
10:15滑谷沢到着。
滑谷沢に入ると、しばらくゴーロ帯が続き、次第に美しいナメが現れた。
穏やかな渓相、左岸に立ち並ぶブナの木々が美しい。
雪国には珍しく、まっすぐと伸びたブナたち。緩傾斜だから雪崩の影響が少ないのだろうか。
道中見つけたナメコやムキタケを少々拝借。
10時過ぎになると、ようやく気温も少しずつ上昇してきて、ほんのり暖かくなってきた。
二俣を過ぎると、穏やかだった渓にも小滝がちらほら現れるようになる。
ナメ滝がとにかくヌメり、神経をつかった。
「フェルトで来れば良かった。」と言う私に対して「ラバーで充分!」と胸を張るKさんだったが、何回かすっ転んでいた・・・。
私もヌメりトラバースにスリップして、一度宙ぶらりんになった。灌木を掴んでいて良かった・・・。
過去の私は「ナメ歩き=優しい」と言う印象を抱いていたが、決してそんなことはない。
ヌメるナメはとても恐ろしい・・・。
そんな訳で恐怖のヌメナメを慎重にヘツリながらこなしていく。
私は右岸を歩いていて対岸をKさんが歩いている。Kさんも一度スリップして灌木掴んで宙ぶらりんになっていたのを目撃してしまった。
恐怖のヌメナメ地帯を越えると、再び穏やかな河原に戻った。
程なくしてCO830m奥の二俣に到着。
二俣の間の台地が素晴らしい幕営適地となっており、今晩はここに泊まることとした。
夕飯は収穫したナメコ、ムキタケでナメコ汁。担いできたおでんの具材とミックス。
顆粒だし、醤油、塩で味付け。私は自分で天然キノコを収穫するのは初めてだ。
初キノコは素晴らしく美味しかった・・・!!
今まで、天然キノコは虫だらけのイメージがあり食べるのに抵抗があったのだが、今回いただいたキノコには虫がついていなかったので安心して食べることが出来た。何より肉厚で美味しかった。
キノコは詳しくないが、今回を機に興味が湧いてしまった。
もっと色々と勉強して詳しくなりたい。
参考: ナメコ、ムキタケ(森と水の郷あきた)
キノコは毒キノコの誤食事故も多くある。私も慎重に勉強しようと思います・・・。
2日目
翌朝、8:00出発。
スタートからしばらくは穏やかな河原を進んでゆく。また本日も外気温4度スタート。
左右の森が近く、とても気持ちの良い場所だ。時折ナメ床が現れ癒される。ヌメるが左右の森が近いので容易に歩ける。
大谷地沢出合からは勢いよく水が吹き出している。迫力のある魚止めの4m滝を形成していた。
そのうちに傾斜が増してきた。
1〜3m程の小滝群をこなしていくが、どれもヌメるのでかなり緊張した・・・。
灌木に頼りながらどうにか突破。
CO1,080m二俣、左俣にはジシカ平沢を分けている。右俣出合は立派な20mナメ滝。
右岸の灌木帯をよじ登って、適当な場所で沢床に復帰。上部にもしばらくナメ床が続いていた。
そのうちにナメも終わり、いよいよ源頭の様相に。細くなってきた本流の右に左にと枝沢が伸びている。栗子山山頂方面へ向けて、なんとなくの方角を定めて詰めあげる。
そのうちに沢型がパタリと途絶えた。
比較的藪が薄く歩きやすかったが、稜線が近くに連れて藪が濃くなってきた。密生していてちょっと大変になってくる。
11:00に栗子山到着。
山頂から南尾根に向けては、綺麗に刈り払いされて道が出来上がっていた。
藪漕ぎを覚悟していただけに嬉しい誤算だ。
山頂では展望が無かったが、稜線を少し南下すると、飯豊連峰や朝日連峰が姿を現した。
飯豊は冠雪していて冬の到来を感じさせる。
見えているダムは「水窪ダム(みずくぼダム)」と呼ぶらしい。静岡県にも「水窪ダム」があるが、こちらは「みさくぼ」と呼称するのでちょっと違う。
南には堂々たる吾妻連峰が見えた。
素晴らしい展望をしばらくKさんと楽しむ。やっぱり稜線歩きが大好きだ。
登山道を辿っていると、なんと笹藪の中にGoPro8を見つけた・・・!
(帰宅後にSNSで持ち主を探したところ、連絡が付き、無事に引き渡すことが出来て良かった。)
稜線歩きが気持ち良くて、あわよくば杭甲山のピークを踏みたい。。。と思っていたが刈り払いはCO1,150m地点から西側に向かって降りており、稜線上には続いていなかった。
藪漕ぎで杭甲山へ至るにはなかなかの果てしなさを感じたので、今回はそのまま三本松沢へ下降することとした。
少し藪を漕いで下降していくとそのうちに沢型に合流。しばらくは落ち葉の乗った歩きやすい下降が続く。
程なくして滝が現れ始めクライムダウンしながら降ってゆく。
一箇所、4m滝の左側をクライムダウンしていたところ、頼りにしていた灌木が根っこごとすっぽ抜けてズザザっとそのまま滑落・・・。
特に怪我はなかったが、最近私の滑落案件が多いことに対して、いよいよ凹んでしまった・・・。
沢では灌木を頼りにした登下降は頻繁にやっている。
今までも灌木の強度には気を付けていたつもりだったが、まだまだ詰めが甘かったのだと実感した。
思い返せば、前日にスリップして灌木を掴んで宙ぶらりんに留めることが出来たが、もし根っこがすっぽ抜けたら大変なことになっていただろう・・・。
叶津川でもターザンとか言って、灌木で振り子トラバースみたいなことやってたし。
灌木に充分な強度があることが前提であるからこそやっている訳で、灌木の強度を正しく見極められないのにやるのは危険極まりない・・・。
私がそれがちゃんと出来なかったのがとてもショックだった。
「次回から気をつければ良い」?
ちゃんと気を付けられるかどうかも分からない。自分に自信がなくなってゆく。
これからどうしよ〜・・・。って感じですわ・・・。
その後も3〜4m程の滝がいくつか出てくる。テンションが下がってしまったものの無事にこなすことが出来た。
右俣出合を過ぎると、ひたすらナメ床が続く。景観としては非常に美しいがとにかくヌメって怖いので私はそうそうに右岸台地に避難。右岸台地は非常に快適!
しばらくヌメナメを歩いていたKさんもそのうち右岸台地に避難してきた。笑
出合は大釜を抱えた2mナメ滝。これから進むべき滑谷沢左俣の上流出合は、おそらく5mはありそうな魚止め滝が出合っていた。
付近はゴルジュを形成しており、ここだけは険しく、今までの穏やかな渓相には似つかわしくない空間。
下流を見やるとゴーロが続いており、本当に出合だけが異彩を放っていることが分かった。
右岸台地からそのまま魚止め滝を高巻き上流に着地。
上流部にはまるで何事も無かったかのような穏やかな河原が続いて、やっぱり出合だけが特別だった。
CO733に釣り師の幕営地を見送ると、やがてナメ床が続く。こちらのヌメ度は低く快適遡行。
そのうちにゴーロ帯になり、河原と萬世大路が並行する場所で、道に車が停まっているのが見えた。
本当は橋から脱渓する予定だったが、ちょっとショートカットして、車を目印によじ登る。
15:00萬世大路へ合流。あとはひたすら歩く。
すでに廃道となっている萬世大路は場所によりボコボコが激しくワイルドな状態だったが、両サイドの木々の枝には切り落とした跡があり、ここ最近でも丁寧に刈り払いがされている印象があった。
しかし「廃道」であることには変わりがない。「歩いて散策」が通常のこの場所で奥まで車を突っ込んでしまう地元民はさすがである・・・。
(私だったら真似できない。笑)
16:00無事帰着。