2024/8/2(金)晴れ
奈良俣ダム駐車地点(6:15)~後深沢出合(10:00)~中深沢出合(11:30)~二俣(12:50)〜Co1860m(15:20)
2024/8/3(土)晴れ
Co1860m(5:20)~稜線(6:30)~至仏山(7:10)~狩小屋沢下降(7:35)〜二俣(11:00)〜橋の下(12:45)〜林道(13:25)~奈良俣ダム駐車地点(16:20)
メンバー : 2人(Waka , Kさん )
装備 : ラバー、 50mロープ(使用せず)
久々の泊まり沢へ、あまりキツくなさそうな楢俣川流域へ。
山行記録
1日目
朝4:30に自宅を出発し、起点の奈良俣ダムへ。入渓まで10kmの林道ウォーキングからスタート。朝一番で気候は快適だ。
私は50mロープを担いでいたが、のっけからペースが上がらない。見かねたKさんが私のロープを持ってくれた。共同装備は全てKさん持ちという申し訳ない状況だ。
「体調大丈夫?洗ノ沢にする?」
「大丈夫。ゆっくり休みながら行けば何とかなるから。」
現在妊娠10週目。このバテの原因が体力不足なのか妊娠なのかハッキリ分からない。私のペースに合わせてのんびり歩を進める。今回のルートは基本的に1泊2日で行けるが、私がこの調子だから念のために2泊想定で食糧を多めに持ってきた。
約10kmの林道歩き。1時間おきに休憩しつつ、ようやく狩小屋沢の渡渉点まで。矢種沢までは道があるんだよ。というKさんの案内のもと林道終点まで進み、いよいよ楢俣川本流へ入渓。
絶賛増水気味で全体的に勢いを増した水が流れていた。
増水している分、渡渉に気をつかう。綺麗なはずのナメ床は流れが強くなっており、うっかり足元をすくわれないよう慎重に横断した。
深沢に入ると水量が落ち着いてくれたのでホッとした。
間もなく前深沢と後深沢を分ける二俣へ。後深沢には立派な滝がかかっている。左壁から登ろうとしたが、ヌメっていたのでさらに左より小さく高巻いた。
出合の滝を越えてもしばらくナメ滝が続き、目を楽しませてくれる。たまーに僅かなヌメりを感じて油断ならないものの、良い感じだ!
程なくして滝が終わり、中深沢出合を過ぎる。
しばらくゴーロが続くようになったので、Kさんが竿を出す。しかし周りの木に引っかかってばかりで上手く振れないようだ。
「テンカラ向いていないのかなぁ…。」
落ち込んでしまったのか竿を畳んでしまった。
まだしばらく穏やかな渓相が続きそうだったので私も竿を出すことにした。
良い感じの釜でヒット。いずれもかなり小さいのでリリース。
見ていたKさんが、羨ましかったのか再び竿を出していた。笑
「全部のポイントで投げないで、木に引っかからない広い場所だけで投げたほうが良いんじゃない。」と伝えたら「確かに狭いところでも投げてたかも。」とKさんが答えた。
その後は2人ともそこそこ良い成果を上げることができた。全体的にサイズはかなり小さく、中には食いついたことに気づかないほど小さい個体までいた。
そのうち、いよいよボサくなったので竿を畳んだ。
Kさんが最後にちょっと大きい個体を釣り上げた。いつもだったらリリースしているサイズだが今晩の夕飯のおかずにとその1匹だけいただくことにした。
上流の二俣は知らぬ間に過ぎてしまったようで、私たちはいつの間にか後深沢の右俣を進んでいた。当初こちらの予定だったので結果オーライではある。
徐々に周囲の木々の背が低くなってゆき、沢幅が広がってくる。しばらくボサいゴーロが続いていたが満を持して圧巻のナメ滝区間が始まる。
見上げれば正面に至仏山の稜線。
難所はなく、ガシガシと標高を稼いでゆく。
やがてナメ滝は終わり、巨岩と滝の連続する区間に移ってゆく。足元は花崗岩から黒々とした蛇紋岩が混ざるようになってきた。
全体的に浮石が多く、ひと抱えもある巨岩がグラっと動くので慎重に。
距離が長いので遡行に時間がかかるかと思いきや、途中のゴーロ区間に助けられたこともありかなり標高を上げてきた。この調子なら1泊2日で帰れそうだ。
振り返れば見事な奥利根の山々の展望。
しかし急登なので疲れる疲れる。何度も立ち止まりながらゆっくり登って行く。
Co1650mあたりから幕営地を探しながら遡行してゆく。地形図を読む限りCo1750mあたりまで斜度がやや緩いのでなんとか見けられるかと思っていたが、いざ登って行くと全然無い…!
Co1800mを超えてからは手分けして探し始める。といっても私は結構疲れていたのでKさんがあっちの斜面やこっちの斜面を偵察に行ってくれた。
頑張れば眠れそうなところはあるが、斜めっていたり、せま過ぎたり、落石に当たりそうだったり良いところがない…。
どうしたものかと思いながら私も登って探す。右手を見上げると、巨岩が目に入った。
可能性を感じたので、巨岩の下まで見にいってみたら、2人なら充分に眠れる平らなスペースがあった。良さそう!
「岩小屋じゃん!ここにしよう。」
後から見にきたKさんも気に入ってくれたようで、今晩の宿が無事に決まった。
Kさんは、私がすごく疲れているのが心配だったようだ。良い幕営地が見つかり安堵の表情を浮かべていた。
周囲をよくみたら、なんと酒瓶が転がっていた。昔、誰かがこの場所を利用したのだろう。
薪も集まり、細々ながら焚き火を楽しむことが出来た。
目前には奥利根の山々の展望。素晴らしい幕営地だ。沈んでゆく太陽、徐々に暗くなる山並みをいつまでも楽しんだ。
2日目
翌朝、4:30起床。快適幕営地だったものの、夜はあまり眠れなくて明け方にウトウトしてきた頃にアラームが鳴ってしまった。
体調が悪い…。
朝ご飯を平らげ、5:30頃出発する。引き続き浮石に気をつけて登って行く。朝一番の沢水はキンキンに冷えていて足を浸けると寒い。ペースが上がらないので休憩しながらゆっくり上がる。
程なくして水が枯れて詰めに差し掛かった。足元にはイブキジャコウソウ、ミネウスユキソウ、タカネナデシコ、キンコウカ、ウメバチソウなど、至仏山に咲く花々がちらほらとお出迎えしてくれる。
時折ハイマツ帯に突っ込むが、足元にある獣道を利用してそこまで苦労することなく標高を稼ぐ。
6:30稜線着。てっきり藪だと思っていたが、露岩帯で快適な稜線漫歩が始まる。
蛇紋岩とハイマツと高山植物の絶妙な組み合わせ。至仏山が百名山に選定された理由がとてもよく分かる、素晴らしく綺麗な景観を楽しんだ。
7:10至仏山到着。
今日は土曜日で一般登山者に登山道外を歩いているところを目撃されのを強く嫌がった私は、Kさんに懇願して早出している。希望通り、貸切の山頂でホッとした。
私には馴染み深い至仏山だが、Kさんは実は初めての山頂だそうだ。しばらく休憩して、狩小屋沢へ下降するために笠ヶ岳方面への登山道を辿る。
多くの登山者に踏まれ、磨かれた蛇紋岩は本当によく滑る。Kさんが「あっちの稜線は全然滑らなかったのに!登山道はこんなに滑りやすくなるんだね。」と驚いていた。
20分ほど降ったところからいよいよ狩小屋沢へ下降だ。ハイマツの中に点在する巨岩の上をうまく移動しながら降ってゆく。浮石が非常に多く大きな岩が容易に動くので油断ならない。
しばらく辿っていると目下に黒い物体。
「熊がいるよ!」
50mほど下方に熊がいるのを発見した。
ビビったKさんが即座に
「ベアー!ベアー!」と大声を出す。
熊はこちらの声にピクリと耳をたて、左斜め下の方に向かって逃げていってしまった。
「なんで大きい声出しちゃうの。逃げちゃったじゃん。」と言う私。もう少しじっくり見守りたかったのに。
「写真撮った?」
「撮れなかったよ。すぐ逃げちゃったんだから。」
Kさんは、大きなクマだったね!と興奮していた。
狩小屋沢の下降は浮石ばかりでなかなか捗らない。かなりのゆっくりペースで多く休憩を挟みながら降って行く。ようやく水の音が聞こえてきて、間も無く沢筋に合流。
沢床は非常にヌメるため慎重にくだる。
そのうち大きめの滝に阻まれるようになるがロープは出さずにどうにか巻き下れる。
更なる大滝の下降を左岸より試みる。ふと下った先の岩を見ると黄色ペンキが付いていて驚いた。ここはかつて登山道だったらしく、その名残だろうか。
登山道になる前、深田久弥が至仏山へ登るためのアプローチに使ったのも狩小屋沢である。
しかし、ペンキが付いているのは滝の右壁のバンドのようなところだ。落ちたらタダじゃ済まないデンジャラス登山道ではなかろうか…。
黄色ペンキのついたバンドを下った後は水流沿いを下った。ヌメるので慎重に。ここは流石に登山道ではないよね…。
狩小屋沢は急なので下降は疲れる。
ようやく巨岩&滝だった渓相の中に癒しのナメが混ざるようになってきた。
二俣まで下降するとさらに渓相は落ち着く。下降するにつれヌメり成分も少なくなってきたので一安心。
しかしずっと歩いていて疲れますわ。私が終始ペースが遅いのを心配したKさんは「次はもっと優しい沢が良いなぁ。」といった。これ以上優しい沢なんてあるのだろうか。「絶対あるさ!探すよ!」と胸を張るKさん。
沢自体の難易度というよりは標高差にやられた感もある。1日の標高差600mで済む沢とかないのだろうか…。
12:45橋到着!とりあえずここから上がって林道の様子を見るも、ボサボサの藪。私もKさんも嫌な予感がしたので、林道は辿らず、昨日渡渉した地点まで引き続き沢下降することにした。
13:25林道到着。ここからさらにながーい林道歩き。午後になって気温が上がったのか、アブがぶんぶん飛び回っている。たまにチクリとやられてしまった。
休憩多めでのんびりと歩いて行く。残り2kmのところでハイエースで入っている工事関係者の方と会話した。流れで「乗っていきます?」と声をかけてくださった。
「良いんですか?!」明るい声音で返答するKさん。
直後に私が「いや、後少しなんで歩いて行きます。」と言ったら、工事関係者の方はブーンと去っていってしまった。
Kさんがなんで断るのー!と不服そうだった。笑
「や、自力下山しなくてどうするの。動力に頼っていいの?!」Wakaは厳しいのだ。
16:20駐車場無事下山。
立ち寄り
みなかみホルモン亭
今年初のみなかみホルモン亭。今日も定食+焼肉の組み合わせ。美味しいです。
帰りがけに店の方が「卵持って帰ります?」と声をかけてくださった。見れば12個入りの卵が置いてある。
「良いんですか?!」明るい声音で返答するKさん。
直後に私が「いや、うちニワトリ飼っているんで。」と言ったら、店の方は「そうなの〜。じゃあ家にはいっぱいあるわね!」と言った。
店を出たら、Kさんがなんで断るのー!と不服そうだった。笑
どうやら焼き肉を食べていた時も他のお客さんと店の方が卵の話をしていたのが聞こえていて、自分たちも貰えるかな?と、どきどきわくわくしていたみたいだ。
そんなことはつゆ知らず。そもそも卵も有料販売かと思っていた。
「残念だね、でも他の人が貰ってくれるから余ることはないよ。」
「Wakaは断ってばっかり!」悔しがるKさんであった。