沢登り下田・川内

破間川 上黒姫沢 〜 守門川 エラオトシ沢

下田・川内

2022年8月21日(日)
6:40 ホテル大自然館跡 – 7:00 上黒姫沢出合 – 13:05 CO1,140mのコル – エラオトシ沢下降 – 18:50 堰堤 – 19:30 上祝沢出合 – 20:20 駐車地点

メンバー : 3人(Waka, Kさん、Nくん)全員ラバーソール

天気 : 晴れ

装備:50mロープ 2本

今週は上越の某沢を予定していたが、直前に天気予報が悪くなった。早朝4:00前に集合場所で相談し守門に転身することに決定。
記録未見の上黒姫沢を遡行し、またまた上流部は記録未見のエラオトシ沢を下降することになった。

※2022/08/27 追記 下山後、調べたところ以下の遡行記録がありました。

エラオトシ沢

1984/09 わらじの仲間 (年報8)

2002/10 童人 トマの風 (年報10)

上黒姫沢

2002/xx 童人 トマの風 (年報10)

2007/05 童人 トマの風 (年報15)

2017/05 童人 トマの風

エラオトシ沢は2019年8月にポムとM氏が途中まで遡行(記録)したのがネット上の記録では初で、その後はちらほら入渓者の記録が見られるがまだまだ静かな沢だ。途中でぶち当たる直登不可な40m大滝があり、現在判明しているのはそこまでとなっている。過去の岳人も同様で大滝上流は「不明」と表記されている。
Nくんが「下降ならエラオトシ沢の全容が解明できるかもしれない!」と言った。その言葉と好奇心はなんとなく成瀬陽一さんらしさを感じた。Kさんも同様にエラオトシ沢に興味がある様子。
下降するにしても懸垂支点があるかどうか分からない。正直詰む可能性もゼロではないが、行ってみなければ分からない!ということで日帰りで突っ込むことにした。

車を1台、下山予定場所にデポして入渓点に移動する。朝6:40にホテル大自然館跡に到着。冬は浅草岳山スキーのスタート地点ともなる場所だ。支度を済ませて、上黒姫沢を目指す。破間川あぶるまがわにかかる橋は板が腐っているのもあり、不用意に足を置けば踏み抜きそうでヒヤヒヤした。高いところが苦手なのでかなり怖かった・・・。

一見平気そうだが、正直だいぶ怖かった。

無事に橋を渡り、河原に下りる。あれ、河原に下るならわざわざ橋を渡る必要無かったのでは?と今更ながら気づいてしまったが時すでに遅し。

本流は雨の影響か増水しているように見受けられた。
7:00上黒姫沢出合。いよいよ遡行の始まりだ。出合からひたすらゴーロが続くが、両岸や足元の地質が面白い。一見すると会越にある緑色凝灰岩のようだが、触ると「泥」だ。ラバーのフリクションが効きづらく油断すると滑る。

会越っぽい青色だが、これは全部泥。

最初に現れた釜付きの4mトイ状滝も見事な泥滝だった。スリップしないように右岸から登る。Nくんのみ水流付近を直登。

見事な滝だが全部泥。
その後は泥ナメが続く

しばらくは泥沢の景観を楽しみながら遡行してゆく。次第に両岸が立ってきてゴルジュの様相になってきた。1m小滝は水路状になっており、ツッパリムーブで突破。男性諸君は余裕そうだが、私は筋力不足の為けっこうキツかった。あと少し距離が長かったら水に落ちていたかもしれない。笑

もはや体幹ゲー

しばらく歩くと水路を抱えた2m小滝が現れる。Nくんが真っ先にロープをつけて突破を試みようとしている。Nくん、泳ぎが苦手だとよく言っているけど、言動と行動が一致していない気がする。笑
結局水線突破は激しい水圧に押し戻されてしまい、まるで可能性が見出せず断念した。

激しい水流になすすべなく

50m程引き返した右岸より高巻き。悪そうなのでNくんリード。なんと途中の岩壁に釘のアンカーらしきものが打ってあり、過去に誰かがここから高巻きしたことが伺えた。草付きの泥斜面を這い上がると上には穏やかなブナの森が広がっていた。右岸台地をゴソゴソ藪漕ぎをして進み、滝を巻いた辺りで10m程懸垂下降をして着地。

進む方向には再びゴーロが続く・・・。現れる滝がどれも個性的なクセに、それ以外はゴーロっていうのがなんか面白い。笑

ゴーロを進む

地形図上でグネグネと沢が屈曲して崖表記がある場所は蓋を開けてみれば、両岸が崩落地のゴーロだった。Nくんが少しだけ残念そうだった。Kさんがどこからかウドを摘んできた。

ゴルジュは無いけどウドがあった

そうして油断していると、また滝で驚かされることになる。次は10mの水鉄砲滝。とにかくすごい水圧だ。滝行ごっこしたら身体に穴があきそうだ。
左岸から巻けそうだがNくんが登りたいと言うので右壁のルンゼを登ることになった。なぜかKさんが「わかリードする?」と聞いてきた。どう見ても手に負えないので遠慮した。

ロープをつけたNくんは、不安定な草付きをうまくホールド、足場にして無事に登り切った。ナイスリード!

水鉄砲滝
草ホールドで慎重に登ってゆくNくん

私はマイクロトラクションを使いつつ完全ゴボウで登ったが、ロープがあるにもかかわらず緊張した。登り切ってNくんに、「怖くなかった?」と聞いたら「んー若干は緊張したかも。」と言っており、大したことなさそうだった。私は結構悪いと思ったけどなぁ。
ラストのKさんはフォローで登ってきた。どうにか全員登り切ることが出来た。

リードする時のNくんはオーラが出ていて、かなり集中していた。不思議と「Nくんなら登れるな」という安心感がある。この圧倒的な集中力こそ、山の強さ・クライミングの強さだと改めて思った。

水鉄砲滝を越えると始まるのは再びゴーロ。そのうち8m滝が現れ、またNくんがリードしたいと言うので、左壁より登った。

振り返ると浅草岳の南に派生している北岳が見える
左壁から登る

次第に沢が細くなり藪がうるさくなってきた。腰をかがめて、藪のトンネルをくぐってゆく。右に左に枝沢を辿り、13:05コルに到着。

私もKさんも寝不足でずっと辛かったが、コルへ到着した安心感からか少しは体調も回復したので予定通りエラオトシ沢を下降することになった。

マイヅルソウが密生していた

しばらくはゴーロ基調の快適な下降が続く。この下にどデカい大滝があるなんて到底考えられない。そのうち6m滝に阻まれるが、右岸に丁度良い立木があり快適に懸垂下降。

手頃な立木があり快適に懸垂下降

さらに6m滝が続き右岸の灌木伝いに巻き下る。滝を振り返ると段々になっていて快適に登れそうな滝だった。今のところ順調だ。

Nくんがいつも滝の落ち口ギリギリに立つので見ていて心臓に悪い
巻き中に見つけたブナの巨木

しばらくゴーロが続く。流木が多く沢はやや荒れ気味だ。二俣を過ぎ、スリップに気をつけながら下降していると目前に空が広がった。ついに来たかと思い、そろりと近寄ると、やはり大滝の落ち口だった。

ついに大滝

最初は右岸から懸垂下降するつもりだったが、数m懸垂して様子見をしたNくん曰く、滝壺の水線直下に着地して激シャワーになりそうとのこと。
左岸の灌木を利用して懸垂下降をすることにした。Nくんが無事に着地して私が下降に取り掛かる。少しずつ降ってゆくとすぐに身体が宙に移動した。久々の空中懸垂だ!身体の向きが制御できなくて自然にクルリと身体が回る。あまりの高度感に「こわっ!」と叫んだ。自分の真横を落ちる滝は見事で、私だけの特等席で絶景を眺めている気分だった。

大滝は2段構成になっており、下段は足を壁に付けながら下降することが出来た。Nくんの元まで無事に着地。ATCを外してKさんに合図をした後に改めて大滝に向き直る。下段は3条の流れになっており迫力満点。両岸も滝自体も脆い泥壁で、登るなら絶望を覚えそうな様相だ。Nくんがニコニコ顔で嬉しそうだった。当然私も興奮している。この素晴らしい大滝を見ただけで、充実感は極めて高く上昇した。続いてKさんも下降を初めて、空中区間ではやはりクルクルとまわりながら私たちの元へ降りてきた。

素晴らしい2段40m滝

ロープを引っ張るも何故か引きが悪くて苦労したが、どうにか無事に回収。引き続き下降に取り掛かる。

本当に素晴らしい滝です

流木の散見される荒れたゴーロを少し進むと次第にゴルジュの様相になってきた。

泥っぽいゴルジュ

そのうち再び空が見えた。そして、2つ目の大滝が現れる。

大滝の落ち口から1段降りる
ゴルジュ内を屈曲しながら水が落ちている

次の滝は周囲に灌木が無く、容易に懸垂支点が見つからない。左岸の急斜面の草付きを10m程トラバースしたところに1本の灌木が見えた。もはや支点の候補はそれだけだった。Kさんがロープを引いてトラバース。残る2人も後に続く。目的の灌木にビレイポイントを作るが足場が悪く、Kさんはハンギングビレイ状態。もう1つの灌木と合わせて2つ支点を取ってはいるものの、これらに3人の全体重を預けるのがなんとなく気が引ける。私はなるべく斜面に立っていたが、左足の脹脛が攣りそうだった。

50mロープを連結して下へ放り投げるも、上手く投げれず。Kさんが「ロープ解きながらいくよ。」と言って懸垂下降を始める。灌木にKさんの重みがギシギシと伝わっている。もしすっぽ抜けたら全員もろともだなぁと嫌な想像を膨らませながらもKさんの合図を待つ。しかしいくら待てども合図がこない。無線で呼びかけるも応答なし。Nくんと心配していたが、そのうちKさんが再び登り返してきた。何事?!と思ったら、ロープが絡まって降れないから登り返してきた!とのこと・・・。Kさんが団子のようにぐちゃぐちゃに絡まったロープを抱えている。あちゃぁ・・・。とりあえずNくんと私でロープを解き、次のトップバッターはNくん。絡まることなく順調に行った。

続いて私が下降を始める。次もまた見事な景観で、特等席から大滝を眺める。ロープは滝壺へ降りていく。

素晴らしい眺め

一瞬ギョッとしたが、うまい具合に滝の裏側に着地することが出来た。

大迫力!
無事に懸垂下降出来た。寒い!

滝の下で解除し、Nくんの元へ。続いてKさんも無事に降りてきた。

今度はロープは順調に引けて、スムーズに回収できた。ロープが絡まってしまったのは失敗だった。結構なタイムロスだった。やっぱり横着は良くない。時刻を見たら既に17:30をまわっていた。足早に下降を開始する。

ここらから、渓は深いゴルジュの様相を見せてきた。相変わらずゴーロや流木が目立ち沢床は荒れ気味なものの両岸を見事な高い泥壁が囲む。日没が近いというのに、全員悠長に景色に見惚れている。
もう核心部は終了したようで、後は支流の滝を眺めながら快適に下降。

美しい釜が現れた
支流が見事

18:50堰堤到着。ここでヘッドライトを装着。日没近いと言うのにアブに集られてゲンナリ。堰堤左岸の不明瞭な踏み跡をしばらく辿り、2つ目の堰堤を過ぎたところで再び河原に着地。既に辺りは真っ暗で、ライトで照らしながらなお河原を歩き続ける。

19:30上祝沢出合到着。駐車地点まであとひと頑張りだ。もはや私は虚無の状態だったが、ひたすら頑張り続けた。50分程遡行を続けて、ようやく目前にゴールの橋が見えた。

日没迎えて真っ暗だけど、楽しそうなKさん
残業

道路に上がりアスファルトを踏んだら、急に安心感が湧いてきた。
長い1日がようやく終わった・・・。20:20駐車地点へ無事下山。日帰り山行なのにまるで1泊2日したかのような充実した気持ちで満たされた。

【遡行図】

遡行図
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