2024/7/29(月)(晴れ) 古峰山登山口(6:05)~入渓(6:20)~Co790m二俣(8:10)~上部スラブ帯(11:50)〜稜線(13:00)〜登山道合流(15:45)〜古峰山登山口(16:45)
メンバー : 2人(Waka , Kさん )
装備 : ラバー、 30mロープ
妊娠発覚してから初の沢登りへ。沢自体も1ヶ月ぶりである。
7/24に二度目の妊婦健診を終えて、お腹の子どももすくすく元気に成長中と確認できた。またお医者さんに色々アドバイスも頂き、つわりも落ち着いたので無理のない範囲で山へ行くことにした。
比較的手頃な日帰り沢で、泳ぎがないところを検討した結果、家から近い巻機山の米子沢か姥沢川南ノ入り沢右俣が候補に上がった。姥沢川は数年前、私がもっと初心者の頃に行こうとしていたところである。米子沢はKさんはすでに登ったことがあるので、今回は姥沢川へ行ってみることにした。
後々に決してゆるい沢ではないことを思い知らされることとなった…。
山行記録
朝5:00過ぎに自宅を出発し、6:00前に起点の古峰山登山口に到着。
古峰山ってどこ?って感じだが巻機山の前衛峰であり、昔は古峰山から巻機山へ登る登山道があったとか。地元の人には愛されている山である。
支度を済ませて6:05登山開始。最初に姥沢川を渡渉し、続く登山道を辿ってゆく。右岸を進む登山道が南ノ入り沢に近づき沢のせせらぎがすぐそこで聞こえる。ここから簡単に入渓できそうだ。
「ここから入渓する?」
「上流の沢を渡渉するところからで良いんじゃない?」
Kさんはもっと登山道を歩きたそうだったが、私が「ここで入ろう!」と言ったので従ってくれた。
入渓すると、非常にボサい沢がお出迎え。両岸から藪が覆いかぶさり、のっけから源頭の様相&藪漕ぎ。枝を片手に蜘蛛の巣を払いながら進んでいく。
「これは、判断を間違えたわ。」
「もう少し登山道を歩いた方がよかったね。」
Kさんは怒らずにそうこたえてくれた。
早く沢へ入りたい気持ちが先行してしまった。快適な登山道が恋しい。結局、上流の登山道の渡渉点まで、藪漕ぎ沢登りは続き、両岸に赤テープのある渡渉点を越えてからも藪は続いた。
1ヶ月ぶりの沢登りだからか、今日の私は結構疲れやすい。普段よりも多めに休憩をとってのんびり遡行してゆく。あと、妊婦は生水よろしくないらしいので、今日は水筒に水を入れて持ってきた。普段より喉が乾く気がする。でも、久々に沢を歩いて楽しいと思った。今日来てよかったなぁと思った。
水量は思っていたよりも多く、ヌメるものの、思ったよりも問題ない。でも、秋はもっとヌメりそうだ。Co650あたりからようやく沢幅が広がってきて、ナメ床が現れるようになってきた。
間もなく、Co700mからナメ滝のお出ましだ。白く磨かれた花崗岩のスラブ滝が非常に美しい。
そこからはひたすらスラブ滝が続いてゆく。ヌメらない場所を選んで登ってゆく。Kさんは普通に登っているが、スラブ自体、けっこう突起が少なくてスベスベしているのでなかなか怖い部分もある。
振り返ると塩沢の街並みが見下ろせた。素晴らしい展望にしばしの癒しタイム。
最初こそ、段々になっていて登りやすかったものの、次第に傾斜が立ってきて、垂直で登れない滝が増えてきた。適宜判断して右岸か左岸から小さく高巻く。斜度がある上にチシマザサの藪が鬱陶しくて筋肉を使う。筋肉系の巻きばかりでなかなか消耗する…。なんかこの沢「藪」成分多くない?笑
次なる滝。Kさんが「ヌメりそうだから巻くか。」
「いや、磨けばイケるでしょ〜。」とKさんを無視して挑戦する私。確かに水流は磨けば乗せられたが、左足を乗せた乾いているスラブが意外とヌメった、あっと思った瞬間にWaka、ちょこっと滑落。両足の大腿四頭筋をフルに使い着地する。我ながら人生で一番安定した着地だったかも。
しかし顛末を目撃したKさんは「大丈夫?!」とお腹の子をめちゃめちゃ心配していた。お腹は問題なさそうでホッとした。しかし母としてあるまじき愚行で大反省。本当に気をつけます…。
一瞬気がおかしくなった私だが、その後は安全なルート取りをして登ってゆく。
やがて水流が少なくなってゆく。
今日は昼ごろから降雨予報だが、空を見るかぎりその気配はない。最近の南魚沼市の天気予報ははずれまくっているが、今日もそうだったようだ。
ボサをひと登りすると心地よい草原に飛び出した。足元にはモウセンゴケが自生している。
ひとしきり景色を楽しみ、ここからは下山予定の尾根に向かって進路変更。トラバース気味に目指してゆく。スラブ帯から外れると、チシマザサの藪に突入する。雪国らしい太く鋭利な竹が行手を阻むように自生しており難儀する。枯れたチシマザサが、ときおり頬や瞼を引っ掻きギャッ!と悲鳴をあげる。
チシマザサの藪をトラバースは禁忌ですわ。やってはいけない…。
尾根にほぼほぼ乗ってきた時、足元にポッカリと獣道のような踏み跡が現れた。
「もしかしてこれ登山道かな?!」Kさんの明るい声が聞こえた。
古峰山から巻機山に続くかつての登山道。もしかして合流したのかもしれない。
「そうかも!」
今までの猛烈なチシマザサから早く解放されたかった。この踏み跡を辿ってみよう!となった。
しかし、辿っていると次第に違和感が大きくなってくる。
「これ、ただの沢型かなぁ?」
GPSで確認すると、先ほどよりも尾根の頂点から離れている。
「踏み跡無視して、一回尾根の真上に出た方が良いんじゃないかな。」
Kさんもその意見に同感。再び尾根に向かってトラバースをかける。さっき、踏み跡を無視して尾根に出ていれば…。あと10m我慢して藪漕ぎしていれば今頃尾根の上だったろう。あの時横着したのを後悔した。
少し標高が下がったら、チシマザサの中に灌木が生えてきて、空中歩行タイム。枝から枝へ綱渡りのように乗り移り移動する、一度落ちれば藪の底。
そして、展望が開け、前方に金山沢が見えてきた。ついに尾根に乗った!
先行していたKさんが、尾根に上がった私の顔を見てニヤニヤしながらカメラを向けてきた。
「何を撮ったの、見せて。」
顔も首も薮で傷だらけ。ヘルメットもズレて、髪の毛も藪が掻き回してボサボサに乱れて、満身創痍の私が映っていた。
Kさんが金山沢側の斜面を見下ろして、5mほど下に見えている踏み跡のようなものを指差す。
「あれ、登山道かなぁ?」
「そうかもしれないねー。でもまたルート外すから廃道は無視して尾根を忠実に辿った方が良いでしょ。」
もう不必要な藪漕ぎはうんざりである。Kさんも同意で、ここから尾根を忠実に下ることにする。
廃道ってタチが悪いんですよね。道があるんだー、歩いて楽したいなって気持ちがルートロスに繋がってしまうから。なんなら私の今までの道迷い事案は全て廃道絡みである笑
廃道には期待しない。探さない。私たちは藪尾根を歩いているのだ。あればラッキーくらいの気持ちでいこう。
しばし休憩して、下降を再開する。
藪に突入したと思ったら、足元の藪がなくなる。もしかして登山道?と思ったが深く考えるのはやめた。歩きやすい踏み跡があってラッキーだなぁと思った。
歩きやすい踏み跡は突然消えたり、また現れたりを繰り返す。意外と尾根の下降は大変で疲れる。チシマザサ・トラバースよりマシとはいえ、まだまだ藪漕ぎからは解放されない。
そのうちにチラホラと青テープや赤テープが散見されるようになった。たまに参考にしつつも一番は周囲の地形を見て判断する。
ボーッとしてると、あらぬ方向に進んでしまうので、その度にお互いに注意し合って軌道修正する。
いつの間にか尾根を外してたり、そのまま直進して支尾根に入ってしまったりする。気の抜けない尾根下降である。Co1250あたりで、あれ?尾根はずれてない?と再度思ったがここらは尾根が広く複雑なようだ。のっぺりした見通しの悪い地形ではあるが落ち着いて行動する。注意喚起のように青テープが大量に巻いてあり、導かれるように下ったら、再び尾根の形が明瞭になってゆきホッとした。
下降していくにつれ、尾根は険しくアップダウンが多くなってくる。かなり急な下りがちらほらあった。たまに振り返りると、下ってきた尾根の険しさに驚かされる。たとえまだ登山道があったとしてもここのルートは一筋縄では行かないだろう。
歩いていると以前下った奥利根の水長沢尾根を思い出す。ここの場合は、すぐ近くに塩沢の町が見えているから、たいして山奥ではないのに、気持ちは山奥にいるようだ。
Kさんも私も次第に疲れてきた。Kさんが私のことを心配するが、「大丈夫だよ。」と答えた。筋疲労はあるが、心肺は余裕がある。ゼィゼィと息切れしてしまうなら、そんなキツい山行は今の私はやるべきではないと思うが、今のところ軽く息切れする程度だ。ここまで藪漕ぎしたのは正直想定外だったが、休憩多めで一応問題なく歩けている。
15:45、ついに登山道へ合流。ここからは歩きやすくなる。ちょうど、尾根方面と姥沢川方面に降りる道の分岐でもあった。
地形図上では、この場所に登山道表記がなく姥沢川の道がどこに続いているか想定できなかったため、尾根を進むことにした。
16:00、古峰山の1つ東のポコ付近にある分岐に到着。ここから姥沢川へ下降する。登山道は落ち葉が非常に堆積しており不明瞭。木々には赤テープが付けられているが足元はただの斜面だ。結構悪くない?
赤テープは真下ではなく東の方にずっとトラバースするように付けられている。
私もKさんも(この赤テープはどこに続いているのか…。)と不安に駆られる。
Kさんが不審に思い、少し引き返して周囲の観察。真下には心地よさそうなブナの森が広がっており、Kさんが興味を惹かれていたので
「こっちのブナの森下っちゃってもいいよ。登山道ではないと思うけど。」と答えた。
Kさんも同意で、ここからは赤テープ無視でガンガン下降をする。
ブナの森はやはり綺麗で心地よかった。
やがて沢の音が近づいてくる。最後の方は、やや急なので灌木をつかみながら降り、無事に沢床に着地。
沢下降は藪っぽくてもう嫌なので、そのまま渡渉して対岸の杉林に入る。適当に歩いていたら、今度こそ本当の登山道に合流。あとは快適に歩き、16:45無事下山。
〈後日談〉
古峰山の登山道を調べていたら、どうやら最初の分岐から降りるのが正解だったようだ。私たちの下降した分岐はほぼ歩かれておらずかなりのマイナールートだったことが判明した。
「どうせ、行けば分かるでしょー。」と事前調査しなかったのを反省。地形図上の徒歩道表記と、実際の登山道が異なることはよくあることなのに…。山中で電波入ったのだからその場でヤマレコなりYAMAPなり調べればよかった…。そして入渓点はCo630がベストだったかも、と気づいてしまう。まぁ色々盛りだくさんの日帰り沢登りで楽しかったので、良かったです!
立ち寄り
ますみ食堂
〒949-6773 新潟県南魚沼市津久野下新田196−1 (Google Map)
地元の定食屋さん。食べたい定食が一通り揃っていて、量も多くて、美味しいです!