2024/6/19(晴れ) 林道終点(7:50)~キンカ沢出合(8:40)~稜線(9:40)~高倉沢出合(10:45)~稜線(14:50)~幕営地(15:25)
2024/6/20(晴れ) 幕営地(7:30)~稜線(8:50)~大深沢(9:25)~林道(11:10)~稜線(12:10)~羽根川出合(13:20)~林道終点(14:00)
メンバー : 2人(Waka , Kさん)
装備 : ラバー、 ロープ8mm×30m
1泊2日の沢旅。今回はKさんの提案で黒又川の支流を歩いてみることに。地形図上でルートを辿ってみると地味オブ地味…。でも山は行ってみないと分からないので、細かいことは考えず、いざ現地へ!!
1日目
羽根川キンカ沢~黒又川西ノ沢下降
林道終点に車を停めて、羽根川の右岸徒歩道をひたすら歩く。これから向かうキンカ沢は黒又川へのアプローチとしてよく使われている。徒歩道は少々藪っぽいもののおそらく通行者は多いようで、明瞭で歩きやすかった。
大萩沢出合を見送り、次の顕著な出合がキンカ沢。沢は小さく水量も少ない。ヌメりに注意しながら小滝を超えてゆく。途中で枝沢を間違えたのか、コルより北に詰めあがりそうだったので少し南へ向けてトラバースしてリカバリー。無事、藪尾根に立った。
下降の西ノ沢は、小滝が多少あったものの、懸垂下降するようなポイントはなく、快適に下降。やがて東の沢へ合流し、遡行予定の高倉沢へと出合った。
東の沢も、高倉沢も思っていたより水量が少ない。このまま黒又川本流まで行ってみる?という話もあがったが、本流まで距離があったので予定通り高倉沢を遡行することにした。
黒又川高倉沢
高倉沢は穏やかな形相。竿を出しながらのんびり遡行してゆく。
Co515付近にてなんか悪そうな釜付きの1m滝が現れた。Kさんが側壁を少し登り、引っかかっている倒木に上手く乗り移り、滝上へ。私も真似して倒木へ乗り移ろうと試みるが、ツルッツル!!開脚したまま地面に落下する未来が見えたので、そうそうに諦め正面突破を試みる。腰まで浸かりながら直登したら意外と簡単だった。見上げると、右岸側壁の上部にハーケンで固定されたお助け紐がぶら下がっていた。どうやってあんな上部に?使用用途が不明だったが、ここの1m滝も水量によって様子が異なるのかもしれない。
1m滝を皮切りにプチゴルジュ空間が現れた。「緑の回廊」といった感じで、美しい。
滝がちょこちょこ現れるが、どれも快適に超えてゆく。
時刻は14:00を過ぎた。思いの外、快調に高倉沢を遡行できたので、今日中にハマコ沢へ下降してしまうことにした。
黒又川ハマコ沢
下降して辿り着いたハマコ沢は、高倉沢よりも水量が少なくて藪っぽい!
確かに地形図上では高倉沢よりもハマコ沢の方がスケールが小さく集水域が少ないのが読み取れる。
時間も夕方に近づいてきたので、流石に幕営地を探さないといけない。
地形図を確認すると、少し上流に水線が屈曲しているところがある。傾斜が無い場所では、水がより低い位置に移動しようとするため、流れがグネグネと蛇行することがある。もしかしたらここは河原とか、何かしら平らな場所があるかもしれない。とりあえずここまで進んみて、適地がなさそうだったら、引き返して、出来そうな場所で無理やり幕営するしか無いと思った。
15:30、狙っていたポイントで良い感じの台地を発見。小さい沢型になっていたので、とんでもない大雨の時は水が流れてくるかもしれないが、今日は平気だろう。
幕営適地が見つかって一安心。私がタープを張り、Kさんが焚き火を起こしてくれる。
落ち着くと、疲れが一気にきてうとうとしてしまう。水の流れる音が心地よい。山の恵みをいただき、眠りについた。
2日目
黒又川ハマコ沢
のんびり起きて7:30遡行開始。
しばらく遡行していると、二俣でピンクテープを発見した。導かれるように右俣へ進んでゆく。その先のピンクテープは幕営適地と思われる場所に目印のようにくくりつけられていた。この辺りも釣り師が入っているのか。
やけに水が細く、辺りが源流の様相になってきた。不審に思い地図を確認したら本流を逸れて支流を進んでいることに気がついた。沢床はひたすら歩きやすく、まさに「登路」のようだったがここから詰めると大深沢をほとんど歩けなくなるので、本流まで引き返すことにした。
二俣出合より手前で小尾根を乗っ越して本流へ。ここにも謎のトラロープが垂れていた。
本流も綺麗な渓相で、花崗岩の小滝が続く。
トイ状滝が多く、ムーブの引き出しがない私はツッパリムーブ連発。3回ツッパリすると、身体中が疲労に包まれる。まだまだトレーニング不足ですな。
そのうちに悪そうな5m滝が現れたので左岸から高巻きがてらそのまま尾根に詰め上がった。
深道川大深沢
尾根をのっこして枝沢を下降する。枝沢はひたすらのっぺりした花崗岩の急峻なスラブが続き、ジャリジャリと砂が滑りやすい。横の灌木を掴みながら慎重に下降してゆく。
この雰囲気だと、本流との出合が10mとかのスラブ滝になってるパターンとかありそう。嫌な予感を感じつつも下降してゆくと、出合近くは土砂崩れのような雰囲気で、枝沢の足元はふかふかの土に変わった。そして出合には巨大な雪渓…。シュルンドが開いているわけでもなく、思いの外簡単に着地できてホッとした。
ここは標高550mだというのに、まだ雪渓が詰まっていることに少なからず驚いた。
大深沢もまた「緑の回廊」と呼ぶにふさわしいゴルジュが現れる。綺麗だなぁと思いながら下降してゆくと、2段の滝が登場した。
降りられる…かな?
Kさんが「見てくるよ!」と先行していった。そのうちに滝壺へ無事に降り立つKさん。
「いけるよー!」
上段を慎重に降り、続いて下段…。ってえぇーこれ降りるの?!超スラブですけど。
Kさんに確認したら「そこだよ。」って。
途中までは突起に乗りながら降りられたが、途中から突起がない!もちろん持つところも無い。ほぼ垂壁に見えるんですが。
「マジでここ?!」
「足のフリクション信じて!」
何回か足を置いたり戻したり。立てる自信がなさすぎる。
ここまで来たら、いっそのこと滝壺へ飛び込んでしまうのが楽だが、時間もあるしせっかくなので勇気を出してチャレンジしてみる。意を決して水流の右壁にそっと足を置く。この斜度でホントに立てるのか。すごく怖いが、スラブたるものビビって腰が引けては絶対立つことができない。つま先の直線状に膝、腰をちゃんと入れて重心をまっすぐにして…。
…無事、降りることが出来た。怖かったけど嬉しい!!
振り返って、頑張った自分!と思った。この滝、登るのも悪そうではないか。
ホッとしたのも束の間。大深沢のゴルジュはその名の通り「深い」ようだ。小滝を下った先に、次のトイ状滝が現れる。下れなくもなさそうだが、絶妙に外傾しているバンドに砂利が乗っている様子が悪そうで、懸垂下降をする。
ちなみにKさんは今回の沢旅でハーネスを忘れてしまったようだ。この滝は問題無さそうとのことだったので、そのままゴボウで降りていった。恐るべし腕力…。私は安全第一でATCで懸垂下降。
次の滝も厄介で、引き続き懸垂下降。Kさんは簡易ハーネス&ムンターヒッチ。ダイニーマスリングしか持ち合わせてないので、色々食い込んで痛そうだった。
今回は捨て縄をたくさん持ってくるのを忘れてしまい、残り2本。この先不安に駆られる。
次のトイ状滝はザックとお尻のフリクションで、ずりずり降る。
程なくして渓相は穏やかになり、ゴルジュを無事に抜けることができた。
まもなく出合った枝沢より大深沢右岸道路を目指す。本流がなかなか面白い渓相だったので、さらに下流まで行ってみたかったが、時間の都合で予定通りとする。下流にはまたいずれ訪れようと思った。
枝沢は意外と連瀑になっており、面白い。右岸道路まであと少しなのに、上流には手強そうな滝が見えている。下段の3連続の滝を一気によじ登ると、身体がそれなりに疲れた。
上流でツルツルの2m滝があったのでKさんをショルダーで上げて、私はお助け紐をもらって突破。
最後の手強そうに見えた滝は、よく見れば蛇篭が積み上げられた滝だった!今までにこんな滝は見たことがないぞ。先に登ったKさんが、ニコニコと可笑しそうな表情でこちらを見下ろしている。私も段々の蛇籠滝をよじ登った。
小学生の頃にフェンスをよじ登って遊んでいた頃の記憶が蘇ってきてしまった…。
大深沢のフィナーレを飾る7m蛇籠滝を登った先は、廃棄物の山。災害で流れたものがここに堆積してしまったのだろうか。なんとも異様で、環境破壊著しい場所だった。
私の核心部は道路に這い上がるところだった。コンクリートの段差が胸まであり、Kさんはヒョイっと上がってしまったのだが、私には同じ動作ができない。運動神経が悪いのだ。仕方ないので道路脇の縁石に180cmスリングを引っ掛けてA0することで事なきを得た…。
廃道歩き
大深沢右岸道路を登ってゆくと、程なくして道は藪に閉ざされる。
下方からは道路工事の音が響いてくる。藪から覗き込むと、工事車両が道路を整備している様子が見下ろせた。大深沢右岸道路の下部は今もなお人の手で修復が行われているようだが、その目的は不明だ。
藪に覆われた廃道を進んでゆくとちょうど沢筋のところが土砂崩れで大きく崩落しており、2度土崖のトラバースを行った。2回目はまるで自分がカモシカになったような気分だった。なかなか怖かった…。
Kさんに尋ねたら南アルプスの栗代川林道の方が大変らしい。廃林道ってかなり危ないくせに、全く綺麗ではないから、メリットがまるでない。仕方なく通過することはあるだろうが、怪しげな廃林道は今後もなるべくお近づきにはなりたくないと思った。
藪に閉ざされた林道を虚無の心境で進むと、ようやく尾根に出た。ここから尾根の反対にある小羽根沢へ下降してゆく。これで藪から解放されると思うとホッとした。地形図状では尾根上に徒歩道マークがあるが、そのようなものは一切なかった。
羽根川小羽根沢
ここまで来ればゴールは近い。小羽根沢の出合はまるで家族キャンプに向いてそうな穏やかで雰囲気の良い場所だった。ここまで道具持ってくるの大変そうだけど、キャンプ良いかも笑
羽根川を堰堤まで下降し、右岸の徒歩道より林道に復帰。
14:00無事下山。
地味オブ地味なルートだったが、充実の2日間だった!行ってよかった。Kさんありがとう。