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尾瀬・南会津沢登り

袖沢 南沢 小屋場沢〜大殺山〜本沢 秋の沢登り 後編

尾瀬・南会津

2023年10月24日(火) 晴れ
二ノ沢出合(6:35) – 小屋場沢出合 (7:20) – 大殺山だいころしやま (10:45) – CO1235mピーク (12:00) – 本沢下降 – 50m大滝上 (14:15) – 50m大滝下(16:10) – 南沢合流(16:50) – 二ノ沢出合(17:20) – 駐車地点(19:25) / 行動12h50m

■大殺山について
『地図の友 Vol.40 No.4』, 地図協会によると大根下山(だいこんおろしやま;大殺山)とある。
袖沢北沢支流も『渓谷』6号《特集・奥只見の沢》ではダイコンオロシ沢とあるが、地理院地図ではダイコロシ沢と転じている。
「だいこんおろし山」が転じて「だいころし山」になったと考えるのが妥当だろう。

メンバー : 3人(Waka , Kさん , tuffさん )

装備 : 全員ラバー靴、 ロープ8mm×30m

袖沢林道にベースキャンプを張り、日帰り2本で沢の遡下降を楽しんだ。

前日、二ノ沢〜白戸山〜一ノ沢を遡行。今日は少し奥に進み、小屋場沢と本沢の遡下降に取り組む。

本沢の地形が急峻で嫌な予感がしたので、Kさんとtuffさんに「本沢の下降は30mロープで足りるかな?絶対巻きづらい大滝あるでしょー。」と聞いたのだが、男2人は「多分大丈夫でしょ!」と謎の自信があるようで、山行計画はそのまま実行となった。

山行記録

朝食ののち、6:35登山開始。もう10月下旬、朝イチの沢水はツメタイ!

本沢出合にて本沢の様子を伺うも、左岸に高く起立した岩壁の連なりが見えるだけで大滝の様子は分からない…。男2人はやはり「大丈夫でしょ!」と謎の自信。心配が拭えないが、そのまま山行を継続。

南沢にかかる取水施設を越えると間もなく小屋場沢出合。若干ヌメる4m滝がお出迎え。

最初の滝

右壁からわずかな窪みを頼りに登ってゆく。綺麗なナメ滝を越えると、早速大きめの20m滝が現れた。tuffさんは直登。私とKさんは左岸巻き。

20m滝+2段20m滝
なんの迷いもなく20m滝を登り始めるtuffさん

2段20m滝を越えると、奥にどでかそうな滝が見えて「おっ?!」となる。

要塞のような、実に見事な30m大滝だ。

素晴らしい!

滝に近づく。私の実力では直登は無理。笑

迫力がある

高巻きルートを探るが、弱点が見えない…。とりあえず右岸を上がり、岩壁途中のバンドらしき所をブッシュを使いながらトラバースして上がれるかな?という話になったが、実際に近づいて様子を見ると悪そうだ。
左岸を岩壁上まで大高まきするしかなさそうだ。いざ、覚悟を決めて登り始めると、都合よく灌木がつながっており、楽に高度を稼ぐことができる、適当にトラバースをかけたらあっさり滝上へ!
見た目がイカつい割に簡単だった。笑

上流は渓相が落ち着き、癒しの時間が始まる。地形図としても等高線がゆるくなったので、大滝はなさそうだ。

落ち口に出た
ここから癒しの渓相

アクセントのように緩い滝が現れて楽しい。(ただしヌメる。)
そのうちいよいよ斜度がなくなり平らなナメが長く続くようになってきた。

歩いて登れる
そのうち真っ平らなナメへ

水量が少なめで、昨日よりもヌメる沢床に、怪我せず下降できるか心配だったが、ここまで来たら戻ることができないので、もはや思考を止める。

色々とキノコちゃんが出てきたが、パッと見食べられそうなものはなくスルー。

ブナサルノコシカケ
ラッパタケ系?分かりません
ハナビラニカワタケの幼菌かな

藪を漕ぎ、10:45大殺山だいころしやま到着。

大殺山登頂!

なんと物騒な名前。最初はダイサツサンかと思っていたが、おそらくダイコンオロシが転じてダイコロシになったものと思われる。そう考えるとなんか可愛い。笑
昨日の山行と同じ感想になってしまうが、まさかこのピークに立てるとは思わなかった。来て良かった!

平ヶ岳
荒沢岳と越後駒ヶ岳

しばし景色を堪能し、本沢へ下降するために少しだけ稜線縦走する。思っていたより藪は薄く快適。あちこちに露岩があり、2回懸垂下降することになったのは意外だった。ちょっと西上州感があった。

まさかの藪岩魂!

CO1235mピークから本沢へ向けて下降。上流から水量が多めで、予想よりヌメらず幸いだった。ブナに切りつけがあり驚いた。昔は片貝沢から尾根越えして本沢上流に入っていたらしい。

ブナの切りつけ
落ち葉に彩られた沢床

そのうちクライムダウンが難しい滝が現れたので懸垂下降。

8m滝懸垂下降
下部が抉られている柱状節理

この辺りからポツポツと滝のサイズが大きくなってくる。左岸から合流する支流の奥には立派な滝がかかっていた。

支流の立派な滝!

順調に下降してゆく。このまま出合まで何事もなければ良いな…と思った。
ついに懸念している場所へ。

足がすくむほどの高度感、周りを取り囲む高い岩壁。まごうことなき大滝だった。

あひゃー

さて、どうやって下降するか、だが右岸も左岸も岩壁である…。
はるか下に何にもない河原が見える。あぁあそこにワープしたい。

50mロープ2本持っていれば…、いやせめて50m1本でもあれば良かったかも。
この大滝を前にして30mロープ1本では、出来ることが限られてしまう。

左岸の様子

とりあえずKさんが滝の右壁を懸垂下降して様子を見にいくことになった。あわよくば15mずつピッチを切りながら下まで着地できないだろうか。

Kさんが懸垂下降をしている間にtuffさんと作戦会議をする。
①上流の二股まで引き返して支流を遡行し岩穴沢左沢から下降する(岩穴沢に大滝は無いらしい)
②左岸尾根に乗り上げて尾根を藪漕ぎして末端から下山
③右岸尾根を乗っ越して小屋場沢から下山
「「最も安全」」なのが①だが、完全にビバーク確定。②③もビバーク確定で、多分藪漕ぎできつい。

④左岸へロープを伸ばし巻けないか探る。

うーん、悩ましい。何が最善なのかが分からない。「最も安全」なルートは時間がかかり正直メンタル的にはきつい。安全なんだけど、出来れば選びたくない…。
ちなみに右岸の岩壁はとてもじゃないがさらに急で選択肢には無い。行くならもはや劔沢ですか?ってなりそう。

そのうち、Kさんから声が飛んできた。「これ以上の懸垂下降は絶対無理!」「とりあえず皆降りてここから左岸を巻けないか探るしかないかも。」
私とtuffさんは顔を見合わせる。全員で懸垂下降して、ロープを引き抜いてしまったら…。

昨年の10月に雲竜沢を下降したtamoshimaさんとNくんの記録を思い出す。彼らはロープを抜いてしまったが為に窮地に陥っている。その教訓に私たちも倣うべきだと思っている。

tuffさんも「皆で下りてしまうのはヤバい気がする」とのことだったので、Kさんには面倒をかけてしまうが仕切り直しでここまで登り返してもらうことにした。

いよいよ引き返す前に、最後の望みをかけて、落ち口の高度から左岸にロープを伸ばしてみることにする。リードはtuffさんにお願いする。
見えている範囲では左岸は崖&草付きで下りれないので、さらに奥のリッジの向こう側、ここから見えないところから降りれるかどうかが肝心になってくる。

左岸にロープを伸ばす。

30mロープというのは、悲しきかな、とても短いものだと思った。
tuffさんがまだ進んでいるというのに既にロープが終わりそうだったので、急遽7mフローティングと240mスリングを連結させる。ビレイを私とKさんで2人体制にして、良い感じに2人で交代しながらどうにかビレイを続ける。だが、いよいよロープを伸ばせなくなり、tuffさんにピッチを切ってもらう。

tuffさんがフリーであと少し先まで様子を見に行ってくれて、「はっきりと行けるかは分からないけど、皆んなで行ってみる価値はありそう!」とのことだった。それなら、行ってみよう。

2番手は私。意外と歩けるバンドが伸びている。と言っても高度感がすごく、まさに天空トラバースだった。

3番手のKさんがビレイで向かっている時にちょっとしたアクシデント発生。末端に結んでいたものだから、スリングやフローティングロープの結び目が中間支点をうまく通らず、後半にロープが引けない分だるんだるんに…。もうちょっとやりようはあったのかなと思う。とりあえず全員無事にトラバースを終えたので良かった。

天空トラバース。紅葉の美しさに目を惹かれる。

問題のリッジに乗り上げてみると、なんと岩壁の下に都合の良いバンドが伸びている!

歩けるバンドが現れた

先ほどより灌木も増えてきた。灌木を使いつつ高度を落とし、草付きスラブ斜面をトラバースし、1ヶ所スラブがギャップになっている所で短く懸垂下降をして、じわじわと高度を下げてゆく。

草付きスラブ斜面トラバース(Wakaは安定のへっぴり腰)
ギャップを懸垂下降で下りる

そしてついに!久々の河原へ着地した。辿ってきたルートを見上げる。結果的には最善の選択肢を選べたと思う。無事に下れて本当に良かった!
こうして見上げると高巻きルートを考える余地はあるが、落ち口にいるとそれがほとんど見えないので判断がしづらい。改めて沢下降の難しさを実感した。

左岸を巻きくだった

滝前で喜びの記念撮影!
この大滝を30mロープで下ろうとしていたの、もはやギャグでしかない。笑

やったー!

癒しの河原を歩き、17:20ベースキャンプ着。
デポした荷物をまとめ、すっかり日が暮れてしまった林道をトボトボ歩く。19:25無事下山。

遡行図

遡行図

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コメント ☆お気軽にコメントください☆

  1. 「家田」です。私達も何回か登下降しています。
    多分、大滝上部から左上してトラバースバンドまでは同じ
    ルートと思います。ブッシュ帯に入ったあと、さらに進む
    と浅いガリーとなって、ロープ無しで下降することが出来
    ました。ローカルエリアに興味を持っていただき感謝です。

    • 今回もそうですが、お二人やアサギ同人の皆様が遡行した沢を訪れると、皆様のレベルの高さがわかります。
      「何十年も前に、当時の装備で、このスピード…」と、沢から帰って記録を読んで驚いてばかりです。
      南会津でもいろいろと遊んでみます。Wakaにも伝えておきますね。
      中澤慧

    • コメントありがとうございます!
      先日、インスタにて奥様からノーロープで巻き下ったとお話し伺いました。
      巻き下りはなかなか高度感あり、私はとても真似できません。笑
      素晴らしい山域なのでまた足を運びます!

  2. 拍手

    • どうにか脱出できました!

登山ガイドWaka
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