2026年01月24日(土) [日帰り] 雪
メンバー : 1人(Waka)
前日まで、北八ヶ岳で摂ガイドのお手伝いをしており、普段はあまり行くことのない長野・山梨エリアに来ているので、せっかくなのでこの辺りの山域で登山していこうと思った。
最近は腰痛もあってほどんど山に行けていない。最後に行ったのはおよそ1か月前の巻機山山スキーのみだ。
あまりに治りが遅いので病院に行ったら「筋トレをもっとしてください」とのことだった。Xでそのことを発信したら、数人のガチ山屋も腰痛や膝痛に悩んでいたけど、山にガッツリ行くようになって治ったという話をしてくれた。
つまり腰痛はガンガン山へ行って直すしかないのだ。
運動不足脱却をしたくもあり、日帰りでロングなところに行きたいと思った。
ちょうど寒波到来で天気が悪く、山スキーは単独ではリスクが高い。
歩きでの登山で、常念東尾根、燕岳、仙丈ヶ岳、など思い浮かんだが
ちょうどガイドの先輩である摂さんから「甲斐駒ヶ岳はどう?」と提案いただいた。摂さんも明日から1泊2日で甲斐駒ヶ岳でガイドらしく、それなら山中で会えるかもしれないし。
常念岳や燕岳よりは体力的にも簡単そうだし、冬型気圧配置とはいえ南アルプスだから天気もかなり酷いわけではないだろうってことで甲斐駒ヶ岳に登ることにした。
甲斐駒ヶ岳は過去に何度か登っている。一昨年の冬は12月に黄連谷でのアイスクライミングで入山し、その時は下山時刻が午前2時だった。もっと昔は、7月に黄連谷から坊主山~甲斐駒ヶ岳と繋げた山行をやったが、その時はビバークして、1日遅れた挙句の夜10時下山だった。
そんなこんなで、私にとっての試練を生み出しているのはいつも甲斐駒ヶ岳だ。
今回は絶対に残業したくなくて、安心をとって午前1時半出発にした。日が暮れて歩くよりも、日が昇る前に歩くほうがなんかマシだと思うからだ。
尾白川の駐車場で車中泊する。
さて、荷物どうするか。軽量化に全振りしたいところだが、ファーストエイド・ツェルト・30mロープ・ガチャ類などガイド装備は担いでいくことにした。トレースあると思うけど、とりあえずワカンも。でも、ちょっと重いので、ガチャやファーストエイドは若干減らした。合計で13キロくらいになった。
荷物を担ごうと思ったのには理由があって、まずはガイドたるものある程度の荷物は担げなきゃ!という事。
そして数年前の花谷さんの言葉がきっかけである。第1回のヒマラヤキャンプが始まったときに「ヒマラヤ行くなら最低限、厳冬期の黒戸尾根を冬山装備で日帰りできるくらいの体力は必要。」といったことを言っていた。
これでいう冬山装備というのはおそらくアルパインクライミングの装備で、20キロが目安なのかなと思っている。で、花谷さん世代の黒戸尾根は今より気象条件もきっと厳しく入山者も少なかっただろうからかなり体力が必要だったのだとおもう。
全く同じは真似できないのだが、その言葉もあり、少なからず「冬の黒戸尾根日帰り」という行為にロマンを感じていた私は、なるべく軽量化せずに可能な範囲で負荷をかけて行きたいと思ったのである。13キロなんて、まだまだではあるが。
なお、核心部の下降でロープを使う可能性もあるが、今回は単独で無理はできないので、もし本当に状態が悪くて下降にリスクが伴う場合は、そもそも登らずに核心部手前で引き返すことにした。
そんなこんなで気合の出発!真っ暗な中ひたすら尾根を歩く。黒戸尾根はとにかく長い。その長大さは韮崎市街から眺めるとよーく分かる。
登山道は北斗市山守隊が整備しているのだが、良い意味で整備が整備と分からないようなナチュラルな施工がされていて感動した。登山道整備とは歩きやすさを追求するのではなく、あくまでも環境保護が目的である。
笹ノ平を過ぎたところから積雪が出てきたのでチェーンスパイクを装着する。今のところ順調である。
時折冷たい風が吹き、身体が冷えるが、風がないと今度は暑くなる。汗をかかないようにこまめにレイヤリングを調整した。
四合目の刀利天狗までがとても長く感じた。ようやく辿り着いたって感じた。
ここでアイゼンを装着してしまう。五合目までの下りで何気に凍結箇所が多いので。チェーンスパイクでも行けるとは思う。
五合目小屋跡六時半着。あと30分早く着きたかった。一昨年は、今回よりもっと重い荷物でもっと早く歩いていたので、やはり体力不足運動不足なようだ。
五合目からの登りはまずははしごパレード。ここが、アイゼンはいてるといまいちフィットしなくてなんか怖かった。
7時半過ぎに七丈小屋到着!じわじわと目標タイムより遅れているけど、もう仕方なし。とりあえず時間には余裕あるので山頂は目指せそうだ。
小屋上部からは雪が多くなるが、先行者や先日までのトレースでラッセル皆無。ワカンつけるまでもなくアイゼンを履いたまま高度を稼ぐ。順調に進み、八合目御来迎場まで。予報より意外と風も弱く、雲も薄いので、森林限界を超えてもなんとか進めそうだ。
ここら辺から岩場が増えるのでピッケルに持ち替え。
まず出てくる、張り出した岩に乗り上げるところの鎖場も大変だった。「どうやって上がるん?!」と思ったが、なんとか解決。こういう部分でクライミング能力が問われますね。。。
いよいよ核心部が目前にせまる。二本剣下部の大岩を右巻きするのが冬ルートで、左巻するのが夏ルートというのは事前知識として知っていたが、そのもう少し手前よりトレースが直登と左方向へ二分していた。どっちがセオリー通りなのかは知らんけど、とりあえずトラバースを避けたいので私はちょっと急だけど直登を選択。
少し進んだら、大岩の下部に3人パーティーがいてご挨拶。ご挨拶したところから、大岩を右に巻きつつ登っていく。冬ルートはがっつり雪があるのでそこまで不安感はなかった。そのうちに夏道のルンゼが左から近づいてきて、1mくらいクライムダウンして合流。
下山で合流部分を見落としそうなのでよく覚えておかなきゃ。
ルンゼは私の中では雪付き思ったより少ない?!って感じでちょっと緊張。雪が厚い部分にピッケルを差しながら慎重に登った。
二本剣が見えてきたときは安堵の気持ち。しかしまだ油断できない。ここをまた下らなければいけないのだから。


いよいよ甲斐駒ヶ岳が近づいてくる。風は強いけど、寒がりの私でも耐えられるレベル。

いよいよ山頂直下の鎖場まで到着。何気に今回の一番の不安ポイントでもある。
ここは一昨年12月に下ったとき、結構怖いなーと思ったところだ。当時下った時間が夜の20時くらいだったので疲れや視界の悪さもあったかもしれないが。
今回は、雪がしっかりついている部分がちょこちょこあったので、ピッケルのピック部分をしっかり差しながら安心して登ることが出来た。
11時前、甲斐駒ヶ岳到着!目標タイムより1時間遅れてしまったが仕方ない。
ポケットに入っていた娘のレッグウォーマーと記念撮影。(笑)
さすがに山頂は風がビュウビュウで、寒すぎるので余韻に浸っている間もなく下山開始。

天気が悪くなってきて、時折突風が吹き、視界が吹雪でおおわれる。
それでも休憩してお湯を飲みつつ、慎重に下山。
二本剣直下の核心部。足場が安定しているところで休みつつ、慎重にクライムダウン。
下ってくほど、雪付き悪くて、あれ、結構渋くね?と思っていたら、冬道の分岐よりもクライムダウンしていた!目印としていた、鎖場始点についている札がいつのまにやら上部に見えていた。
また登り返して、無事に冬道合流。冬道はルンゼに比べたら楽々。(油断したら滑落することに変わりはないが。)
夏ルートのルンゼを見下ろすと、トレースはついていたので、多分直近でも利用している人はいると思うんだけど、まじでぜったい冬道のほうが上り下りしやすいと思います!
張り出した岩も無事にクライムダウン。
なにげにワンムーブが一番難しいの、ここじゃない?と感じる。

危険地帯を無事に突破したら、あとはアイゼンを効かせながら降りるのみ。
12時半、七丈小屋到着。
トイレいったりカップラーメン食べたりのんびりすごして、13時に下山開始。

小屋直下のハシゴ地獄や、高度感のある岩場も気が抜けないので慎重に。
ようやく五合目まで降りたところで、黒戸山方面から人の声が。
ついにお仕事中の摂さんグループがやってきたようだ。先頭のガイドさんは花谷さんだった。
花谷さんに「何時に出発したんですか?」と聞かれて、「1時半です」と正直に答えた。お客さんとともにすごーい!とびっくりしていたけど、花谷さんに内心「そんな早出してこの時間にここ?おせぇ、、、。」とか思われてそうで恥ずかしかった。(※あくまでも私のイメージです!)運動不足は自覚してるので、もっと鍛えます。
四合目からのハシゴ地獄を下りきると、あとはひたすらあるくのみ。
2時間ほどで、笹ノ平へ。ここ、2合目なんです。あとわずか!って感じだけど、ここからもめちゃくちゃ長くて、残り標高差700m、2時間半。先の長さにため息。こんなに先が長い2合目、ほかに存在するでしょうか。

早く下山したい一心だったけど、あきらめて、のんびりお茶タイム。黒戸尾根は登山口~四合目までがほんとに長い。歩きすぎて肩凝ってきてそれもつらい。
歌をうたいながら下山して、ようやく一合目。
次第に辺りが暗くなってくる。なんとなくヘッドライト使ったら負けな気がして、残業とは認めたくなくて、目を闇にならしながら歩き続ける。
17時半、下山!
16時間行動だった。ながーい一日でした。やりきった!
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