2024/2/3(土) – 2024/2/4(日)
静岡の山仲間mackさんと乗鞍岳へ。
今回はmackさんがいつか滑りたいという里見岳北壁の下見。
里見岳3ルンゼは三浦大介さんと松岡祥子さんが2013年に初滑降した。 (未知へのシュプール-2013Mar. 乗鞍・里見岳北壁初滑降)
2ルンゼは三浦大介さんと伊藤裕規さんが2018年におそらく初滑降。(未知へのシュプール – 2018 March 乗鞍・里見岳北壁2ルンゼ)
※中部山岳スティープスキー100選に掲載されてます
私はスティープスキーの嗜みは殆ど無いが、mackさんの憧れる里見岳北壁がどんなものなのか興味があったので、偵察に同行することにした。
泊まり装備を担いで、朝、休暇村からハイクアップ開始。
山スキーで乗鞍を訪れたのは実に4年ぶりである。昔はハイクアップに苦戦したが、今回はなんてことなく、順調に進む。
昔の私は転げまくって、爆風の中mackさんに散々待ってもらっていたっけ。
風は吹いているが、厳冬期の乗鞍にしてはかなり穏やかである。
標高をあげていくと雪面のクラストが目立つようになった。乗鞍にきたなーって感じがする。
富士見岳と摩利支天岳の間にあるコルまであがる。ちょうど富士見沢を滑っている人が見えた。私も滑りたくなったが、今回の目的は違う。
クトーを装着し、恵比寿岳基部にある畳平まで進む。片斜面が怖いので私はアイゼン装着&シートラーゲンに変更。
mackさんはクトーでそのまま進んでいった。下手についていくと私が窮地に陥るので、我ながらナイス判断であるw
mackさんときたら、終始お気楽なものだ。
最後にカリカリにクラストした斜面を「ふぅ〜!」とか言いながら爆速でシール滑降していった…。
いやーよく出来るな。「ここは転んでも怪我しないよ〜。」と言うが、いや無理です。私だったら100%ひっくり返る!
厳しい乗鞍の稜線に位置する畳平、一面雪の世界に建物が集結している様は異質…。
最初は乗鞍の稜線で幕営なんて、大丈夫!?と心配だったが、畳平は他の場所と比べると風のあたりは弱いほうで、つまり幕営にも適していそうだった。
宿泊装備を畳平にデポして、一息ついた後に、いよいよ里見岳北壁を見に行く。
恵比寿岳西面をトラバースしてルンゼが見える位置まで移動する。トラバースがなかなか怖くて緊張した。モナカの急斜面なので踏み抜いた新雪に足を取られる。今シーズン、アイゼン歩行に慣れるためにアルパインを始めたのに…。12月に行った八ヶ岳赤岳主稜よりよほど怖いのだけど。笑
今日の乗鞍はどこもかしこもカリカリ。薄々予感していたが里見岳北面も例に漏れずカリカリだった。そもそも積雪がかなり少ないし、生憎、滑りたいな〜っていうコンディションではない。
しかしこれが、厳冬期は常に爆風の乗鞍のいつもの姿でもあると思う。
三浦さん達はパウダーの北壁を滑降していたが、改めてその凄さを実感した。条件を掴むの相当難しいだろう。ブログを読むに5年は機会を窺っていた。
私の嗜む山スキーは登ることが目的なので、未だかつて滑りのコンディションなど気にしたことがない。今、初めて、経験したことがない山スキーの世界を知った。「滑りの世界」の魅力を感じた瞬間だった。
偵察が済んだので、畳平へ引き返す。北壁以外にも魅惑的な斜面がそこかしこにあり、有意義な時間となった。帰りも渋い斜面のトラバースで憂鬱だったが我慢。笑
私はピッケルで恐る恐る歩いているのに、mackさんはダブルストックでひょいひょい歩いてる…。
今日はツエルト泊。夜は風が強くなり、降雪があったが寒さに震えることなく、潰されることもなく快眠。
なんだかんだ標高2700mでツェルト泊するのは初めてだったので嬉しい。課題は色々あるのでこれから改善していきたい。
翌日はガスっていたので摩利支天岳東の沢筋(mackさんがジェットコースターと呼んでいた)を滑って真っ直ぐ下山する。沢筋にパウダーはなくミックス斜面だったが、良い練習になった!
ツアーコースはぼこぼこだが快適。昔はぼこぼこのツアーコースに苦戦して、全て八の字滑降をしていた。位が原分岐から休暇村まで1時間かかったが、今回は30分で滑れたので、地味にスキーも上達したのだろう。
・・・
今回は滑りたい斜面の実物を見にいく、周辺の状況を確認する、偵察山行だった。
滑降に大切なのは技術と体力だが、それだけではないことを知れたのが、私にとっては収穫だった。
入念な下調べをして、コンディションを把握して挑む山スキーはきっと面白いし、出来る山行の幅が広がりそうだ。
とりあえず、山スキー初心者の私が出来ることといったら、まずは積雪観察だろう。たくさんのデータに触れて、どんな気象条件で、山の積雪はどんな状態になるのか、ある程度予測できるようになることが最初の第一歩だと思う。
私はコンディションが重要なほどシビアな斜面を今まで滑ったことがないが、裏を返せば、その辺りを読み取る経験値が自分でも未熟だと分かっていたので、不透明なリスクを抱えた状態で山へ行きたくないというのがあった。
ちょっとずつ頑張って、楽しめる山行を増やしていきたい。
積雪観察のやり方はJANに教わってからちょこちょこやっているが、今後も続けていきたい。
そんでどパウの里見岳を滑る!(かも知れない。)