2024/6/8(土)〜6/9(日)
巻機山ツアー 2回目。
1回目は6/3-4に実施し、数日あけての第2回目です。
今のところ登山ガイドWakaでは企画は1回やって終わりのスタンスをとっていますが、今回の巻機山
はリクエストを多くいただいていたので2回に分けて実施させていただきました。
今回も素晴らしい2日間でした。
同じ山、同じコースであっても、厳密に同じではなくて、毎日毎日山は違う表情を見せてくれるのだと実感させられました。まるで生き物のように日々の美しさが異なる山、奥深いです。
さて、参加者は4名。+Wakaの計5名で出発です。
9時過ぎに桜坂駐車場へ行くと、ほぼ満車。第一駐車場の隅っこにぎりぎり停めることができました。
トイレ前の日向はとっても暑いので、日陰に移動して準備運動をしたら出発です。
登山道から樹林帯に入ると、木陰でひんやりと気持ち良いです。雨が降るとドロドロの登山道は今日は乾いており登りやすかったです。
と、ここでお声が上がる。
「これ、笹の花じゃない?」

実は私は生まれてこのかた、笹の花を見たことがありません。あるのはネット上の知識のみ。よく見ましたら、確かにそんな気がします。
笹の花は60年〜100年に1度しか開花せず、その後は種を落とし枯死してしまうのです。もし花ならば、とっても貴重な光景です。
(※先輩ガイドに確認したところ厳密には花の蕾の状態で、あと少しで開花するそうです。)
また来月にでも様子を見に行こうかと思います。
歩いていると右手にハナニガナの小さな群生が出迎えてくれました。
ニガナはキク科の植物で、ニガナ、ハナニガナ、タカネニガナと種類があります。見かけたのはハナニガナで、花びらが7〜12枚とニガナより少し多く、葉が茎を巻いている特徴があります。


4合目で小休止し、待ち受けるのは「井戸の壁」
ヒィヒィいいながら登り切ったところに5合目。ちょっと開けていて、まさに休憩適地。
轟々と音が聞こえて、尾根の向こうを覗けば雪渓の詰まった米子沢。ところどころ穴が空いて滝が見えていました。
しばらく歩くと、巻機山井戸尾根のハイライト、ブナ林が始まります。
幹が白いので、森全体が明るい雰囲気に包まれています。まっすぐ伸びる木々の中に、2本だけ、ウネウネと両手をいっぱいに広げているブナの大木がありました。

6合目の休憩ポイントで、ちょいと昼食休憩の時間をとりました。北側の展望が開けていて、見えるのは石畳のようなスラブを抱えた「天狗岩」続く稜線に聳えるのが「割引岳」
実は割引岳は、本当は天狗岩のことを指していて、かつて地元の人からは「破目山」と呼ばれていたそうです。

7合目まで上がると、いよいよ樹木の背が低くなってきて、目前にニセ巻機山が聳えます。やがて始まる第二の壁。ここを登りきれば、今日の目的地は近いです。
途中にタテヤマリンドウやキジムシロ。
タテヤマリンドウは自家受粉を防ぐために、花粉を放出する雄しべの時期が先に来て、花粉の放出が終わったら次に雌しべの時期が訪れます。

キジムシロとミツバツチグリは見分けづらいですが、葉っぱの枚数を数えると解決します。
キジムシロも厳密には種が分かれますが、そこは専門家の領域ということで割愛します(笑)


今回はお花好きの参加者が多く、可憐な花を目にするたび立ち止まってはお写真タイム。荷物が重いのでしゃがんで撮影するのも一苦労です。
壁を乗り越えて、あとはビクトリーロード。今日はお天気が良い代わりに、日差しが暑いです。

後ろには雄大な上越国境稜線。谷川連峰がよく見えています。


ニセ巻機山到着。
あまりに美しい巻機山が見えたので、全員で記念撮影しました。
「今年の年賀状の写真にしたい!」
と皆さん口々におっしゃるので1人ずつでも撮影。というか、まだ6月なのに今年のベストショット決めるの早すぎませんか(笑)

ひとしきり景色を楽しみ避難小屋へくだります。小屋手前の木道ではポワポワのワタスゲちゃんたちがお出迎えしてくれました。

避難小屋へ入ると、メインスペースの2階は既に人がいっぱいで、多分9人くらい入っていました。私たちは空いている1階へお邪魔します。5人でちょうどおさまるくらいでちょうど良かったです。
お茶会&夕食タイム。食材は私が用意させていただきました。みなさん「美味しい。」とペロリと平らげてくださり嬉しかったです。今後レパートリーを増やしていこうと思います。

18:15、お天気が良さそうなので、山頂までお散歩へ行きました。ご飯を食べて眠い方もいらっしゃると思うので自由参加としましたが、全員参加でした。皆さんやる気充分で出発です。


道中の展望や美しい水芭蕉に足止めをくいながらも、19:00前に巻機山の信仰上のピーク「御機屋」へ到着です。
越後三山がよく見えそうだったので、割引岳方面の登山道へ少し寄り道。
夕闇の中に浮かぶ峻険な越後三山と荒沢岳。牛ヶ岳、巻機山。足元は下ノ滝沢の源流部、雪渓とスラブが広がります。まさに新潟らしさが詰まった絶景です。
今日は雲が厚く、日没は拝めませんでしたが、良い景色を眺めることができました。

ちょうど避難小屋でお話ししたファミリーが上がってきて、山頂で写真を撮ってくださりました。

三角点へ寄ろうと思っていましたが、良い景色を見られて皆さんすっかり満足されたので、避難小屋へ戻りました。
19:30、こっそり静かに寝支度を整えて明日へ備えます。
翌日、早起きをして3:50に山頂へ向かいます。
昨日全員参加で登頂したので、今朝も自由参加としましたが、皆さん参加です。
風が強く、ちょっと寒いです。
朝一番は、奥利根湖から湧いてきたガスがところどころ稜線を覆っています。

4:40、巻機山三角点到着。ちょうど雲の切間から谷川連峰が見えてきました。鋭い山頂が目立つ大源太山がよく見えています。
日の出時間を過ぎましたが、昨夜同様、雲が厚く太陽の姿は見えず。しかし良い天気なので、牛ヶ岳まで足を伸ばしてみます。
雲海に浮かぶ山々。東北最高峰の燧ヶ岳はひときわ大きく流石の存在感です。至仏山の裏に日光白根山、上州武尊山も見えています。シルエットが特徴的で分かりやすいですね。



牛ヶ岳の山頂からは、なんとも美しい絶景。幾重にも重なる山脈、太陽の光が抑えられているからか、細かい尾根や渓までくっきりと眺めることができました。

名残惜しいですが、いつかは帰らなければいけません。じっくりとその光景を目に焼き付け、往路を戻ります。
帰りがけにも、くっきりと浮かび上がる山々の展望を楽しみました。

皆さん、昨晩立ち寄った割引岳方面の登山道が気に入ったようで、帰りがけにもう一度寄り道して、越後三山と荒沢岳の勇姿を目に焼き付けました。


避難小屋へ戻ると、殆どの宿泊者はおらず下山したようでした。
朝食を食べているときに、昨晩山頂で会ったファミリーも帰ってゆき、いよいよ私たちが最後に。
掃除をすませ、名残惜しいですが下山します。
今日も良い天気で、何度も日帰り登山者とすれ違いました。登山道の端々に咲く花々に励まされながら、快適に降ってゆきます。




お昼前に、駐車場へ無事に下山しました。
皆様お疲れ様でした。ご参加くださり、ありがとうございました!