2022年7月29日(金)
7:05 入渓 – 蒲生川持場沢 – 9:40 会越国境稜線 – 12:50 室谷川 – 下流散策 13:25 – 15:15 名無沢出合
2022年7月30日(土)
5:25 名無沢出合 – 名無沢奥壁 – 10:30 稜線 – 金蔵沢 – 15:30 砥沢出合
2022年7月31日(日)
5:25 砥沢出合 – 7:50 標高点284m付近 – 12:20 バックウォーター – 16:00 笠堀ダム
メンバー : 3人(Waka, Kさん、Nくん)全員ラバーソール
天気 : 3日とも晴れ
装備:30mロープ(8.0mm)、40mフローティングロープ(6.5mm)、ライフジャケット、ウェットスーツ

3日間の休みがあり、天気も良さそうだ。室谷川へ行きたいとKさんに言ったら「いいよ。」と返ってきた。Kさんがルートを組み立てくれて、蒲生川持場沢から山越えで室谷川へ。名無沢の支流から稜線へ詰めあがり、中ノ沢から大川下降のプランを計画していたが、実際に行ってみたら道中眺めた名無沢奥壁があまりに魅力的で後半のルートを変更。名無沢〜奥壁〜砥沢下降〜笠堀ダムとなった。
2020年の11月に飯豊で会ったNくんとKさんと私の3人で3日間の沢旅へ。美渓、スラブ、ゴルジュ、ダム泳ぎと内容盛りだくさんでとても充実した週末となった。
7月29日(金) : 蒲生川持場沢〜室谷川本流〜名無沢出合
当日朝4:00に下山予定の笠堀ダムへ集合。Nくんの車をデポして、Kさんの車で入渓点を目指す。約100km、2時間の道のりでスタートから中々ハードだ。
6:30頃にやっとこさ入渓点に到着し、支度を済ませる。朝から気温が高く、猛暑日の予感。
7:05登山開始。蒲生川持場沢に入渓すると早速堰堤が現れたので右岸巻き。
次第に岩盤が発達してきて小さいながらも会越らしい渓相を楽しむ。
最初の滝を抱えたゴルジュは私とKさんは右岸より巻いたが、Nくんは直登。最後の5m滝がなかなか難しそうだったがNくん華麗に突破。
先頭を歩いているKさんがぎゃーと悲鳴をあげていて、見れば数多のアブが集っていた。私にはあまり被害がない。どうやらあぶは先頭の人間を攻撃する習性があるようだ。Kさんは防虫ネットをしているのに、ネット上から顔面を刺されていて可哀想だった。
そのうちにひんやりとした空気が漂ってくる。予感は的中し、目前にはスノーブリッジが。進むともう1発。無事にくぐり抜けて、先へ進む。

ちらほら滝が現れるようになってくるが概ね問題なし。局所的にヌメる箇所があるものの大半は快適に登れる滝で楽しむことができた。
水中を眺めればイワナがピュッと泳いでいく。NくんやKさんが手掴み捕獲にトライし、Nくんが成功!今晩の夕飯に担いでいく。
上流へ詰めてゆくほどに両岸が狭まり源頭の様相に。ヌメって悪そうな小滝が続くようになってきた。対処できないのはまとめて右岸巻き。藪を漕いでひたすら上を目指すと9:40会越国境稜線到着。
水から離れると途端に暑くなる。あまりにも暑くてアンダーウェア一枚で歩いていたらアブに右腕を刺されてしまった。暑いのを我慢してカッパを着込む。
室谷川のプールを求めて、早々に下降開始。沢筋の傾斜が急なので尾根筋を下ってゆく。途中、Kさんが目の前に突然現れたヘビに驚いてうっかり掴んでいた灌木を離し2mくらい滑落したのには驚いた。ここ最近やけにKさんがヘビに敏感な気がする・・・。
そのうち傾斜が落ち着き美しいブナの森に包まれる。

程なくして沢型に合流。水も出てきて早速涼を取る。両岸のスラブが見事で「いよいよ室谷川に来たんだ。」と実感する。
快適に下降するのも束の間、早速大きな滝に阻まれる。捨て縄を使用して懸垂下降。その後進んでゆくとまた大滝があったのでもう一度懸垂下降をして、12:50室谷川本流に合流。
Kさんの提案で室谷川を少し下降して散策。さすが、会越を代表する美渓!!白く輝く岩盤に透き通った水。ちょうど日が差してくれて素敵な景色を見せてくれた。
私が沢登りを本格的に始めたのは2年前で、まだ経験値の僅かな私を、Kさんが「室谷川って場所がすごく綺麗なんだよ〜。」と言って室谷川支流の駒倉沢〜倉谷沢へと連れて行ってくれた。未だかつて見た事のない綺麗な渓とスラブに当時かなり衝撃を受けた。思い出深く、この辺りの山域が好きになったきっかけでもある室谷川へまた足を踏み入れることが出来て、なんだか感慨深くなった。

そしていよいよ上流を目指す。本流に悪場はなく、渓相を楽しみながら遡行してゆく。瀞が多く、夏の盛りに泳ぎを楽しむ。水温が高くウェットスーツは必要ない。アンダーウェアにカッパでも充分だった。どうやらアブは森が近い場所に生息しているようで、ゴルジュに姿は見なかった。
西の沢出合の2条5m滝も素晴らしい造形美で感動。15:15名無沢出合着。ここで幕営とした。
空き時間に釣りでもしようと考えていたが、室谷川はまるで魚影がなく、釣れなさそうだったので早々に諦めてのんびり。ゴルジュばかりで増水すれば逃げ場の無いこの渓はイワナも生きづらいのかもしれない。
Nくんは室谷川上流を見に行ってくると言って、遡行していった。
17:00頃に私とKさんはお先に夕食をいただく。最近は白米にハマっている。焚き火で炊くご飯ってなんて美味しいのだろう!Nくんも白米好きらしく、好みは近い。笑
Nくんは18時過ぎに数多のアブを引き連れてようやく戻ってきた。話を聞けばだいぶ上流まで偵察に行っていた模様。元気すぎる・・・。Nくんは記録のない新潟の沢によく単独で入っている、頭のネジぶっ飛んでる系の人種だ。さすが、圧倒的な好奇心が垣間見えた出来事だった。
Nくんの捕まえたイワナは塩焼きにして3人で美味しくいただいた。
日没を迎えると鬱陶しかったアブたちもお休みの時間なのか襲って来なくなった。

7月30日(土) : 名無沢出合〜奥壁〜金蔵沢〜砥沢出合 1/2
翌朝は3:30起床、ダラダラ支度して5:30名無沢へ出発。しばらくゴーロを進んでゆくと朝一番の2条6m滝。右壁から快適に登る。その後の4m滝は右岸から小さく巻き。両岸の広々としたスラブを見上げながら歩いていたら、そのうち渓は狭くなり一時的に峻険なV字状ゴルジュとなった。(ただし足元はゴーロなので問題なし。笑)
昨年遡行した楢戸沢の上流部を思い出した。その後も特に悪い場所はなく、快適に進んでゆく。

計画では名無沢支流を詰めて尾根を乗っ越し大川へ下降する予定だったが、いざ二俣まで着いたらどうにも名無沢の奥壁が気になってしまう。「どうする?どうする?」と悩んだ結果、予定変更して名無沢奥壁まで詰めてみることにした。そこまで行ってしまうと大川へ下降するのに稜線移動の為の藪漕ぎが必要になるので、奥壁をそのまま乗越し、金蔵沢から砥沢へ下降する予定を頭に入れて進むことにした。
道中、先行きが不安になるような巨大雪渓に阻まれる。下の通過は暗黒なので上を歩く。雪渓の端っこが薄っぺらいので、早々に右岸に乗り上げて灌木を掴みながら沢に着地した。
次第に奥壁が近づいてくる。同時に周囲にガスが湧いてきて見通しが悪くなってきた。後少しのところで、進行方向に巨大な雪渓が見えてしまった。Kさんがマジかぁ・・・とため息。Nくんが「ちょっと様子見てきますよ。」と言って偵察に行ってくれる。

Nくんの後ろ姿を見送ってしばし待機。
奥壁方面を眺めていたら、雪渓の左岸の草付きをトラバースしているNくんの姿が見えた。すごく高い位置にいて、しかもNくんの挙動から察するに結構悪そうな場所だ。
Kさんが「Nくんどこまで行ってるんだよ、全然ちょっとじゃねぇよ!」と突っ込んでいた。笑
しばらくしてNくんが帰還。雪渓は結構悪いけど左岸から巻けるとのこと、奥壁は見たところ左側のルンゼが斜度が均一で登りやすそうとのことだった。すごい情報量だ。Nくんありがとう。笑
さてどうするか。お二方、私の意見を尊重するとのこと。私は雪渓の巻きが悪いという話にビビり気味。私の手に負えなそうだし、本来予定してた支流まで引き返して大川を目指そうと話した。Kさんも巻きが私にこなせるか心配しているようで同意してくれた。
奥壁に背を向け下降を始めると、周囲のガスが晴れてくる。気になって振り返るとさっきまで見えなかった奥壁の全容が現れた。真っ白な輝くスラブが見える。全員つい足を止める。奥壁を眺めるKさんが、やっぱり少し気になるなぁとつぶやいた。私自身も例外でなく・・・。
2人にやっぱり奥壁行くでも良いよ、と伝える。ただ巻きでもし詰みそうになったらサポートして欲しい、と正直に伝えたら、2人とも「いいよ!」と言ってくれた。目的地は名無沢奥壁に決定した。
Nくんが登りやすそうと言ったのは左俣だったが、目視で眺めて心惹かれた右俣を目指すことになった。

小滝をちょろっと越えると、例の雪渓が現れた。うぅ〜緊張・・・と思っていた所、先行しているKさんが雪渓の手前で私に手招きしている。近づいてみると、向こう側が明るい。雪渓の出口がばっちり見えるではないか!Nくんが下見した時はガスで覆われて分からなかったが、意外と出口は近くにあったようだ。Kさんが一足早く雪渓を潜っていった。後から来たNくんに状況を伝えてから、私もグッと唾を飲み込んで、雪渓のトンネルを足早に通過する。下は下で別の緊張感。無事に突破!
その先すぐにトイ状5m滝が待ち受けるがフリクションバチ効きで水線を快適に登る。そして落ち口で見守ってくれているKさんのもとへ。雪渓を突破することが出来て良かった。戻って来て良かった!落ち着いてから左岸を眺める。さっきNくんはここまで偵察してきたのだろうか。巻きはやっぱり悪そうで、歩かずに済んでちょっとだけホッとした。
周囲はすっかりスラブ景観になってきたがまだ水流は途絶えていない。奥壁右俣の前衛として待ち構える5m滝は悪そうで、Nくんがリード。下部は岩が脆く、掴んだ岩がポロポロ欠けている。ちょうど取り付き直下にはポッカリ穴が空いていて、落ちたら雪渓の隙間に深く落下する感じ。デカ重ザックを担ぎながらもNくんナイスリード!続く3m滝までまとめて登りきり、私がセカンドでフィックス、Kさんが最後にフォローで登ってきた。続く2m滝はフリーで慎重に登る。
いくつか小滝をよじ登るといよいよスラブの基部に辿り着いた。
スラブ表面はボコボコしていて割とスタンスには困らなそうだ。各々好きな場所を登ってゆく。まだ僅かに水流があり、水の流れている部分はかなりヌメヌメしている様相で、絶対に踏まないように気を付ける。
振り返れば、会越の山々の大展望。素晴らしい場所だ。もうスラブのみかと思ったら、なんと中間でゴルジュ地形が出現し楽しませてくれた。笑
いつの間にか水流は消えて、ゴルジュも消え、いよいよ純粋なスラブ登りが始まる。見下ろすと、先ほどまでいた雪渓は遥か下に。楽しく登っているが、時折高度を思い出して怖くなる。スラブ登りは難しくはないが、ひとたび足を滑らせれば滑落は止まらない。
私はルーファイして一番斜度が緩くて登りやすい場所を選んでいるが、何故かNくんはぶっ立っている場所をよじ登っている。せっかくだから楽しいところを登りたいらしい。さすがだぜ。笑
Nくんが嬉しそうな表情をしていて、なんだか私まで嬉しくなってきた。
上部へ行くと、岩が脆くなってきた。ガバで掴むと剥がれてしまいそうで、優しくスローパー持ちをする。足元も1つ1つ岩の強度を確かめて確実に踏んでゆく。1ピッチ斜度が急な場所があり、先行したKさんが上の安定したテラスから私にフィックスロープを垂らしてくれた。本当はKさんの登ったラインを辿ろうと思ったが、もし落ちたら振られる。ロープに沿って登るとかなり急だが、まぁいっかーと取りついてみたらやっぱり急で結構緊張した。Kさんに何回も「フィックスしてあるよね?支点本当に丈夫だよね?」としつこく聞きながらもどうにかノーテンで突破。今日一番のクライミングだった!笑
稜線はもう近いが、さっきからスラブは灼熱の暑さだ。顔が火照ってしょうがない。ペットボトルの水を顔にかけるも、すぐに火照りは復活する。辛いのを堪えて詰めの藪を数十メートル漕いだら、10:30ようやく稜線に到着した。藪の中へ入ると、いくらか涼しくなった。

名無沢奥壁の存在は以前より知っていた。Google Earthで眺めるとその存在感は一際目立つ。いつか行きたいなぁとマークしていた場所で、今回まさか願いが叶って登れたことが嬉しかった。
さて、登りパートは全て終了した。これから下降に取り掛かる。とにかく暑い。早く水のある場所まで降らなければ倒れてしまいそうだ。
・・・
【紹介】
KさんのYouTube→中澤慧
Nくんのヤマレコ→yamakurumi






















