2025/08/05/(火)晴れ
林道終点(9:10)-入渓(6:20)-大膳の滝(11:30)-集落跡(12:15)-不動滝上流(12:30)-ツバメ沢出合(13:50)-幕営地(13:55)
合計4時間45分
2025/08/06/(水)晴れ 下山後雨
幕営地(5:15)-栗原川林道(6:55)-ケヤキ沢(7:15)-栗原川本流(11:25)-脱渓(12:15)-駐車地点(12:35)
合計7時間20分
メンバー : 3人(Waka、なおちゃん、テッシーさん)
装備 : ラバー(Waka、なおちゃん)、フェルト(テッシーさん)、30mロープ
山行記録
1日目
今回の旅のテーマは「のんびり沢歩き」てな訳で、ナメが美しいと評判の栗原川へ行ってみることにした。
興味深いのが、この一帯がかつて「根利山(ねりやま)」と呼ばれ、架空索道(空中ケーブル)を利用して皇海山を越えて足尾へ木材を供給していたエリアだということだ。
山深い場所にもかかわらず、足尾へ木材を運ぶための索道が山中に張り巡らされていたという。
山中には幾つかの集落が点在し、そこには伐採に従事する従業員とその家族が暮らしていた。
二箇所の集落には小学校が存在し、それぞれ生徒数は100名前後もいたそうだ。生活に必要な物資のほとんどは架空索道を利用し足尾から運ばれており、他にも雑貨屋、鍛冶屋、寺などが建てられていたそうだ。山の中にもかかわらず文明は進んでいた。
やがて伐採が進み、根利山の木材資源が尽きるとともに、その歴史は静かに幕を閉じた。
2005年までは、当時の住民たちが結成した「根利山会」という団体が存在し、その歴史を語り継いでいたという。
参考:『古道巡礼』高桑信一、『別冊太陽 日本の秘境』大内尚樹
沼田市歴史資料館のチラシPDF←根利山の概説があります。
今回はそんな歴史の片鱗に触れながらの遡行となる。
スタートの栗原川林道は全長40kmにわたる林道で、奥には皇海山の登山ルートの1つがあるものの、2019年の台風で林道が崩壊し、今では廃道となっている。
立入禁止ゲートの手前の広いスペースに車を停めて入渓。
出だしはゴーロだったが程なくして、ナメの美しい空間が現れた。
ちょっとヌメる気もするが、ほぼ平らなので難なく進んでいける。

あまりサクサク歩くと早く幕営地についてしまうので、竿を出しながらゆっくり遡行することにした。
テッシーさんはテンカラ釣りを始めたばかりらしく、釣りが難しそうな様子だった。
それでなくても、なんとなく魚影があまりみられなくて、たまに小さいイワナちゃんが釣れるくらいだった。
そのうち最初の滝が現れる。
直登が厳しそうだったので右岸から巻きにかかる。ルンゼから巻いたが、想定よりも岩が脆く巻きずらいルートだった
最初になおちゃんが「左岸に踏み跡あったよ〜」と教えてくれたのだが、楽観視していた私が「まぁどっちからも巻けるっしょ!」と安易に取り付いたのが失敗だった…。お二人ともすみません…。
滝の上流にも美しいナメが続いている。
広い釜を抱えた美しい滝は「源公の滝」と呼ばれており、かつて集落の子供たちが水遊びをしていたそうな。
右岸には何かの遺構が見られた。この辺りは「源公平」と呼ばれていた場所で、架空索道 円覚線の終点駅だ。

11:30、2段4m滝を越えたところで、目前にゴルジュの入り口のような空間と、立派な滝がかかっていた。
国土地理院地図では円覚大膳滝とされていたが、正式には大膳の滝と呼ぶらしく、今は1段目しか見えないものの3段構成の大滝ということだ。
登攀はパスして右岸から高巻きにかかる。
1つ手前の滝まで戻り、右岸のガレ沢を詰めるが、登攀の難しそうな涸滝に阻まれたので、小尾根に取り付きさらに高度を上げてゆく。
標高差50m以上稼ぎ、やがて右手に現れた歩きやすそうなバンドからトラバースを試みる。すると、遺構の点在する、集落跡と思われる平らな場所に出た。
あちこちにはっきりと石垣が残る様子が見られて感激した。かなり山奥だが、かつては人々が生活して賑わっていた場所だったのだ。
導かれるように生活道と思われる場所を辿る。

生活道の左側に碑があったので見に行く。
根利林業署、円覚線の停車場とある。
ここは砥沢ー源公平間にある中間駅だ。源公平は先ほど通過した場所で、砥沢はさらに上流方面にある、「根利山」の中で最も栄えていた集落の名称だ。(例えるなら東京みたいなポジション?笑)
※地図ないとイメージが湧かない!という方は、塾長さんのページにて当時の地図が紹介されています。塾長さんの山行記録はこちら
架空索道の支柱は全て木材だったというのだから驚きだ。碑がある場所におそらく支柱と思われるものの名残を見ることができた。

引き続き踏み跡を辿り、難なく不動沢に着地。ここからしばらく遡行して左岸尾根の乗越に取り掛かる。ここら辺も道がついており、難なくツバメ沢に降り立つことができた。この踏み跡に関しては、文献がなく名称が分からなかった。
時刻は14時前。降り立った場所から少し上流の台地でタープを張ることにした。
時間があったので散策に出る。私たちが沢床へ降り立った場所より下流にも河原ではあるが幕営するに良さそうな場所があった。どこでも幕営できそうだった。
夕方は焚き火を囲んでのんびり過ごす。この時間が私は一番好きかもしれない。
テッシーさんが差し入れで持ってきてくれた群馬のご当地グルメのお肉(ホルモンマン)を美味しくいただいた!

2日目
翌日は、午後から天気が崩れる予報だったので早出して5時過ぎ出発。
ツバメ沢は歩きやすく、唯一出てきた少し大きめの滝は簡単に高巻きした。

やがて水が枯れ、緑のゴルジュを進んでいく。

出発から約2時間弱で栗原川林道へ着地。
ポツンと佇むカーブミラーがなんとも哀愁を感じる。
しばらく林道を歩き、良い感じのところでケヤキ沢に向けて下降。
滝も何もなく、なんとなく沢の右岸側には踏み跡のようなものが伸びていて歩きやすく、さくさく快適に下降していける。
Co1040m、下降を始めてから1時間ほど経った頃、ようやく最初の滝が現れた。右岸から巻き下る。
さらに下流へ進むと、ケヤキ沢大滝が姿を現す。
右岸から巻きにかかると、トラロープが張られており、人の往来の多さを感じた。
ちょうど良い立木があったので、30mロープを2本連結して懸垂下降する。
立派な鹿の角を拾ったので、ついでに懸垂下降ポイントに献上しておいた。
ケヤキ沢大滝を最後に、難所はなくなり、快適に下降してゆく。
テッシーさんが、私の登山ガイドステージⅢ受験の練習のため、お客さん役としてショートロープで繋がってくれた。
色々と改善ポイントを教えてくださり、本当にありがたい限りです…。
11:25、栗原川本流に戻ってきた。

雨に降られる前に駐車地点に無事下山!
美しいナメ、のんびり沢旅、暖かな焚き火、美味しいご飯。ロマンあふれる充実の沢旅となった。























