2022年5月30日(月)
7:20 赤岳山荘 – 南沢 – 9:45 行者小屋 10:05 – 11:30 地蔵の頭 – 12:25 赤岳 – 12:35 赤岳展望荘 13:20 – 文三郎尾根 – 14:55 行者小屋 – 15:25 赤岳鉱泉
2022年5月31日(火)
7:05 赤岳鉱泉 – 北沢 – 8:40 赤岳山荘
メンバー : 2人(Waka, ゆい氏)
天気 : 1日目 晴れ、2日目 雨
山小屋バイト仲間のゆい氏と2人で、1泊2日で赤岳へ。ゆい氏は長らく北海道に住んでおり、ここ最近本州に引っ越してきた。本州の山々に興味があるらしく、「どこ行きたい?」と尋ねたら「八ヶ岳!赤岳!」と答えが返ってきた。それなら赤岳鉱泉のステーキが美味しいから、のんびり小屋に泊まって1泊2日で行こう!という話に纏まった。
私は赤岳鉱泉に宿泊するのは今回で4回目になる。美味しいご飯、綺麗で快適な山小屋。今までに案内してきた友人たちは例外無く満足してくれたので、きっとゆい氏も気に入ってくれるはずだ。
・・・
初日、待ち合わせ場所にてゆい氏をピックアップし赤岳山荘へ車を走らせる。美濃戸林道は相変わらずボコボコで慎重な運転が必要。やけに地面から尖った岩が露出しており過去イチ、パンクしないか心配だった・・・。毎年毎年車が通行するほどに地面がえぐれているのかもしれない。次回は下から歩いても良いかも。
無事に赤岳山荘に到着し、店主と思われる女性に2日分の駐車代金(2,000円)を支払う。駐車場の脇に咲いていたシロバナヘビイチゴがなんとも可愛らしかった。
7:20準備を整えて出発。ぶらぶらのんびり歩いてゆく。八ヶ岳の森は苔むした雰囲気が美しい。
ちょうどホテイランが見頃のようであちこちで可憐に咲く様子を眺めることができた。人間の都合など一切気にしていないという風にあちこち好きな方向に顔を向けて花開いている。写真を撮るには不都合だがこうして統率のとれていない咲きっぷりが山野草らしくて好きだ。丁度写真愛好家の皆さんと居合わせ、皆さん最高の1枚を狙ってさまざまなアングルを追求し熱心に写真を撮られていた。私は登山道の方を向いてくれているホテイランがあったので(ギリギリの角度で?笑)写真を撮らせてもらった。
歳の近い女子と一緒に山へ行くと、なぜだか知らないけど日常トークが盛り上がってしまう。メンズたちと一緒に歩いても1mmもこんな話題にならないのに。おそらくこれは女子トークというものなのだろう。普段のあれやこれやで大いに盛り上がった。笑
9:45行者小屋に到着。テントが2張程張られている他は人の気配のまるでない静かな空間と化していた。小屋はまだ閉まっているようだった。どうやら今週末が赤岳開山祭らしい。
ひとときの休憩を交えて、地蔵尾根へ向かう。ゆい氏にとってはかつてない急登らしく、こんな険しい山は初めてだよ〜と驚いていた。あと八ヶ岳の岩の脆さにも驚いていた。北海道の山とはまるで雰囲気が違うようだ。
道中、2組の登山者に追いつかれ先を譲った。落石を誘発するのも、されるのも怖くて、先行する登山者の距離が十分離れてゆくまで、立ち止まって待ち続けた。
私が前回地蔵尾根を歩いたのはちょうど4年前だ。当時は正直、岩の脆さとかあまり意識していなかったが、久々に訪れたら、気になって仕方ない・・・。今日は空いているから良いけど、あまりに混雑している日は歩きたくないなぁという気持ちが生まれてしまった。そういう日に行くときはせめてヘルメットを被りたい。
振り返ると、北アルプス、中央アルプス、乗鞍岳、御嶽山などが見えた。私には見慣れた光景だが、ゆい氏が「こんなあらゆる山域が一度に見れるなんて、豪華だね・・・。」と呟いていた。
私もゆい氏も無事に地蔵の頭まで到着。ここまで来たら赤岳まであと少し。
稜線を挟んだ東側の景色をゆい氏と眺める。てっきり歓声をあげるかと思いきや、やや引いたような声で「あれって全部ソーラーパネル・・・?」と尋ねられた。「違うよ水田だと思うよ!」と慌てて答える。「あ〜良かった。」と安心するゆい氏だった。
2022.6.2追記 見えているものは水田ではなく野辺山高原のレタス畑のビニールだと教えていただきました!
ここでもまた北海道山岳との違いを感じたようで、すぐ眼下に見下ろせる人里に新鮮な気持ちを抱いたようだ。
登っていると、周辺をややサイズの大きい鳥たちが地面を突っつきながらウロウロしている場面に出くわした。イワヒバリだ。
今日はヒガラにも会えたし、嬉しい1日だ。人の少ない日は野鳥に遭遇する確率が高い気がする。
赤岳展望荘を越えて、12:25ついに赤岳に到着した。
私にとっては5回目の赤岳だ。山頂へ登ると、向こう側の景色が開ける。権現岳の向こうには南アルプスの山並みが見えた。
一通り展望を楽しんだあとに赤岳展望荘まで引き返し休憩。
のんびりとランチタイムを過ごした後に再び赤岳を越えて、文三郎尾根より下山に取り掛かる。岩場の急降下が続き、ここでも落石要注意。
200m程標高を落としたら稜線から離れ、ひたすら木の階段を下ってゆく。そのうちに人っ子一人居ない行者小屋へと無事到着。
15:25赤岳鉱泉到着。ゆい氏が赤岳鉱泉の標高が高いことに驚いていた。「ここって大雪山の山頂と同じくらいの高さなんだね?!すごい!!」と興奮していた。笑
(赤岳鉱泉→2,216m、大雪山旭岳→2,291m)
小屋内に入りチェックインを済ませる。2017年、初めて行ったときは1泊2食付きで9,000円だったが、今は値上げして12,000円となっている。
今回のお客さんは私たちの他に男性のガイドさん1人とお客様と思われる60代と思しき女性5人のみだった。
のんびりとお風呂に浸かり、お待ちかねの夕飯まで広ーい快適個室でしばし待機。
いよいよ夕飯タイム。待望のステーキ!私は滅多にお酒を飲まないが、今日はステーキということもあり赤ワインを購入した。
ドキドキのステーキはやはり美味しい!とは思ったが、以前食べたものよりは硬いような??前3回は脂身多めのジューシー系ステーキだったはずだが、今回は赤身多めのヘルシー系(?)ステーキのように見受けられる。あとちょっとサイズ小さくなった気が。もしやその時々で仕入れ肉が違ったりするのかもしれない?
何はともあれ、山でのステーキは極上ということに変わりはない。ポトフも白米もお代わり自由だ。もちろんお代わりした。ありがたくペロリと完食!
あとはひたすらゴロゴロ。窓の外の、木に止まっているキジバトさんをぼんやり眺めたり、ゆい氏と人生について語ったりしてのんびりと一夜を過ごした。
・・・
翌朝、6:00からの朝食を済ませた後にお手洗いへ行くと、ガイドパーティーのお客さんと洗面所で一緒になった。今日はどこへ行くのですかと尋ねたら、阿弥陀、赤岳と歩いて硫黄岳山荘へ泊まる予定だと言っていた。その後下山ですか?と尋ねたら、なんと4泊5日で蓼科山まで縦走する計画らしい!「すごいですね!!」と言った。
今日は結構雨がキツい予報だけど、明後日からは天気も良いはずだ。「お気をつけて、楽しんできてください!」と声をかけた。
その後部屋に戻り、ゆい氏と部屋の中でゴロゴロ。ガイドパーティーの皆様はすでにカッパを着て出発しているはずだが、私たちは外へ出るやる気が一向に湧いてこない。昼頃までゴロゴロしたいねーなんて話していて、でも山小屋の人掃除するはずだからその前に追い出されるかもね。となった。相談して7:00までゴロゴロさせていただくことにした。笑
いよいよ出発する頃になって外に出てみたら、思いの外雨は小降りになっていて一安心。帰りは北沢を通って下山する。こちらは南沢と違って、道中の微妙な登り返しが無いので楽々だ。笑
樹林帯に入ってしまうと、木々のおかげで、雨も弱くなり、途中止む時間もあってのんびり歩くことができた。露に濡れる苔の森はなんだか幻想的でゆい氏と「このくらいの雨だったら山歩きも悪くないね」なんて話した。
北八ヶ岳の方面は苔マニアがよく出没するらしく、あえて雨の日を狙って山に繰り出す人も居るようだ。私も苔を覚えられたらさらに山が楽しくなりそうだが、まだまだ詳しくはなれなさそうだ。そのうち苔の本も買ってみようかと思った。
山を始めた頃は「綺麗な景色がみたい」「非現実を味わいたい」という目的が一番だったが、いつしか山を構成するいろいろな要素に興味関心が沸くようになり、「山のことをもっと知りたい」と思うようになった。苔のことといい、まだまだ知らない世界、知ってみたい世界ばかりだ。やっぱり山は奥が深い。
マイナスイオンの漂う森の中を歩き、8:40赤岳山荘に無事帰着。ゆい氏も満足してくれたようで良かった!
・・・
地蔵尾根を登っている途中、硫黄岳や横岳を眺めたゆい氏が「ずーっと稜線歩きをするのも楽しそうだねぇ。」とボソッとつぶやいた。「南八ヶ岳周回も素敵なルートだよ。また今度歩いてみてね。」と話したら「また行ってみる!」と嬉しそうな返事が戻ってきた。ゆい氏が八ヶ岳に興味を持ってくれたのが嬉しかった。
「1回行って満足して終わり」では寂しい。「何回もその山域に通いたくなる」ような山行が私は好きだ。今回のルート、ちょっと物足りないかな?と悩んだが、そんな悩みは杞憂でゆい氏は充分満足してくれた。また行きたいと言ってくれて、なんだか私も嬉しくなって充実感に満たされた2日間となった。
今回はありがとね!また行きましょう!
【初めて赤岳鉱泉に泊まったときの記録】
2017年の3月。文章がなんかフレッシュ。そしてやはり今と肉が違う気がする・・・?!