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沢登り奥利根

ヘイズル沢 左俣 右沢 美しき渓から花の楽園へ

沢登り

2021年7月17日(土)
7:40 奈良俣ダム – 10:05 ヘイズル沢 – 12:35 二俣 – 13:20 二俣 – 15:30 CO1,350m(合計時間 : 7h40m)

2021年7月18日(日)
5:30 CO1,350m – 10:00 小至仏山 – 11:20 鳩待峠 (合計時間 : 5h50m)
→尾瀬観光タクシー利用 鳩待峠から奈良俣ダムまで13,110円

メンバー : 2人(Waka:ラバー、Mボン:フェルト)

※ヌメりのある沢でラバーでは怖かった。(1度滑り落ちた。)

天気 : 晴れ

気象庁 過去の天気図

 山仲間のMボンをお誘いしてヘイズル沢へ。

 ヘイズル沢は「へつる」という言葉からこの名前が付けられたようだ。(「山名考」(池田光二著)に紹介されているらしい。)尾瀬ヶ原の景鶴山も同じく「へつる」が由来の山だ。それなら景鶴山はヘイズル山ではないのか、逆にヘイズル沢を景鶴沢と呼ぶべきでは?と考えたが、景鶴山に突き上げる沢に既に「景鶴沢」という名称の沢がある。なんだかあちこち似たような名前、由来があってちょっとややこしい。

 Mボンは連日の仕事疲れでかなり疲労が溜まっている模様。普段は睡眠時間3時間でも山では最強馬力を発揮するMボン。「仕事疲れで自分も死んでます。」と連絡が来るのは極めて珍しい。私も出発日の昼間に久々に脳貧血で弱ってしまった。奥利根は東京から片道200kmも無い。比較的手頃である。よって今回はずっと気になっていたこともありヘイズル沢へ行くことにした。

予定ではヘイズル沢を詰めた後に、笠ヶ岳経由で登山道を歩き駐車地点まで下山するつもりだったが、体調不良を鑑みて鳩待峠からタクシーで帰ることにした。笠ヶ岳経由だと6時間ほど歩かなければいけないが鳩待へ下れば2時間もかからずに下山できる。(タクシー料金は13,110円だった。)

 早々にのんびり行程に変更したので、出発を遅らせた。6時起床、奈良俣ダムへ車を走らせ駐車地点へ。すでに何台かの車が停まっていた。支度を済ませて7:40出発。ヘイズル沢の出合まで、ひたすら長い林道を歩く。道中、釣り師と思われる自転車が何台もデポしてあった。ダムの湖岸道は太陽がじりじり照りつけて暑い。2時間程で出合へ到着。そのまま沢沿いに伸びる踏み跡を辿り、ヘイズル沢出合のゴルジュを巻いた場所から入渓。ヘイズル沢はやや黄色が濃く見える。少し濁り気味?それでも目前に広がる美しい渓相に私もMボンも早速テンションが上がる。

 最初のヘツリを突破して振り返るが、Mボンがへつりに躊躇しているようで一向に来ない。本当になんてことない場所だと思うが。スタートからこんな調子で、Mボン大丈夫かと不安になる。
どうやら新しい沢靴を新調したようで、感覚をまだ掴み切れていなかったので細かいスタンスに足を置くのが怖かったようだ。
その後Mボンは、慣れたのか特に問題なくスイスイ進んでいた。 そして反比例するように次第に余裕が無くなっていくのは私だった・・・。

湖岸道を進む
入渓
最初のヘツリ

 いよいよ最初の10m滝。右側のバンドから。けっこうヌメっていて怖い。慎重に、岩がゴツゴツしている場所に足を載せていく。バンドは狭まり、左下には滝が流れる。足をあげて、一段上へ行こうとした時に、ツルッと滑って、プチ滑落。幸いにも滝壺に落ちることはなく、50cm程下の石棚の上に着地した。Mボンは知らずに先行している。もし見ていたら鋭い悲鳴をあげていたことだろう。右手に若干の力を入れた瞬間に滑って抜けて、連動して足も抜けてしまったのだと思う。とにかくヒヤッとした瞬間だった。この後緊張して、足が少しプルプル震えたが、無事に突破することが出来た。

笑顔のMボン
最初の10m滝
先行するMボン。ちょうどMボンのいる位置から1段上がる時に滑った。

 その後は続々と滝が現れるようになる。場所によりヌメは顕在で、Mボンがすんなり登れるところが私には怖かったりして自分なりのルートを見出して登ってゆく。晴空の下、豪快に水を落とす滝の数々、白い岩に美しいエメラルドグリーンの水。素晴らしい渓相、来て良かった。8m滝もヌメが散見されたが、スタンス部分はフリクションが効いた。落ち口の一歩がヌメったので慎重に。

滝が現れる
振り返る
8m滝。左側水線沿いを登る(Mボン撮影)

 道中、釣りを楽しむ釣り師4人組を追い抜かす。一言ことわって、先に進ませてもらった。たまにネット上で釣り師と沢屋のいざこざを見かけることがある。結局は当事者の性格次第だとは思うが・・・。一応、私自身も渓流釣りをやっているので、どういう気遣いが求められているのかはなんとなく分かるつもりではある。いち人間として、なるべく相手に不快な思いをさせないようにしたいものだ。

登るMボン
釣り師4人組
ミニゴルジュ
へつる
美しい
ヌメる場所が多い
スリップ注意(Mボン撮影)
小滝
ナメ

 そのうちに、目前に15mの滝。一本の巨木がかかっているが、囂々と唸りを上げて落ちる水流が迫力満点。以前、渋沢大滝を見に行ったことがきっかけで、私は滝が好きになった。目前の15m滝を惚れ惚れとしながら眺める。直登出来ないので左岸より巻き。

12m滝
記念撮影(Mボン撮影)
二俣。左俣にかかる滝(Mボン撮影)

二俣を左俣へ進む。相変わらず随所に滝が出現し、楽しく遡行できる。沢床に時折現れるボーダー柄の地盤が珍しい。再び二俣があり次は右沢へ進む。左沢出合には15m滝がかかっている。なかなかカッコ良くてしばらく眺めてしまった。

ボーダー柄の地盤
2段5m滝
左沢出合の15m滝

 右沢へ入るとゴーロも目立つようになるが、突如として2段12m滝が現れる。左側の水線沿いを登れそうだが、高さがあり水も被るので若干の不安。念のためロープを出すことにした。登る準備をしていると、先ほどの釣り師4人組がやってきた。「先に登って良いですよ。」と言ったが、お先どうぞと断られた。私が30mロープをくくりつけて空身でリード、プーリーを使って自分の荷物を引き揚げたところまではすんなり行ったが、ロープ末端を落ち口から投げるのが上手くいかない。何度かトライしてようやく下にいるMボンへ届いた。
Mボンを引き上げて、無事に終了。終了点まで登ってきたMボンが、「足がつりそう!!」と騒いでいる。クーっと渋い顔をしているので、行動食の干し梅をあげた。登っている途中でも足がつりそうになって大変だったそうだ。ロープを出しておいて正解だった?

2段12m滝
1段目アップ。左の水線沿いを登った。
滝を越えるとゴルジュ

 時刻も15時をまわったので、そろそろ幕営地探し。CO1,350m付近、右岸にちょうど2人分の平らなスペースを発見。草を刈ったりして軽く整地し、ここで泊まることとした。

 今回はテンカラを持ってきていたが、道中一度も魚影を見ることがなかった。一応最初の二俣で2〜3度竿を振ったがやはり釣れず。釣りをしたい気持ちも特に無かったので早々に畳んだ。先程、釣り師たちに尋ねたところ、チビイワナが3匹ほど釣れたようだ。私のイメージではイワナがたくさん泳いでいる沢だと思っていたが、それは、今はもう昔の話なのかもしれない。

本日の幕営地
ささやかな焚火を楽しむ
Mボンの持ってきた木製お玉。間違えて燃やしてしまいそうになった

 翌朝、5:30出発。少し上流で釣り師パーティーが泊まっていたようで、私たちがすれ違うタイミングで彼らも出発した。そのすぐ上には2段20m滝が待ち構えていた。先行する釣り師パーティーが登り終えるまで待機。最後尾の釣り師リーダーが鳩待峠からのタクシー相乗りを提案してきた。ありがたい話だが、私たちのペースが遅いのでタイミングが合うかどうか。鳩待峠でコーヒーでも飲んで待っていると言ってくれたが、申し訳ないので「本当に遅かったら先に行ってください。」と伝えた。

 釣り師パーティーが左壁から登っているので、別ルートから登れないか探してみる。水線上の中段テラスから左上トラバースすれば歩いて行けそうだったが、近づいてみるとほんの1〜2mがえげつないヌメりっぷりでラバーで歩くにはハイリスクすぎた。大人しく戻り、左壁を登ることとした。特に難所はなく、慎重に登る。続いて2段目を登り無事に滝の落ち口へ。

出発
2段20m滝
2段目を登るMボン

 途中で堰堤を2つ越えた。どちらも左側から楽に登った。こんな沢のど真ん中で何故?!と思ったが、ヘイズル沢がゴーロで埋まるのを防ぐ役割を担っているのだとしたらまぁ良いのだろうか。

 源頭が次第に近づいていくも、まだ水量は豊かだ。渓は開けていて明るい。振り向くと上越の山々が見える。ゴーロ帯が増えてくるが、途中途中で小滝がアクセントのように現れるので、飽きることがない。少し上流では釣り師パーティーが遡行しているのが見える。意外とタクシー相乗り出来るかもしれない。

モウセンゴケ
滝がちょこちょこ続く
ゴーロを進む

 いよいよ稜線も近づいてくる。沢が分かれていて、釣り師パーティーは左沢の上流で休憩していた。私たちはなんとなく右沢を進むことにする。沢沿いには、いつか至仏山へハイキングへ行った時に見かけた花々があちこちに咲いている。なんて素晴らしい詰めなんだ。振り返れば上越の山。天国の詰め。
稜線直下は岩っぽい。ガレ場を落石に気をつけながら登ってゆく。

Mボンが私の大好物を買ってきてくれた
山々をバックに登る(Mボン撮影)
ミネウスユキソウ
タカネナデシコ
ホソバツメクサ
稜線まであと少し

 ようやく登山道が見えた。登山者が数人歩いていて、そのうちの一人に立ち入り禁止だと注意されてしまった。「何故柵が張ってあるのか分からないのか。」と言われ「すみません。」と謝る私。続いてMボンも後ろからやってきて、同じく注意された。Mボンが沢登りだと説明して「ここに出たくなかったけど出てしまった。」と謝ったら、「仕方ないなぁ」と許してもらえた。

柵のすぐ後ろ、足下にオゼソウが咲いていてびっくりした。またこの花を見ることが出来て嬉しい。他にもチングルマやミヤマキンポウゲが花開いている。後ろからついてくるMボンに「お花を絶対に踏まないように!」と伝えた。登山道へ合流してから、私たちの歩いた場所を振り返ると、確かにこれは歩くのはよろしくない場所だ。こんな場所を歩いている人を見かけたら良い気はしないのは当然だ。沢登りの詰めでは仕方ない部分もあるかもしれないが、もっとよく考えて合流することも出来たかもしれない。

 登山道を辿り、小至仏山へ寄り道。素晴らしい好天で360度の展望が見渡せた。稜線はかなり灼熱で汗が噴き出す。とてもじゃないが笠ヶ岳まで縦走できるような気温ではない。道中のお花を楽しみながら、鳩待峠へ11:20下山。

 釣り師パーティーはすでにタクシーに乗って出発してしまったようで相乗りは出来なかった。急げば間に合ったかもしれないが、それでも好天の中、山頂へ寄り道しない訳にはいかない。どうしても稜線でのんびりしたくて、やっぱりこれで良かったのだろう。もし釣り師の方々が少しでも私たちを待っていてくれたのなら、それはちょっと申し訳ない気持ちになってしまった。

オゼソウ
小至仏山
素晴らしい展望
至仏山と越後三山方面
ヘイズル沢源頭を眺める
燧と尾瀬ヶ原。先月バイトしてた温泉小屋も見えた
オヤマ沢田代のワタスゲ

 素晴らしい2日間、一緒に歩いてくれたMボンに感謝。
Mボンも喜んでくれたようで、「また行きましょう。」と言ってくれて嬉しかった。

↓初めての沢登り。Mボンに連れて行ってもらった。

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登山ガイドWaka
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