2025/6/29(日)晴れ
栂池(9:15)~白馬乗鞍岳(11:45)~小蓮華山(14:00)~白馬岳(15:45)〜白馬岳頂上宿舎(16:20)/行動7h05m
2025/6/30(月)ガスのち晴れ
白馬岳頂上宿舎(3:00)~杓子岳(4:15)~白馬鑓ヶ岳(5:20)~天狗山荘(6:15)〜不帰2峰北峰(9:50)〜唐松岳(11:25)〜唐松岳頂上山荘(11:50)〜八方池山荘(14:15)/行動11h15m
メンバー : 2人(Waka , よっしー)
装備 : ヘルメット、アイゼン(10本爪)、ピッケル
山行記録
よっしーと越後三山を縦走する予定だったが、どうにも天気が悪い。
別の案を考えていたところ、よっしーが「白馬岳」に行きたいと言った。よっしーは普段は新潟の山に登っているので、ほとんど北アルプス登山の経験がない。
私は白馬岳は2回登ったことがあるので、せっかくならと白馬岳から不帰ノ嶮を経て唐松岳に縦走するコースを提案した。
不帰ノ嶮は、私も行ったことがなくて長らく「憧れ」の存在だ。
不帰ノ嶮を初めて知ったのは9年前。下ノ廊下へ行った時に登山道から眺めた峻険な峰々。当時一緒に歩いていた山岳会の先輩であるSさんに「あの山はなんですか?」と尋ねたら「不帰ノ嶮だよ。」と教えてくれた。格好良い山容に「行きたい!」と思った。
その後、縦走を試みたが、悪天のため途中撤退してしまった。そうこうしているうちに、私も山遊びの幅が広がってきて、楽しい山行を他にもやっている内に、結局行かず仕舞いとなっていた場所だった。
提案に対して、よっしーが「行きたい!」と乗り気になってくれたので、今回のルートは確定した。
1日目 栂池〜白馬岳〜白馬岳頂上宿舎
当日、夜明け前に新潟を出発。下山予定の八方尾根第三駐車場に車をデポして、始発電車、バスを乗り継いで出発地の栂池までアクセスした。
今回のルートは行きも帰りもロープウェイを使う豪華な山旅である。
カネの力を使い、およそ1,000mもの標高差を一気に上がった。たった2,100円を支払うだけで、歩けば1日はかかるであろう行程を省略できるのだからなんと楽なことであろう。
出発の標高はおよそ1,800mだが、それでも良い天気で暑い。
今日は白馬岳を越えた先の白馬岳頂上宿舎まで歩く予定だ。思いのほかゴンドラが混雑して出発が少し遅れてしまったが、気を取り直して出発する。
登山道は整備されており、つづら折りで登りやすい。よっしーとのんびり話しながら標高を稼いでゆく。
白馬乗鞍岳直下は雪渓がビッシリ残っていたので、アイゼンに履き替える。私は10本歯のアルミアイゼンで、よっしーは軽アイゼン。
日曜日の今日は混雑しているようだった。足元はツボ足だったりチェーンスパイクだったり12本歯のアイゼンと様々だ。足回り関係なく難儀している人も多くて、単純に雪歩きに慣れていないのか、せっかくピッケル・12本歯アイゼンを装備している人でも、いまにも滑り出しそうな危なっかしい降り方をしている人もいた。装備を揃えればどこでも歩ける訳でもない。もう少し雪上の歩き方を研究したり練習した方が良いんじゃないかとお節介ながらにも感じてしまった。
ゴンドラ乗り場で前に並んでいた単独スキーヤーの男性が、ちょうど雪渓を滑り降りてくるところだった。そのまま下山かと思えば、スキーを担いでつぼ足で登り返してくるではないか。どうやら、滑っては登り返して、この天然のオープンバーンを何度も楽しんでいるようだ。
なんという体力。そして、ここでわざわざ滑るという、なんというモチベ。何者だろうか…。
雪渓を登りきり、白馬乗鞍岳の山頂へ。
ハイマツの陰から「コロコロ」と蛙のような鳴き声が聞こえてきて、見れば雷鳥が1羽、潜んでいた。
ちょうど先ほど、よっしーが「赤い鶏冠のある雷鳥を見てみたい。」と言っていて、早速夢が叶ってしまった。離れた茂みには雌の雷鳥がいて、どうやらつがいのようだった。
何枚かサービスショットをいただいた。

白馬大池はまだ雪の中。楽しみにしていたサンショウウオもまだ見ることができなかった。雪解けの頃に見られるチングルマの絨毯もまだ見られず。少し残念。(笑)
白馬大池で小休止ののち、出発!
まだまだ先は長い。
ガスったりガスが晴れたりの中をひたすら縦走する。
遥かなる稜線漫歩は気持ち良いが、ちょっとハード。それでもよっしーが喜んでくれて良かった。
やっぱり北アルプスの山は1つ1つが大きくて雄大だ。
「どこからどこまで歩けば、飯豊連峰と同じくらいかなぁ?」なんて話しながら歩いた。
新潟県の最高峰「小蓮華山」を越えて、ひたすら歩く。

アップダウンをこなし、ついに「白馬岳」の山頂へ!!
私は3回目の登頂。いつもガスっていた山頂だったが、今日は初めて晴れてくれた!!
時刻は16時過ぎ。
頂上宿舎のウェブサイトに「16時には着くように。」と記載されていたので、休憩もそこそこに先を急ぐ。
前方右手にはカッコ良い岩壁を携えた「旭岳」が見えた。ちょうど2人パーティーが歩いているのが見えた。私も機会があれば行ってみたい。(今回は行く余裕なし!笑)
16:20頂上宿舎着。
受付時に怒られることはなく、ほっと一安心。(笑)
ささっとテントを設営して、ようやく休憩タイム!
なかなかの長丁場、私も久々のテント泊だったのでけっこう疲れた!!

夕暮れ時になり日没を眺めに稜線へ。明日歩く杓子岳が赤く染まる。遠くには剱岳も見えた。剱もまた行きたいなぁ。
よっしーが杓子岳のデカさにビビっていて「明日あれ登るの?!」としきりに言っている。(笑)
「巻いてもいいよ〜。」と提案しておいた。
展望を楽しみ、テントへ戻る。
明日に備えて早めに就寝。
2日目 白馬岳頂上宿舎〜不帰ノ嶮〜唐松岳〜八方尾根
朝、1時50分起床。3時出発。
真っ暗ガスガス風が強い。
正直、あまり歩く気力のわかない天気だが、どちらにせよ行程が長いので出発せざるを得ない。
カッパを着込んで歩き出す。
暗闇の中黙々と歩いて、杓子岳の分岐に到着。昨日あれほど杓子に登るのを嫌がっていたよっしーだったが、結局杓子岳のピークハントをすることになった。(笑)
虚無の山頂。風が強いので、よっしーの髪の毛が爆発していた!
ガスガスだけれど、足元に咲くお花畑は見事で、さすが白馬である。

白馬鑓ヶ岳に着く頃には日も昇って明るくなってきた。でも相変わらずガスガス。
アップダウンをこなしながらも、虚無の行進は続く。
天狗山荘手前で雪渓が現れたので、ツボ足ピッケルでこなす。
途中からいつかのトレースに合流した。(※ガイド仲間の上田洋平さんが数日前に歩いていたことが判明した!)
人の気配のない天狗山荘前で小休止。
ここから白馬鑓温泉ルートに下山することもできるが、今は登山道崩落のため通行止めのようだった。白馬鑓温泉へ下山するよりも、不帰ノ嶮を縦走した方が簡単かもしれない。(笑)
歩いていると、またもや雷鳥に遭遇した。今回の個体はタグ無しだ。
しばらく私たちと同じ方向へ、先導するように歩いてくれた。
天狗の頭から、いよいよ核心部が始まる。不帰ノ嶮縦走の始まりだ。
遠目に見ても激下りの「天狗の大下り」はやはり激下りだった。ガレ場や鎖場を下降してコルまで。
ながーい鎖場を慎重に下る。今日は私たち以外に誰もいないのでのびのびできるが、もし渋滞とかしてたら大変そうだ。待ち時間がかかるし、落石にも気をつけなければいけない。

次第にガスが晴れてきて、ついに不帰ノ嶮の全容が見えてきた!
良いタイミングで晴れてくれてありがたい。
ここからいよいよ登り返し。
1峰まではそこまで岩場って感じではなく、快適に進む。
そして1峰のピークから眺める2峰の姿に圧倒された!目を凝らしてもどこをどう登るのか皆目見当つかない。(笑)

じわじわと近づく2峰。カッコ良い!

2峰北峰までの登りは鎖場の連続でなかなか楽しめる。
鎖場が一切なければ、完全にアルパインクライミングだ。(笑)
遠目からは「どこを登るの?!」と思っていたが、うまい具合に登山道が繋がっている。
本当、すごいところに登山道があるものだ。開拓した人に敬意の念を感じる。

1ヶ所残雪が残っていて若干登山道を外れたが、99%夏道を歩けたので順調だ。
やはり核心部は2峰北峰の登りだったようで、あとは、のんびり歩くことができた。気づけば唐松岳が目前に聳え、山頂にある標識まで見えた。登山者の姿も見える。

ついに唐松岳登頂!

今山行の核心部を無事に突破することができた。
唐松岳頂上山荘で小休止。
「金の猿」の有島さん居るかな〜?と思ったけど、どうやら祖母谷の方でチェンソー振り回していたらしく不在だった。残念!
八方尾根は見晴らしよく、先ほどまで歩いていた稜線がよく見渡せた。

14:15八方池山荘着。
リフトと言う文明の利器に乗って、快適に下山する。無事に今回の山旅は終了した。
感想
一時はガスに包まれたものの、全体的に天気に恵まれ、展望も素晴らしく、お花もたくさん楽しめた。とても良い山旅だった。
「不帰ノ嶮」を歩くことに関しては、長年の想いが叶って嬉しいはずだが、正直なところ、「旬を逃してしまった」という気持ちが拭えない。
あれから9年。山行を重ね、沢登りやクライミングも経験してきた。
岩稜帯にも慣れ、一般登山道においては「難しい」と感じる場面が少なくなってきたのだと思う。
あの頃、あの気持ちのまま挑戦できていれば、
もっとワクワクして、感動して、怖さに緊張していたかもしれない。
行き損ねたまま時が過ぎ、9年越しに訪れたその場所で「物足りなさ」を感じたのは、少しもったいないことをしてしまった。
だからこそ、「行きたい!」と思った、その情熱が高まっているうちに行くのが一番だと、強く感じた。
装備
使うか使わないか分からない時に持っていくのに便利。
予期せぬ場所で、やばい雪渓が出てきたりするときにこれらがあると安心です。春山登山の神器。とにかく軽い!


アルミアイゼンは、チェーンスパイクより軽いのに安定感はバッチリでおすすめ。
私は3シーズン用の登山靴(後ろコバのある登山靴)に、セミワンタッチタイプで取り付けています。