スポンサーリンク
狩猟手続き

狩猟をはじめる① 書類手続き編

狩猟

妊娠してガイド休業中の今、時間があるので兼ねてより興味のあった狩猟を始めようと思った。
※狩猟に関する手続きは①〜④に分けて記事を公開予定です。

ハンターを目指すきっかけ

2024年4月、はじめて鶏を絞めた時、愛着の湧いていた鶏を殺すことに強い抵抗を感じた。
しかし、生き物である以上、他の命をいただくのは避けられない行為であり、私自身、肉を食べずに生活することは考えられない。
もし縁もゆかりもない「獲物」を相手にしたら、自分の心情は何か変わるのだろうか。命をいただく行為をもっと純粋に受け入れ、ただ感謝して食べられるようになるのだろうか。

他のハンターたちはどんなきっかけで狩猟を始めたのか。ふと気になって色々調べたら、意外な言葉を見つけた。

モモさん:そしてお肉を獲る大変さがわかると「畜産というのは人類のロマン」って思うようにもなりました。

引用元:目指せ!狩りガール no.2 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<前編>(目指せ!狩りガール)

狩猟では簡単に獲物を得られない(つまり、容易に肉を手にすることができない)。そんな状況だからこそ、自ら育てた家畜を食べる行為が、合理的で画期的な「発明」だったことに気づかされる。
狩猟をしている人たちには、こんな考え方があるのかと驚くと同時に、確かにその通りだと納得させられた。
狩猟を通して、私もこうした感覚を理解できたら…。そんなふうに思わされる言葉だった。

必要な資格

狩猟鳥獣として定められた鳥獣にかぎり、原則として狩猟は誰でも行うことができる。
ただし、以下の「法定猟法」に分類される方法を用いる場合は、資格や許可が必要だ。

猟法必要な免許・許可
網猟免許
わなわな猟免許
装薬銃(ライフル銃、散弾銃)第一種銃猟免許
猟銃・空気銃の所持許可
空気銃第二種銃猟免許
猟銃・空気銃の所持許可

手づかみや虫取り網など、法定猟法以外の「自由猟法」であれば特別な資格は必要ない。
例えば素手で鹿を捕まえたり、虫取り網でカルガモを捕まえる場合、狩猟免許はいらない。
※ただし、危険猟法に指定されるものは許可が必要になるし、狩猟ができる場所や期間も決まっているので、自由猟具を用いる場合でもしっかり勉強する必要がある。

素手で熊や鹿と格闘することは私には不可能なので、自由猟法での狩猟は出来ることが少なそうだ。

網やわな猟は、仕掛けたら毎日見回りする必要がある。その点、猟銃を用いた狩猟は山を自由に歩き回れるため、魅力的に思えた。第一種銃猟免許があれば空気銃も所持出来るので、第一種狩猟免許猟銃・空気銃の所持許可の取得を目指すことにした。

発生したコスト

免許取得や許可申請にかかった金額は合計約36万円ほど。(他に交通費・テキスト代・証明写真代・住民票の写し等の添付書類代がかかっている。)

〈猟銃・空気銃の所持許可〉

内容 金額
猟銃等初心者講習会 ¥6,900
教習資格認定 ¥8,900
診断書 ¥3,800
猟銃用火薬類等譲受許可 ¥2,400
射撃教習(教習射撃料) ¥27,500
射撃教習(クレー代金、弾代、整備料) ¥14,100
ガンロッカー ¥45,000
装弾ロッカー ¥18,200
猟銃(替銃身、加工代含) ¥212,000
銃砲所持許可申請 ¥10,500
合計 ¥349,300

〈第一種狩猟免許〉

内容 金額
診断書 ¥3,800
狩猟免許試験 ¥5,200
合計 ¥9,000

書類手続きの注意点

狩猟免許は市町村のホームページ猟銃・空気銃の所持許可は県警のホームページを参考にしながら手続きを進めた。

特に猟銃・空気銃の所持許可は手続きが煩雑で、最短で狩猟を始めるとしても半年はかかる。わざとややこしくして、いい加減な人は銃を持てない仕組みにしているのではとすら思えてくる。

以下は手続きに関しての主観的な注意点だ。(私の在住する都道府県市町村の場合)

・講習や試験の申込は抽選方式
近年、受験者が多いのか抽選方式になっている。必ず参加できる訳ではない。私は落選したことはないが、会場は毎回定員近く埋まっており、決して余裕があるわけではなかった。

・申込期間が短い
一部の講習では事前申込期間と本申込期間が分かれており、申込み期間がわずか1週間程度の場合も。申込みを忘れないよう、全体の日程と申込日をまず最初に把握しておいた方が良い。

・住民票と診断書は複数枚必要
手続きを通して複数枚必要な書類がある。また、10年前までの全ての住所歴・職歴など、すぐには記入出来ない項目も含まれている。必要な書類や内容を事前に確認し、可能な範囲で準備しておくとスムーズだ。忘れると二度手間になりがち…。

・警察提出用の身分証明書には注意
警察に提出する「身分証明書」は運転免許証ではなく、本籍地の市町村から発行してもらう書類だ。

・証明写真が多数必要
狩猟免許試験…計1枚
銃砲所持許可…計4枚
(サイズ: 縦 3.0 ㎝ 横 2.4 ㎝、6ヶ月以内に撮影したもの)

・書類不備に注意
書類に不備があると後日再提出が必要になる。
再提出に備えて、パソコンで作成してデータを保存しておくと対応が楽だ。手書きの場合は提出前に写真を撮っておくと良い。

・自治体による費用助成があることも
都道府県によっては費用助成がある。
新潟県では、有害鳥獣駆除を行う意思がある場合、最大54,000円の助成を受けられる。助成申請には領収書が必要なので、必ず保管しておく。

・平日の手続が多い
警察署への訪問や講習会への参加は平日になることが多く、手続きに時間が取られる。私の場合、全体で13日間を費やした。

許可・免許取得までの外出スケジュール〉

日程銃砲所持許可狩猟免許
7/13(土)銃による猟銃等の体験研修会
9/28(土)狩猟免許取得希望者講習会
9/26(木)猟銃等初心者講習会 本申込み
10/21(月)猟銃等初心者講習会
↓講習修了証明証(有効期限:3年)
10/22(火)診断書 受取診断書 受取
10/29(火)教習資格認定 申請
11/13(水)身辺調査
11/22(金)狩猟免許試験
12/2(月)教習資格認定証 受取
猟銃用火薬類等譲受許可 申請
↓教習資格認定証(有効期限:3ヵ月)
12/5(木)射撃教習
↓教習修了証明書(有効期限:1年)
12/9(月)銃砲店へ銃を選びに行く(狩猟免許試験 合格発表日)
1/9(木)銃砲所持許可申請
1/30(木)ロッカー検査
2/19(水)銃砲所持許可証 受取・銃 受取
↓(3ヶ月以内に銃受取)
↓(銃受取りから14日以内に確認)
2/20(木)銃の確認
終了

診断書

診断書は合計3回必要だ。

手続き備考
狩猟免許試験・県の書式あるが様式問わず
・コピー不可
・銃砲所持許可があれば提出免除できる
教習資格認定・警察の書式
・コピー不可
銃砲所持許可・警察の書式
・教習資格認定で提出した診断書の作成日から3ヶ月以内であれば流用できる

私は狩猟免許用と警察提出用の診断書を、あわせて2枚もらうことにした。
有効期限を考えて、10月22日に診断書を用意し、翌年1月22日までに鉄砲所持申請を済ませる予定だ。

診断書は「精神保健指定の医師」「かかりつけ医」が書けることになっている。

私のかかりつけは、産婦人科と歯科しかない…。歯科は対象外で、産婦人科も対応してくれるか謎。近くの精神科は、通院者の話を聞く限り初診予約は2ヶ月先まで埋まっているそうで、そんなに待てない。

ネットで調べたら内科でも対応してもらえそうだった。調べて、過去に精神病患者さんの口コミがある内科に電話してみた。
「診断書を書いていただきたいんですけど。」
「何に使うものですか?」
「狩猟です。」
「あ〜狩猟ですね。分かりました。」
初診であることを伝え、日程を決めた。当日は好きな時間に来ていいと言われ、通話は終わった。

診断では、雑談を交えながら「あなたはうつ病ですか?」「いいえ。」ってな感じに質問に答えていった。医者は、「こんな形式的なものに何の意味があるのか。」といつも疑問を感じているようだ。私もそう思った。マイナンバーカードを活用するなりして、診断書を無くしてほしい。

「狩猟、ぜひ頑張ってくださいね。」

15分ほど待って、診断書を無事に受け取った。2枚分の支払いで7,600円だった。

想像よりもすんなりもらえてよかった。病院では、私の他にも狩猟の診断書をお願いする人が1年に1人は来ると言っていた。この辺りは山が近く、狩猟が身近だからかもしれない。

右が県の書式、左が警察の書式

今回のまとめ

狩猟を始めるぞ!と行動を開始してみたものの、まずは書類手続きの煩雑さに驚かされた。特に銃砲の所持許可に関しては、こんなに面倒なのは人生に一度あるかないかくらいのレベルだった。

免許も所持許可も、取ったら終わりではなくて、今後も更新手続きを忘れずにやらなければいけない。手続きの煩雑さやかかる費用の高さを通して、狩猟という趣味を持つことの重さを実感した。

タイトルとURLをコピーしました