2021年10月30日(土)
7:05 浅草岳入叶津登山口 – 国道289号 – 8:20 枝沢下降 – 8:30 叶津川 – 9:50 木ノ根沢出合 – 11:00 標高点566m二俣 – 13:50 赤崩沢出合 – 14:00 CO670m(赤崩沢)
2021年10月31日(日)
6:40 CO670m(赤崩沢) – 8:00 CO760m二俣 – 9:10 標高点949m – 11:20 CO760m二俣 – 14:40 標高点612m – 15:35 標高点566m二俣 – 15:55 脱渓 – 16:05 国道289号 – 17:45 浅草岳入叶津登山口
メンバー : 2人(Waka : ラバー、Kさん : ラバー)
天気 : 霧のち晴れ(両日共)
先週に続き、今週も会越へ。やっぱり秋は「会越×紅葉」だ。
今回のルートは山仲間Kさんの提案で叶津川支流芳沢〜叶津川本流の周回となった。
国土地理院地図で眺めると「芳沢」という表記は見当たらない。
「赤崩沢」と書かれている場所が「芳沢」で、本当の「赤崩沢」はさらに上流のCO665m二俣の右俣を指すのが正しいようだ。
1日目
当日、朝6時の出発に合わせて5時半頃に浅草岳入叶津登山口に到着した。
距離が長いから早めに出発しようと考えていたが、現地へ赴くと、とにかく寒い!
寝不足も相まって、準備する気になれず車内でシュラフを広げて二度寝を決め込む。
私たちが寝てる間に続々と車が駐車場にやってきて、何人もの登山者が浅草岳に出発していった。
辺りもすっかり明るくなってきて、これ以上寝ているといよいよ計画を遂行出来なくなりそうだったので、意を決して支度を始める。
7時過ぎに登山口出発。寒いけど、朝よりかなりましだ。

どこから入渓するかと考えながら、建設途中の国道289号を歩いてゆく。
「その空の下で。。。」のひろたさんの記録を読むと、木ノ根沢出合より下流の叶津川本流ゴルジュが綺麗だとか。
8:20、国道を約4.5km程歩いた先、「叶津第一トンネル」入口の右側から降りている沢筋から入渓することにした。
出合は6mの滝になっており、一瞬ドキッとしたがクライムダウン成功。
少し進むと、早速右手に美しいスラブ壁が見えてきた。木々が紅葉しており美しい。
朝はサミーサミーと騒いでいたけど、やっぱり来て良かった!

時々ヘツリながら順調に進んでいく。空はどんよりとした曇り空。
ちょっと寒いし、できれば太陽が欲しいところ。
ホオノキ沢(なこ沢)出合を過ぎると、今回初の2m滝を皮切りにいよいよゴルジュのお出まし。ちょうど太陽が顔を出してくれ、深い水面がキラキラと輝いた。とても綺麗な場所だ!
9:50、木ノ根沢出合到着。
昨年の夏は木ノ根沢にかかる橋から入渓して、ここを遡行した。(過去の記録)

11:00標高点566mの二俣に到着。
右俣の芳沢へ向かう。帰りは左俣の叶津川本流を下降してくる予定だ。
芳沢へ入ると、河原がメインの穏やかな渓相。
そこかしこの浅瀬でペアになったイワナが産卵をしている。
うっかり邪魔しないように、なるべく沢に入らず端っこを歩くようにした。
相変わらず紅葉も見事で、目を楽しませてくれた。

途中の2条8m滝は左壁から登る。
ちょうど右から出合っている10mの支流滝も実に見事だ。

2条8mを超えても、なお美しい渓相が続く。
そのうち穏やかな河原に変わる。13:50赤崩沢出合に到着。
芳沢本流は左俣を進んでゆくが、幕営地があるかも分からないので右俣の赤崩沢に入ってすぐの場所で幕営することとした。
寒そうなので、今回はタープではなくテント泊だ。
数m離れた河原で焚き火を起こす。ここ最近沢では軽量化の為にカレーメシばかりだったが、今回は久々豪華に「鍋」をいただく。野菜も肉も旨い!

2日目
翌朝5:00過ぎに起床。
朝一でテントの入り口を開けると、辺りには濃い霧が立ち込めていた。またまた今日の沢登りのヤル気を削がれる光景。
6:40、幕営地出発。二俣まで引き返し、左俣の芳沢を進む。

早速目前に立派な10m滝が現れた。見た感じ快適に直登できそうでもあったが、シャワークライミングが嫌なので左岸巻き。
灌木を掴みがながらゴボウで斜面を登る。手が冷たくて痺れる。感覚がなくなってきて、これはこれで寒かった。(Kさんはテムレスを装着していたので問題なさそうだった。)
そのうちに沢幅が狭くなる。ゴーロやナメ床を交えながら標高を上げていく。
道中、右目を負傷したイワナに遭遇。
ここに至るまでも、ペアのイワナと、外からメスイワナを虎視淡々と狙うオスイワナを見かけた。
外野のイワナが近づこうとすると、ペアのオスが一生懸命追い返していた。
この傷を負ったイワナはもしかしたら戦いに敗れたイワナなのか、はたまた岩に当たって怪我をしたのか・・・。どちらにせよ野生の厳しさを知った出来事であった。

↓道中見かけたイワナの戦い
イワナたちの闘いを見た👀 pic.twitter.com/vAxSLkKrx2
— Waka (@3776_yamanchu) November 1, 2021
水流が細くなってくると、3m前後の滝が続くようになるが、ヌメりがあり緊張した。
灌木を活用しつつどうにか突破。いよいよ水流が途切れる。
藪はそれほど密生しておらず、快適に詰めあげる。
9:10、会越国境稜線に立つ。
今年の4月末に訪れた場所にまた行けて、なんだか感慨深い。(記録:中の又山)
展望は木々に覆われているが、それでも藪の隙間から見える下田の山々が嬉しい。
南側には、守門岳、浅草岳、越後駒ヶ岳、南会津の会津朝日岳や会津駒ヶ岳が見えた。
意外と稜線上には踏み跡が続いており、楽に進むことが出来た。
下降を始めるとすぐに沢型に入る。沢は緩やかな傾斜のナメで下りやすい。
快適に降ってゆくと、突如として展望が開けた。何事かと思ったら、大きな滝の落ち口だった。
ラッキーなことに右岸に灌木が生えており、上手い具合に巻き下ることが出来た。
2段20m滝を巻いたと思ったらすぐに2条10m滝が2つ続く。合計で40m程の落差をまとめて巻き下ることとなった。
滝の落ち口横の支流出合では多くのイワナを見かけた。滝を登れなかったイワナたちがここで暮らしているのだろうか。
Kさんが3匹重なりあったイワナを撮影していて、その間にもKさんの足元をピュンピュンと3匹程のイワナが逃げていった。

突如として現れた連瀑帯には驚かされたが、それ以降は時折滝を交えつつも快適に下る。
CO700m付近、左岸から入る支流が大崩壊していて巨岩帯を形成していた。
出合付近の土は水をたっぷりと含んでおり、沼地と化している。
見た目騙されて足を踏み込んでしまったらうっかり太腿近くまでズブズブと沈んでしまった。
崩落して発生した泥の量は膨大なようで、これより下部は白濁した沢水がひたすら続いた。

ナメ床を白い泥が覆い尽くし、もはや白ナメと化している。
この美しい景観を創り出しているのが崩落地の泥というのだから凄い。
そのうちに前方を歩いていたKさんが左岸の支流を見つめて、口をパクパクさせている。
「すごい!!早く来て!」と騒いでいる。
今、私の目前にある白ナメも充分凄いのだが、それ以上に何か凄いものがあるのか?
ハイハイ〜と行ってみると、、、予想の斜め上をいく光景が目に飛び込んできた。
支流の奥に巨大なスラブ大滝が鎮座していた。
まさかのまさか。先ほどまでの白ナメも非常に綺麗だったが、それすらも霞んでしまう程の絶大なインパクト。
支流を歩いて、スラブ壁の基部まで行ってみる。
水流は細いものの、見上げれば70mはありそうな立派な大滝だった。

地形図には滝マークはない。隠れた名瀑!
予期せぬ遭遇に、私もKさんも満たされた。
やっぱり会越はすごい。青空の中、スラブに生えた紅葉もキラキラ反射して、それは素晴らしい場所だった。
しばらく満喫して、再び本流の下降に取り掛かる。
こちらの景観も美しい。相変わらず白ナメは続く。
叶津川はてっきりゴーロ基調の穏やかな沢かと思っていた。今回は紅葉の沢歩きをのんびり楽しめれば、と思って訪れたが、想像以上に美しく、本当に行ってよかったと思う。
場所により渓相がコロコロと変わる。色々な「美しさ」を味わうことが出来た。
秋の沢登りでこんなに贅沢なルートはなかなか貴重ではないか?
ゴルジュに囲まれた長い淵はどうしても巻けなくて、泳がざるをえなかった。
水中に沈んだ石を活用して、どうにか胸までの浸水でこなすことが出来た。
その後もいくつか淵があり、なるべくヘツるが、時折どうしようもなく腰まで浸かる。一瞬ではあるがとても寒い・・・。

白く濁った水の中にイワナがぴゅっと泳いでいるのが見えた。
温泉ではなく泥で無害なのでイワナとしては大丈夫なのかも。
側から見たらなんだか息苦しそうに見えてしまうが・・・。
そのうち目前に国道289号の橋が見えてきた。橋の直前まで美しいゴルジュは続いた。
橋をくぐると、いくつか大きな釜を抱えた滝を越え、いよいよ穏やかな河原歩きになる。
さっきまで泳いだりしていたので、今はこれがありがたい。
未だに沢水はやや濁り気味。

15:40、標高点566mの二俣へ戻ってきた。
帰りは、道路がチラッと見えた場所から脱渓を試みる。(行きでKさんが目印のケルンを積み上げていた)
そのうちに刈り払いされた踏み跡に合流して、16:05国道のスノージェット裏に乗り上げた。
あとはひたすら国道を歩いてゆく。
道中、とうとう日が沈んでしまった。なんだか10月に入ってから毎週ヘッデン下山をしているような気がする・・・。
約7kmの道路歩きをこなし、17:45浅草岳入叶津登山口に無事帰着。
裏八十里
真名川から赤崩峠、新山峠を経て、叶津川を横断し、会越国境稜線の五兵衛小屋へ抜ける道があったそうだ。
今回歩いた叶津川は、昔は生活の糧を得るための場所だった。
沢の随所にゼンマイ小屋が並び、春になれば人々が1ヶ月程籠りゼンマイをとっていた。
裏八十里街道のそもそもの生い立ちは「鉱山道」だったらしい?が、上記のようなゼンマイ採りが盛んだった頃は「営林署の巡視道」として成立していたようだ。
ゼンマイ採りの人々は、ゼンマイを茹でる為のブナ林を国有林から伐採する許可をもらう代わりに、ゼンマイ採りのついでに道を整備する条件になっていたそうだ。
実際に歩いてみて裏八十里は正直よく分からなかったが、叶津川本流の左岸右岸に真っ平な台地がいくつかあり、かつてゼンマイ小屋が存在していたかのような雰囲気を感じる場所があった。
1ヶ月も山に篭り続けるのってどんなかんじなんだろう。
羨ましいような、ちょこっと体験してみたいような。
現代ではほぼ失われた生活。
当時の生活に想いを馳せずにはいられない。
【参考】
一期一会の渓 著:高桑信一
国有林図面 : 会津28-28(PDF : 2,791KB)
図面上でも叶津川流域に「歩道」が表記されているが、上記で示す「裏八十里」とはややルートが異なっていた。(裏八十里は叶津川を横断してフキ平、五兵衛小屋へと至るらしいが、その部分は図面には載っていない)
叶津川のゴミについて
今回の沢、特に芳沢ではやたらブルーシートや、タープの切れ端や、ネット、トラロープの漂流物、残置物が目立っていた。
出来る範囲で回収していたが、いよいよ多くてもはや私たちの力だけではどうにも出来ない程だった。
正直、今まで歩いた沢の中で最もゴミが多かったと思う。悲しくなってしまった。
ゴミの中には比較的新しいものが散見された。
特にゴミをあえて残していく行為は理解に苦しむ。
山は誰のものでもない。個人のリゾート地でも別荘地でもない。
利己的な都合で山を汚していいはずがないと思う。
人の残したものは人が回収しない限りどうしたって無くならない。ゴミがある限り、山が原始の姿に戻ることは永久にない。
もし、今後芳沢へ入渓する方がいれば、可能な限りで回収していただけると嬉しいです。
遡行図

今回初めての遡行図を書いてみた。(初めてなのであまりアテにしないほうが良いです。笑)
書いていると、思い出が蘇ってきて結構楽しかった。
食事
お食事処 いざよい (11:00~14:00/17:00〜21:30)
〒949-7302 新潟県南魚沼市浦佐4339−7 大和スマートIC近く
かつ定食オーダー。手作りカツが美味しかった。遅い時間まで営業しているありがたいお店。
大盛り無料。(ご飯はちょっと柔らかめで私はもっと硬い方が好きだけど。)
定食屋が好きな人はぜひ。
