2021年10月24日(日)
6:00 蝉ヶ平登山口 – 7:00 湯沢出合(スモヒラ) – 7:40 本名穴沢出合 – 8:50 水晶尾根 – 15:10 湯沢の頭 – 17:30 湯沢出合(スモヒラ) – 18:40 蝉ヶ平登山口
メンバー : 4人(Waka、Kさん、Sさん、M氏)※全員ラバー
装備 : 40mロープ×2、フローティングロープ、カムナッツハーケン類
天気 : 晴れ時々ガス
昨年、前が岳南壁V字第2スラブへ行ってから、秋の会越国境、御神楽岳近辺が気に入ってしまった。
今年も歩きたいと思い、以前より気になっていた水晶尾根へ。
Sさん、M氏もタイミング良く今週行く予定だったので、Kさんと4人で秋の会越を満喫してきた。
夜明け前に蝉ヶ平登山口へ到着。6:00準備を済ませて出発。
湯沢出合までは蝉ヶ平の登山道を辿ってゆく。道中、何度か滝のトラバースと沢の渡渉をこなす。岩盤がヌメっていてけっこう緊張する。
1時間程で湯沢出合に到着。
ここからは広谷川を遡行してゆく。
久々の会越の渓。グリーンタフの岩盤が目前に広がる。胸がワクワクする。やっぱり美しい場所だ。
基本的に水量は少なく、渡渉は膝〜腿程度で済む。深そうな釜はうまくへつって、どうにかドボンは免れた。ゴルジュは左岸から巻き。
朝立ち込めていたガスはいつの間にか晴れていき、空には青空が広がる。太陽に反射して尾根の紅葉が赤く輝く。
7:40本名穴沢出合到着。
※「本名」とは御神楽岳の会津側にある本名村という集落の名前だ。(現・金山町)
「本名穴」は、本名村に住む猟師がこの沢にシシ穴(熊の穴)を見つけたことが由来らしい。
(参考:御神楽岳 小澤観一著)
本名穴沢に入って滝を登ってゆくと、右岸に小さな支流が出合った。トマノ左俣沢だ。
見上げると、トマノ左俣沢の左岸から、支尾根に向かって、一本のスラブ状ルンゼが詰め上がっているのが見える。今回はこのルンゼを詰めて水晶尾根に取り付く計画だ。
朝はガスっていた空がいつの間にかスッキリと晴れていた。太陽の光に照らされた稜線が美しい。
沢を登っていると、先行していたSさんが「水晶がある!」と大興奮。続いてM氏も大興奮。
え?何なに?と後から追いついた私も、Kさんも、、、大興奮!!
想像以上に水晶が水晶だった!!!!
岩の割れ目の中に、びっしりと水晶が生えている。すごいすごい。
山中のズリとかに落ちている水晶を見つけたことはあるけど、今回のように、正真正銘の天然物、人の手の入っていないであろう水晶は初めて見た。
まだ「水晶」尾根には取り付いてないけど、、、ここら辺には本当に水晶が存在していたのだ。
そのうちに、本名穴沢から見上げたルンゼの基部に到着した。左寄りの草付き・灌木からよじ登り、スラブに立つ。スタンスホールドはあるもののだいぶ傾斜が急だ。登る程にぐんぐん標高が上がってゆく。
いよいよ傾斜が立ってきたので左岸の藪尾根に逃げ、そのまま水晶尾根に乗った。
尾根を忠実に辿っているとCO700m付近で岩壁に出合う。私がリードを申し出たものの、早々にスリップをかましてしまった・・・。M氏に選手交代。私とは異なるルート取りで見事に上へ。3人も後に続く。このワンピッチが今回の山行で最も悪い場所だった。
それにしてもM氏が悪場に強くてホント凄いわ。
もうホント男とか女とか関係ない。強い人は強い。
今回のM氏然り、ここ最近山で活躍している女子たちを何人も観測している。女子だから〜って言い訳するのは不毛だなって思い知らされる。私も頑張らんとなって思いましたよ。
ビレイポイント上部にも痩せたリッジが続いており、最後尾のKさんがロープを繋いだまま様子見に行く。想像以上に岩が脆かったようで、念のためこちらでもロープをワンピッチ出すこととなった。
全ての岩がぐらぐらで未だかつて経験したことのない脆さだった。
これがアルパインクライミングか。。。怖っ!冷や冷やしたが無事に突破出来て良かった。
痩せ尾根は続くがようやく悪場は終了し、ロープを解いて進んでゆく。
上部は藪も落ち着き、左右には見事なスラブが広がっている。素晴らしい展望だ。
よじ登っていると、再び水晶を発見した。岩のカンテ部分にびっしりと生えている。水晶ホールドをそっと掴んで、なお登ってゆく。
CO840mで再び目前に左右切れ落ちた岩塔が出現。
M氏がロープを引いて右側からトラバース気味に越える。
高度を上げていくと、いよいよ稜線上に湯沢の頭が近づいてきた。
左手には御神楽沢奥壁、右手には山伏尾根や本名穴沢スラブ、振り向いても荒々しくも美しい展望が広がっている。なんと見事な景色か。
標高を上げていくと、次第に紅葉した草木も見え始めた。
絶景の稜線歩きだ。景色が素晴らしすぎて、ついつい休憩時間を長く取ってしまう。行程は長く、早く歩かねばと思いつつも、ついつい足が止まってしまう。
一箇所、ギャップになっている箇所は左側をトラバースして慎重に通過。
のんびり景色を堪能しながら歩いていたが、いよいよ水晶尾根の終わりも近づいてきた。
お隣の山伏尾根と合流し、山伏の頭を過ぎる頃には尾根筋も広くなってきた。
「山伏」は「やまぶし」と呼ぶが、私はどうしても「やんぶし」と呼んでしまう。
南アルプス、安倍奥には「山伏(やんぶし)」という山があり、静岡県で生まれ育った私はどうしてもそう呼んでしまう。
都度、仲間たちに違うよーと言われるが、やっぱり口から自然と発するのは「やんぶし」だ。静岡県民の皆さんなら気持ち分かってくれるかな?笑
私があまりにもなおらないので、いよいよ皆んなも諦めてしまった。笑
15:10湯沢の頭到着。
時間が押しているので早々に蝉ヶ平へ向けて下山に取り掛かる。
途中途中、岩場のクライムダウンもこなさなければならず、神経を使う下降ではあったが、とにかくこちらも周りの展望が見事だった。
ついつい足が止まってしまい、じっくりと景色を楽しんでしまう。
Kさんが「栄太郎新道は別に迷わないよ〜」と言っていたが、実際のところ計3回登山道を外れてしまった。。。知らぬ間に沢を下降していたり、知らぬ間に別の尾根を下降していたり。。。
私も、疲れもあってか道を間違えた瞬間に誤りに気付けなかったりして、ちょっと意識低かったなぁと反省。
急ぎつつも景色はしっかり堪能して、18:40 蝉ヶ平登山口無事帰着。
以前より気になっていた、水晶尾根を歩くことが出来て嬉しかった。
予想より悪い箇所もあり大変だったが、尾根から眺める周りの景色は圧巻で、やはり御神楽岳は素晴らしい名峰だと再認識した。
↓地質マニアM氏の見解です。
突っ込んできたマグマの貫入岩が急に冷え固まると、二酸化ケイ素がたくさん溶け込んだ水分が分離する。
— たな (@YAMA_alk) October 28, 2021
ここのマグマは流紋岩質の白っぽいやつだからそもそも二酸化ケイ素の含有率高い。こいつがまさに”水晶”の材料💍
水晶尾根で水晶見つけた場所を確認すると…かなり納得できる結果になった🤐 pic.twitter.com/ogROTDbxDP
【山仲間たちのリンク】
Sさん・・・山と渓の国(ブログ)
M氏・・・源流徘徊たなか(YouTube)
Kさん・・・中澤慧(YouTube)