日 時 2021年2月12日(金) 〜 13日(土)
山 域 南会津
目 的 山スキー
行 程
2021年2月12日(金)
6:00 黒谷発電所 – 9:30 白沢山 – 13:00 沼ノ沢山 – 14:20 P1,256m – 14:40 標高1,269m地点 (幕営)
※黒谷発電所の前(橋より奥)は駐車しないようにしてください(除雪や発電所の方が使用するため)
2021年2月13日(土)
(※荷物をテントにデポして山頂アタック)6:00 標高1,269m地点 – 7:05 叶の高手 – 8:25 バイウチノ高手 – 9:00 会津朝日岳 – 10:25 叶の高手 – 10:50 標高1,269m地点 11:20 – 12:25 沼ノ沢山 – 14:10 白沢山 – 15:50 黒谷発電所
距離 : 32.1km 累計高度(+) : 1,947m 累計高度(-) : 1,956m
人 数 2人
天 気 両日ともに晴れ。気温高い。
雪 の 状 態
日中はベトベト雪。
標高1,200m付近、南側斜面はサンクラスト、北側斜面はパウダー。
山頂直下北東斜面はやや湿り気味のパウダー。(スキー滑降しやすい斜面)
山仲間のKさんと1泊2日で会津朝日岳へ。
白沢山の北東に伸びる尾根、大沢の右岸尾根に取り付く。
大沢右岸尾根の末端はかなり急峻だったので、大沢の堰堤上部に移動して、やや上から尾根に取り付いた。
Kさんがうまい具合にルーファイをしてくれたお陰でスムーズに尾根に乗り上げた。
登っている途中、いつの間にやらストックが1本、ポッキリと折れてしまった。
尾根に上がるまでは左右に持ち替えながらなんとかこなし、尾根上でテーピングをグルグル巻き応急処置。
私のストックはアルミ製で折れづらいはずではあるが・・・、どこかでテコの原理が働いてしまったのだろうか。
(幸い、今山行中に再び折れる事はなかった。)
続く尾根は針葉樹林の痩せ尾根。
スキー板でハイクアップするにはなかなかテクニカル。
今日は日差しも暑く、日の当たる南面では全層雪崩が見られた。
しばらく高度を稼ぐと、尾根は広くなった。
雪面に刻まれているのはカモシカの自由なトレースのみ。
それ以外は何も荒らされていない、綺麗な雪。
自分たちが伸ばしているトレースが無粋なくらいだ。
今週末はとても天気が良い。
きっとたくさんの山好きな人があちこち山へ出かけている事だろう。
それなのに、ここ会津朝日岳は人の気配はまるでない。
小鳥のさえずりが時々聞こえるくらいの静かな山。
好天の素晴らしい日に、Kさんと2人、貸し切りで歩けるなんて、なんて贅沢だろう。
昇温により、今朝はサクサクで歩きやすかった雪も今はすっかりベチャベチャ。
御神楽岳の失敗から、今回はシールワックスを塗りたくってきたが、もし塗っていなかったらおそらく団子化が激しく進むのも大変だっただろう。
ラッセルはやや重く、まぁまぁ疲れるが、それでもやっぱり来て良かったなぁと何度も思う。
白沢山をトラバースで巻き、いよいよ沼の沢山に向かう稜線に立つと、山々の展望が広がる。
あまりにも素晴らしい景色なので、ついつい足を止めて休憩してしまう。
見渡す限りの山々。
山深い場所に浸れてとても幸せだ。
沼の沢山付近を通過したのが13時。
Kさんと相談して15時をタイムリミットとして進めるところまで進むこととした。
雪庇を踏み抜かないように慎重にルート取りをしながら進んでいく。
一部、両方から風が吹き付けているのか、雪庇がリッジ状になっている箇所があった。
初見で「え?!」と思ったがうまい具合に突破できた。
しばらく進み、標高1,269m地点、ポコの南東側で幕営。
稜線での幕営だというのに、無風の驚くほど静かな夜を過ごした。
翌朝、6時頃に出発。
テント内に不要荷物をデポして、軽身で会津朝日岳を目指す。
叶の高手までは素晴らしい雪稜漫歩。
一部、ややリッジ状になっている部分の最上部を慎重に進む。
尾根の南面はカリカリの雪、北面はパウダー雪。
少し歩く場所を変えるだけで、まるで雪質が違うことに改めて驚いた。
徐々に赤く染まっていく会津朝日岳を眺めながら進む。
いよいよ叶の高手が近づいてくるが、左右いっぱいに雪庇が広がっているのが見える。
遠目で見えていた雪庇は近く程に大きくなり、基部まで来ると背の丈を越えるようになった。
尾根上の最も安定した部分の雪庇をスコップで切り崩す。
先によじ登ったKさんにスキー板やらザックを手渡し、続いて私もよじ登る。
雪庇、無事に突破。
目指すべき会津朝日岳の全景が見えた。まだまだ遠い。
登る予定の東面が、遠目からは「壁」に見えて仕方がない。
Kさんと、登るのが厳しそうであれば無理せず引き返そうと話し合った。
しばらく降り、避難小屋を越えるといよいよ会津朝日岳が目前に。
8:25バイウチの高手到着。
見上げる東面は近づいてみると意外と大丈夫そう。
Kさんが、「傾斜が急すぎたらスキーデポして歩いて登ろう。」と提案する。
私が、「スキーは担いで持ってけば滑って帰れるでしょ。」と言ったら
どうやら斜度にビビったようで「僕は置いていく。」と断言していた。
まずはスキーを履いたままハイクアップ開始。
下からみるとなんとなく平らに見える場所があったので、そこまではとりあえず登ることにした。
登り始めてみると、パウダーではないが、雪がかなり良い。
私が西大巓や焼石岳の山頂直下で味わった、あの程よく締まったgoodな雪ではないか。
登ってみると、一貫して傾斜があり、意外と落ち着く場所がない。
結局上までスキーでハイクアップしてしまった。
稜線から北西に進むといよいよ会津朝日岳の山頂に到着した。
山頂といっても片側は雪庇が発達しており、まるで山頂ぽくない。
おまけに足元が結構ガリガリで気が休まらないので、早々に先ほどまで居た場所(ドロップポイント)まで引き返す。
ここでのキックターンが地味に怖かった。
ドロップポイントまで戻ってもまだ油断は出来ない。
シールを外して滑降準備。
ハイクアップ前はスキー板を置いていくと断言していたKさんだが、結局山頂までスキー板を履いてきてしまった。
私が「雪が良いからここなら滑れると思うよ。」と言ったら、頑張る!と気合を入れていたので安心。
「怖がると余計にコケるから楽しんでね。」とも言ったが、それは自分自身にも言い聞かせたいことだ。
一つ、深呼吸して、いざドロップ。
やっぱり素晴らしい雪だ。
山頂が見える位置まで爆速で滑り降りて、Kさんに手を降って合図。
ヤベー泣きそう!と叫びながら降りてきたKさん。
この傾斜で、ここまでスムーズに滑れたのは初めてらしい。
嬉しさと怖さでごちゃ混ぜになっているそうだ。
稜線にひとりぼっちで取り残され、怖いし心細かっただろう。
それでも滑らなきゃ帰れないのが山スキーだ。
ここに来てやっと「山頂まで登れて良かったよ!」と感想を述べることが出来た。
本当に、雪のコンディション次第では登れなかったであろう山頂。
無事に登頂することが出来て良かった。
それでもまだまだ気は抜けない。気を引き締めて滑降を続ける。
叶の高手の登り始めまで一気に滑り、シールをつけて再びハイクアップ
周りに広がる山々の大展望を楽しみながら歩いてゆく。
今朝突破した雪庇は荷物を下ろして空身で降りる。
再び滑降モードになり幕営地点に10:50頃到着した。
2月だというのにまるで真夏のような気候。
テントを撤収したり雪で行動水を作ったりして11:20改めて出発。
元々2泊3日で計画を立てていたが、可能であれば下山するつもりで歩き出す。
ここからはアップダウンが多いのでシールをつけて進む。
降りの場面ではシールワックスを塗ったお陰なのか、非常に滑りが良い。
順調に往路を辿り、沼の沢山から再び滑降開始。
尾根をうまく巻いて滑降距離を伸ばそうかと考えていたが、広い二重稜線、尾根上に大きなシュカブラがあったりで、なかなかうまく巻けず、早めにシールを貼って歩き出すことになった。
白沢山の巻きもシール歩行でこなし、いよいよ取り付きの北東尾根に乗る。
ここから標高655mまでは尾根が広いので順調に滑降できた。
細尾根が始まるので、スキー板を抜いでシートラーゲンに変更
凄まじい踏み抜き地獄を突破して、ようやく林道が見えてきた。
尾根の取り付き付近は、行きとは少し違うルート取りをして林道に合流した。
15:50黒谷発電所無事帰着。
片付けをしていると、ちょうど発電所の社員の方がいらっしゃったので、駐車させてもらったお礼を伝えた。
スキー板を確認するとあまりの汚れっぷりに驚愕した。
2月という時期に、素晴らしい好天に恵まれ無事に登頂することができた。
会津朝日岳は、アップダウンあり、痩せ尾根あり、雪庇越えもありで、もしかしたら山スキーには不向きな山かもしれない。
それでも、「スキー」を登山の道具として活用し、2日間で南会津の奥地まで足を踏み入れることができたのがとても嬉しい。
会津朝日岳へ向かう稜線では、以前より気になっていた山々がたくさん見えた。
雪のついた山々は一層カッコよく、私の目に映った。
厳冬期はアプローチの道路も閉ざされ、山麓まで近づくことすら難しい山も多いが、気になってしまった山々に、どうにか頑張って登ってみたい。
今回の山行では、山スキーのスキルとしても自分の中でレベルアップできたような気がする。
無事に歩かせてくれた山、そしていつも一緒に歩いてくれるKさんに感謝です。
【日帰り温泉】
深沢温泉 むら湯 〒968-0442 福島県南会津郡只見町長浜上平50
9:00 〜 19:30 大人:600円