日 時 2020年11月1日(日)
山 域 会越国境
目 的 アルパインクライミング・スラブ紅葉狩り
行 程
10月31日(土)前日
白石沢スラブを歩いた後、道の駅 奥会津かねやまに移動・仮眠。
11月1日(日)当日
6:50御神楽岳登山口ー7:10入渓ー7:50鞍掛沢出合ー8:45二股ー9:15二股ー13:15稜線ー14:35本名御神楽14:55ー17:10御神楽岳登山口
人 数 4人
天 気 霧のち晴れ
Sさん、M氏と白石沢スラブを歩いた翌日は会越へ。
木地夜鷹山に登っていたKさんと合流し4人で前ヶ岳南壁へ向かう。
前日の夜、道の駅奥会津かねやまにて仮眠。
夜明け前に起床。外へ出ると、冷え切った空気に思わず体が震える。
めちゃくちゃ寒い。
日中は晴れ予報だが、本当に沢歩きなんて出来るのだろうか。
車で御神楽岳登山口へ移動すると、6時半過ぎだが既に5台程の車が停まっていた。
登山口辺りはスペースが狭い。私たちもギリギリ駐車することが出来た。
準備を済ませ、7時前に出発。
八乙女滝までは登山道を歩き、滝を越えてから霧来沢に入渓した。
山肌には低い霧がかかっている。
会越ではよく見かける光景。
キリッと引き締まった空気の中遡行していく。
沢沿いもすっかり秋の様相。
紅葉したブナの木々が美しい。これぞ沢旅だ。
沢床がやや滑るので慎重に。
私、Sさん、M氏はラバーソールの沢靴(沢タビ)だが、Kさんはトレランシューズを履いている。
どうやら沢靴が壊れてしまったようだ。
(スラブ登攀用に念のためクライミングシューズも持ってきたようだ。)
特別困難な場所もなく順調に進んでいく。
ありがたいことに水量は非常に少ないので、濡れ過ぎてブルブル震える事は無かった。
トレランシューズもなかなか滑りやすそう。時折ツルッと滑っていて大変そうだった。
グリーンタフの岩が綺麗。
やがて、目前に前ヶ岳南壁が現れる。
太陽に照らされて輝く南壁は、その名の通り「壁」に見えた。
私たちは、南壁の「V字第二スラブ」を登るのだが・・・。
どこをどう見ても壁壁壁。
「スラブ」よりは「ルンゼ」「フェース」といった名称の方がしっくりくる気がした。
南壁が近づく程に斜度は増していく。
巨岩帯をよじ登り、一気に高度を上げていく。
水のほぼ枯れている滝を右岸から高巻き、草付きを慎重によじ登っていく。
振り返ると、いつの間にやら先ほどまで居た場所は遥か下に。
開けた景色が気持ち良い。
上を見ると、厳つい岩壁が立ち並んでいる。
水のチロチロと流れている滝を右岸側からよじ登る。
上部は意外とホールド細かく緊張した。
テラスで一息つき、上を見上げると、先ほどよりも近づいた岩壁たちが。
圧巻。これから、ここを登るなんて・・・。
見上げている首が次第に痛くなってくる。
いつの間にか雲量が減りすっかり青空に。
テラスで休憩中、Sさんが担いできたドローンを飛ばし始めた。
幸い今日は私たちの貸し切り。
空に飛び立ったドローンは思いのまま絶景を記録していく。
↑Sさんのドローン空影。私たちも小さな点になって映り込んでいる。
休憩後、リードM氏で登攀を開始。
後続はフィックスで登っていく。
上からロープが垂らされていることがありがたい。
私も慎重にフォローで登らせてもらった。
緊張のワンピッチを終え、多少の藪をよじ登ると、再びスラブの上へ。
振り返れば、やはり見事な景色が広がっている。
またまた歓声を上げてしまう。何度見ても全く飽きない景色だ。
「おーい!」と叫ぶと山びこが答えてくれた。
それが面白くて何回か叫ぶ。Sさんはやっぱり奇声をあげていた。
次第に壁が立ってくる。
2ピッチ目もM氏リード。
Sさん、最初はリードすると言っていた気がするのだが、どうやら「自分の限界斜度を超えた」らしい。いつの間にやらフォローに徹するようになっていた。
私も今回はフォローに徹しようかな。私はハイカーだ。リードはまだ刺激が強い・・・。
2ピッチ目終了点が狭くて際どい場所だったので、3ピッチ目は最後尾のKさんがそのままリード。
稜線もいよいよ近づいてきた。
こうしてみると、尾根上に整列した針葉樹が顕著に分かる。
豪雪地帯の山での特徴の1つだ。
根の浅い針葉樹は、雪崩の頻発する場所には生育出来ず、急峻な尾根上に生育するしかない。
稜線まであと少し、慎重に藪岩をよじ登っていく。
13:15、稜線へ詰め上げた。
南側に日尊の倉山、貉ヶ森山、南会津の山々が見えている。
秋の稜線はすっかり葉が落ち、非常に歩きやすい。
北西側。
本名御神楽から続く御神楽岳のピーク。南面にムサ沢がのびている。
南西側、浅草岳と守門岳も見えた。
14:35、本名御神楽山頂。
貸し切りという贅沢な環境。Sさんのドローンで記念撮影。
空からしか写せない構図。素晴らしい!素晴らしすぎる!!
山頂から見える景色は全て「山」
今年初めて知った川内の山々が見える。
正面に矢筈岳、青里岳(後ろに粟ケ岳)、台形ぽい五剣谷岳、銀太郎山、銀次郎山。(太郎、次郎の間に見えているのは白山)
半年前は山の名前が分からなかったが、いつの間にやら覚えてきた。
まだ未踏の山域。いつか行ってみたい。
素晴らしい展望をしばし楽しみ、下山を開始する。
登山道から眺める景色も一級品。
私が御神楽岳に登ったのは、今年が初めてだ。
歩けば歩くほど、その良さが分かってきた。頭のてっぺんから爪先まで、全てが魅力的な山だ。
御神楽岳はよく「会越の谷川岳」と呼ばれることがあるそうだ。
仲間内で、谷川岳の方こそ「上越の御神楽岳」と呼ぶべきでは?なんて話していた。
まぁ、どちらにせよ、御神楽は御神楽であり、谷川は谷川であり。
ただ1つ言えるのは、御神楽岳は谷川岳にも日本アルプスの山々にも劣らない強い個性を放っている。
別に他の山と「比較」する必要なんて全くないと思った。
本当に、出会えて良かった山の1つだ。
途中で、登ってきた第二スラブが見えた。
やっぱり「壁」に見える。
登山道からの眺めも素晴らしく、最後まで楽しませてもらった。
ギリギリ日没に間に合わなく、最後はヘッデン下山。
17:10御神楽岳登山口に無事帰着。
充実した1日となった。