今年の逍遥の旅は越後へ。三国川ダムから登り初日は日向山で泊。2日目は中ノ岳から北ノ又川を滑降し、右岸にある源蔵山へ登り返した。毎日素晴らしい晴れが続く。天候に悩まされることなく、美しい景色を眺めることができてありがたい。
2023年3月31日(金) 10時間40分
源蔵山 (5:50) – 灰ノ又山 (6:40) – 灰吹山 (8:00) – 荒沢岳 (9:35) – 灰ノ又沢滑降 – 基準点1268m二俣 (10:55) – 灰ノ又山 (13:45) – (14:20) 源蔵山 (14:40) – 岩魚止沢滑降 – 西沢出合 (15:50) – 支流出合 (16:30)
2023年4月1日(土) 8時間25分
支流出合 (5:35) – 藤原山 (8:40) – 基準点1659m (9:20) – 東小沢左岸尾根滑降 – 利根川 (10:10) – 丹後山 (13:55) – 丹後山避難小屋 (14:00)
2023年4月2日(日) 6時間25分
丹後山避難小屋 (6:30) – 三国川林道 (9:40) – 十字峡 (12:05) – 三国川ダム管理所 (12:55)
距離43.8km 累積標高±4,700m
メンバー : 2人(Waka, Kさん)
天気 : 晴れ
3日目: 源蔵山~荒沢岳~灰ノ又沢~灰ノ又山~岩魚止沢~西沢
荒沢岳
朝一番にテントから顔を出すと、どんより不気味な色をした空が見えた。その下に山々が浮かびあがる。こんな朝も雰囲気があって好きだ。
日が昇るにつれ、白い山肌に色がつく。
今日は少し軽めの計画。私がぐったり疲れていることもあり稜線伝いに荒沢岳を往復することにした。支度を済ませて5:50出発。稜線は大きく波打った雪庇が続いている。アイゼンを装着しスキー板を担ぐ。不要な荷物は全てテントにデポしてきた。今日のザックは少しだけ軽い。
灰ノ又山から標高差200mのささやかな滑降を楽しむ。カリカリ斜面だったが斜度が緩いのでそれなりに楽しめた。スキーの機動力はやっぱりすごい。遠くに見えていた荒沢岳がグッと近づいた。
それにしてもこの周辺。素晴らしい斜面がそこかしこに広がっている。
荒沢岳南面、山頂直下はやや割れており、残念ながら賞味期限切れかもしれない。
しかし今立っている場所のすぐ足元から灰ノ又沢に続く斜面。素直で綺麗な雪面が広がっている。今日はのんびり稜線往復の予定だったが、好きな位置から沢筋に滑り込むのも楽しそうだ。
Kさんになんか滑りたくなるね、と言ったら、滑ってもいいよ。と返ってきた。沢の右岸には登り返しやすそうな尾根がいくつかあり、なんとかなりそうだ。
右下の斜面を気にしながら引き続き荒沢岳を目指す。灰吹山は壁のような急登(に見えた)ので、左側の樹林帯から巻き気味に上がった。道中踏み抜きまくりで悲しくなった。
荒沢岳の肩に上がる手前で、雪庇の途切れた良さそうな滑降ポイントがあったので、スキー板をデポする。
山頂まであと少しが遠い。直下は夏道がところどころ出ており、アルミアイゼンを履いたままガリガリ岩場を登る…。道中、左手に蛇子沢中俣が見えた。美しい綺麗な雪面が続いており、つい滑りたくなった。
9:35荒沢岳登頂。二百名山なのに何故か三百名山には入っていない荒沢岳である。
アイゼン歩行があまり好きではない私の顔はなんかふてくされている。笑
ぼんやりと景色を楽しんだら往路を引き返す。
灰ノ又沢滑降
スキーデポ地点まで戻り、いよいよ滑降!
程よく緩んだザラメは最高に滑りやすい。ぐんぐん高度を落とし、登り返し予定の基準点1268mの二俣へ。
滑っていくと目前の雪がグッと落ち込んでいる。近づけば案の定滝が出ていた。
滝上でそそくさとスキー板を担ぐ。右俣から左俣へ、右岸の雪藪をトラバースして移動する。やや傾斜はあったものの雪はズボズボ、藪があったので難なく巻くことができた。もし無雪期に沢登りでここへ訪れても同じラインで高巻きをしそうだ。
灰ノ又山へ登り返し
左俣に着地し、シールをつけて登り返す。朝はどんより高曇りの空だったが、いつの間にか太陽が顔を出していて暑くなってきた。
途中から雪付きの良い斜面を選んで尾根に乗り上げる。後ろを向けば、荒沢岳と、その肩付近から滑降している私たちのシュプールが見えた。全くもってこだわりのないシュプールは左右非均一でガタガタである。笑
ここからだと、荒沢岳の南面がよく見える。朝は分からなかったけど、もっと高い位置から滑り込めそうだった。それに他にも良い感じのラインが見える。今年はもう機会が無いけど、またいつかの年に訪れたいと思った。
美しい荒沢岳を何度も振り返る。こんな素晴らしい場所に、私たちだけっていうのがなんとも贅沢だ。標高を上げてゆくと、朝滑った灰ノ又山が近づいてきた。上カブレ沢源頭が実に魅力的な斜面。灰ノ又山へ登り返すのを面倒臭がったカモシカの、大胆な足跡が斜面にくっきり残されていた。
私たちはせっせと灰ノ又山へ登り返し、源蔵山とのコルまで少しの滑降を楽しむ。再び登り返して14:20源蔵山へ帰着。
岩魚止沢滑降
さて、今日の行程は無事終了。ここで一泊するか、今日中に谷底まで降ってそこで幕営するか。の話が出た。今日滑れば、楽しいザラメ滑降&明日は雪の硬い時間にハイクアップできる。
しばし考えて、今日移動することにした。
さて、どこを滑るかだが、Kさんが私の要望を聞いてくれるらしい。巻倉山の南尾根か、沢を落とすか。沢に突っ込んで、行き詰まりたくないので無難に尾根かな〜と伝える。
それでも直下に広がる岩魚止沢の源頭が魅力的だ。「沢、多分開いてるかもしれないよね?」とKさんに話したら「分からない!それは出たとこ勝負でしょ!!」と謎に自信ありげな答えが返って来た。
「永井さん(※毛猛の沢を単独で開拓した人)が昔岩魚止沢を歩いたらしいけど、なんて事ない沢だったと書いてあった気がする。何にも出ないでしょ〜。」と加えて言ってきた。
悩むが、悩んでも無駄なのはいつものこと。「ま、なんとかなるか!!」と、考えるのをやめた。欲望に忠実に従い、岩魚止沢へ突っ込んでみることにした。ここから沢を落とした方がラインも綺麗だしね。
テントを撤収していざ滑降!
素晴らしいザラメはやはり素晴らしいザラメだった。
時間が遅い事もあってか、急斜面や喉へ入ると小規模の雪崩がドロドロ流れ落ちる。Kさんが「雪崩れたよ!」と慌てていたので、斜度の緩いところ選んで滑ろう!と伝えた。
下流に行くほどデブリが散見されるようになる。柔らかいデブリなので、比較的ましな方だろう。ボコボコと上を滑ってゆく。1箇所2m程の小滝が露出していたが、右岸側に堆積したデブリをカニ歩きで降りて無事に突破。
CO1,170m、再び滝が現れた。このワンポイントのみなら雪が繋がっているが、その先はゴルジュの様相。側壁の雪も切れている。Kさんに「ここから先は雪切れてそうじゃない?ここまでかなぁ…。」と心配の声を伝えたら「イケるっしょ!」と返ってきた。「え、どこが滑れるっていうの?!」と言うと「沢床!」と意味の分からない返答をするや否や、サーッと滝の左岸側壁を滑り降りて行ってしまった…。
Kさんが側壁を斜滑降&横滑りをすると小さな点発生雪崩が発生した。雪はゆっくりと、一直線に直下の渦巻く滝壺へボトボト吸い込まれていった。その雪が未来の私の姿と重なって急に怖くなった。ここで、もし滑落したら絶対に助からないだろう。
一足早く滑降してしまったKさんが、ゴルジュの先の様子を見ている。「行けそう?!」と声の限り叫ぶ。滝の音にかき消されてコミュニケーションが取りづらい。今回は無線を持ってきていない。するとKさんから「行けるよ!!」と声が届いた。
ああ、行けるのかな。私も側壁を横滑りしてKさんの元へ。滑降は緊張したが、滝壺に落ちる未来は免れた。
Kさんに近寄って「この先行けるんだよね?」と尋ねたら「見てくる!」と返ってきた。え、まだ見てないんかい!
「まずい!滝があるよ!降りれない!」…そして最悪の返答である。上も滝、下も滝、私たちは連瀑帯に閉ざされてしまった。「さっき行けるか聞いたら、行ける!って言ってたよね?」と聞いたら「あれはこの滝が降りられるよ。という意味だった。」とのこと。ガガーン…。やっぱり側壁の雪が切れてたら降りないのが賢明か。次回以降の学びになった。
さてここからどう脱出するか。今降りてきたところは出来れば登りたくない。いよいよ滝壺へシュートしそうだ。スキー滑降とは便利で楽しい反面、往々にして片道切符になってしまう時があるものだ。
右岸は雪がなくて岩壁。左岸は急斜面だが水の滴る薄そうな雪がついている。左岸を登るしかなさそうだ。
Kさんに提案したら「まじ?!めっちゃ急じゃない?!」と言ってきたが、ここしか登れる場所ないよ!と言ったら確かに…。と頷いた。
「じゃあシールつけよう。」と言ったらツボ足じゃないの?!と言ってきた。貴重な雪を踏み抜いて崩すつもりかな?シール派の私。
「それか、ここでビバークして朝イチ雪が固まったらアイゼンで登る?」と言ってきた。こんなところでビバークしたくないよ〜!
あーだこーだ言いつつも、登り返しの準備を始める。なんだかんだでKさんが先行してくれるとのこと。心強い!笑
隠れクラックがありそうな雪を慎重に踏んでゆく。幸いにも崩れることはなかった。Kさんと上下に重ならないように私も進む。緊張のキックターン。ちょっと傾斜が急なのが嫌らしい。失敗したら滝、失敗したら滝…。無事に成功。
上部のクラックの淵で板を担ぎ、あとはモンキークライム。リュックを担ぐのにも地味に難儀した。重さにひっくり返って転落しそうだった。
藪をつかみ、ブナの台地に乗り上げる。緊張のためか、気づけば喉がカラカラだった。
再び滑降モードにして左岸尾根をそのまま下ってゆく。こんな素晴らしい台地があって幸運だった。右下には底の見えない谷筋。脱出できてよかった。
出合付近はほとんど沢が開いていた。運よくあったスノーブリッジを渡って右岸に移る。15:50西沢に合流した。
西沢
西沢を見て愕然とした。広い沢床はパックリと開いている。スノーブリッジを探して遡上を始める。なんだか歩きやすいなぁと思った。気づけば昔の林道に合流していた。地形図には表記のない私たちだけが知っている秘密の廃林道である。
一昨年の秋、Kさんとパイセンと沖ノ巻倉沢を遡行したことを思い出した。あの時この林道の存在を知った。その時はモジャモジャでジャングルのような林道だった。雪が覆うとこんなに歩きやすいなんて。
道中、湧水が出ていたので水を補給。土や枯葉が混じっているが、雪よりはるかにうまい!下界では当たり前に飲んでいる水。水が飲めるって実はとってもありがたいことなのだと思い知らされる。
西沢を見ながら遡上するもなかなかスノーブリッジが見当たらない。唯一あった小さなスノーブリッジは、雪壁のクライムダウンが必要だ。ここから突破するなら雪の硬い明朝か。もっと歩きやすいスノーブリッジはないものか。
歩いている林道は次第に高くなってくる。谷が深くなってきた。日没が近づいてきた。この先にスノーブリッジは無いかもしれない。もう諦めてさっきのスノーブリッジの近くで幕営するしかないのか。
疲れも相まって、全体に諦めムードが漂ってきた。
最後にもう一度、地形図を確認する。今まで歩いてきた河原は広くて緩やかな地形。そもそもスノーブリッジは出来にくいのだろうか。数百m先に谷が狭まっているところがあった。Kさんに「ワンチャン、ここが埋まっていたりしないかな?」と提案する。Kさんが「最後に少しだけ進んでみようか。」と了承してくれた。
歩き始めると、新たに目に入ってきたのは沢に広がるデブリだった。Kさんが「デブリがあるよ?!」と期待の声を上げる。もしかしたら対岸へ渡れるかもしれない。ドキドキしながら林道を進む。そしてKさんが「デブリ、繋がってる!!」と叫んだ。左岸の支流から発生した大雪崩が、西沢に大きなスノーブリッジをつくり出していた。デブリを歩いて対岸へ渡る。奇跡だった。
さっき諦めなくてよかった。まさに運命の分岐点だった…!
16:30対岸に着地。広くて良い感じだったので本日の幕営地とした。
4日目: 西沢~藤原山~利根川横断~丹後山
藤原山
翌朝5:30出発。カチカチの急斜面をアイゼンを効かせて登る。標高差300m程上げたところから傾斜が落ち着いたのででシール歩行に切り替え。ここもまた素晴らしい山スキー向きの斜面が続く。
7:45頃、藤原山へ向かう稜線へ乗っかった。左には平ヶ岳、右には荒沢岳へ続く山並み。見慣れない展望に感動し、何度も立ち止まりカメラを構えた。積雪期のこの尾根を歩く人はどれくらいいるのだろう。
8:40、藤原山に到着。一昨年の秋に沖ノ巻倉沢から詰め上げたピークに再び来た。当時は藪が濃かったので、積雪期にまた行きたいと思っていた。まさかこんなにすぐ来れるとは。
ひとしきり展望を楽しみ、藤原山の1つ西にある基準点1659mピークへ向かう。大展望のプチ雪稜歩き。こんな場所でも足元には動物のトレース。近くの木々で小鳥のさえずりが聞こえる。人の気配は全く無いけれど、動物の気配をそこかしこに感じる。雪に覆われた厳しい世界の中でも動物たちはたくましく生きているのだ。
利根川へ向けて滑降
さて、いよいよ利根川へ向けて滑降開始だ。稜線から谷の様子は伺えない。未知なる谷底、さてどうなることやら。谷を挟んだ向こう側に丹後山とその避難小屋が見える。小屋へ突き上げる尾根は比較的雪付きが良く状態は良さそうだ。滑った後はこの尾根へ登り返す予定だ。
ピーク1659mから大水上山へ続く上越国境稜線を眺める。果てしない山稜。すでに雪が途切れて藪が露出している箇所が多数あり、仮に稜線歩きをしたとしても時間がかかりそうだ。
利根川へ下りることを決めて、いざ滑降!
尾根通しに末端まで、と行きたかったが、途中で雪が途切れてしまった。ちょうど左下に沢筋が見えた。利根川の沢床まではっきりと見える。「ここいけそうだね!」2人で話し合って、利根川の沢床めがけて滑り込んだ。
利根川
沢床はデブリーランド。崖上の雪はまだ落ち切っていなくて安心できる場所は少ない。そそくさとシールを貼り、上流へ向けてハイクアップ。ゴルジュ帯側壁の雪付きが流石にやばそうで、Kさんと間隔をあけて通過した。
ちょうど尾根取り付きのポイント付近でポッカリと雪が途切れていた。そのひと区間は実に穏やかな渓流が顔を見せていた。もし沢靴があるならそのまま遡行していきたくなるような雰囲気。早速Kさんが水筒に水を汲んでいた。利根川の水を飲んだKさんはニコニコ嬉しそうだった。
丹後山へ登り返し
渓流の手前で尾根へ取り付く。出だしがかなり急なので板を担ぐ。ずるずるの雪は時々崩れてちょっと緊張した。やっとの事で尾根へ乗り上げた、と思ったら、まだ急登が続いていた。えー、もう解放されると思ったのに!ひたすら足を持ち上げる。気を抜いたら転がり落ちそうで油断できない。近くの木でシジュウカラがパタパタと飛んでいる。ツツピーツツピーと鳴き声が聞こえる。バテバテだけどシジュウカラがあまりに可愛くて癒される。
標高差100m上げたら鬼の急登はようやくおさまってくれた。スキー板を履き、引き続きハイクアップ。地味に痩せ尾根急登が続く。小刻みにキックターンを交えながら登ってゆく。さらに標高差50m上がってようやく山スキー向きの穏やかな斜面が表れてくれた。
登りやすくなったのは嬉しいが、そこは日陰が一切無い灼熱の砂漠。だらだら汗を流しながら登ってゆく。
Kさんに「なんかさー、南会津思い出すよ。中門岳の登り。」そう言ったら、「僕もそう思ってた!」とまさかの同意見!ちょうど昨年の逍遥の旅。中門岳の登りも灼熱砂漠だった。斜度も景観もなんかこんな感じだったし。笑
地形図上に表記された池マーク。実際はすっかり雪に埋まっていた。
この辺りで、いつかのトレースと合流した。どうやら大水上山方面から滑ってきてここの尾根を登り返しているようだ。おそらく初日に中ノ岳登山道をあがっていたトレースと同一人物だろう。
あまりに自由なその誰かの軌跡、なんか楽しげで素敵だと思った。きっとこの山域をよく知った地元民かもしれない。
(※後日、トレースの主が判明した。山岳ガイドの成田賢二さんに違いない!源流とアイスクライミングの専門ガイド「霧の旅」- 奥利根)
灼熱の白砂漠。高度を上げると、冷たい風が吹くようになった。寒くなってきてオーバージャケットを羽織った。灼熱よりはるかにマシだ。ありがたい。
数mのみ雪が途切れている区間があり板を履いたまま強行突破。
風に吹かれて、雪面のフィルムクラストがクルクル舞い上がる。いよいよ稜線が近づいてきた。
13:55丹後山到着!!
丹後山避難小屋
最後のピークを堪能して、本日の宿泊地、丹後山避難小屋に向かう。
今日は土曜日。てっきり誰かいると思ったが、終始私たちの貸切だった。
上越国境稜線上に建つその小屋は展望が見事。2階の窓から夕暮れに染まる山々を眺め続けた。
快適で暖かい小屋。泊まれることがありがたい。数日分の疲れを癒す為にも早くに就寝。
5日目: 丹後山避難小屋~十字峡~三国川ダム
最終日。今日は下山するだけだが、まだ核心は終わっていない。
6:30丹後山避難小屋出発。
登山道を下降
雪解けの進んだ登山道が続く。途中から雪が現れるようになったのでアイゼンを装着。
CO1500mから1,000mぐらいまで、雪が繋がっていたが、なんだか面倒なのでそのまま歩いて下る。雪をズボズボ踏みながらのんびりと進む。
そのうち再び雪が途切れるようになった。
マンサクやイワウチワ、春の訪れを感じる花々が私の疲れた心と身体を癒してくれる。
最後の激くだりをこなして、9:40三国川林道着地。
三国川林道
ひたすら片斜面の続く三国川林道は噂に聞く極悪さ。雪が緩んでいるお陰で歩きやすく、だいぶ融雪も進んだのか転落しそうな怖いポイントは無かった。頭上の雪もわりかし落ちてくれているようだ。ただその距離が長くて大変。ひたすら2km片斜面歩きである。
いつかの夏に歩いた大キレットを思い出した。大キレットでも気の抜けない3時間を経験した。
道中の落石がなかなか怖かった。一度私の目の前に頭サイズの岩が転がってきた時はヒヤっとした。
美しき三国川。林道沿いにフキノトウが芽吹いており春の訪れを感じた。
12:05十字峡到着。ようやく安心できる場所に帰ってきた。初日よりさらに融雪が進んだ林道を歩いてゆく。道中、ネコブ山で一泊してきたという2人組にお会いした。良い天気でしたね、と言葉を交わす。
12:55駐車場着。4泊5日の山旅。長いと思っていたがあっという間に終わってしまった。全日天候に恵まれてよかった。越後三山周辺は魅力に溢れている。また来年、スキーを履いて訪れたい。