2022年3月12日(土)
10:00 杉ノ原スキー場 リフトトップ – 12:20 三田原山 – 13:00 黒沢池 – 13:45 茶臼山 – 14:10 高谷池
2022年3月13日(日)
6:50 高谷池 – 7:05 天狗の庭 – 9:00 火打山 – 9:20 火打山の肩 – 澄川 – 10:25 黒菱川出合 – 10:50 北桑沢出合 – 12:00 矢代川第3発電所 – 13:35 西菅沼新田
メンバー : 3人(Waka , Kさん , Mボン)
天気 : 1日目:晴れ、強風 2日目:曇りのち晴れ、強風
雪の状態 : 標高2,000m以下の樹林帯の南斜面はカリカリ。稜線は全体的にウィンドパック。澄川北側斜面上部はウィンドパック。標高をやや下げるとちょっと柔らかくなった。さらに標高を下げた場所では湿雪、ストップスノー、ザラメ雪。板が進まず快適ではない。
標高2,000m以下の急斜面にクラック多数。標高1,500m付近〜以下は急斜面での点発生雪崩や全層雪崩の跡目立つ。スノーボールもたびたび確認。
距離 : 25.6km , 累計標高差(+): 1,251m , 累計標高差(-) : 2,841m
昨年の2月下旬、Mボンと一緒に行った容雅山山頂から眺めた火打山東面にとても感動した。次はあそこを滑りたいと思った。約1年後、ついに夢見た計画を実行に移す時が来た。
Mボンの他に山仲間のKさんもお誘いして3人で行ってきた。
朝、下山地点となる西菅沼新田の除雪終了点に車を1台デポしておく。除雪終了点前の民家のおじちゃんに声をかけて許可をいただいた。とても気さくな方で、快く了承してくださった。
昨年、容雅山に行った時も親切にしてもらった。マナー違反となる行動は決してやってはいけない。もしバックカントリーで西菅沼新田に訪れる方がいれば、絶対に絶対に気をつけていただきたい。
杉ノ原スキー場に移動し、三田原第3高速リフトの上まで。ゲレンデトップに到着したのはちょうど10時頃。久々にリフトアプローチだったが、人の多さにびっくりした。準備を済ませて三田原山へ向かう。前にも後ろにも人、人。どんなペースで、どこを歩けば良いのか、けっこう困る。自分のペースで歩けないKさんが早速お疲れモードだった。
三田原山の登りはカリカリ。うっかりクトーを忘れてしまったので、厳しい部分はシートラーゲン。Mボンはクトーを持ってきていたので、軽快に歩いている。
そのうち外輪山の稜線に到着。すぐ右手に妙高山の山頂が見える。あのピークに立つにはお釜に降りて山頂へ向かって急斜面を登らなければいけない。直線距離は近いけど、遠い山頂だ。
猛烈な西風が絶えず吹き付けていてシンドイが頑張って進む。
三田原山でシールオフして黒沢池に向けて滑降。標高が高いのが良いのか、特別な重雪でもない。局所的にウィンドパックされた雪があるものの快適に滑降。今回、軽量化を意識したのが良かったのか滑降で手こずることなく楽しいひとときだった。
リフトトップから三田原山にかけては登山者で賑わっていたが、ここまで来ると人数も少なくなる。2〜3パーティーはいるものの他の人たちは三田原山から杉ノ原に向けて下山したようだ。
黒沢池は夏に歩いたことがあるが、まるで違う景色で驚いた。一面の雪原はまるで異世界。最短ルートの茶臼山南西のコルに向けて登ろうと考えていたが、他に2パーティー(内1組はツアーなのか7人程の大人数)歩いていたので、なんとなく同ルートを避けて、少し遠回りではあるがのんびり茶臼山に登った。
茶臼山まで登ると、正面に真っ白な火打山が姿を現した。火打の右手にはP2,279mの抱く険しい岩壁。山スキーのツアーコースでもある「乙見尾根」の一部だ。
稜線で再びシールオフして、少しの距離を高谷池ヒュッテまで滑降。
本来高谷池ヒュッテに泊まろうと考えていたが、先ほどのツアーといい宿泊人数が多そうだったので、室内を確認するまでもなく、我々は外でイグルー泊しようということになった。
さて、イグルー作ろうか、となったものの、もし失敗したら小屋に逃げ込みたい。笑
小屋からほど近い雪原にて作成開始。欲張って大きいものを作ろうとしたら一向に天井が埋まらず、最終的にはスキー板やストックを渡してどうにか完成した。最後に2〜3人用ツェルトやタイベックシートを敷いて無事にお部屋が出来上がった。
小屋泊の登山者が1人、様子を見に来て、Kさんが会話する。イグルーを作ったのが池の上なので、トイレは池じゃない場所で済ませて欲しいとのこと。確かにそれは一理ある。
メンバー全員、イグルー泊は初心者及び未経験。今回は不安があったので小屋近くで作ったが、最終的には板を渡してしまえばどうにか作れることが分かった。心配事はなくなったので、今度からは小屋が無い場所でも積極的にイグルー泊していきたい。
夜は、鍋パーティー。Mボンがコッフェルの取っ手をタオル越しに握っていたら、そのうち焦げ臭い匂い。何事かと思ったら、タオルに引火していた。笑
慌てて雪で冷やして無事鎮火。これは小屋だったらほんとにヤバいところだったぞ・・・?!
2月のイグルー女子会で山仲間のお2人に感化された私は、今回私なりに色々軽量化を気にしてみた。テラの真似をして食器はアルファ米の袋にしてみたが、意外と保温性が良いし、とても便利だった。奥利根の時にKさんも同じことやっていたが、その時私は特別興味無かった。Kさんがやってても何も感じないのにテラがやってると真似したくなるの、何故だろう。笑
あと山ガール師匠おはるのゴム手袋も今回参考にした。これもいつもKさんがやってるけど、ふーんって感じで、でもおはるがつけてると急に魅力を感じる。私が鼻息荒く便利!とか言っていたら、Kさんがむすっとしていた。笑
そのうち日没が近くなってきたので、外に行って景色を堪能する。イグルーを見に来た小屋泊の2人にも、マイルームをお披露目した。興味深そうな様子に、ちょっと鼻が高くなる。笑
寝る前に、Mボンの持ってきてくれた「きなこプリン(かんてんぱぱ)」をみんなで食す。
美味しくて、今度沢登りとかでもやってみたいと思った。
夜は厳冬期用シュラフで就寝。軽量化でシュラフカバーは持って行かなかったが、まるで寒くなく快適。翌朝になってもシュラフはまるで濡れていなかった。いつも、シュラフカバーを使うと結露してびしょ濡れになっていたのに・・・。むしろ無い方が快適で今まで何だったのかと思う。笑
翌朝は7時前に出発。雪に覆われた天狗の庭もまた素晴らしい雪原となっていた。周囲を山々が囲む広大な庭。これは本当に天狗が跳ね回っていそうだ。
昨日に引き続き今日も爆風。なかなか捗らないハイクアップだ。
火打山の稜線に上がると、南から一際強い風が吹き付ける。時折耐風姿勢を取りながら少しづつ進む。火打山の肩手前の登りでシートラーゲンに変更、アイゼン装着してガシガシ登る。肩に板をデポして、山頂アタック。
振り返ると、高谷池ヒュッテに泊まっていたと思われる4人のスキーヤーグループが火打の肩に到着したところだった。彼らはしばらく肩で留まっていたあと、澄川へドロップしていった。
9:00火打山山頂。
素晴らしい展望ではあるが、強烈な風が絶えず吹き付けていてとにかく寒い。さすがのKさん、Mボンもしんどいようでささっと写真撮影をして早々に肩へ降りる。
下降中、澄川側壁にいくつもクラックが確認できた。時期が早いので想定通りではあるがやっぱりあの下を通るのは緊張する。だからといって時期が遅ければ沢割れやデブリに苦労しそうだ。色々な要素を考えた上で今週がグッドコンディションなのは確かなはず。がんばろう。
9:20澄川へドロップ。滑り出しは、標高差数mの傾斜が急に感じてちょっとビビるも、その後は快適な斜面が続く。上部は分厚くて硬いウィンドパックの雪。私でも滑れているから、きっと滑りやすい雪だと思う。笑
標高を落とすにつれて雪面が柔らかくなっていきさらに滑りやすくなる。振り返るとMボン、Kさんも順調のようだ。
上部の漏斗状の広い斜面をこなすと、両岸が高くなり、いよいよ谷底滑降が始まる。先ほどまでの硬いウィンドパック雪は終わり、次は重雪に。日差しの当たるところはストップスノーで板がなかなか進まない。比較的沢幅は広いが、両サイドのクラックの入った雪面は見ていて冷や冷やする。
昨年、頸城の高松山で全層雪崩の瞬間を目撃したが、あんな恐ろしいものはないと思った。もし当たれば即死、全身の骨が砕け散るだろう。
ゴルジュ地形を抜けると、下部には広大な斜面が待っていた。素晴らしい!私たちは今、火打山の懐に抱かれている。
稜線ではあれほど爆風だったのに、谷底に入れば無風。そもそもの気温が高く、すぐに暑くなる。暑がりのKさんがしんどそうな顔をしていたので、ちょっとした場所でレイヤリング調整。
そのうち、目前に容雅山が姿を現した。地元の人が「ケツ山」と呼んでいた。まさにそんな形。昨年あそこから眺めた場所に今私たちはいる。そして今度は容雅山を眺めている。なんだか感慨深い。
今年の積雪はかなり多いようで、沢はしっかりと埋まっている。去年の積雪状況と比べると今年の状態が良すぎてまるで奇跡のようだ。笑
10:25黒菱川出合到着。ちょうど私たちの前に滑降した4人パーティーに追いついた。彼らは燕尾根に登り返している途中だった。私たちも当初はそのルートを予定していたが、下流の沢筋も雪で埋まっている気がしたので引き続き澄川を下ることにした。あと別パーティーと前後して歩くのは、お互い落ち着かないと思ったので。笑
ちょこちょこ小滝と思われる部分では小さな穴が空いているが渡渉にも滑降にも困るほどではない。しばらくして容雅山の入り口でもある北桑沢の出合に至る。昨年は数少ないスノーブリッジを探して渡った感じだったが、今年は沢が埋まっていてどこでも渡れる感じ。やはり雪の多さを実感した。
さらに下降して、標高差50m程で燕尾根に登り返し矢代川第3発電所を目指す。
発電所前のパイプ斜面はやっぱり超上級者コース。雪下に埋まるパイプや、雪から飛び出すワイヤーに引っかからないよう慎重に急斜面を滑降する。
12:00第3発電所到着。
本来吊り橋を渡るが、吊り橋の下の沢もすっかり埋まっており楽々。これはもしかしたら発電所まで沢通しでいけた可能性もある・・・。そうしなかったのがちょっと悔しいなと思いつつ、発電所近くは尾根へのエスケープがしんどそうなのも事実だから登り返す方が安心ではあった。ま、この区間の滑降はいつかの豪雪の年にとっておこう。笑
吊り橋から林道終点までは再びシールでハイクアップ。急斜面をひたすらトラバースするルートでなかなか緊張するのだが、我々登山者のみならず発電所の従業員のおじさんもここを登山靴スキーを履いて歩いているのだから驚きだ。Kさんが再びシールトラブルで仕方なしにシートラーゲンでトラバースを試みる。何度か踏み抜いて苦戦しており、可哀想だった・・・。
無事にトラバースを終えて林道終点へ。あとはひたすら西菅沼新田まで手漕ぎを交えながら滑降する。長い長い林道をひたすら進む。いい加減飽きてきた頃、ようやく集落が見えてきた。13:35西菅沼新田無事帰着。
・・・
今回は、前回のイグルー女子会での出来事に感化されて、山行との兼ね合い、出来る範囲での軽量化を意識してみた。意識しただけでもザックはかなり軽くなり、結果的に快適なスキー滑降を楽しむことができた。以下、意識したこと。
・帽子やニット帽を持っていかない(フードやヘルメットで代用)
・予備手袋を必要以上に持っていかない
・防寒着を必要以上に持っていかない
・アウタージャケットの変更
・ヘッドランプ+予備電池の変更(重量を計測してより軽いものにした)
・ベースレイヤーの変更
・アイゼンケースの変更(重さ1/3になった)
・エアマット→沢登りで使ってる折りたたみのマット90cm(ツェルト+タイベックの上に敷いたが寒くなかった)
・シュラフカバーを持っていかない(寒くない結露しないでむしろ快適だった)
・食器→アルファ米の袋(かなり軽くなった)
・予備靴下を持っていかない(初日の夜に懐でしっかり乾かした)
・防水スタッフバック→ジップロックやゴミ袋(ただし寝袋はちゃんとしたスタッフバックに入れた)
ざっと思いつく限り変更点は以上の通り。まるで不自由することなく、寒くもなく、荷物が少ない分パッキングも楽で良いことばかりだった。
特筆すべきは「タイベックシート」が優秀だということ。全知全能の山ガール師匠に1枚もらったやつだが、軽いし濡れない。耐寒性もあるようだ。それと登山ガイド試験の一貫で購入した2〜3人用ツェルトも結構活躍してくれる。普通にシェルターとして使えるし、今回はマットとしての役割を果たしてくれた。(過剰な使用は穴あき注意かもしれないが)
とにかく、今後の山行ではテントシートを持っていく必要はなくなりそうだ。
・・・
2022.3.16 追記
なんと私たちの前に澄川へドロップした4人パーティーの内のお1人からご連絡いただき、写真もらいました。なんとびっくり。Twitterの力はすごいなぁ。笑
先日はお疲れ様でした。またどこかで!!
また土曜日は、私の山仲間も別パーティーで澄川滑降をワンデイ。はたまたもう1人の山仲間Fさんも杉ノ原〜火打山〜笹倉温泉への横断をワンデイしていた。Fさんとはリフト乗り場で会ったはずなのにヘルメットやサングラスの完全装備で気付くことができなかった。残念!
週末は色々なメンバーが火打山に集結した日であった。笑
火打〜妙高山 無雪期の記録。いつ行っても良い山です!!