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岩のぼり奥秩父・奥多摩

若手山好きの交流山行

奥秩父・奥多摩

2021年10月2日(土)〜3日(日)

メンバー : 5人

天気 : 1日目 晴れのち夕立 , 2日目 晴れ

先日、SNSでクライマーのK峰さんから交流山行のお誘いがあった。

え?なんで私が?と思ったが、どうやら山好きの集まりをしたいそうだ。沢好き、岩好き、キノコ、釣り、カヤックなど色々な人が集まったら楽しいんじゃないかと。

クライミングはあまり登れないと伝えたところ、「レベルは関係ない、易しいルートもあるので楽しめると思いますよ!」と返信頂いた。それなら・・・と思って参加を決意した。

てっきり、大人数でワチャワチャした交流会を予想していたのだが、招待されたグループは洗練された猛者たちの集まりだった。(しかしもう逃れることはできない。)

なかなか濃ゆいメンバーだったので、ざっくり紹介。

K峰さん・・・日本最難のトラッドルート「デイドリーム14b」初登。日本を牽引するトップクライマー。趣味はラップバトル。

S井さん・・・好きな食べ物は毒キノコと土。大滝へ対する愛が深い。大滝登攀というニッチなジャンルの第一線で活躍している。初登記録多数。

I田さん・・・13クライマー。残雪期平ヶ岳&至仏山日帰り、谷川の単独スキーツアー、黒部横断。最近は富山のマイナー沢に出没中。なんでもこなせるオールラウンド山屋。

F本さん・・・松川ゴルジュ単独遡行、オツルミズ日帰り単独遡行。ボルダー3段。爆速で成長中のダークホース。沢靴はフェルトソール。

Waka・・・ブログ主。花とカエルが好き。山スキーと沢登りを少し。

直接会ったことはないのだが、雑誌やSNS、ブログなどで、皆んなの活躍は知っていた。
やっぱり私だけアウェー感凄くないですかね?

1日目

私はK峰さんとF本さんと相乗りして現地へ。車内で何を話そうかドキドキだったが、けっこう会話が弾んで楽しい・・・!2人とも、山好きって感じだ。レベルや対象は確かに違うかもしれないが、価値観や志向としては共感できる部分が多くて、共通の話題もたくさんあって、色々な話で盛り上がった。
K峰さんもF本さんも、どうやら私のブログを読んでくれていたようで、それもとても嬉しかった。(S井さんやI田さんも私の活動を知ってくれていた・・・。)

土曜日7:30に小川山へ全員集合。今日の目的地は奥地、ゴーレム岩峰。100岩にトポの記載はないが、小川山概念図には「巨人ゴーレム」「巨人ゴーレムの頭」と表記されている。1980年代に開拓され、2001年にもルート開拓、2014年に山登魂が訪れた以外は、ネット上にゴーレムの記録は見当たらない。

林道脇のキャンプサイトをベースにして、片道2時間程の山歩きでゴーレムの付け根まで。
今回はNさんとT美さんも調査や撮影のために同行した。

アプローチ

開拓時のトポを参考にして、各自バラけて、ルートを登る。私はS井さんと一緒にゴーレムの頭へ。(頭が最もグレードが易しい。)

肥満大敵チムニー 5.7X
S井さんにリードしてもらった。上までひたすらワイド。中間がやや広めで、6番カムが決まらずランナウト。岩の中からS井さんの悲鳴が聞こえる。笑
しばらくズリズリ音が続いてオンサイト。続いて私もフォローで。ワイドは初。こんなところ登るの?!とびっくりした。どうにかノーテンでトップアウト。大変だった・・・。
確かにこれは肥満大敵。笑 挟まっているところをT美さんがドローン撮影してくださった。

肥満大敵チムニーを見上げる
内部

ゴーレムの頭ピークからの眺めは素晴らしい。小川山の岩塔たちが一望出来た。

絶景なり

お子様ジャム 5.5
(右のコーナーハングからスタートすると5.7くらい)
お子様ジャムは私がリード。無事オンサイト。懸垂下降で着地。

続いてS井さんリードで、右の変則ルートからオンサイト、続いて私がフォローであがる。
出だしは、私はハンドジャムからのガバ掴みで突破できた。(1〜2回落ちたけど。笑)

とんがらし 10c (S井さん的には10aらしい)
取り付きの核心クラックを突破すると、ランナウトのトラバース、続いて、被ったハングクラックを登ると、岩茸のスラブを超えてトップへ。
S井さん、出だしでやや手間取っていたが、無事にオンサイト。
続いて私がフォローで。出だしが本当に難しかった。様子を見にきたK峰さんにジャムの効かせ方を教えてもらいテンションかけながらもどうにかそのセクションは突破。続いての核心は、ハンドジャムが決まる場所まで手が届かず。どうしても越えられなくてカムでA0突破。上部でクラックをちょろっと登って(こちらもハンドジャムは決まるがとにかく疲れた。)岩茸のスリップに気をつけながらトップアウト。かなり時間を要してしまった。S井さんありがとうございます。。。
気付いたら手や腕から大量出血していて、S井さんが驚いていた。笑

とんがらしを登るS井さん(photo by F本さん)
私も頑張った(photo by K峰さん)


I田さん、F本さんは、巨人ゴーレム左岩峰の「縁とゆかり 5.9+(3P)」「メシア 5.9+」をやってきたようだ。この「5.9+」というグレードはなかなか痺れるよう。縁とゆかりは最終ピッチのスラブで猛烈な岩茸に阻まれ完登ならず。メシアは、とにかく凄かったらしい。私におすすめしてきた。笑

メシア 5.9+(photo by K峰さん)

え?メシア、見るからにヤバそうなんですけど。笑
(穴にいるオレンジのメットがI田さん。この後右上して、クラックを直上。)

K峰さんは、オールドリバーの掃除と終了点の整備、ムーブの確認に取り掛かっている。

①オールドリバー・レギュラーは、元々3ピッチ構成で、1985年に保科雅則氏のリード、北川勇人氏のフォローにより開拓された(数多くのテンションを交えながらも)。
1ピッチ目が20m 5.10a、2ピッチ目が30m 5.11c/d、3ピッチ目が5m 5.7で構成されている模様。
1ピッチ目から2mくらいの水平トラバースを経て、2ピッチ目に取り付く。
2ピッチ目の出だし5mこそ核心で、クラックが途切れていてプロテクションが全く取れないので当時は計ボルト6本打ってエイドクライミングで突破したようだ。(グラウンドアップによる開拓だった)

②1986年、北川勇人氏、檜谷清氏らによって、オールドリバー・レギュラーのフリー化、「オールドリバー・スーパー 5.12b」が完成された。1ピッチ目が20m 5.10a、2ピッチ目が30m 5.12bとなった。(こちらでは3ピッチ目はトポに載っておらず2ピッチ構成になっていた。)

この時点で、今後は、ピッチを切らずに50mを通しで登ることが課題となった。しかし、ゴーレム岩峰はアプローチの悪さもあり、その後に開拓が続かず、忘れ去られてしまう・・・。
※参考「岩と雪111 , 114」「岳人460号」 知っている限りの情報をまとめると上記のようになりました。

そして、約35年後の2021年10月、K峰さんがそのトライを試みているという訳だ。

K峰さん自身悩み抜いた末に完全ナチュラルプロテクションではなく、核心部でボルトを使うことを決めたようだ。
しかしちょうど様子を見にきたS井さんと私にそのことを伝えたとき、S井さんが「あのトラッドクライマーのK峰が!ボルト使うのか!!」と煽ったため、K峰さんが再び悩むこととなった・・・。

K峰さんのいる場所が2ピッチ目の出だし部分

私には意見できる問題ではないので、大人しく聞いていただけだったが。
そりゃボルトレスの方が良いけど、でもでも・・・と内心私なりに考えてみたが何が良いのか正解が分からなかった。正解云々と言うより、「スタイル」の問題なんだろうな。

S井さんはそのままキノコを採るために一足早くヨバリ沢経由で下山。NさんとT美さんも調査と撮影を終えて一足早く帰られた。(T美さんとは翌日も合流。)

日が暮れるまでみっちり楽しんで残る4人は17:30よりヘッデン下山。途中で夕立にやられる。
18:30キャンプサイト着。

夜は焚き火を囲んで鍋。薪は全てビショ濡れだったが、I田さんが中心の乾いた良い薪を倒木から何本か切り出してくれた。K峰さんが焚き火を着火。

S井さんが毒性のあるベニテングダケを摘んできた。
とても美味しいらしくて、ぜひみんなに食べてもらいたいそうだ。と言うか、朝からずっとベニテングダケの話ばっかりしていた。笑
しかし摘んできたキノコ、実はちょっと自信が無い模様。とりあえず素焼きにしてS井さんが実食。笑

食べてみるとベニテングダケより格段に味がイマイチらしい。これは違うキノコかも!と。
他のみんなも口に入れて「意外と普通のシメジっぽい?」とか感想を抱く。みんな口に入れた後に吐き出していたらしいが、私だけ知らずに食べてしまった!!
私だけ死んでも困るので、S井さんも巻きこむことにして、強要して食べていただいた。

S井さんが他に摘んできたハナイグチは鍋に入れていただいた。美味しかった。
気づけば23時を越えていた。色々と語ってとても楽しかった。

3人用テントに私とK峰さん、他の皆は焚き火を囲んで外で就寝。

鍋を囲んで
楽しかった

2日目

私は生きていた。お腹も痛くない。よかった。
後々知ったが、謎キノコの正体はどうやら「タマゴダケ」だったらしい。無害の美味しい(らしい)キノコである。よく「タマゴダケ」と「ベニテングダケ」を採り違えないよういわれるが、本来正解のキノコであるタマゴダケを摘んでブーブー文句言うのが、なんかおかしい。笑
ベニテングダケ、どれだけ美味しいねん。

K峰さんが早朝に起き出して、ゴソゴソとテントから出て行った。私もしばらくして6時過ぎに起床。
外を見回してもK峰さんが居なくて、私が焚き火を再着火。と言ってもまだ煙が燻っていてほんのり暖かかった。どうやら夜中にちょこちょこI田さんが薪をくべていたようだ。

みんなが朝ごはんを食べているときにK峰さんが戻ってきた。手にはダブルロープ1本。一晩悩んで、K峰さんの覚悟が決まったようだ。完全トラッドクライミングで登るつもりだ。ボルトを使わない場合、ロープの流れが非常に悪くなるのでダブルロープで登る必要があるようだ。

準備を整えて、再びゴーレムへ上山。S井さんは、ちょうど骨盤を痛めていたので、今日は山に登らないとのこと。
私は昨日で燃え尽きたので、散歩したり、オールドリバーに遊びに行ったり、ボルダーやったり。

オールドリバーを見に行った(photo by K峰さん)
ハング系ボルダーで遊んでた(登れなかった笑)

オールドリバーの終了点から下降してルートを見てみたが、とにかく50mは長いし、かなり難しそう(そりゃそうだ。)
これにトライするK峰さん、やっぱりすごい・・・。

I田さんとF本さんはバベルの塔のマルチピッチへ。たまたまお隣の岩塔に飛び出したので、私は2人のトライを見物した。

T美さんが、撮影した野生動物の写真を見せてくれた。ホシガラス、オコジョ。。。
オコジョって小川山にいるんだ?!びっくり。

バベルの塔
Wakaを探せ(photo by F本さん)

K峰さんは、ユマーリングしながらオールドリバーのムーブを固めた後、16:30いよいよ本気トライ。ビレイは F本さん。ダブルロープで50mのクラックを登り始める。

そして核心の部分。下から見ていても一挙一動がめちゃくちゃ悪そうだった。持ち感とスタンスの微妙そうなレイバック、あんなの私だったら絶対落ちるべ・・・。本気の集中の時は応援していいものかどうか悩んだが、先ほどK峰さんが盛り上げて!と言っていたので精一杯応援する。

手に汗握り、見守る。
K峰さんはテンションすることなく5m核心を抜けた。ナイス!

レストを挟みつつ、素晴らしい集中力とパワーを最後まで切らすことなく、無事に上へ。
オールドリバー・スーパー 5.12c R。1ピッチ目と2ピッチ目をつなげた50mのロングルートを一発でレッドポイントした。
すごすぎる!鬼の精神力や!!素晴らしいトライでした!!!

核心部

いつの間にやら辺りは暗くなり、今日もヘッデン下山。テントをささっと畳んで、20時過ぎに駐車地点へ無事帰着。

まとめ

素晴らしい2日間だった。お誘いしてくれたK峰さん、一緒に登ってくれたS井さん、I田さん、F本さんに感謝です。

レベルだけ見るとかなり違うが、根本の「山への向き合い方」はなんだか似ていて、とても共感できる部分があった。そのためか、お話していて楽しかった。皆んな、根っからの山好きだ。

この出会いをもたらしてくれたのはブログをやっていたからだろう。情報発信の大切さを改めて実感した。ブログをやっていて本当に良かった。

色々と語り合って、私自身のモチベーションも上がった。
自分らしい山登りを、好きなように、自由に、これからも実践していきたい。

そして、今回、日本のトップクライマーK峰さんの本気トライを間近で見ることが出来た。本当にすごかった。感動した。登攀力もかなりレベルが高いだろうが、とにかく、ずば抜けたメンタルの強さを見た。

私も皆んなのように強くなりたい。山に必要なものがまだ足りない。私はまだまだ未熟だ。少しでも自分らしい山を楽しめるようにもっと頑張りたいと思った。

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コメント ☆お気軽にコメントください☆

  1. タマゴダケ、知らないんだ??
    拙会のHPも見ていないんだね!!
    がっかり。

    http://susono-reihou.babyblue.jp/kiroku-7-61.html

    • ざっくりしたフォルムは存じていますが、実際にタマゴダケを摘んだことも食べたことも無いので、見ても食べても正直よく分からず、、、って感じです。
      山菜は分かってきましたが、キノコは知識の飲み込みが遅いです。ぜひがっつり食べてみたい!笑

  2. 楽しそう!いや絶対楽しいでしょ
    そしてクライミング力もキノコ力も凄いですね、
    レベルは全然違うけど刺激になりますw

    • 山好きの集まりはやっぱり楽しいですね(^o^)
      皆さん強いですが、側から見ていて、山が「楽しい」「好き」って感情がたくさん伝わってきて、良いな〜と思いました。私も刺激をたくさんもらえました!

  3. ベニテングタケ本当にごめんなさい…。
    次こそは本気で採ります…

    • キノコマニアさん、こんにちは。
      次こそぜひよろしくお願いします。
      タマゴダケとそっくりなので、間違えないよう注意です!

登山ガイドWaka
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