2023年2月3日(金) 10時間25分 距離20km 累積標高±1,300m
入叶津 (3:20) – 国道289号 – 取付 (4:40) – スノーブリッジ (5:50) – 沼の平 – 猿崖上部のコル (08:20) – ●1394m付近 (10:20) – 浅草岳 (10:55) – ●1394m付近 (11:20) – 安沢源頭部 (11:35) – 安沢 – 沼の平 – スノーブリッジ (12:35) – 国道289号 – 入叶津 (13:45)
メンバー : 3人(Waka, Kさん, tuffさん)
天気 : 曇り、山頂部ホワイトアウト、次第に晴れ
2月1日に会越国境の貉ヶ森山へ行って、1日の休養を挟んだのち今日は浅草岳へ行ってみることにした。浅草岳は標高が高く、どっしりとした山容で周辺山域には数少ない貴重な山スキー向きの山である。
今回はKさんが以前から行きたがっていた入叶津側からのルートを歩いてみることにした。
登山道のある平石山〜浅草岳は傾斜が急&細尾根なので、沼の平経由で浅草岳の北東に伸びる尾根をハイクアップすることにした。
山行記録
朝、入叶津の除雪終了点に車を停めて3:20登山開始。まずは除雪されていない国道289号を進む。
昨日は降雪が続いた為、脛ほどのラッセルが続く。脛ラッセルのせいで私やKさんの動きは鈍くなるが、相変わらずtuffさんは雪など歩いていないかのようなスピードだ。
ルート案として、登山道のある基準点766mだったり、そこからやや北にある基準点708mから乗っ越すのもアリだと思ったが「朝からそんなに登りたくないよね。」という話になり、距離は伸びるが小三本沢の出合付近(ほぼ尾根の末端)から乗っ越すことにした。
こうやって作戦会議できるのも山スキーの自由さだ。こういうのも含めて山スキーは楽しい。
尾根へ取り付いてもなお雪が深い。tuffさんはラッセルマシーンを発揮するが時々私も先頭を交代する。私が先頭になるとスピードが3分の1くらいに落ちる。
亀ペースになって申し訳ないね、と伝えたらtuffさんが、「Wakaさんの数mが、僕の数十mを生み出すんですよ。すごく助かります!」と言ってくれて、なんて出来た年下なんだと思った…。
Kさんは悲しきことにシールトラブル発生。G3の旧型でテールがよく外れるアクシデントがある。今日もまた外れてしまい、気づかずに歩いたせいでシール面にべっとりと雪が付着してしまっていた。テーピングで補強したが、雪も一緒に運んでいて足が鉛のように重そうだった。
尾根を登りきると林道に合流した。しばらく道を辿り、小三本沢の右岸に降り立つ。
ここから左岸へ渡渉しなくてはいけない。Kさんは出発前に「大丈夫!小三本沢は埋まってるよ〜。」と言っていた。果たして実物やいかに?
恐る恐る沢へ近づいてみると…、お、なんとかなりそうだぞ。今回はKさんが当たり!小三本沢には良いスノーブリッジがかかっており楽々左岸へ渡ることができた。
疎林の斜面を標高差100m程上がり尾根に乗り上げると、そこには穏やかなブナの森が広がっていた。いよいよ沼の平の末端に到着だ。
以前ここを訪れたのは7月。鬱蒼とした藪に覆われまるで熱帯雨林だったが、雪に覆われた今は素晴らしい癒しの空間となっている。
前は藪に阻まれ、その姿を拝むことの出来なかった沼を見ることができた。
見れば水面に数十羽のカモが泳いでいた。こんな雪深い場所でカモファミリーが暮らしているとは。すごいなぁ。遠目で種類は判別不能。双眼鏡を持ってくれば良かった。
沼の平をのんびり歩いて、いよいよ浅草岳北東尾根に取り付く。
当初の計画では安沢をハイクアップする予定だった。実際様子を見に行ったら、周囲の側壁は高く、沢床を歩くことで雪崩リスクに晒され続ける。やはり厳冬期の沢を詰めるのは無理がありますな…。満場一致で安沢案は取り止めになった。
別案として猿崖の南にあるポコを目指して登ることにした。こちらも下から見たら上部が急斜面で破断面のようなものが見える。果たして登れるのか…。
心配してあーだこーだ言っても始まらないのでとりあえず登り始める。
相変わらずの積雪量で、傾斜が急になると腿〜お腹の深さまで沈む。みんなで交代しながら高度を上げてゆく。
下から見た破断面だと思っていたものはよく見たら雪庇だった。近づいてみたら左から巻き気味に登れそうだったのでホッとした。
急斜面部はだいぶ急斜面なところがあり、コンディションが悪いと雪崩そう…。
ようやく猿崖上のコルに乗り上げた。
ここまでくればあとは尾根をハイクアップするだけ。時刻は8:20。なかなか良いペースではなかろうか。歩き始めればすぐに傾斜は緩む。そして広がるのはブナの森。
素晴らしい森に全員が嬉しさを抑えられない。写真が好きなtuffさんとKさんが何度も立ち止まりパシャパシャと撮影している。風に吹かれた影響か、足元の積雪は落ち着きサクサクと歩けるようになった。
のんびりと標高を上げてゆく。振り返れば会越国境の山々。美しい。
次第に木々の背が低く、疎林になってゆく。山頂付近はガスが湧いており見通しが悪い。
ぼんやりと見える山頂に向かって歩いてゆく。森林限界を越えると、足元はシュカブラ・クラスト地帯に。傾斜が緩いのでクトーはつけずにそのまま歩く。少し風が強くなってきた。
稜線へ立つと、西からの強風が吹き付ける。10:55浅草岳登頂!
周りを見渡す。真っ白なガスの中に、田子倉湖、村杉半島、鬼ヶ面山、毛猛山が見えた気がした。
一通り景色を楽しんだら、そそくさと滑降準備。
滑りづらいシュカブラ地帯は慎重に滑降し、一気に樹林帯まで戻ってきた。
その後は素晴らしい滑降!!!
只見の名峰「蒲生岳」を見ながらグングン高度を落としていく。
優しい斜面は、滑れば一瞬。広いブナの森は藪も少なくまさに山スキー向きでアクセスが良ければ人気が出そう。笑
やがて安沢の源流部まで戻ってきた。山頂からここまで20分ほど。本当にあっという間だった。ここからは登り返しになる。トレース通りに帰るならシールをつける必要があるが…。
皆で相談をして、安沢を滑降することにした。安沢は良いパウダーが溜まっており直滑降での滑りを楽しむ。なんとなく怖いのでここはノンストップで。
意外と沢が深く、ハイクアップには不向きの地形でやはりここを登らなくて良かったと思った。
飛ぶように沼の平まで戻ってきた。ここからは流石にシールが必要だ。せっかくなので帰りもスノーハイキングを楽しむ。
沼の平を過ぎたら再び滑降モード。朝、暗闇の中通過した標高差100m程のお楽しみ斜面を滑降。
そして勢いをつけてスノーブリッジを渡る。
ここからまたシールをつけて林道へ登り返し。シールをつけたり剥がしたり忙しい。
林道終点から車道までは再び滑降モードで。車道はそのままヒールフリーで歩く。
13:45無事下山。
まとめ
気になっていた入叶津側のルート。そこには楽園が広がっていた。行って良かった。ルート考えてくれたKさんに感謝。沼の平は残雪期も紅葉の時期も美しいらしい。また季節を変えて再訪したいと思った。
立ち寄り
喜幸飯店( 11:00〜19:00 )
〒968-0441 福島県南会津郡只見町黒谷中千苅114−2 (Google Map)
只見のご飯屋さん。店が開いている確率が高い気がする。値段も量も味も私は満足。大盛りは+100円なのだが、どうにも大盛りの盛りが少なくて、Kさんは物足りなそうだった。笑
喜幸ってなんて読むのだろう?とりあえず「喜びの飯店」とか呼んでいたが改めて調べたら「きこう」と読むことが分かった。意味はそのまま「喜び幸いとする」らしい。素敵な名前ですね。