雪山登山下田・川内

灰ヶ岳 川内山塊 不遇の峰へ

下田・川内

2022年4月9日(土)
6:00 毛石山登山口 – 8:15 山ノ神 – 11:10 毛石山 – 15:00 標高点907m

2022年4月10日(日)
5:30 標高点907m – 6:50 灰ヶ岳 – 7:40 標高点907m 8:15 – 11:10 毛石山 -13:40 山ノ神 – 15:00 毛石山登山口

メンバー : 2人(Waka, よっしー)

天気 : 両日ともに晴れ
(数日間降雪なし。日中の気温高く夏みたいだった。夜中イグルーの天井崩壊。)

気象庁 過去の天気図

雪の状態 : ザラメ雪。2日目も日の出前から6度という高温だったため終日雪は緩んでおりアイゼンは使わなかった。
1日目から2日目にかけて20cmほど融雪していた。

距離 : 21.0km , 累計標高差(+): 2,137m , 累計標高差(-) : 2,194m

越後の岳人よっしーと2人で川内山塊へ。よっしーが以前より灰ヶ岳が気になっていたそうなので、今回1泊2日で灰ヶ岳を目指すこととした。

朝6:00に毛石山登山口を出発。水道橋を渡ると林道が続く。ここは東北電力の巡視路らしい。道なりに進み山側斜面にいよいよ毛石山への取り付きが見えた。トコヤ沢(トコヤ=床屋、精錬を行うところ)の右岸に付けられた道を上がっていくと、程なくして穏やかな広場に出た。小杉沢銅山精錬所跡だ。

道なのか斜面なのか分からん道
小杉沢銅山製錬所跡

精錬所跡から道は引き続きトラバースしている。辿ってゆけば、鉱石採掘場跡を横断して、その後尾根上にある「山ノ神」に詰めあげる。
残雪期の今、急峻な川内山塊のトラバース道は難儀しそうなので、少し遠回りであるが尾根筋を辿ることとした。

取り付きはなかなかの急登で、灌木を掴みながら無理やり身体を引き上げる。30m程上がれば傾斜も落ち着き間もなく尾根に乗り上げた。
この先も藪漕ぎが続くかと思っていたが、意外と藪は薄く踏み跡もうっすらあり快適。さらに割と新しい幹の切り口が散見され、誰かが尾根筋にルート開拓しているかのような印象を受けた。

踏み跡がある
新しい切り口。

川内山塊は「静かな山、山深い山」だと思っていたが、今の印象はちょっと違う。地元の人々にとっての「生活の山」だ。自然と対峙する登山というよりも、山中にほのかに感じる人臭さを感じながら歩きたい山だと思っている。
私の地元から近い「南アルプス深南部」も同じで、地理的には山深いが、過去には植林が発展し「生活の山」となっていた。山の中に散在する人跡にロマンを感じる山域だ。下田や川内の山々が好きな人はきっと南アルプスも気に入ると思う。

CO400m手前あたりから残雪を踏むようになる。
今日は山中に動物の気配が充満している。ヤマドリの鳴き声が聞こえたと思ったら、少し前方をつがいが散歩していた。広い尾根に出たら、目前を野ウサギが駆けてゆく。人間の気配を察したウサギは少し離れたところでピタリと静止。私たちにバレないように木々や残雪に同化しているつもりなのかもしれない。野ウサギを初めて見かけた私やよっしーは大興奮で写真を撮りまくるもウサギは静止したまま。そのうち流石に動き始めて一目散に逃げていった。逃げ足が非常に速くて驚いた。まさに「ウサギと亀」のウサギだった。

ヤマドリの足跡
じっと動かない野ウサギ
春を呼ぶマンサク

8:15山ノ神到着。鉱道の続く左側斜面を見下ろすと、ビッシリ残雪が張り付いており、やっぱり大人しく尾根を辿って良かった。

トラバースの登山道が合流する辺り

ここからの登山道は時折ピークを巻くようにトラバースしながら伸びているが、よっしーと相談して尾根筋を辿ることにした。

よっしーが、道中色々と植物解説をしてくれる。「コシアブラを一瞬で見分ける方法」はなかなか画期的で、是非とも来月から実践したい。笑

コシアブラ
クロモジ

そのうち木々の隙間に五剣谷岳、目指すべき毛石山の姿が見えてくる。
周辺のブナの木々が眩しい。気持ちの良い尾根歩き。ここに来て本当に良かった。

ブナの奥に毛石山と五剣谷岳が見える
イワウチワ。大好きなお花。
このフサフサはなんだろう?
ユズリハ。古い葉が落ち、新しい葉が残る。世代交代の時。

次第に残雪が増えてきて、クラックを横目に眺めながら登ってゆく。振り返ると、菅名山塊と飯豊の展望。足元にはカタクリが咲いていてほっこり。

歩いてきた尾根を振り返る。菅名と飯豊の展望

毛石山直下はまぁまぁの急登。雪が緩んでいたので楽々登ることができた。カチカチアイスバーンだったら、結構怖い場所だったかも。

11:10毛石山山頂到着。登り基調はひと段落し、ここからは多少のアップダウンを交えながらもタラタラと稜線歩きが続く。

毛石山登頂!
藪を歩いたり雪を歩いたり
稜線にたった一輪のみ咲いていたキクザキイチゲ

全体的に尾根が広く歩きやすい。周辺の景色を楽しみながらのんびり歩く。
空には青空が広がる。時折ゴロロ・・・という轟音が鳴り響く。私が「雷!」と騒いでいたら、よっしーが「雪崩の音じゃない?」と教えてくれた。うむむ確かに。笑

春というか夏のような暑さ。時折踏み抜いて股下まで沈むも、頑張って這い上がり前へ進む。

川内の山を眺めながらのんびり歩く
表皮の剥かれたコシアブラ。誰が犯人?
八匹沢のスラブ。右奥に銀太郎山と銀次郎山。
真っ白なブナの木
ワイヤーがあった。採鉱場の名残?
険しい山容を望みながら稜線を歩く

15:00、標高点907mに到着。今日はここで泊まることとした。
今晩はイグルー泊の予定。よっしーは初挑戦だが米山さんのYouTubeで予習しまくったようで手際がかなり良い。そもそもの性格も「丁寧」だからこういう作業向いているのかも。
なんなら私より上手で、ほとんどのブロックを切り出してもらった。笑

手際が良い!


ただ、今回もワンミスしてしまい、最初の幅を広くしすぎたせいで屋根が塞げず、天井は2〜3人用ツェルトで塞ぐことにした。
それにしてもよっしーはイグルスキーの才能があると思う・・・。初めてのイグルー作りの同行者が私でなければ間違いなく美イグルーを作り上げていたことだろう。

完成形態
今宵もキャンドルナイト。 (ゴミ袋が景観を損ねている)

天井は塞げなかったものの特別寒くもなく快適。私は寒がりなので厳冬期用シュラフだが、よっしーは3シーズンで事足りている様子だった。

夜中は風が強く、天井のツェルトが絶えずバタバタ暴れる。そのうちにツェルトの細引きに押されたのか、融雪が進んだのか、就寝中私の手元にドサっと60cm幅の雪ブロックが落ちてきた。思わずうめく。よっしーは気づかずスヤスヤ寝ている。笑

また落ちてきたらたまらないと、周囲の雪ブロックを確認する。寝そべってちょうど私の頭上に位置する雪ブロックが、底の接地面積が少なくて落ちてきそうだった。

落ちてきそうなブロック

顔面に直落ちしたらキツいが、イグルー下部をスカート状に掘り下げてあり、おそらく直撃は免そうだったので、そのまま就寝することにした。

すやすや寝ていた頃、やはり雪ブロック(これも60cm幅)が落下してきた。しかも2個。
二の腕付近に落下してきてちょっと痛い。流石に大きな音でよっしーが飛び起きた。笑
ブロックに埋没(?)している私を救助してくれた。

見上げると、夜空が見える。さらに風通しがよくなった天井ではより一層ツェルトがはためいて、かなりうるさい。色々直すのも面倒なので、そのまま就寝。その後は雪ブロックが落ちてくることもなく落ち着いて眠ることができた。
作成時、中途半端に屋根を塞いでしまったやつが落ちてきたのだろう。今度からツェルトを張る場合は屋根を変に塞がないよう気をつけようと思った。

朝4:00起床。湯を沸かし、朝食を食べる。そのうちに周囲がぼんやりと明るくなってきた。
イグルーの外に出なくても、その場で立ち上がれば外の景色が見えるのは便利だった。

パッキングをしている頃に、再び雪ブロックが落ちてきて、ついにツエルトの天井が潰れた。
突然の出来事によっしーは処理が追いついていないようでキョトンとしている。笑

まぁよくぞ一晩耐えてくれたって感じか。限界突破したイグルーは家というかただの雪穴。

(※残雪期のイグルー作りについては米山さんの記事が参考になります。ー残雪期のイグルー心得

お家が完全崩壊した。

それでも夜は十分暖かかった。適当に周りを雪ブロックで囲って屋根つけるだけでも、シェルターとしての機能は充分果たすと再認識した。

そのうちに銀次郎山と銀太郎山の間から朝日が昇ってきた。

崩壊した家でパッキングを続けるよっしー。
1日が始まる。

5:30、シュラフなどの不要荷物は穴に残置し、灰ヶ岳を目指す。

てっきりカリカリ斜面を想定していたが、朝一からすっかり雪は緩んでおり、つぼ足でも十分。外気温を確認したらなんと7度。これは確かに夜中にイグルー崩壊した理由もわかる気がする。

灰ヶ岳は稜線から少し外れた場所に位置する。標高点907mから稜線を南下し、ひと登りするとCO1,020m程の無名ポコに至る。そこから方向転換し、北西に歩けば灰ヶ岳だ。

辿ってきた稜線。左の沢筋も歩きやすそう。
灰ヶ岳はすぐそこ。

ポコからの稜線は藪がきつい上に痩せ尾根でやや難儀した。この2日で一番の藪こぎ。笑
よっしーは、後ろで猛藪に奮闘中。ここまでの道のりはなんだかんだ薄い踏み跡があったけど、ここは完全に踏み跡皆無で、藪との真っ向勝負だった。

藪と戦うよっしー①
藪と戦うよっしー②

藪が薄くなったところでは、大展望が広がる。遠くに白く輝く守門が見える。
灰ヶ岳の南側にはスキー滑降できそうな広大な沢筋が広がる。仙見川上流部の赤倉川小滝沢東俣の源頭部分だ。地形図を眺めると面白い形をしている場所だ。沢がT字に分裂してそれぞれ稜線へ詰め上げている。不思議な地形。なぜこんな形をしているのだろうか。

素晴らしい展望

藪をかき分けながら進んで、6:50灰ヶ岳到着。
目前に粟ヶ岳、連なる山々を辿ると青里、五剣谷、銀太郎、銀次郎が見渡せた。遠くには守門や燧、日本海側には先日歩いた角田・弥彦。360度の素晴らしい展望をよっしーと2人で満喫する。

粟ヶ岳と左奥に越後駒ヶ岳
青里岳
守門をバックに記念撮影

記念撮影を終えて、いよいよ下山。

帰りは、ちょっと近道で沢筋を下降することにした。行きの尾根から全体像は掴めているしコンディションも良さそうだ。念のためピッケルを取り出し、シリセードで稜線から沢床に着地。

帰りは沢筋へ降りた。
シリセードして沢床へ
灰ヶ岳沢の源頭部を歩く

一応両サイドに気を配りつつ沢床をテクテク歩く。藪漕ぎ皆無で快適。広大な雪原がなんとも気持ち良い。行きで目星をつけていた場所で尾根に登り返した。

7:40、標高点907mに帰着。30分程で支度を済ませて、下山に取り掛かる。

昨日より早い時間帯なのに、既に昨日より暑い。灼熱で、時折休憩を交えつつ歩く。よっしーが先頭でルーファイしてくれててありがたい。私は暑すぎてボーッとしてしまう。

昨日よりも地面が見えているような・・・。
昨日よりも標柱が見えている!

休憩中にブナのツリーホールに入ったら涼しかった。幹に額を寄せると、ひんやりと気持ち良い。ブナが身体の熱を吸収してくれた。

行きは尾根通しだったが、帰りはなんだか藪漕ぎが面倒なのもあり、道が気になったのもあり、相談して夏道のトラバースを辿ってみることにした。元々申し訳程度の幅しかない夏道のトラバース道が残雪ミックスだとかなり見つけづらく、結局労力のかかるルート取りとなってしまった。

道はよく分からない


標高点589mと504mの間のトラバースは沢を横断する箇所があり、その先の登山道を探すのに難儀したが無事に道を見つけて、トラバース終了。
結果オーライだったけど、このセクションは最初から素直に藪漕ぎして尾根歩いた方が早そうだった。

残雪のトラバースは謎が多い

残雪期川内デビューのよっしーを不安にさせてしまったところもあり反省。
残雪期は紛れもないバリエーションルートだ。「楽したい」という気持ちは封印して登山道をアテにせず地形と向き合うべきだった。行きは順調だったのに帰りで油断してしまった・・・。

トラバースを終えたら「山ノ神」へ合流。ここからも登山道はトラバースで下降してゆくが、流石にこの先はヤバい予感しかしないので、ちゃんと尾根を辿った。笑

昨日は芽鱗に包まれていたブナの新芽が、昨日今日の昇温に反応したのか、そこかしこで芽吹いていた。空を見上げると、生まれたばかりの新緑たちがそよそよ揺れている。短時間での変化に驚いた。

芽鱗が膨らんで
ブナの葉が顔を出す
フワフワのブナの新芽
いつの間にか、みんな芽吹いていた!

最後の急斜面は灌木を掴みながら下降。やがて林道に合流。

15:00、毛石山登山口無事帰着。

【参考資料】
川内山鉱山跡 / 吉田 忠

【中田製作所】
〒959-1811 新潟県五泉市三本木字早出3026

新潟名物のブラックラーメン×背脂がコラボした新潟らしいコッテリ系ラーメン。味濃いめ。麺が固くてコシがあり旨い。チャーシューも柔らかくて美味しかった。年配より若者向きかも?笑

背脂ブラックラーメン

【大湊直売所】
〒959-1604 新潟県五泉市論瀬吉和田5789

よっしーおすすめの、いちご「越後姫」を購入。1パック600円だった。柔らかくて潰れやすいため、新潟県外に出回るのは稀。美味しくて、帰りの車内で全部食してしまった。笑

越後姫

タイトルとURLをコピーしました