2022年3月20日(日)
5:30 甲斐小泉口 – 7:15 標高点1,884m – 11:00 三ツ頭 – 11:45 権現岳 -12:35 三ツ頭 – 14:30 標高点1,884m – 15:40 甲斐小泉口
メンバー : 2人(Waka(歩き) , Kさん(山スキー))
天気 : 晴れ
雪の状態 : 朝のうちは、旧雪の上に新雪が数センチ乗り結合が悪い。東側斜面ではスキーで踏むと小さく表層雪崩が起きる。昇温と共に面発生→点発生の傾向。日射の影響がある場所ではモナカ雪。踏み抜きまくり。
距離 : 13.6km , 累計標高差(+): 1,644m , 累計標高差(-) : 1,633m
3連休の天候が思わしくなく、当初計画していた山行は断念。久々に八ヶ岳方面へ足を伸ばした。私にとっては3年ぶりの山域。Kさんと行くのは初めて。
八ヶ岳って、いつも寒いイメージ。冬場の赤岳鉱泉とか、グローブつけてても指先ちぎれるんじゃないかってくらいしんどかった。私は寒いのが苦手だ。KさんはKさんで、標高が高いと毎度頭痛に苦しむ傾向がある。私たちがいつも越後の山へ行くのは静かな山が好きというのもあるが、標高が高い山に順応できない、寒いのが苦手という理由があるのもまた事実かもしれない。笑
ヤマテンで予報を調べると、「日中の気温が低く防寒対策が必要」とあったが、実際にはポカポカ陽気で春の雪山登山を楽しむことができた。暖かい日なら八ヶ岳も悪くないなぁと思った1日だった。
・・・
夜明け前に甲斐小泉の登山口へ到着。登山口前でテント泊していたパーティーが1組。ゴソゴソ支度をしていると向こうのパーティーも起床したようでゴソゴソ動き始めていた。
今回、私は歩きの雪山装備だが、Kさんは山スキーだ。スキーだと登りも滑りも苦労しそうな気がするのだが、Kさんはやる気満々だ。Kさんが帰りに沢筋滑りたいなら私も山スキーで行こうかなと思ったが「尾根の往復でいい」らしいので、歩きで確定。笑
5:30甲斐小泉口出発。雪はどこにもないので、Kさんはシートラーゲンだ。しばらく道路を歩いていくとそのうち登山道に入っていく。笹がそよそよ揺れていて気持ち良い雰囲気。すぐ真横の伐採地から、朝日に照らされる南アルプスの展望が見えた。
そのうちに薄らと積雪。おそらく昨日の晩のものだ。
CO1,770m、スタートしてから1時間半ほどでようやく数センチ単位の積雪が。早速Kさんがシールでのハイクアップを試みるも、岩や木の根に苦戦して「これは担ぐ方が早いわ」と早々に断念していた。
100mくらい標高を上げて、ようやくスキーでも歩けるレベルになった。私は私で踏み抜きがあるのでワカンを装着。それでも時々ズボっとハマる。得意気になったKさんは山スキーでぐんぐん歩いていくので、私はバテてきた。なんとかKさんのペースに追いついているくらい。「ペース早くない?」と聞いたら、「ま、山スキーだからね。」とドヤ顔だ。歩きとスキーでは1歩の歩幅も変わるので、やっぱり登る効率はスキーの方が良いのは確かだ。Kさんの板は短いのでキックターンも快適そう。
9:20、ようやくCO2,300m付近。展望が開けて編笠山や権現岳が見える。編笠山のおかげなのか、尾根上は無風でむしろ暑いくらい。
そのうち尾根も細くなってきた。旧雪と新雪の結合が悪いようで、板で踏むと東側斜面でスラフが流れてゆく。今日は雪崩Dayって感じだ。傾斜もあるし、スキーで登るには結構悪いコンディションだがKさんは苦戦しつつも器用に登っていく。先ほどよりもペースダウンしてくれたので、私はついていくのが楽になった。遅いって煽ろうかと思ったが、そんなことしませんよ。私は優しいから。笑
後少しで三ツ頭まで着きそうな時、Kさんがいよいよ我慢できずにシートラーゲン+アイゼンに変更。三ツ頭直下はワカンを履いていても踏み抜きが多くて捗らない。尾根の東側に寄った方が吹き溜りが多くていくらか楽になった。振り返ると、Kさんはさらにズボズボ沈みまくっていて難儀していた。
11時前に稜線に合流。私たちの登ってきた尾根はトレースすら無かったのに、稜線には踏み固められたバッチリトレースが・・・。向こう側の天女山方面からは続々と人が登ってくる。そして誰1人としてワカンを持っていない。笑
両者は同じようなルートだと思うのに、なぜここまで極端に人気が分かれているのだろうか?
Kさんは木陰に板をデポ。そして標高が高いのが原因かやっぱり頭が痛くなったようでイブを飲んでいた。私もこのタイミングでワカンからアイゼンに換装した。しばし休憩した後に2人で権現岳へ向かう。Kさんは三ツ頭で引き返して良かったそうだが、私がせっかくだから権現まで歩きたいと伝えた。皆んなの力で固められたトレースは快適。さすがのKさんも踏み抜くことはない。笑
ちょっと歩くと、三ツ頭のピークへ。みんなが休憩していて憩いの広場と化していた。
権現岳山頂までは意外と距離がある上に100mちょっと標高を上げなければいけない。結構疲れてきたが、あと少しなので頑張る。
直下のちょっと怖いトラバースを越えて、11:45権現岳山頂。
朝はくっきり見えていた南アルプスや中央アルプスはいつの間にか雲隠れしてしまった。それでも間近にそびえる赤岳が格好良い。しばらく景色を堪能して往路を辿る。
ちらほらと登りの登山者とすれ違う。もしこんなところをスキーで滑降したら迷惑極まりないだろう。笑
尾根の分岐でKさんは滑降準備。私が「車の鍵渡すから先に下りてて良いよ。」と言ったら、「待ってるから後ろで見守ってて欲しい。」と言われた。笑
ドロップの瞬間を人に見られるのが恥ずかしいようで、向こうから声が聞こえてきたと思ったら慌てて滑降を始めた。結構モナカっぽいが転ばずに順調に滑っている。私はその後を追いかける。
尾根上は起伏があるが、トラバースしてしまえば、割と楽に滑降できるようだった。
途中で、今朝の前泊のメンバーとすれ違う。3人パーティーで1泊2日でキレットを越えて赤岳へ抜けるようだ。悩んだ上にワカンを置いてきてしまって後悔していると言っていた。稜線まで頑張れば硬いトレースありますよ、と伝えた。みんなニコニコしていて気持ちが良い。お気をつけて楽しんでくださいね、と声をかけた。
Kさんは私の前でちょこちょこ滑っている。私はアイゼンつけたまま下っていたが、雪もすっかり緩んでいたのでそのうちツボ足に変更。
標高を下げるほどに、雪は緩みまくりズボズボハマるようになってきた。
と、そのうち前方でヘルプの声が聞こえてきて、何事かと思ったら、Kさんの右足が激モナカにハマって転んだ姿勢から脱出不能になっていた。急いでKさんの板を外してあげる。単独だったらちょっと大変だったかも、、、と言っていた。危ないですねぇ。
下るにつれて踏み抜きがいっそう悪化し、踏み出すごとに股下までズボるようになった。たまらずワカンを装着。CO2,030m付近でいよいよ雪が途切れ始め、Kさんもシートラーゲンに変更。
朝のうちは昨日の降雪が残っていた場所もすっかり土の登山道に変貌を遂げていた。雪が溶けるのは早い。春の到来を感じた。15:40、甲斐小泉口無事帰着。