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縦走南アルプス深南部

沢口山 〜 山犬段 〜 黒法師岳 〜 前黒法師岳 寸又峡から周回

縦走

日 時 2020年11月21日(土)〜23日(月)

山 域 南アルプス深南部

目 的 縦走登山

行 程
11月21日(金)前日
寸又峡温泉第3駐車場にて仮眠

11月21日(土)一日目
6:40寸又峡温泉第3駐車場ー6:50沢口山登山口ー9:55沢口山ー12:35板取山ー(八丁段巻き)ー14:05山犬段ー15:00蕎麦粒山ー16:10CO1,500m地点

11月22日(日)二日目
5:40CO1,500m地点ー6:10三ツ合山ー8:15千石平ー11:05房子山ー13:05バラ谷の頭ー14:30黒法師岳ー15:35CO1,815m地点

11月23日(月)三日目
6:15CO1,815m地点ー7:15二ツ山ー8:20ヘリポートー10:05前黒法師岳ー13:15前黒法師岳登山口ー14:10寸又峡温泉第3駐車場

人 数 2人

天 気 一日目:晴れ 二日目:明け方は晴れのち風雨 三日目:明け方ガスのち晴れ(強風)

2020年11月 過去の天気図 気象庁

私にとって南アルプス深南部のベストシーズンは「秋」「春」だ。
天気予報を確認すると、冬型気圧配置となっており雪山登山をするには天気がイマイチの様子。
それならばと、寸又峡の天気予報を調べてみると予想通りそこまで悪くなさそうだ。

山仲間のKさんとは、ちょうど1年前に深南部を一緒に歩く約束をしていたが、当時は悪天の為計画が流れてしまった。
ついに1年越しの約束を果たせそうだ。

1日目:寸又峡〜沢口山〜板取山〜山犬段〜蕎麦粒山〜幕営地

前日、日付を越えて寸又峡温泉第3駐車場に到着。

明日は強風予報が出ているが、現時点で駐車場でもなかなかの風が吹いている。
突風が吹き、車が揺れた時は驚いた。

夜明け前に出発する予定だったが、あまりにも眠くて計画変更。
結局6:40に出発。

水を何リットル担いで行くかで悩んだが、結局持ち合わせのプラティパスいっぱいに担ぐことにした。
各々4.5リットル程の水量になった。

まずは沢口山へ向かう。

紅葉も終わりかけの時期だろうが、寸又峡は朝から観光客の姿が多く見られた。

寸又峡温泉から登山開始。バックには朝日岳の一角が見える。

斜面を葛折りに登り、尾根に取り付くと場所によっては西風が強く、寒い。

ウィンドシェルを着込んだKさん、全身青色でまるでド○えもんのよう。
木々の隙間から不動岳と諸沢山
大ガレを携えた朝日岳も。

秋になりすっかり葉の落ちた樹林帯を歩いていく。
やや寒いが、カラッとした空気の中の山歩きは快適だ。
樹林帯の隙間から見える深南部の山々に時折目を奪われつつ高度を稼ぐ。

9:55、沢口山到着。

沢口山からの山座同定(クリックで拡大)

山頂標識の奥に進むと、展望地。
本来は展望のない山頂。伐採されたお陰で周囲の山々がよく見えるようになっていた。

山頂では、道中追い抜かされた3人パーティーと、単独の女性も休憩していた。
(後から知ったことだが、この3人パーティーは知り合いの知り合いだった。)
単独女性と会話をすると、ここら辺の山域を相当歩いていることが分かった。
私が、朝日山、平森山、白倉山、中ノ尾根山を周回してみたいと言ったら、「朝日〜白倉間は倒木がたくさんで大変だったわよ。」と教えていただいた。
少しだけの会話だったが、この山域にかなり詳しくて驚いた。
女性は避難小屋泊のやや軽めの装備とはいえ、歩くスピードも非常に早かった。私も将来こんな女性になりたいものだ。

しばし休憩を挟み、縦走を再開。

11:35天水到着。
北側に展望が広がる。こちらは天然の展望所のようだ。

天水からの山座同定(クリックで拡大)
天水からの山座同定②(クリックで拡大)

沢口山から見えた山々が、少しだけ角度を変えて再び姿を現した。
信濃俣と重なっていたイザルガ岳がはっきりと分かる。

その後少し歩き12:35板取山山頂。

ホーキ薙復旧治山工事

山犬段へ向けて歩いていると、突如として人工物が現れた。
突然景色が変わりギョッとしたが、どうやら、ホーキ薙の復旧治山工事を行っているようだ。
約25haの崩壊地(ホーキ薙)から長い間にわたり大量の土砂が大井川本流に流出している。
崩壊地を森林に復旧する為平成23年度から治山工事を実施しているそうだ。

Google Earthでみるホーキ薙

参考PDF:崩れた森林を治す治山地形(大井川治山センター)

八丁段を、林道を使い巻く。
14:15山犬段に到着。

山犬段休憩舎は広くて綺麗な小屋だった。
ここに宿泊したい気分だが、そうすると明日の行動予定時間は12時間となかなかハードになる。
それに明日の天気もイマイチの予報だ。
ちょうど水は担いでいるし、少しでも先に進んだ方が良いのか、悩んでいた。

すると、休憩舎の中から、沢口山の手前で追い抜かされた単独女性が出てくる。
「中に入らないの?」
「掃除もして、換気もしておいたから大丈夫よ。」と加えて言われた。
コロナご時世だからなのか、そういう部分にしっかり気を遣ってくれているようで、なんだかありがたい気持ちになった。

先に進もうか悩んでいると伝えると、「私だったら先に行くわね。」とハッキリ言われた。
お陰様で私もKさんもすぐに方針が決まった。
女性は明日は知り合いと合流して山犬段から降りるそうだ。
ここでお別れ、お礼を言って先へ進むことにする。

いよいよ出発。ゆるゆると歩き15:00蕎麦粒山到着。
本当は三ツ合まで歩きたいところだったが、おそらく日没に間に合わないので、幕営場所を探しながら歩くことにした。

お疲れモードのド○えもん

16:10、CO1,500m地点に手ごろな場所を発見。
ここで幕営することとした。

日が沈んでゆく
今日の夕飯はキムチ鍋(ど定番)

2日目:幕営地〜三ツ合山〜房子山〜バラ谷の頭〜黒法師岳〜幕営地

4:30頃起床。2人で棒ラーメンを食べ、出発準備。
5:40夜明け前より出発。

ちょうど、三ツ合を歩いているあたりで、空は明るくなった。

紺色からピンク色へ。次第に山の色が変わっていく。
今日は悪天予報だが、朝一は雲量少なく素晴らしい景色を堪能出来た。

笑顔のKさん
千石平へ向かう。

三ツ合山から千石平の区間はアップダウンの激しい痩せ尾根が続く。

富士山、おはよう。
朝日が顔を出した。

歩いている間も、空はグングン明るくなる。
慎重に歩きつつも、移り変わる山の色合いについ目を奪われる。
やがて、山の向こうに朝日が見えた。

痩せ尾根は通称「鋸尾根」と呼ばれているようだ。

斜面をよじ登っている時、手をおいた場所にあった、ひと抱え程の大岩がグラッと動いた。
「落落落!!!」叫んだのと同じタイミングでその大岩は落ちていく。
下にいたKさんは、上部をよく見ており、左に避けてくれたので運よく大事には至らなかった。

それでも、流石に、危険な事をしてしまった。
恐る恐るKさんの顔を伺ったら、すっかり真顔・・・。
万が一当たっていたら、怪我では済まない問題になっていただろう。
Kさんには申し訳ないことをしてしまった。

朝は晴れていたが、次第に雲が増えていく。

千石平手前からの展望

東側を向くと、昨日歩いてきた稜線が見えた。

8:15千石平到着。

千石平

緊張の痩せ尾根は終わり、気持ちの良い笹尾根歩きが続く。

広々としたブナ林。1頭の鹿が数メートル前を駆け抜けていった。

大きな立ち枯れの木
房子山直下

11:05房子山到着。
いつの間にかすっかりガスに巻かれてしまった。

ブナの巨木に腰掛けて

標高2,000m付近にちょうど雲がかかっているようで、バラ谷方面に進んでいくほどに天候は悪くなっていった。
いよいよ雲の中に入ってしまい、雨が降り始める。
久々にカッパを着用した。

本邦最南2,111mの地

風雨の中、13:05バラ谷の頭に到着。

本来はヘリポートで幕営予定だったが、到底届きそうにない。
黒バラ平で幕営するか悩んだが、今晩用の水はまだ足りそうなので、進める所まで進んで幕営することにした。
明日の行動中にもし足りなかったらヘリポートで水場に寄ってから下山する方針で決定。

幕営候補地として、とりあえずは黒法師岳を南東に降ったコルを目指すことにした。

黒法師岳の登りは笹藪の急登。
風雨が強くなり、まるで登山に適していない天候。

14:30いよいよ山頂に到着したが、寒い。

疲れ切ったKさんが「もうここで幕営しちゃう?」と提案してきたが、流石に風強いし、とりあえずコルまで降ってみようよと答えた。
後少しの頑張りだ。

山頂から前黒法師方面へ下山を開始すると、山の陰に隠れて風はおさまった。
しばらくは笹藪の下降が続くが、しばらくして傾斜も落ち着く。
コルまであと少しのところで、再び周りで風がびゅうびゅうと鳴り始めた。
樹林帯に守られている為私たちに直接吹き付けてくる訳ではないが、頭上の木々が揺れている。

「これはコル風強いかもね。」と2人とも同じ意見。
ちょうど周りに良さそうな場所を発見した。

15:35CO1,815m、コルの少し上で幕営。

まだ雨が降り続けている中、テントを設営し、靴を脱ぎ、ようやく落ち着いた。
悪天の中での登山はかなり久々だが、やっぱキツい・・・。

今晩の食事はハンバーグと冷凍チャーハン、肉まんなど。

私もKさんも、楽しいのが好きだから、基本的に晴れた日にしか山に行かないのだが・・・。
今回も、直前まで天気予報とにらめっこして山を決めたつもりだったが、結局降られてしまった。

しばらくすると、雨はおさまったようだが、風は吹き続けている。
木の下に幕営したので、常に葉から落ちる水滴で私たちの頭上にはひたすら雨が降り続けていた。

3日目:幕営地〜前黒法師岳〜寸又峡

日付が変わったあたりで、再びバラバラと降雨。

明け方も一時的に降雨あり。
昨日よりも、気温が低いのか寒く感じる。やる気の出ないままゆるゆると撤収準備を始める。

準備を済ませ、外に出ると、木々の向こうに山々が見えた。
どんよりとした雲に日の光が反射して、なんとも言えない雰囲気がある。

続けてテントから顔を出したKさんも、その景色に感動していた。

6:15出発。

太陽に照らされガスが反射して、山全体を赤く染めていく。

ご来光

太陽が顔を出した瞬間、山々は赤く燃えた。

素晴らしい景色。

素晴らしい色。私もKさんも、興奮して何枚もシャッターを押す。

やがて、その神秘的なひとときは終わり、次第に「次の色」がやってくる。

二ツ山山頂
向かって左から黒法師岳、私、丸盆岳、不動岳。

二ツ山ピークを越えたところで北側に展望が開ける。
南アルプス深南部の盟主たちがズラリ。
黒法師岳、丸盆岳、不動岳の間に私も混ぜてもらった。

広い尾根の熊笹歩き
目前に前黒法師岳

程なくして、再び疎林に。ヘリポートまであと少しのところ。
目前には前黒法師岳。

北面にはガレを抱えており、ガレ淵からは圧巻の展望が望めた。

今回の山行いちばんの眺めを目の当たりにして、2人とも大はしゃぎ。

ヘリポートからの山座同定(クリックで拡大)
ヘリポートからの展望②(クリックで拡大)

南側も大展望。初日に歩いたルートが見えた。
展望は嬉しいが、風が強く、なかなか寒い。

ヘリポートをうろうろしていると、テント1張発見。
男女ペアだった。
昨日はヘリポートでも暴風雨で大変だったらしい。
女性は深南部っぽさを味わいたいようだったが、もう疲れてしまったのでここで引き返すそう。
少し登れば熊笹歩きが出来ますよ。と伝えておいた。

当初はヘリポートで水を汲む予定だったが、担いでいる水で足りそうだったのでそのまま進むことにした。
結局、2泊3日道中の水補給はしないで完結することが出来た。

向かって右側に前黒法師岳が見える

しばらく景色を堪能し、いよいよ前黒法師岳へ向けて再出発。

ヘリポート〜前黒法師岳間での山座同定(クリックで拡大)

北側に目を向けると、樹林帯の間から山々の展望。
なんと、聖岳が冠雪していた。
昨晩の悪天でだいぶ積もったのだろう。

10:05、最後のピーク前黒法師岳到着。

休憩もそこそこに、順調に歩き高度を落としていく。

上部では強かった風もいよいよおさまり、晩秋の気持ちの良いハイキングとなる。

再び、朝日岳が出迎えてくれた。
いよいよ寸又峡温泉も近い。

一度林道に合流。
向こう側に七ツ峰や天狗石山が見えた。
まだ歩いたことのない山々。機会があれば行ってみたい。

黒法師岳登山口はなかなか悪かった・・・。

13:15黒法師岳登山口到着。

カモシカに遭遇

登山口から飛竜橋を渡り駐車場へ。
寸又峡温泉は夢の吊り橋が有名な「観光地」だ。
あたりは賑わっており、今回の山旅の終わりを実感させられる。

14:10寸又峡温泉第3駐車場無事帰着。

いつもお世話になっている翠紅苑で汗を流す。
Kさんのリクエストで「炭火焼きレストランさわやか」でげんこつハンバーグをオーダー。
身も心も満たされていよいよ帰途についた。

げんこつハンバーグ。安定の美味しさ
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