日 時 2020年6月15日 (月)〜18日(木)
山 域 平標山・谷川岳・朝日岳
目 的 お花見縦走登山 お花の記事はこちら
コース 1日目:浅貝〜大源太山〜平標山の家
2日目:平標山の家〜平標山〜谷川岳〜茂倉岳避難小屋
3日目:茂倉岳避難小屋〜蓬峠〜大源太山〜清水峠
4日目:清水峠〜朝日岳〜白毛門〜土合
人 数 1人
天 気
15日:午前中晴れ、気温高い。平標山頂付近はガス。夜中は、近くで雷雲発生。突発的に強い雨が降る。
16日:朝から昼前にかけては晴れていたが高曇り。気温高い。午後から次第にガスがかかり谷川山頂付近では突発的な降雨。18時頃、一度だけ雷雨。その後もしばらくは突発的な強い雨が度々発生。真夜中は穏やかな天候だった。
17日:朝一は標高の高い場所でもガスがかかっていたが、午前8時頃より次第に晴れる。気温高い。夕方に風が強まるが雷雲の発生はなく、終日穏やかだった。
18日:深夜1時過ぎから明け方にかけて低い雲が広がる。清水峠付近も濃いガス。標高1,700付近からはガスから抜けて目下に雲海が広がる。日中は全体的に霞んだ眺望だった。
浅貝から登山開始。登る尾根の延長線上には三角山が見える。
目前にあるのは大源太山(1,764m)。登山道は、大源太山を巻くように付けられている。
平標山の南東面にある「笹穴沢」。上部はまだ雪渓に覆われている。
美渓として知られ、沢登りのルートでも有名である。
遠く離れていても、流れる水の音が聞こえてきた。
平標山まで散歩。振り返ると、大源太山が見えた。
2日目。午前3時過ぎに出発。
仙ノ倉山、平標山を振り返る。平標山の向こうに苗場山(2,145m)が見える。その向かって右となりが神楽ヶ峰(2,030m)。
振り返れば、大源太山と、平標山の家が見える。
その奥に見えるのは苗場スキー場か。その左奥の若干ポコポコした山が佐武流山(2,192m)。
エビス大黒ノ頭から目前に続く稜線をのぞむ。
東俣ノ頭から向かって右側に尾根が派生している。
向かって左に見えるのは万太郎山(1,954m)。
ちょうどその稜線の二股の向こうに谷川岳が見えている。
万太郎山の左に見えているのが、本日の目的地、茂倉岳(1,978m)だ。
東俣ノ頭から派生している尾根の向こうには、俎嵓、川棚ノ頭が見える。
歩いてきた稜線を振り返る。向かって左が仙ノ倉山(2,026m)、右が平標山(1,983m)だ。
平標山山頂から繋がる雪渓は平標沢か。平標新道の伸びる尾根を挟んで向かって左側にある雪渓の場所こそ西ゼン。夏は沢登り、冬は山スキーが出来る場所だ。
少しずつ谷川岳に近づいていく。好天の中、気温が高く疲れるが、この展望をずっと眺めながらの稜線歩きは非常に贅沢だ。
向かって左から茂倉岳、一ノ倉岳(1,974m)(平らな山)、谷川主峰・オキの耳(1,977m)とトマの耳(1,963m)が見える。続く稜線上にオジカ沢ノ頭が見える。
昼頃から、谷川岳の山々にガスがかかってしまった。
谷川岳肩の小屋に着いた頃にはガスに巻かれ、突発的に強い雨が降るようになった。
電波が入ったのでヤマテンの天気予報を確認したところ、雷雲予報を出して私を脅しにかかっている。しかし、よく見ると高層天気図では15時から危険信号だ。
今はまだ13時なので、ギリギリ大丈夫かもしれない。
本日、肩の小屋は宿泊不可との話を事前に聞いていたし、どちらにせよ茂倉岳避難小屋まで歩かなければいけない。
どうにか持ち堪えて欲しいと願いながら、茂倉岳に向かって全力で歩く。
本当、私はこんなにビビってしまっているが、天気予報のない時代、昔の人は雷をどうやって切り抜けていたのだろう。
途中、雨は止んでくれた。ガスだけの世界を歩き続ける。
15時前に避難小屋に無事に到着。水場もあるし、小屋内も非常に綺麗だ。
17時頃から、突然土砂降りに。18時頃にはゴロゴロ鳴り始めた。
間に合って良かった。山の神様に感謝。
すっかり疲れ切って、食欲もなし。日中の炎天下のせいか頭痛もあり、明日は茂倉新道から土樽に下山しようかとエスケープの予定を考えた。
避難小屋の銀マットもお借りして、心地良い避難小屋の中、17時頃から翌朝3時半まで爆睡だった。
3日目の行程は余裕があるので、のんびりと5時出発。
しっかり睡眠も取れて元気になったので、引き続き縦走を続ける事にした。
早朝はガスがかかっていたが、次第に晴れていく。
蓬峠のミヤマキンポウゲの道は実に素晴らしかった。
振り返れば、歩いてきた山々が。向かって左からオキノ耳、一ノ倉岳、武能岳。
茂倉岳は武能岳の後ろに隠れてしまっているようだ。
一ノ倉岳、一ノ倉沢のイメージからなんとなく急峻な山頂をイメージしていたが、なだらかで、風に吹かれたクマザサがそよそよと揺れる、穏やかな山だった。
これから向かう稜線。P1,544mから西に向かって稜線が伸びている。
伸びている稜線の最初のピーク、シシゴヤノ頭(1,472m)までは登山道が存在する。
七ツ小屋山で、クライミングジムCOZYの入江さんと仲良くなった。
せっかくなので写真を撮ってもらった。
入江さんは白毛門スタートで日帰り馬蹄形縦走をしているところだった。
私も余裕があるし、入江さんも余裕がある(凄い!)そうなので、しばし山談議で盛り上がる。
七ツ小屋山から、大源太山のピストンをする。
道中、何人かの人とすれ違う。皆、七ツ小屋山に向かってくるので「どういうルート取りをしているのだろう?」と疑問に思ったが、答えが分かった。
先ほどのP1,544mからの分岐、シシゴヤノ頭を絡める事で、周回出来るようだ。
コースタイムは8時間程度、このルートは結構、アップダウンがあると思うが。
日帰りの中ではタフな部類に入るに違いない。
大源太山(1,598m)登頂。上越のマッターホルンと呼ばれているこの山。
上部は鎖場多数で急峻。山頂からは360度の大展望が広がっていた。
これにて、念願のダブル大源太山クリアーだ。
この縦走をする前、まさに最近山仲間の間で大源太山の話題が持ち上がった。
2つ同じ名前があってややこしい為に、度々「勘違い事案」が発生するようだ。
今回の縦走で地図を広げ、なるほどこの山の事か!と思った。
これは、登るしかない。どんな場所か確かめなければ。
この大源太山をパスして、かつ、私の頑張り次第では、1日早めて下山する事も可能だったが、それ以上に、1日延長してでも大源太山には登っておきたかった。
結果、登って大満足だ。良い山を知ることが出来て良かった。
七ツ小屋山に戻り、縦走を再開する。
デポしていたリュックの天蓋に大量にアリンコが入り込み、私の源氏パイのカスをせっせと運び出していた。油断も隙もありゃしない。
ちなみにこの後、晩ご飯として私の炊いたご飯(ツナとフジッコの炊き込みご飯)を外に置いていたら、メスティンの蓋の隙間から、またもやアリンコが数匹進入していた。
あいつらー、本当に許さん。
今まではテントに数匹侵入しても許容していたが、それも危険かもしれない。
今後は徹底的に追い出すこととした。
清水峠に向かう縦走路、大源太山とP1,457m(ヨセ沢の頭)が見える。
大源太山の東面は険しい岩壁を抱えている。
登山大系「南会津・越後の山」では「越後大源太山」として、この山のバリエーションルートを23ページにも渡って紹介している。
それほど、この山は面白味のある場所なのだろう。
メジャーなバリエーションでは、沢登りで「北沢」が存在する。(大源太の西面なので写真とは反対側)
ちょうど写真に映る、東面の顕著なリッジは「コブ岩尾根」と呼ぶそうだ。
大源太山の東側には「丸ノ沢」があるが二股から右俣へ入ると「北ノ沢」と名前を変える。国土地理院地図では確認が出来ない。ここも難易度が高そうだ。
αルンゼは景色が良さそうだが・・・。
うーん、私にはどこも登れなさそうだ。
黒々とした稜線、オキノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳が見える。
奥には仙ノ倉山も。
清水峠にて、谷川の山々と記念撮影。
4日目の最終日。早々に下山したく、早く出発する事に。
本来は午前2時出発の予定だったが、遅刻しない為に午前1時に起床したところ、1時間で出発準備が整ってしまった。よって午前1時に出発。
今まで起床後ものんびりして時間が掛かっていたので、今回自分の手際が成長していた事に感動した・・・。
清水峠周辺は濃いガスに包まれている。うっかり清水へ下山してしまいそうになる。
朝日岳の上りは結構な標高差だったので覚悟していたが、ゆるゆるペースで登っていたため、あまり疲れなかった。
日の出前、風も涼しく、飛び回る虫も少ないので快適だ。
標高を上げたら、ガスから抜けた。
ちょうど、谷川の馬蹄形に低い雲が詰まっている。
雲海にたたずむ山々が幻想的だ。
朝日岳山頂からのぞむ稜線。P1,934m、笠ヶ岳(1,852m)へと続いている。その奥にぼんやりと佇む谷川の峰々。
最後のピーク、白毛門山頂より。見納めの景色。
白毛門から土合へ向けて下山する。
向かって右側、うすぼんやりと西黒尾根、その向こうに天神尾根が見える。
そして、まるで門柱のような岩が2つ。ジジイ岩とババア岩と呼ばれるらしい。
積雪期にこの二つの岩の頂点にある草に雪がつくことで、白髪頭のジジイとババアがまるで門柱に見えることが「白毛門」の由来であるらしい。
(ところで群馬県公式HPだけが”ジジイ岩”、”ババア岩”と呼んでいたが本当に正しいのだろうか?その他のサイトでは全て”ジジ岩”と”ババ岩”だった。僅かな違いとはいえ、表現としては結構な違いだと思うが・・・。)
52 白毛門 – 群馬県
白毛門の南面はなかなかに厳つく、笠ヶ岳から続く北面の穏やかな縦走路とのギャップに驚いた。
土合駅から帰宅。越後湯沢行、9:54発に乗る事とする。
本当は上り線、高崎行に乗車したいところだが、あまりにも本数が少ないため仕方がない。
越後湯沢〜高崎間の新幹線代が余分に掛かってしまうが、仕方がない。(泣)
本数は上下線、各1日5本だけ。ちなみに土合駅は無人駅である。
そして、まさか、駅の改札からホームまで11分歩くとは思わなかった。
ひたすら長い階段を降っていく。土合駅の構造は想像の斜め上をいっていた。
他の観光客たちの行動に倣っておいて良かった。彼らがいなければ、土合駅のイロハを知らない私は本気で乗り過ごすところだった。
今後は、山だけではなく、駅の下調べもしっかりやっておきたい。
※どうやらこの駅は「日本一のモグラ駅」と呼ばれているらしい。
Wikipediaを読んで、少し笑ってしまった。私は462段の階段を降っていたようだ。
土合駅 – Wikipedia
駅のホームもモヤがかかっていて、雰囲気満載の場所だった。
ちなみに電車だけはJR上越線のイマドキの綺麗な車体だった。笑
3泊4日、山に深く浸れた4日間。
今回は、天気や行程の事を考えて夜明け前に出発する事もあった。
夜明け前は眠いし、暗いので撤収作業も億劫になってしまいがちだが、やっぱり、私はこの時間帯の山歩きが心地よく感じてしまう。
夜明け前、午前2時頃は、なんとなく風が吹く事が多い。
午前3時頃になり、再び静寂が訪れる。
次第に辺りが明るくなってくると、クマザサの茂みや木々から、小鳥たちのさえずりが聞こえてくるようになってくる。日の出を迎えると、山にも再び風が吹き始める。
私が毎日寝て起きているように、山も、そこで暮らす生き物たちにも、きっと生活サイクルが存在しているのだろう。
それを実際に肌で感じると、妙に親近感が湧いてしまう。
2日目の午後、雷雨に怯えながら避難小屋を目指したが、その道中でも時折、小鳥の鳴き声が聞こえてきたので少し安心することができた。
3日目は終日好天だったが、清水峠では周りのクマザサの中でひたすらウグイスの大合唱だった。(少しやかましいくらいだった。笑)
なんとなく、生き物たちの存在を感じるている間は、安心していられる。
4日間の単独縦走は、決して寂しいものではなく、満たされた4日間だった。
今回、最も気になっていたのは平標山だ。
一昨年、苗場山に登った時に、交流センターの小屋主さんが「平標はすごく良い山だよ。」とオススメしてくれた。
その時から、いつかは行きたいと思っていた。
ちょうど今の時期、花盛りだという事を知って、梅雨時期であるがそこそこ天候も良さそうなので、計画を練って出発。
予想以上に素晴らしい山。咲き乱れる花々の群落はもう感動としか言いようがない。
そして、サブ目標のダブル大源太山も無事に登頂出来た。
日本アルプスの山も、もちろん魅力的だが、新潟や群馬の山も素晴らしい。
標高も場所も関係なく、それぞれ個性的な良さがある事を最近よく感じるようになってきた。
今回、朝日岳近辺から眺めた越後の山々がとても魅力的に見えた。
まだまだ私は知らない山が多すぎる。次はあちらの山々へも登ってみたい。
朝日岳から巻機山へ繋がる稜線はどうなっているのだろうか。
山へ登れば登るほど、山がさらに好きになっていくし、新たな興味が湧いてしまう。
疲れたけど、とても幸せな4日間でした。
平標山から続く尾根上、日白山(にっぱくさん)(1,631m)は写真の外になってしまっているが、そこから連なる東谷山(ひがしやさん)(1,554m)が見える。
ちょうど見えている南西尾根のラインも、山スキールートとして紹介されていた。
平標山の奥には苗場山と神楽ヶ峰が見える。
左に見えているのは湯沢町か。岩原スキー場が見える。
遠くに見えているなだらかな雪のついた山は巻機山(1,967m)、その手前の尖った山は大源太山(1,598m)その向かって右となりが七ツ小屋山(1,674m)か。さらに手前の尾根はP1,544mから連なる山々だろう。
そのまた手前の台形の山が武能岳か。
最も奥の双耳峰ピークが燧ヶ岳(2,356m)。中心部にぽこっと飛び出しているあのピークは・・・、越後三山の中ノ岳(2,085m)だろうか。
向かって左から伸びている尾根上の向こうに、険しいピーク、俎嵓、川棚ノ頭。
(嵓は岩の古語で「岩壁」を意味するそうだ。「倉」は当て字。谷川山域に「〜倉」が多いのはまさに岩壁が多いからだ。)
向かって右のピークは小出俣山(おいずまたさん)(1,749m)、その左奥にぴょこっと見えているのが阿能川岳(あのうがわだけ)(1,611m)この2つとも、夏は藪山だが、冬場は気持ちの良い山歩きが出来そうだ。
写真中央向かって右寄りの、台形の山は吾妻耶山(1,322m)。
ぐんま百名山でもあり、地元に愛される里山。
山頂からは好展望が広がっているそうだ。
向かって右奥に見えているのが子持山(1,296m)。獅子岩はクライミングルートとしても有名だ。
その左隣に赤城山が見えている。
蓬峠周辺からの眺め。
湯檜曽川(ゆびそがわ)を挟んだ対岸には朝日岳(1,945m)、P1,934m、笠ヶ岳(1,852m)、白毛門(1,720m)が見える。
朝日岳と、P1,934mに挟まれた沢は「大倉沢」。
こちらも秀渓と言われている。少し気になってしまった。
向かって右奥の山塊は赤城山。
その手前にある峰々は、向かって左から尼ヶ禿山(あまがはげやま)(1,466m)、高檜山(たかひやま)(1,315m)だろう。
その峰々の向こうに、わずかに台形の山が顔を出しているが、迦葉山(かしょうざん)(1,322m)らしい。
迦葉山は「天狗の霊峰」とされ、山腹には日本一の天狗面がある弥勒寺があるそうだ。
西黒尾根、天神尾根も見えている。
手前の尾根。
向かって右から、大烏帽子山(1,819m)、檜倉山(ひのきぐらやま)(1,744m)、柄沢山(からさわやま)(1,900m)、米子頭山(こめごがしらやま)(1,796m)、雪が少し残っているピークが巻機山(1,967m)だ。
この尾根は、朝日岳から続いている。
朝日岳に向かう途中、分岐看板があったが「難路」と示されていた。
夏場は分からないが、積雪期はスキーや雪山縦走としても楽しそうだ。
いつか行ってみたい。
檜倉山と柄沢山の鞍部向こうに見えているのは平ヶ岳(2,141m)、檜倉山と大烏帽子の向こうに見えているのは至仏山(2,228m)だろうか。
朝日岳の稜線より。
向かって左、雪のついた尖ったピークが牛ヶ岳(1,962m)、針のように尖ったピークが八海山(1,778m)、その隣、遠くに見えているのが守門岳(1,537m)、顕著な2つのピークは越後駒ヶ岳(2,003m)と中ノ岳(2,085m)。その右のギザギザが荒沢岳(1,969m)、台形の山は会津駒ヶ岳(2,133m)だろうか。
さらに右を向いていくと、尖ったピークの景鶴山(2,004m)、燧ヶ岳(2,356m)、至仏山が見える。
景鶴山は、植生保護の為、夏場は入山禁止になっているそうだ。
向かって右側に佇む山塊は上州武尊山(2,158m)。
越後方面ズーム。
越後駒ヶ岳、中の岳、荒沢岳、平ヶ岳も見えている??
ズーム。向かって右が会津駒で・・・。
ここら辺は、山がたくさんあって、正直難しい・・・。ギブアップ。
やっぱり、歩きにいかないと分からない。
一ノ倉沢、幽ノ沢、ズーム。
登攀もすごいが、BC滑降も凄すぎる・・・。
別アングルより、一ノ倉沢ズーム
出会った生き物たち。
今回見かけたお花たちは、ボリューミーになってしまう為、別記事でまとめました。