2023年3月9日(木) 9時間50分 距離23km 累積標高+1,200m/−2,700m
杉ノ原スキー場 リフトトップ (9:30) – 三田原山 (11:00) – 黒沢池 (11:45) – 乙見尾根取付き (13:35) – 黒菱山 (15:10) – ハンノキ平 – 黒菱川 (16:20) – 燕尾根 (17:00) – 矢代川第3発電所 (18:05) – 矢代川第1発電所 (19:20)
※ちょうど3月9日に西菅沼新田集落から矢代川第1発電所まで除雪が入りました。
メンバー : 2人(Waka, Mei)
天気 : 晴れのち曇り
毎年恒例の頸城山スキー。今年は以前より気になっていた乙見尾根へ、山仲間のMei氏と行ってみることにした。
山行記録
入山地となる杉ノ原スキー場に8:30頃着。支度をして杉ノ原ゴンドラに乗車。ゲレンデをひと滑りして次は三田原第3高速リフトへ乗る。本来始発は9:30だがラッキーなことに9:10に乗せてくれた。
順調にリフトトップへ到着し、9:30登山開始。
以前週末に澄川滑降を行った時はこの時点で多くの登山者で混雑していたが、さすが平日。三田原山へ向かうのは4パーティー程だ。
平日休みは山仲間と予定を合わせづらいデメリットがあるが、どの山も空いているのは最大のメリットと言える。
今日は天気も良く、早速うしろに黒姫山、佐渡山、高妻山が姿を現してくれた。
オーバーパンツを履いていたMei氏が早速短パンに換装。笑
Mei氏は頸城周辺の山々はほとんど行ったことがないらしい。先日初めて乙妻山に登ったらしい。私は数ある山域の中でも、頸城は好きな方なので、ぜひMei氏に頸城の良さを分かってもらいたいと思った。
山はすっかり春の様相。すっかりザラメ化した雪面をハイクアップしてゆく。三田原山まではトレースがバッチリあったので使わせていただく。朝イチでまだ硬く、トレースがなければクトー案件だったが、順調に山頂まで。
三田原山山頂からは目前に妙高山のピークがよく見える。ちょうどやってきた単独の男性がお鉢に向かってドロップしていった。
何パーティーかいたが、全員、三田原山または妙高山を楽しむようで火打山方面に向かうのは私たちのみだった。滑降準備を済ませてまずは黒沢池に向かう。
しばらく好天続き、降雪なしだったが、斜面には少しばかりのパウダーが残っていた。Mei氏がルーファイして良い斜面を当てていく。私がMei氏の後を追わずに適当に滑りこんだ場所は大体モナカだった。そして転んだ。笑
Mei氏の滑りやすい雪を探す能力、すごいと思う。私はいつも斜面を選ばず適当に突っ込んでいるので今後は考えながら滑ってみようと思った。
一面雪原となっている黒沢池はまさに別天地。Mei氏も景観に感激していてこちらまで嬉しくなった!
ここから黒沢岳と茶臼山のコル目指して登り返し。
コルへ到着。ここから高度50m下げれば高谷池ヒュッテがあるが、今回は日帰りプランなのでそのまま尾根を辿る。高谷池もすごく良い場所だよ、とMei氏に教えた。
振り返れば妙高山と黒沢池、前方に真っ白な火打山も見えた。
風はほとんど無く、暖かな春の陽気。素晴らしい稜線漫歩を楽しむ。
見渡す周囲の山々が真っ白。次はあそこへ行きたい!と夢が広がる。
やがて火打山が目前に。乙見尾根の取り付きは手前のポコ。
山スキー1ヶ月ぶりの私は情けないことにこの時点でバテバテ。(苦笑)
乙見尾根行こう!と口だけは達者なのにこのザマよ…。
Mei氏が、火打山は行っても行かなくても良いよ〜と言ってくれたので、今回は火打山をパスして早速乙見尾根に取り付くことにした。
直下には澄川の源頭。魅惑的な大斜面。Mei氏がとても滑りたそうにしているが、今回の目的は乙見尾根なので、澄川は我慢していただく。来年、行こう!!澄川は何回行っても素敵な場所だから。
乙見尾根のスタートはひたすら北西斜面をトラバースしてゆく。
CO2100〜2050mの尾根から西側へ降りようとしたら、雪庇に阻まれる。可能な範囲で上から覗き込むが高さが分からない。幸いにも北側から大きく巻いて無事に降りることができた。
雪庇を見上げたら意外と高さがあったので、Mei氏とジャンプしてたらヤバかったね〜。なんて話した。笑
でも難なく降りれて良かった。本当に行き詰まったら雪庇を崩したりして工作しなければいけないのだろう。
雪庇を巻いたところにあるP2091mから、なんといつかのトレースを発見!乙見尾根には定期的に人が入っているようだ。そのトレースはシールをつけて次なるピークを登り返しているが、私たちはそのまま巻きにかかる。
尾根を無事に巻いた〜と思ったら、突然の沢地形が現れた。上手く巻けるか分からなかったので安全第一でシールをつけて軽く登り返し。結局ピーク越えした先人のトレースと合流した。
最初から登り返していれば良かった…。乙見尾根、思っていたより地形が複雑だ!!
再びシールオフして束の間の滑降を楽しむ。黒菱山へ至るまでも若干の登りがあり、シンキングタイム。出来ればシールつけたくない。巻くとしたら東側、雪庇の下だけど、雪庇の下トラバースして尾根に復帰出来なかったらどうしよう…。てな訳で安全第一でシールをつけて尾根上を歩くことに決定。
先人は目前に見えている沢(黒菱川の源頭部分にあたる?)を滑降しているようだ。このラインはネット上で記録を見たことが無い。トレースの主は通い慣れたジモティーかもしれない。
尾根上にも古いトレースが残っていた。乙見尾根、人気ルートなのだろう…!
15:10黒菱山着。北面の急斜面を落としたら、いよいよお楽しみのハンノキ平だ。北面はなかなかの急斜面で、ここは滑降リーダーのMei氏に先行してもらう。Mei氏の特殊スキル・良い雪を探す技で、カリカリの中に潜むチョイパウダー斜面を見つけ出し、高度を落とす。
Mei氏は楽しそうに一瞬で下まで降りていった…。
さて、私も後を追う!が、私的スティープ斜面なのでビビり気味。腰が引けて一回コケた。Mei氏が下で「まだ降りてこないな〜?」みたいな感じでこちらを見上げている…!!ちょっと待ってください!ガンバリマス!1ターン1ターン頑張ってどうにかMei氏の元へ。
先日発売された三浦さんの「中部山岳スティープスキー100選」を読んで色々行きたいルートがあったけど、時期尚早ですわ。私にスティープスキーはまだ早いですわ。
この後はいよいよハイライトのハンノキ平!と言いたいところだが、ここでまた雪庇に阻まれる〜。下方向にもしばらく雪庇が続いている。仕方ないので標高差30m程上の雪庇の切れ目まで登り返すことにした。
シールオフして滑降!残念ながらスーパーザラメバーンとは言えない雪質。それでもMei氏は一瞬で下まで滑降してゆく。私は足が売り切れで亀滑降。ようやく下で見守っているMei氏の元へ。
途中で黒菱川に滑り降り、燕尾根へ登り返す。
現時点で黒菱川は雪に埋まっている。上手くいけば下流の澄川まで滑ることが出来るが、今年は雪が少ないので状況が怪しい。
澄川が滑れれば登り返しが少ないので帰りが楽だが、日没迫る今、アクシデントがあっては追い込まれるので大人しく燕尾根へ登り返すことにした…。
時刻は16:30。これはもうヘッデン下山不可避だろう。
私にもうちょっと体力あればもっと早く下山出来たかもしれない。Mei氏ごめんね。と言ったら「全然そんなことないよ、安全が一番!」と言ってくれた。優しい…。
一応、登山計画書の下山予定時刻は18:00に設定してあり、それより遅れて21:00になるかも!とも添えてある。Mei氏に聞いたら家族にはあらかじめ下山が遅くなる旨伝えてあるよ〜、とのことでひと安心…。あとは安全に下るのみ!
標高差150mの登りをこなし、下り基調になったところでシールオフ!発電所の導水管尾根はいつ行っても苦手。今年は雪が少ない為か一層斜度が増している気がする。ワイヤーやクラックのトラップを避けながら無事に滑り降りる。このセクションを日没前に滑ることが出来て良かった。
18:05矢代川第3発電所到着。すっかり日が暮れてしまった。
シールをつけて最後の登り返し。発電所の皆さんの通勤路でもあるトラバース道。今年はすでに上部で全層雪崩が発生したのか?土まみれ。デブリの上を通過したりしてなかなかデンジャラス。登山靴スキー履いて、毎日ここ通って仕事行くの、ほんとすごいと思う。
18:40いよいよ林道へ合流。ヘッデンの灯りを頼りに最後の滑降。
19:20、除雪終了点着。無事下山!
まとめ
下山してから色々な人の同ルートの記録をじっくり読んでみて、あの時あそこ行けば良かったな〜とか、こうすれば良かったとか、考えてしまった。でも、それを含めて全部経験だろう。今回の山行は勉強になった。次回以降の山行に活かしていきたい。
沢滑降に比べて尾根滑降は選択肢が広いのでルーファイが大変だと思った。昨年澄川を滑降した時は、そういう観点ではあまり悩まなかった気がする。
山スキーを楽しむなら尾根より谷だろう。でも尾根だからこその魅力っていうのもあると思った。冷静に考えたら尾根ルートでこんなに広大なラインを描けるのは乙見尾根以外にあまり無い気がする。森林限界上でこんな感じのルートって他にあるのかな?また色々探してみようと思った。
今回のルート1人では絶対に行けませんでした。心強いパートナーと無事に完遂出来て良かった!!Mei氏ありがとう。またよろしくね〜!!!
今回滑ったライン
毎年恒例の頸城山スキー。また1つ念願のルートを滑れて良かった。来年はどこへ行こうか。
参考
↓Fさんの記録。爆速…!ルート取りも無駄が無いよなぁ(我々はこう行けなかった。笑)
山スキールートガイド105 (著)酒井 正裕
おすすめの一冊。乙見尾根も本書に載ってます。
載っているルートの記録が素晴らしい。まさに「創造的な登山」を実践されているお方だと思う。ガイド本としてだけでなく、登山愛好家として、山の楽しみ方に対しても刺激を受けました。