日 時 2021年4月10日(土)〜11日(日)
山 域 北アルプス北部
目 的 イグルー講習会(山スキー)
行 程
2021年4月10日(土)
イグルー作り
2021年4月11日(日)
8:30 栂池自然園 – 11:25 CO2,242m – 12:00 CO2,377m – 12:50 栂池自然園 12:10 – 13:45 ゴンドラ駅
人 数 8人
天 気 晴れ

雪 の 状 態
ザラメ雪、上部フィルムクラスト
私は、雪山登山へ行く時はいつもテント泊だ。
幕営地を決めて、テントの周りに小一時間かけて雪のブロックを積み上げて風避けを作る。
ブロックの側でしゃがみ込むと風は無風になり、雪で出来た防風壁の強さを実感する。
あまりにも無風になるものだから、いっそのこと、積み上げたブロックたちにツェルトを被せて屋根を作ってしまえば、テントがなくても普通に寝れそうなくらいだった。
イグルーの存在は以前から知っていた。
もし、イグルーが作れるようになれば、雪山登山はだいぶ楽になるのではないか。
雪だけでことを済ませられるのなら、それで充分ではないだろうか。

今回、講師をつとめてくださるのは米山悟先生。
イグルーといえば米山先生。きっと知らない人は居ないだろう。
私もヤマレコで米山先生の記事を読んだことがある。
そんな先生に直々に教わることができるなんて、なんとありがたいことか。
今回は、大変貴重な機会をいただいた。絶対に覚えて帰らなくてはいけない。
1日目 イグルー作り
今回の講習開催地は栂池。山スキーセットを持っての集合となる。
朝、スキー場に集まり、ロープウェイ・ゴンドラを乗り継いで最上部まで。
滑降モードからハイクアップに変更し、栂池自然園の片隅でイグルー講習会が開催される。

まずは米山先生が4人用イグルー作りのお手本を披露する。
イグルー作りは、先生のヤマレコノート「イグルーでテントを持たずに雪山に行こう」にまとめられているが、イグルー作りは日々進化しているようだ。
私たちは米山先生がつい最近新たに思いついた方法を含めた作り方を教えていただいた。
以下、ヤマレコノートに書かれていないポイント、私が重要だと感じたポイントを中心にまとめる。
◎まず最初にトレンチを掘る
最初からイグルー用のブロックを掘り出すより、まずは1列分、作業用の縦溝を堀り、2列目からイグルー用ブロックを切り出していく方が効率が良い。



2列目から、土台となるイグルー用のブロックを切り出していく。
隅から切り出すより、中心から切り出していく方がブロックが取り出しやすい。
◎ブロックは、縦・横・底、隅まで念入りに切り込む。
私が苦戦したポイント。横着していい加減に切り込むと、ブロックが上手く取り出せない。無理やり剥がそうとすると、形が歪になったり、長いブロックの場合割れてしまったりする。
鋸は小刻みに入れ、隅まで丁寧に通すのが非常に重要。
ブロックは貴重な材料なので大切に扱う。失敗すればするほど、雪を切り出す作業が余計に増えてしまう。
◎切り込みは外開きに。
かなり重要。取り上げる方向に対して、外開きに切り込む。
切り込みの角度が真逆だったりすると、雪がつっかえていつまで経っても取り出せない。


1段目(イグルーの面積分)を全て切り出したら、次は2段目。再びトレンチ作りから。


ブロックが大きすぎて持てなかったら、雪の層の向きに沿って2つに割って使うこともできる。
◎ブロックを切り出す時はおへそに力をいれる
姿勢はかなり重要。なるべく鋸の位置をお腹に近づけ、腕だけでなく体全体を使ってブロックを切り出していく。

イグルーの3段目以降は厚さ20cm程度と、土台よりも薄いブロックを切り出していく。
土台では刃渡り30cmの鋸で30cmの高さ、奥行きの雪を切り出していたが、今後は30cmの鋸で20cmの長さで切り出せばいいので、作業ははるかに楽になる。
横幅は50cmくらいが理想。長い雪はしっかり切れ目が入っていないと取り出す時にすぐに割れてしまう。やはりポイントはブロックを割らないように丁寧に。

◎イグルー内部の壁から雪を切り出す
イグルー作りも終盤に差し掛かれば「床」からではなく「壁」から雪を切り出すことが出来る。
壁は、薄くて綺麗な雪の板が切り出しやすい上に、イグルー内の見栄えも良くなるので一石二鳥。
床から切り出すよりも楽で簡単。

◎隙間を埋める。
まず優先すべきは、ブロックを屋根まで積み上げること。
仕上げに、ブロックの一部分(余分なところ)を適当なサイズにカットして隙間を埋めていく。
そしてついに米山先生のイグルーが完成した。
ここまで約1時間程度。
私がテント泊の時に周りにブロックを積み上げた時と同程度の時間だ。
この後に、私もイグルー作り実践。

みんなで寝泊りする4人用イグルーを作らせていただいた。
米山先生にアドバイスをいただきながら積み上げてゆくが、どうにも苦戦して作成時間は2時間半を超えてしまった。
この時点で、先に紹介したようなポイントをまだ飲み込めていなかったのが原因だ。


米山先生の作った4人用イグルーと、私の作ったイグルー、そして女子トイレイグルーを連結させて3連イグルーが完成。
トイレを除いた、それぞれの部屋に4人ずつ寝泊りした。



2日目 イグルー作り復習と山スキー
翌朝5時起床、朝食と準備を済ませた後にイグルー作りの復習。

1日目では、何度も何度もブロックを割ってしまったので、今回は「丁寧」を一番に心掛けて制作した。ロスはあまりなく順調に完成。
今朝のイグルーは茶室サイズではあるが、それでも自分の中では昨日よりもスムーズに作れたのでとても嬉しかった。
イグルー作りの復習を終えたあとは、いよいよ白馬乗鞍岳へ山スキーへ。

今シーズン初の白馬。やはり人気なだけあって、スキーヤーボーダー、登山者で賑わっている。
そして素晴らしい景色。
せっかくの絶景だというのに、レンズに水滴がついてしまったようで、残念・・・。

2つのピークの間に落ちているのは杓子沢、写真右側には白馬大雪渓が見えている。

やはり白馬のルンゼはカッコ良い。色々なラインが一望出来る。
鹿島槍北壁もカッコ良いな〜。



休憩しつつ高度を稼ぐ。米山先生の先輩であるHさんのルート取りが非常に勉強になった。
色々とコツを教えていただいたが、まだモノにするには難しい。もっとあちこち行って経験を積まなければ。



天狗原まで上がると、北東の展望が開けた。雨飾山の背後に昼闇山も見えてる・・・?



見事な展望を楽しみながら、CO2,245m地点までハイクアップ。
時間が押していたので、ここで引き返すことになった。
リーダーが、元気がある人は上までハイクアップしていいと言ってくださったのでお言葉に甘えてさらに高度をあげたCO2,377m地点まで登り、ひと滑り楽しませていただく。
スキーの機動力はさすがである。
帰りはあっという間に栂池自然園へ。
13:45ゴンドラ駅無事帰着。
ずっと覚えたいと思っていたイグルー作りをついに習うことができた。
昨晩寝泊りしたイグルーは予想外に快適で、夜は何度か目が覚めたものの、寒さに凍えることはなく十分な睡眠をとる事ができた。
イグルー作りはやはり雪山登山において圧倒的に有効だと思う。
今は既に残雪期で、実践に移すタイミングが無いかもしれないが、来シーズンはイグルー泊をしながら山スキーや雪山登山を楽しんでいきたい。
今回は色々と話を聞いていて米山先生の山行スタイルにも大変刺激を受けた。
2日目の山スキーでも周りの方々の行動を見ていく中で、色々と勉強になった事があった。
大変有意義な2日間、今後の登山活動に生かしていきたい。

ヤマレコの記録(サムネイルが私!笑)↓
米山先生のブログ↓まだ始めたばかりのブログですが、イグルー作りなどのコツもこれから紹介していくそうです。今ある記事だけでも参考になるので是非読んでみてください。

↓1度だけ、雪洞を作ってみた時の記録です。
雪洞は雪まみれになるし、イグルーの方が遥かに作りやすいと感じました。
