2024年5月2日(木) 晴れ
十字峡(7:10) – 本谷山登山口 (8:50) – (14:10) 本谷山 – 越後沢山 (16:00) – 標高点1692m手前 (16:30) / 行動9h20m
2024年5月3日(金) 晴れ
出発 (5:40) – 丹後山 (7:45) – 大水上山 (8:50) – 兎岳 (10:00) – 中ノ岳 (12:50) – 中ノ岳避難小屋 (13:20) / 行動7h40m
2024年5月4日(土) 晴れ
出発 (5:20) – 稜線分岐 (5:40) – 日向山 (6:50) – 十字峡 (9:00) / 行動3h40m
メンバー : 2人(Waka , Kさん )
装備 : アイゼン(アルミ10本爪orクロモリ12本爪)、テント
毎年天候の落ち着く3月〜4月はスキー縦走の旅に出かける。
昨年は3月下旬に中ノ岳から丹後山までの越後奥利根エリアをぐるっと周回、一昨年はちょうど同じ時期に南会津を5日間かけて縦走した。
今年は小雪や休みに設定した日が悪天候だったりでなかなか思うように山行ができず、3月末にようやく清津川周辺を2泊3日で周遊した。山行は楽しかったが、所詮3日間の山行でしかない。
例年のように5日間とか、それなりに山に浸る山行がしたい。
5月上旬、完全な雪解けが近づく中、今シーズン最後の雪山山行を企画した。
私は雪がありスキーが使える白馬エリアを周遊するのもアリだと思ったが、山域に強い思い入れのあるKさんの希望で奥利根へ繰り出すことにした。
計画段階では今回のルートに技術的困難はさほど想定されず、核心は積雪の有無だと思った。雪があれば成功するし、雪がなければひたすら藪漕ぎを強いられる。
私は正直雪は無いと思ったので、うーん…。という感じだった。
でもコンディションの良い山域を選んで行くよりは、Kさんのように、たとえ雨が降ろうが槍が降ろうが、特定の山域を追求する姿勢も大事だとも思っている。
そうすることで、開ける新たな扉。当人しか思いつかないオリジナリティある山行にも繋がる気がする。越後エリアは近所なので交通費がかからないのも大きい。(笑)
山行記録
4泊5日分の食料を担ぎ、登山口の十字峡へ向かう。家に忘れ物をしてしまって結局引き返し、1時間後の7時過ぎに登山開始。
例年遅くまで雪が残る三国川林道は、ほとんど積雪が無い。地盤の緩んでいそうな側壁からの落石に注意しつつ足をすすめる。数箇所片斜面のデブリが残っており、必要なところではアイゼンを装着して突破する。
昨年奥利根へ行った時は、片斜面がひたすら続いて気の抜けない時間を過ごした。今年は少し入山時期が遅いとはいえ、本当に雪が少ないと思う。
本谷山登山口から越後らしい急登が始まる。今回はスキーブーツではなく登山靴なので登やすい。顔の周りを羽虫がブンブン飛び回り、猛烈に鬱陶しい。(笑)
尾根上に残雪はかなり少なく、8割は夏山登山。
高度を上げてゆくと、丹後山、本谷山、下津川山、小沢岳が見えてきた。標高2,000mに満たないものの美しく雄大な峰々。
下津川山の上銅倉沢、本谷山の内膳沢が魅力的だ。すっかり沢が開いてしまってとてもスキー滑降は出来そうにない。昔は同時期に服部文祥がスキー滑降したらしい。そんなに雪が積もっていた時代が羨ましくもある。
景色を楽しみつつ、上越国境稜線へ上がる。日差しが強く、まるで夏。
私は最近日焼けが尋常ではないので、対策として「ヤケーヌ」を装備するようになったが、この灼熱急登だとヤケーヌが息苦しくてたまらない。何度か、我慢できずにヤケーヌを外してしまったが、その度にKさんから「ヤケーヌ外してるじゃん!」と指摘された。(笑)
14時過ぎ、本谷山着。
目前に広がる奥利根の山々。素晴らしく、奥深い。
ここから稜線を外れて奥利根横断の予定だったが…、Kさんと相談する。Kさんは「ワカの好きな方で良いよ。」と言ってくる。
長考する。
奥利根横断できたら素敵だけれど、見えるは藪尾根…。
雪のある白馬を選ばずに、わざわざ奥利根へ来た。この時期の奥利根としっかり向き合いたいと私なりに思っていたから。
気づけば小1時間悩んでいた。
行きたい、けど…。
強い山屋じゃない自分が悲しい。私は意志薄弱な弱い山屋だ…。
Kさんに「純粋に藪漕ぎ区間が多すぎて、あまりそそられないんだけど…。こういう時でも行くべきかな?藪漕ぎが嫌だから行かないって判断は意志が弱いかなぁ。心を無にすれば行けると思う。」と尋ねた。
Kさんは「意志が弱いわけでもないと思うし、自分はワカが楽しめる方が良いよ。」と答えた。
家にいる病気のニワトリが心配だ。孵化を試みてる卵がちょうど孵化予定日でもある。早く下山したい気もする。行かない言い訳はいくらでも思いついた。
自分の気持ちにモヤモヤが残るまま、今回は中ノ岳まで縦走して帰宅するルートを取ることにした。もし、あと少し雪があったらここまで悩まずに普通に奥利根横断ルートへ進んだと思う。
本谷山〜丹後山までは登山道がない。雪をつなぎながら進むが、時折笹藪をかき分けて進む。
そのまま越後沢山まで縦走。右側に見える奥利根の山々は美しい。数多の尾根と谷を見て、色々と繋げて歩きたい気持ちが膨らんだ。でもそれは雪があればの話だ。
16:30、窪地で幕営。
翌日、鳥の鳴き声で目覚める。日が充分にのぼった6時前に出発。
昨日はツボ足で進んだが、今朝は雪が硬いのでアイゼンを装着する。時折現れる笹藪地帯に突入すると、アイゼンが笹やツルに絡まるので少し難儀した。
丹後山からは一般登山道が続く。時折雪をつなぎながら快適に縦走。お天気が良くて、ただただ楽しいひとときだ。
兎岳!
お得意の、たれ耳ウサギの真似をするKさん。
登山道のある尾根に難所はなくただただ順調だ。景観はバッチリで楽しい。
遠かった中ノ岳が次第に近づいてきた。
昨年、滑降したラインが見える。こうして眺めると意外と急に見える。(笑)
12:50中ノ岳到着。
今日は食糧も余っていることだし、避難小屋にもう1泊する予定だ。時間がたっぷりあるので山頂で存分に展望を楽しんだ。
中の岳避難小屋へくだると、誰もおらず一番だった。二階の片隅に荷物を広げ、のんびり過ごした。続々と単独の男性がやってきて、今宵の利用者は合計で6〜7名ほどとなった。
日没に染まる山々はとても美しい。私はこの時間が大好きだ。
翌日、日の出を眺めてから出発。
下山していると続々と登山者が登ってきた。今日も1日暑くなりそうだ。
標高を下げると、雪はなくなり、新緑の森に包まれる。
春の訪れだ。
9:00十字峡無事下山。
・・・
2泊3日と縮小ルートになってしまったが、良いお天気の中稜線歩きを楽しめてよかった。でももう少し山中に滞在していたかった気もする。
計画通りの山行はできなかったが、奥利根の素晴らしさを再認識した。「次はあそこへ行きたい」という思いが沸々と湧いてきた。なかなか一筋縄ではいかないが、春夏秋冬、形を変えてアプローチし続けたい。
今回は山行に対して深く悩んでしまう自分がいた。よくよく考えれば「心を無にして」登山する必要がどこにあるのだろう。山登りは単なる趣味で遊びなのに、気が乗らないなら行かなくて良いし、行きたければ行けばいいし。
なんだか、周りに影響されたのか知らないけど、深層心理で「こういう山行をやるべき。」っていう理想を創り出して、強迫観念に囚われていた気がする。
山登りを始めた頃の自分は純真無垢で、余計なことは考えていなかった。
私はこだわりも何もないただの山好きだ。ごちゃごちゃした思考は一旦全てリセットしよう。気楽に楽しみます。
下山したら、鶏のリボンが亡くなっていました…。