日 時 2021年2月28日(日)
山 域 頸城 矢代山地
目 的 山スキー
行 程
2021年2月28日(日)
4:30 西菅沼新田 – 5:15 矢代川第一発電所分岐 – 7:00 矢代川第三発電所 – 8:05 北桑沢出合 – 9:30 CO984m – 尾根乗り上げ – 11:10 CO1,300m – 12:45 容雅山 13:10 – 北東斜面滑降 – 北桑沢 – 13:40 北桑沢出合 – 14:50 矢代川第三発電所 – 15:50 矢代川第一発電所分岐 – 16:00 西菅沼新田 (合計時間 : 11h30m)
距離 : 24.2km 累計高度(+) : 1,644m 累計高度(-) : 1,643m
人 数 2人
天 気 晴れ。気温高い。
雪 の 状 態
北桑沢内部はややストップ雪。CO1,300m付近尾根上はカリカリ(容雅山直下は柔らかい)。北東斜面はパウダー。
朝から好天が期待できる日曜日は、私が山スキーを始めてからずっと行きたいと思っていた「容雅山」へ行くことにした。
今の時期は、西菅沼新田から未除雪の林道歩きが始まる。
長丁場になることを予想して夜明け前より出発。
林道にはひたすらスノーモービルの跡が続く。
おそらく発電所の方達だろうか。
第三発電所が目前に迫ったところでついに本日の目的地「容雅山」が姿を見せた。
朝日に照らされたその山容が美しい。
第三発電所まで、斜面をトラバースして降る。
北桑沢出合まで、距離としてはあと少し。
矢代川沿いに歩ければ良いのだが、パッと見たところ残念ながら川にはガッツリ水が流れていて歩けそうに無かった。
沢を高まくように再び尾根を登る。
適当な場所から斜面を滑り降りて、沢沿いに立つ。
スノーブリッジを渡り、8:05北桑沢出合に到着。
所要時間約3時間半。距離は約8.5km。やっとスタート地点に立てた。
まだまだ容雅山は遠い。
北桑沢の下部は起伏があったり穴が空いていたりしたが、徐々に落ち着き歩きやすくなってくる。
なるべく側面の急斜面に近寄らないように台地状の部分を歩く。
左岸の尾根上に標高点1,058mがある辺りで沢を外れて尾根へ乗り上げる。
尾根上部はそれなりに傾斜がある上に分厚いモナカでカリカリ。
クトーでハイクアップもアリだが、歩いた方が早そうなのでシートラーゲンで直登。
尾根を登り詰めると、容雅山はもう近い。
南を向くと、素晴らしい展望に目を奪われた。
妙高山・火打山東面。あまりのカッコ良さに興奮がおさまらない。
まだ山頂に到着していないというのにあまりの展望に思わず立ち止まってしまう。
東側の展望もこれまた凄い。天気が良くなければここまで見える事はないだろう。
山座同定したいところだがお楽しみは山頂までとっておこう。
せっかくなので、憧れの容雅山、そして不動山と鉾ヶ岳をバックに記念撮影。
(服装が乱れて色々ダサいが、これはいつもの事だ。)
どの山もカッコ良すぎる。不動山と鉾ヶ岳もチャンスがあれば登りに行きたい。
長らくお写真タイムを確保したあと、いよいよ山頂へ向かう。
既に傾斜も緩く雪もバフバフだったが、ゆっくりと景色を楽しみたい気持ちもあったのでシートラーゲンのまま進む。
ここまで歩いただけでも、もう十分過ぎるほどに充実している。
なんて素晴らしい日なんだ。
小さな雪庇を乗り越えて、ついに憧れの容雅山へ。
山頂からは360度圧巻の展望。
続いて東の展望。日本海側にひときわ目立つピークは米山(よねやま)。
標高992mではあるがその山容は良く映える。
写真中心部の広い沢を側面に抱えている台形ぽい尾根が燕尾根。燕尾根の向かって左向こうに見えている谷が濁俣川。左俣に南又沢、右俣にガランノ沢を分けているのが見える。左端の樹林帯ピークが神奈山。
妙高山直下はなだらかな斜面を抱えているが、急に谷が深くなっている。
鬼ヶ城なんて名称もあるくらいだ。どんな景色が広がっているのだろうか。
真っ白に雪を被った火打山に目を惹かれる。
昨年の秋に歩いた頃は緑豊かで穏やかな雰囲気を纏っていたが、季節・方角が違うだけで、こんなにも印象が変わるとは驚きだ。手前の目立つ無木立斜面がハンノキ平。
ハンノキ平を抱えたピークが黒菱山。火打山のやや東に降った場所から黒菱山に繋がる稜線は乙見尾根と呼ばれている。火打山直下から落ちている谷が澄川。澄川の左岸尾根は新建尾根。火打山から容雅山まで繋がっている。(先ほど山頂の下で撮影した写真の方が尾根が繋がっているのが分かりやすい。)
360度の大展望を一通り楽しむ。
素晴らしい好天、素晴らしい展望、容雅山に来て本当に良かった。
女子力の高いMボンお手製のチョコケーキ(あとバターケーキ)をいただいてしばしお茶タイム。
13:10、非常に名残惜しいが、そろそろ下山に取り掛かる。
先ほどのミニ雪庇を斜滑降で降り、いざ北東斜面へ。
北東斜面は想像通りの良パウダー。思わず歓声があがる。
右岸沿いの樹林帯まで一気に滑り降りる。
斜面に刻まれた私たちのシュプール。
あまりにも神聖で美しい場所。私たちのシュプールはやっぱり邪魔な存在だ。
他に人は居ない。動物の足跡さえ見当たらない。完全に貸し切りでなんて贅沢なんだろう。
引き続き北桑沢の滑降を始める。
最初は良い雪だったが、次第に引っかかるストップ雪に。
一瞬で北桑沢出合へ到着。
ここから再び尾根を登り返す為に、行きの滑降ポイントまで引き返す。
それなりの急斜面を見上げて、登り返すのかぁ・・・という気持ちになっていたところ、尾根には登らず本流の下流方向に向かって伸びているスキーヤーのトレースを発見した。
行きでは見当たらなかったトレース・・・。
もしや何処かを滑ってきた地元の詳しいスキーヤーたちが、沢沿いにうまくルートをつないで第三発電所まで帰ったのだろうか・・・?
「他人のトレースをアテにする」なんて山スキーヤーはおろか登山者としてもダメな事ではあるが、このトレースの主がどのようにルートを繋いでいるのかとても気になった。
それに登り返さずに第三発電所まで戻れるなら戻りたいし・・・。
これは調査なのだ。という事でMボンと相談して、トレースを追ってみることにした。
トレースはうまい具合に沢を降ってゆく。スノーブリッジを渡ること3回。
そのうち2回はなかなか細かったので、時期が遅ければ崩れてしまうだろう。
第三発電所から二俣に分岐する辺りで、ついに行き詰まった。
トレース主はここで諦めたのか、近くの斜面を登り返している。
やはり沢沿いに第三発電所へ戻ることは不可能だったか・・・。
私たちも大人しくシールを装着し、同じく登り返しを試みる。
下から見上げると、所々起伏がある斜面も、上手い具合にジグを切ってトレースは順調に高度を稼いでゆく。
沢沿いを滑降している時から感じていたが、このトレース、かなり歩きやすいし、ルーファイが上手い。
思いもよらず良いトレースを踏ませてもらえて良かった。私も頑張らなければ・・・。
乗り上げた先の台地はシールで歩き、送水管斜面で滑降。
14:50矢代川第三発電所到着。
再び登り返しの準備をしていると、発電所の方がいらっしゃったので挨拶をした。
どこまで行ってきたのか聞かれたので容雅山まで。と答えたら良いなぁ〜と言われた。
どうやら私たちの前にも6人パーティーがここを通過したようで、火打山から澄川を降って来たと教えていただいた。
なるほど、あのトレースはそのパーティーのものだったのか。と納得。
同時に発電所の方が、山スキーヤーたちの事を気にかけてくれていることにもありがたさを感じた。
吊り橋を渡り、斜面をトラバースして林道へ最後の登り返し。
一足早く、発電所の方2人が帰っていく。
今日は日帰りで来たようだ。林道のスノーモービル跡はやはり発電所の方達のものだったようだ。
片斜面はどうやって帰るのか気になっていたら、なんと我々と同じようにスキーを履いていた。スキー通勤にも驚きだが、ちょっと雪崩が怖いあの斜面を毎回横断しなければいけないのも大変だ。
私たちも登り返して林道へ復帰。
するとちょうど1人の男性が林道からやってきた。
「ちょっと散歩」ということでここまでスキーで歩いてきたようだ。
(矢代川第三発電所までは7km程度あるというのに・・・。)
見慣れないスキーだったので写真を取らせてもらった。
かなり昔のスキー板で長靴に取り付けることが出来るようだ。
裏側はウロコ状になっていてそのままハイクアップ&滑降が可能。
先ほどの発電所の方々も同じ物を履いていた (流石に気を遣って写真は撮らなかったが。)
私たちには遊びや趣味としてのスキーも、雪国に住む方達にとっては「生活の為の道具」として使っている印象が強かった。
この男性の方もまた、私たち及び、澄川滑降のパーティーに関心を寄せており、山スキーの話が盛り上がった。
容雅山のことを「ケツ山」と呼んでいたのには笑った。まぁ確かにそう見えるかもしれない。
7km林道は意外と滑りが良く、おおかた順調に西菅沼新田まで滑降することが出来た。
スノーモービルの跡がカリカリしてたお陰かな。ありがたや。
16:00西菅沼新田無事下山。
車にて撤収準備をしていると、またもや地元の方に声をかけられた。
この方も、私たち山スキーヤーに関心を寄せてくださっており、会話が弾んだ。
発電所の方といい、先ほどの男性といい、地元の方々がよそ者である私たちをちゃんと気にかけてくださっていることがとてもありがたい。
山スキーは色々と地元集落に気を遣わなければいけない部分があるが、やはり絶対に迷惑をかけてはいけないと改めて思った。車を停めさせてもらったことのお礼をしっかり伝えてから帰宅。
今回、山スキーを初めた時からずっと憧れていた「容雅山」へついに行くことが出来た。
当時は容雅山での山スキーのイメージが全く沸かず、全てが未知の世界だったが、最近少しずつ経験を重ねいくうちに次第に容雅山へ行って帰ってくるイメージがなんとなく思い浮かぶようになってきた。
今なら行けるかも?と思い今回トライしてみた。
結果、思い出に残る素晴らしい山行となった。
容雅山から見た景色はどれも印象深く、また新たに行きたい山が増えてしまった。
山仲間のMボンは、私がスキーを始めた頃から超絶下手にも関わらず見捨てずに、根気強くゲレンデや山スキーへ連れて行ってくれた恩師のような存在である。
(今の私が山スキーを楽しめているのもMボンが育ててくれたお陰だ。)
容雅山山頂から見えた野沢温泉スキー場は2017年の暮れに私がゲレンデスキーデビューした場所であり、夕方のコブだらけのスカイラインコースを転びながら半泣きで滑った苦い記憶がある。
スキーに関しては、私の成長過程を最も知っているであろうMボンがあの頃からかなり良くなったねと褒めてくれて、とても嬉しくなった。
まだまだスキー技術も山スキーのテクニックも周りの山スキーヤーたちには遠く及ばないが、徐々にでも経験を重ねて、どんな斜面や山へ行っても心から山スキーを楽しめるようになりたい。
【余談:山スキーを始めた頃の記録】
↓Mボンと行った山スキー①(YAMAP)
2018年2月、待望の山スキーデビュー。
お世話になっている方に山スキー板をいただき、足はゲレンデブーツを購入して格安で山スキーを始めることが出来た。最初から自費購入することになっていたら、スキーをやったことのない私は山スキーに興味が沸かずに絶対に始めていなかったと思う。この世界を知れて良かった。本当にありがたい。
↓Mボンと行った山スキー②ちょうど3年前の同じ週末だった。(YAMAP)
滑降斜面が急に思えて本気で怖くて、過呼吸気味になり足がブルブル震えた・・・。
当時の山スキーは大体そんな感じで恐怖が1番だったけど、上手くなる為にも毎回1週間前から自己暗示をかけてなんとか頑張っていた・・・。
(おかげさまで今は当時よりもだいぶ斜面に慣れてきたかもしれない。)