南アルプス深南部 無雪期特殊

寸又峡温泉〜朝日岳〜大無間山〜風イラズ〜尾盛駅 周回

日 時  2020年10月13日(火)〜15日(木)

山 域  南アルプス深南部 寸又峡

目 的  登山

行 程
12日(月)前日
寸又峡温泉第三駐車場で仮眠

13日(火)一日目
5:50寸又峡温泉第三駐車場ー6:40朝日岳登山口ー8:50合地ボツー10:45朝日岳ー14:25日向山ー15:30鹿の土俵場ー(鹿の土俵場より300m進み、引き返す)ー16:10鹿の土俵場(幕営)

14日(水)二日目
6:00鹿の土俵場ー7:00三方窪ー8:25三方嶺ー10:00大無間山10:10ー10:35前無間山ー12:00三ツ合ー13:30風イラズ13:40ー14:50CO1,720mー15:40標高点1,621m(幕営)

15日(木)三日目
6:30標高点1,621mー6:50抜ヶ谷山(前黒枯山)ー8:15標高点1,280.3mー9:45電柱ー9:50線路合流ー10:00尾盛駅

大井川鐵道
南アルプスあぷとライン上り(井川→千頭)
11:57尾盛駅ー11:37奥泉駅(570円)
路線バス 寸又峡線
13:30奥泉駅前ー13:58寸又峡温泉入口(650円)

人 数  1人

天 気  12日:晴れのち曇り(ガス) 13日:晴れのち曇り(ガス) 14日:晴れ

2020年10月 過去の天気図 気象庁

季節も10月になり、そろそろ山も秋模様。
本来は、越後三山辺りを縦走しようかと目論んでいたが、日本海側は天候がよろしくない。
全国天気予報で、ざっくりと天気が良さそうな場所を探していたら、太平洋側が良さそう。
特に静岡県の寸又峡が最も良さそう(マシ)では?

今回のルートは2年前から考えていたもので、2度雨天中止している。
いよいよこのルートを歩いてみようか。
本当は静かな山が好きな山仲間と2人で歩くつもりのルートだったが、一足先に1人で歩いてきてしまった・・・。

前日

前日の夜に代替案として決定した、今回の山行。
2年前に既に登山計画書を作ってあったので、バタバタせずに済んだ。(新規で行くとなれば、流石に下調べが間に合わなくて行けなかったと思う。)
改めて帰りの電車やバスの時刻、コースタイムなどを確認して修正。
朝日岳の大ガレ尾根からアプローチする計画になっていたが、負荷を軽減する為にも、稜線へのアプローチは以前も歩いた事のある「朝日岳一般登山道」経由に修正した。

水場がないので、水を1日3ℓの計算で合計9ℓ用意。
軽量化の為ツェルトで行く予定だったが、直前で夜に少し雨が降る予報に変わったので、テント泊に変更。(結局、雨は降らなかったが)
あとは、フローティングロープ25mや懸垂下降セットを念の為に持っていくくらいだろうか。

全ての準備を済ませて、寸又峡温泉に向けて出発。
4:00頃到着、1時間程度仮眠。

1日目:寸又峡温泉〜朝日岳〜鹿の土俵場

朝、5:15に起床、準備を済ませてザックを担ぐ。
9ℓもの水を背負うのは初めてだ。
ずっしりと肩に食い込むザック。なかなかの重さだった。

スタートの吊り橋

30分程歩き、吊り橋を渡る。

そこから標高100m程登ったところで、林道に合流し6:40いよいよ朝日岳登山口に到着した。
ここから山頂までの標高差はおよそ1,300m。

つづら折りの登山道をひたすら登っていく。
7:50、1時間程でやっと標高400m程上げた。
既に汗だく。直線距離ではたったの700mしか歩いていないのに、このしんどさ。

道中、右側の沢筋でガラガラと落石音。
「ピャッピャッ」と鹿の鳴き声が聞こえてきた。
姿が一瞬見えたが、再び落石の音と共に居なくなってしまった。

尾根の南側を大きくトラバースして8:50合地ボツ到着。
ここからは、比較的なだらかな尾根が続く。

大ガレ尾根のガレが見えた

直下は、直登の急登。
疲れるが、ガンガン登りガンガン高度を稼ぐ。

朝日岳山頂

10:45朝日岳山頂到着。
樹林帯に囲まれた静かな山頂。
木々の隙間からは、青空が見えている。
展望の良い山ならば、きっと絶景が広がっているだろうに。

しばし休憩を挟み、大無間山に向けて、北に派生する尾根に進む。
コンパスの方角を調整し、進んでいくと、程なくして尾根上の踏み跡に合流。

鎌崩の稜線が見えた

痩せ尾根を北上していくと、標高点1,623mのコルを経てCO1,730mピークへ。
木々の間隔が広く、歩きやすい西側の尾根についつい行ってしまいそうになる。
方向を確認し、北側の尾根を下降する。
北面はやや樹林が密で、倒木を越えたり、隙間をうまくくぐったりする。

コルまで降り、再び登り返し12:35標高点1,717mに到着。
緩やかで歩きやすい尾根が続く。

深南部らしい雰囲気

背の低いクマザサがそよそよと揺れている様はまさに南アルプス深南部らしい。

標高点1706.8mを過ぎてからは、再び倒木の目立つ尾根に。

CO1,821mの「お立台下降点」が近づいてくると、岩混じりの痩せ尾根が目立つようになる。

基本的に直登し、大人しく尾根を辿る。
周辺の木々もしっかりしているし、浮石も少ないので特に困難は感じなかった。
時々、東側のケモノ道から巻いたりしつつ、14:10お立台下降点到着。

ここまででも、結構疲れた。
しばらくボーッと、放心状態になってしまった。

お立台下降点から大無間山に至るまでは、破線ルートがついているので、登山道を意識しながら進む。

日向山は知らぬ間に通過。

造林小屋を越えて、順調に進んでいく。
いつの間にやらガスが湧いてきて、視界が悪くなってしまった。

15:30鹿の土俵場に到着。
「素晴らしい幕営適地!」とは思ったものの、土俵場だと気づかなくて先へ進んでしまった。

程なくして、私の思う「鹿の土俵場」に到着するも、先ほどの幕営適地の方が良い気が・・・。
山と高原地図を広げて確認すると、やはり先程の場所が「鹿の土俵場」だったようだ。

300m程引き返し、16:10いよいよ本日の幕営地「鹿の土俵場」到着。

抹茶ラテを飲み、ヨッポギ チーズ味を夜ご飯として食す。
辛いし、私には合わない味だった・・・。
抹茶ラテは安定の美味しさだ。

本日消費した水は、行動水1.2ℓ、夕食で0.8ℓ。残りは7ℓとなった。

周囲は静かで、葉っぱの落ちる音しか聞こえない。
結局雨は降らず、気温もそこそこ高く快適だった。
シュラフカバー+スリーシーズンシュラフで就寝。
素晴らしい場所で、朝までぐっすり眠ることが出来た。

2日目:鹿の土俵場〜大無間山〜風イラズ〜標高点1,621m

翌朝、5:15起床。
ほうじ茶ラテ、カレーメシ を食す。(両方、うんまい。)
朝食での消費水量は0.5ℓ。
6:00鹿の土俵場出発。

昨日、引き返した際に登山道は確認済。スタートはスムーズだ。
鹿の土俵場はクマザサ地帯にある。
クマザサの中にも顕著な踏み跡が続いていたが、そちらへは行かず北側へ向かって少しの笹を漕ぐ。
直ぐに樹林帯へ抜けて、登山道へ合流した。

比較的わかりやすい踏み跡

辺りを見渡し赤リボンや踏み跡を辿っていくが、途中、消失している箇所あり、かなり分かりづらい部分もある。

踏み跡らしきものを繋ぎながら辿っていくと、次第に高度が下がっていき、尾根の北側を大きく巻く形になっていく。
右側を見上げると、既に尾根からかなり外れている。直線距離にして100mは離れている。

地図を確認する限り、間違ってはいないと思う。
それでも、実際の地形の複雑さを目の当たりにすると、本当にこのまま進んでも良いのか不安になる。

山と高原地図では「破線ルート」となっているが、この場所は私が今まで歩いた「破線ルート」の中でもトップレベルで辿るのが難しいと思う。

いっその事、ルートを完全無視して尾根通しにガンガン進んでしまった方が分かりやすくて安心出来そうだが、やはり登山道があるのなら、なるべく登山道を辿りたいと思った。

結局のところ、最も「効率良く」歩ける場所に登山道は付けられている。
私は、いついかなる時にも、最も「楽」で「効率の良い」ルート取りをしたいと思っている。
私自身にとって、登山道を歩くことや、何故登山道がここに付けられているのかを考える事は、自分自身が道なき山を歩く際のルートファイディングの参考にもなる。
正直、頭が痛くなってくるが、ここはしっかり考えて頑張って切り抜けたい。

踏み跡が分からなくなった。

しばらく赤テープも見つけられなくて、ただただ「踏み跡のような場所」をつないでいく。

山と高原地図の破線ラインをじっくりと観察して、自分の現在地と比較する。
三方窪から三方嶺に至る為に、北東から尾根に取り付く事を考えれば、理にかなっている。
登山道もそういう狙いで付けられているのだろう。

ようやく見つけた目印

尾根上からかなり北に外れたところ、進行方向上にようやく赤テープを発見。
倒木を切った跡もあり安心した。

三方窪に到着
幕営適地

7:00三方窪に到着。周辺はフラットで幕営するのも良さそうだった。

ここからは、登りになるので、少しは簡単になるだろう。
ホッと一安心、いや、本当に難しかった。
南アルプス深南部の洗礼を受けた気がした。
同時に、自分の読図能力の未熟さも痛感。
こんな場所も、正確に、スムーズに歩けるようになりたい。

しばらくは登りが続く。

登りになってからは、比較的踏み跡が分かりやすくなり、順調に高度を稼ぐことができた。

風イラズが見えた

8:25三方嶺到着。

鹿の土俵場から約2時間半かかった。
ヤマプラ」のコースタイムでも2時間35分なので、まぁまぁ良いだろう。
ちなみに、この区間を「南アルプス深南部 藪山讃歌」の著者である永野敏夫さんは1時間半で抜けている。流石すぎる・・・。
このタイムは「参考タイム」として本書にも記載されている。騙されないように注意。(笑)

三方嶺から北には展望が広がっているのだが、残念ながら真っ白で何も見えなかった。
北に派生する尾根を辿ると、「大根沢山(おおねざわやま)」を経て、光岳に至る。
大根沢山も山頂が樹林帯のけっこう地味な山だが、ここ最近は登山者も多く(気のせい?)静岡県民には何かと愛されている山だと思う。(これまた気のせいか?)
私の、静岡の山仲間たちの間では「ダイコン」という愛称で呼ばれている。

風も強いので、休憩も程々に大無間山へ向けて出発。

風イラズと朝日岳

南側の展望が開けており、風イラズや朝日岳が見えた。

目前に大無間山

目前に見える大無間山はほぼ針葉樹なので緑色だが、少しだけ点在する広葉樹が紅葉しており、なんとも可愛らしかった。

朝日岳から繋がる稜線

標高点2,102mを越えて、大無間の山頂直下のコルに降り立つ。

取り付きは急登

取り付きの急登をつづら折りで越えると、なだらかな尾根になる。

宮標石。明治時代に皇室所有地とされた時のもの。

時折、踏み跡が倒木や枯れ木で隠されているものの、慎重に探し辿っていく。

大無間山山頂

10:00大無間山到着。
風が強く、少し寒い。

10:10いよいよ、風イラズへ向けて南東尾根を下降する。
ここからは、登山道は無くバリエーションルートだ。

大無間山から降った先のコルCO2,270m地点は、ギャップになっている。
慎重に突破し、痩せ尾根を少し辿ると、前無間山の崩壊地が現れた。

前無間山の崩壊地

前半部は北東の樹林帯を小さく巻き、後半部は崩壊地の縁を進んだ。

崩壊地の紅葉が美しい

崩壊地と、赤や黄色の紅葉の組み合わせが綺麗。

しばらく倒木を越えつつの平凡な下降が続く。
全体的に痩せ尾根で、辿りやすい。

大好きな黒糖かりんとうを食べながら小休止

程なくして標高点2,098mの登り。

私の悪いクセで、登りでは「直登」よりも「巻き」を選んでしまう。
例えば歩きやすそうな踏み跡が2つに分かれていたとしたら、直登ではなく、巻きの踏み跡を辿り、徐々に高度を上げようとしてしまう。
深層心理で「楽したい」意識がそうさせてしまう・・・。
しかし、結局のところ、最後で歩きづらくなり、尾根の側面を必死によじ登り、尾根上に復帰する。
巻くことで結局遠回りもしてしまい、効率の悪いルート取りをしてしまうのだ。

直登が嫌なのでひねくれたログに・・・。

12:00三ツ合。

紅葉に彩られた痩せ尾根を歩く

標高点1,917mを越えたCO1,890m付近。

東側から急峻な沢が詰めあげている部分にも崩壊地。
一度様子を見に行くが、縁は歩けそうにないので、東側の樹林帯を巻いた。

その後は歩きやすい尾根が続く。

風イラズ山頂直下は、藪や倒木がややうるさい。
藪に隠れた踏み跡を辿っていくと13:30山頂へ到着。

風不入(風イラズ)山頂

本来はここで幕営する予定だったが、まだ時間もある。
風イラズ直下の急勾配を朝一でこなすのは気が滅入りそうだったので、今日中に突破する事とした。

休憩を挟み13:40出発。

いつの間にやら辺りはガスに巻かれ、見通しが悪くなってきた。

80m程高度を下げると、早速険しくなってきた。
尾根通しに下降すると、大岩にあたり行き詰まる。
薄い踏み跡を辿り、西側をトラバース気味に歩きつつ、大岩を巻く。
部分的に泥斜面を木や岩を掴みながら三点支持で高度を落とす。

歩く場所によっては悪くて、嫌な目に遭いそうだ。
草付きは避けて、なるべく木々のある場所を狙って歩く。

あたりは深いガスに包まれ、極めて見通しが悪い。
・・・実に捗らない下降だ。

痩せ尾根を歩き、2度目の急勾配を降る。

コルまで近づいたところで、再び尾根がガクッと落ち込んでいるポイントに出合う。
尾根通しは無理なので、もちろん巻き。
巻き道にはかなり目立つように赤テープが取り付けられていた。
北側のルンゼ状になっている部分を下降。
土斜面を三点支持で慎重に下降した後、トラバースして尾根上に復帰した。

振り返り撮影。ここを巻いてきた。
土の急斜面が続く。

その後も、多少の強傾斜をこなしていく。

程なくして傾斜は落ち着いたものの歩きづらい。

特にガスっていて見通しが悪いことが、私の精神を最も消耗してくる。
木の枝に腰掛けて、ボーッと休憩。今回2度目の放心状態。
いやはや、捗らない下降だ・・・。

肩や腰も痛いので、道中何度も「お辞儀」の姿勢をして荷重を分散させる。
(今回も、ザックと腰が接する部分が内出血してしまった。どうにか痛みや負担を軽減する方法はないのだろうか・・・。)

そしていよいよCO1,720m地点に到着。

ピークには、赤石岳避難小屋の榎田さんが2020年5月に設置してくれた真新しい山頂標識「黒枯山(1,621m)」が設置してある。

黒枯山を巡る話は、今現在、実にややこしい事になっている。
CO1,720mが黒枯山という説と、さらに南にある標高点1,621mが黒枯山という説で分かれているようだ。

熟考した結果CO1,720mに山頂標識を取り付けたものの、調べた結果、標高点1,621mと標高点1,612mの双耳峰で「黒枯山」というのが正解のようだ。(若しくは標高点1,612mを「前黒枯山」とする。)
しかし、標高点1,612mには既に「抜ヶ谷山」という山名が付けられている。
これは本来あるはずの無い山名が付けられてしまっているようだ。

その後さらに別の資料が出てきて、実はCO1,748mが「黒枯山」だという説も浮上。
標高点1,621mは「偽黒枯山」であるとか、とにかく資料によって情報が異なり、訳の分からない状況に陥っているようだ。

とりあえず、標高点1,621mに山頂標識を移し替える予定らしい。
そして、「抜ヶ谷山」が勝手に命名されているのも事実のようで、それはそれで問題だ。
これを定着すべきなのか、修正すべきなのかも悩ましい話だ。

(一連のくだりはFacebookで「黒枯山」と検索すればヒットするので、気になる方はぜひ。)

そんな曰く付き(?)のCO1,720m地点は、予想よりも起伏のあるピークだった。

幕営できる可能性を期待していたが、テントを設置できるスペースは無いので、先へ進む事とした。(ツェルトなら1張いけそう)

相変わらずガスが濃い
標高点1,621m

さらに尾根を南下し、15:40標高点1,621m(本当の黒枯山?)に到着。

付近は広くなだらか。雰囲気の良い場所。平らなスペースもある。
しかし、ヌタ場が・・・。

ただ、これ以上進むには、時間が少し心配だ。
あまり気は進まないが、ここで幕営する事とした。

泥に刻まれた蹄の足跡

付近にはフンや、泥には蹄の足跡。

今晩もやってきそうな予感はしたが、山の獣の中で最も逃げ足の早いあいつらの事だ。
例え集団で集まっていても、こちらの存在に気づけば尾鏡をブワッと広げて一斉に逃げ出す。
そうそう闘争にはならないだろう・・・。

テントを広げて、あとはまったりと落ち着く。
今晩はヨッポギ カレー味の予定だったが、昨晩食べたチーズ味がイマイチだったので、非常食として持ってきていた「ぜんざい」と「餅2個」を夜ご飯として食べた。
ヨッポギは匂いも強いし、ヌタ場もあるし、食べなくて正解だったかも。

本日の水分消費は、行動水0.8ℓ、夕食で0.3ℓ。残りは5.4ℓ。
日中も暑さを感じなかったし、夕食もぜんざいだった為、今日は想定よりも水の消費が少なかった。

ヌタ場の真横に幕営したはいいものの、やはりなんとなく周囲の気配に敏感になってしまう。
私自身も物音を立てないように気を遣ってしまう。

そのうち、テントの外で「ブルルル・・・」と音が聞こえてきた。
紅茶ラテを飲むべく、ビニール袋をガシャガシャさせたら、そのうち音は消えた。

夜は、18時に就寝。
以前焚き火で穴を開けてしまったぺしゃんこのエアーマットは、底冷えして寒かったが、次第に気にならなくなり、夢の中へ。

真夜中、再び獣の気配で目覚める。
左足の辺りをテント越しに触られた。反射的にどかしたら、その後気配はなくなった。
とにかく眠くて、寝ぼけていたので、もしかしたら気のせいかもしれないが。

3日目:標高点1,621m〜尾盛駅

2日目に頑張って歩いたので、最終日は割とのんびり出来る。

5時に起床、カレーメシを食し、6時半に幕営地出発。

朝食で0.5ℓ使用。現時点で、残っている水は4.9ℓ。
1ℓを行動水としてペットボトルに補給、1ℓを予備として担ぎ、残り3ℓ程度は捨ててしまった。

意外と消費しなかったので、1日2ℓの計算でも良かったかもしれない・・・とも思ったが、やはり何があるか分からないので、多めに水(食料も)は持っていくべきだと思った。
(過去、下山が1日延びた時に水が無くて苦しんだ事があるので。)
今回は9ℓ担いで良かったと思う。

ヌタ場の真横・・・。

昨日、獣が訪ねてきた気がしたが、外を確認するも特に荒らされた痕跡も無く、問題は無かった。

向かって右から、不動岳、鎌崩ノ頭、丸盆岳
別の場所より。朝日岳の右奥に黒法師岳
振り返ると風イラズ

20分程歩くと標高点1,612mの抜ヶ谷山、もとい前黒枯山に到着。

その後は、わずかな小ピークを残すのみで、全体的に降るばかり。
体力的には優しいが、樹林の背丈が低く、サイドにくくりつけたストックが何度も引っかかった。

「ピャッピャッ」と、どこかで鹿の鳴き声が聞こえる。

朝一で見上げた空は晴れているように見えたが、今歩いている場所はガスっている。

こちらを見下ろしているヤマドリ

「ブルル・・・」とどこかで獣の唸り声のような音が聞こえてきた。
あたりを見回すと、右後ろの尾根の高い場所から、1羽のヤマドリがこちらを見ていた。
音の正体はあいつだ。羽を鳴らして、ホロ打ちと呼ばれる行為をする。

過去に何度も、突然真隣の藪からあの音を出され、脅かされていた。
ネットの情報から「ヤマドリ」であると予想はついたが、謎の唸り声に対して「熊」の可能性も捨て切れず、ずっと怯えていた。
音の主を実際に確認出来たのは今回が初めてだ。やっと安心出来た・・・。

CO1,430m付近、西側に忽然と崩壊地が現れる。

トモエシオガマが咲いていた

東側を巻き。振り返り崩壊地を見ると、険しい岩肌に可憐な白い花がいくつも咲き乱れていた。

その後は順調に下降し、8:15標高点1,280.3mに到着。
いよいよここから尾盛駅に向けての下降が始まる。

コンパスを合わせて南東尾根方面へ降る。
のっけから、ややズレた斜面を降っていたので、トラバース気味に尾根に乗っかった。

針葉樹林の尾根を下降していく

標高点1,177mまでは真っ直ぐ進む。
ここから顕著な尾根が北と南東に分離する。

コンパスの指針を南東方面に修正。
北側の尾根に入らないように、南東尾根の派生ポイントを見逃さないように歩いていく。

ふと、過去に、冬のホワイトアウトの西穂独標から帰る際、迷わないために西側を意識しすぎて、西側の小さな支尾根に迷い込んでしまった事を思い出した。
なんとなく、そんな予感を感じていたので、念頭に入れておく。

そのうち、目前に尾根の派生ポイントを発見。
意外と顕著な尾根だった。
方向転換、ある程度降り尾根の上部に完全に乗ったところで、左側を見ると、沢地形を挟んで尾根が見えた。あれは北尾根か。
無事に乗れたかな?と思い、コンパスを確認すると、進行方向がわずかに違うような。
むしろ、あちらに見えている尾根に乗った方が、南東尾根って感じだ。

地形図をよーく確認すると、南東尾根のやや西側に小さな沢型が詰めあげている。
私の乗っている尾根は、その沢型を挟んださらに西側の、支尾根の可能性が高い。

やはり、先ほどの予感は当たっていた。いくら迷わないように一生懸命行動しているつもりでも、それがいつの間にか「過信」となり足元をすくわれてしまう事だってあるのだ。
山ではどんな時も「謙虚」な気持ちが一番なんだろう。分かってはいるけど、、、いやー難しすぎる・・・。

とりあえず、早々に気づくことが出来て良かった。

現在地から東にトラバースして、先ほど左側に見えた尾根に向かう。
尾根は近づくほどに起伏がなくなり、尾根だと分からなくなった。

杉の木が整列。左右真っ平で分かりづらい

完全に乗っかると、左右見回す限り真っ平な地形。
北尾根もあるのかどうか分からない。先ほど乗っていた尾根も見えない。
しかし、コンパスの方角はガッチリとこの尾根の下側を示している。

コンパスを頼り下降を続けると、やがて尾根は顕著になり、無事に南東尾根に乗ることが出来た。
それにしても、怖すぎる場所だ。ガスっていなくて良かったと心から感じた。

東にトラバースして支尾根から南東尾根に乗りかえる。

後は、尾根の向きが変わる度に現在地確認、コンパスの方角を修正しつつ順調に降る。

9:05、CO900m付近で廃小屋が出現。

銅線のトラップに注意

右手に廃小屋を見ながら歩いていると、足首の高さにまるでトラップのように銅線が張られていた。
あっぶな・・・。小屋に気を取られているとコケてしまうこと間違いなしだ。

やがて、下界から放送の音声が聞こえてくる。
いよいよ終わりも近づいてきた。

9:40、CO530mで電柱が現れた。
ここまでは人が入っているという事だ。あるはずの巡視路を探す。
先に、尾根を少し下降してみるが、藪が深く非常に進み辛い。流石に違うだろう。

電柱の西側にある踏み跡を辿ると、どうやら続いていそうだ。
続く電柱を目印にしながら、西に向かってトラバースしていく。
巡視路を上手く見つけられて良かった。

踏み跡自体は、時々藪に隠れていたり、少々崩れたりしているが、電柱が何よりの目印だったので、さほど難しく無かった。

9:50、線路合流。

鉄道の時刻を確認して、線路上を歩き尾盛駅を目指す。
10分程歩き、10:00尾盛駅無事到着。

そして今回、また怪我をしてしまった。
2度目の「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」だ。
先月も毛虫に刺されて、病院に通ったというのに・・・。

怪我については別記事でまとめています。

【温泉】
寸又峡温泉 翠紅苑 11:30〜20:00 静岡県榛原郡川根本町寸又峡
大人500円(タオル付は600円)
シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、化粧水、乳液、ドライヤー完備。
ヌルヌルとした泉質がとても良い。湯温もGOOD。
空いていて、貸し切りだった。

以前、朝日岳を歩いた際も利用させていただいた。
サービスが充実しているし、温泉も良いのにこの価格はかなり良心的。受付の方も柔らかい雰囲気。
850円と言われてもおかしくないレベル。寸又峡温泉第三駐車場から1分で行けるのも良い。
今後も、利用するだろう。
ただ1つ、受付から浴場までが複雑なルート。方向音痴の方は要注意。

【参考書籍】

【過去の山行】
光岳の南尾根に連なる山々を歩いたのは、今回が3度目だ。
その全てが思い出深い。

参考までに、過去の山行記録を掲載します・・・。

①大根沢山〜光岳〜横窪沢小屋〜畑薙ダム
初めて歩いたバリエーションルート。
この記録は途中で文章を修正して、最終的にあっさり仕上げてしまったが、内心では思う事がかなりある。山行を終えた後、色々悩んだ。反省の多い山行だった。意識が変わるきっかけとなった。

②畑薙ダム〜信濃俣河内〜釜の島山〜ムギウネホツ〜イザル尾根〜畑薙ダム
仲間と歩いたルート。楽しかったが、体力の無さを痛感させられた。でも、こうやって自由に歩き回る山歩きが好きだ。気の合う仲間に感謝。

コメント一覧 お気軽にコメントください。

  1. 森の民 より:

    わかちゃん、お疲れ様でした。
    レポートが上手なので、とてもリアル!
    怖がりで心配性な私は朝から心拍数が上がりました。
    でもそれと同時にチャレンジ精神とか勇気とか元気とか、最近忘れていたことも思い返すことができてとても感動!
    同じ冒険はできませんが、私のしたいことを実現させるための勇気もらいました。
    ありがとうございます!
    またゆっくりお話聞きたいと思いました。

    • Waka Waka より:

      民さん、長い文章読んでいただきありがとうございます。

      色々と山歩きを重ねていくうちに、今まで未知だと思っていた山も、次第になんとなく「イメージ」が出来るようになって来ました。
      今回の山もまさにそうで、あくまでも今までの山歩きの延長線上にあり、今回行けるかな?って考えてみて、リスクの想定も含めて、周回出来るイメージが沸いたので行ってみました。
      ですので、私の中では、そこまで冒険的登山ではなかったかもです。

      民さんのやりたい事、今は実現するのに勇気が必要なのかもしれませんが、そのための活動を何かしら続けていく中で、そのうち、気合入れなくても、さらっと夢が叶っちゃう時が来ると思います!(今回の山が、私にとってまさにそんな感覚でした!)

      とはいえ、危険なルートに変わりはないので、気を抜かず、油断せず、今後も楽しみたいと思います!
      あとは、まだまだ、今の私にとって恐れ多くて行けないルートも多数存在するので、引き続きレベルアップを頑張ろうと思います。

      今回は、久々の静岡のため、実家を優先してしまいましたが・・・、また平日に登り行く場合は帰りがけお食事でもご一緒してください。(もちろん登山も歓迎!ですが、民さんのペースについていけないかもです。笑)(*^_^*)

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